任意整理とは、債務整理(さいむせいり)の一種で、お金を貸した業者と交渉して、借金を減額、月の支払いを楽にする手続きです。
完済までに発生する利息をカットして、おおよそ3~5年で完済するのが一般的です。
債務整理ではよく知られた手続きですが、デメリットや費用、手続きの方法や流れなど気になる人も多いのではないでしょうか。
この記事でわかること
- 任意整理はどんな手続き?流れや費用
- 任意整理のメリットデメリット
- 任意整理はしない方がいいって本当?
\家族に内緒で月々の返済を減らしたい人はこれ!/
任意整理とは?内容や特徴メリット・費用などすべてを解説!
\借金が返済できない人はこれ!/
自己破産とは|自己破産のデメリットや費用などをわかりやすく解説
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任意整理とは?わかりやすく解説
ここでは、任意整理の手続きや、減額の仕組み、任意整理をすべき基準を解説します。
業者と交渉して利息をカットする手続き
任意整理とは、お金を貸した業者と交渉をして、利息をカットする手続きのことです。
基本的には、次のものをカットできる可能性があります。
- 完済までに発生する『将来利息』
- 支払いが遅れた際に発生する『遅延損害金(ちえんそんがいきん)』
そして、今の借金を3~5年、つまり36~60回の分割払いで完済するのが一般的です。
『交渉だけで借金が減額できるの?』『交渉に応じてくれるの?』と思う人もいるかもしれません。
業者からすると、借金の回収には裁判が必要で手間も時間もかかりますし、自己破産されて借金の回収ができなくなるくらいなら、減額してでも交渉に応じてもいいと判断することが多いです。
任意整理の条件
また、任意整理には条件があります。
任意整理の条件
- 安定した収入があり、無理なく返済を継続できること
- 3~5年で完済できる見込みがあること
- 借り入れから一定期間返済をしていること
- 交渉した業者が任意整理に応じること
任意整理は、交渉後も返済が続くため、安定した収入や、『今の借金が3~5年で完済できる見込みがある』ということが重要です。
アルバイト、パートの人でも手続きはできますが、無職や生活保護だと応じてもらえない可能性があります。
また、年金受給者でも任意整理できますが、条件が厳しくなる可能性が高いです。
ご事情によって応じてくれる場合もありますので、まずは弁護士に相談してみてください。
また、借り入れから最低でも半年以上は返済していることや、借り入れをした業者が任意整理に応じてくれることも必要です。
借り入れから返済もないまま交渉を求めても、『任意整理前提で借り入れをしたのでは?』と疑われ、交渉に応じてもらえない可能性があります。
任意整理の条件は、関連記事も参考にしてみてください。
任意整理をすべき基準
では、どういったケースであれば、任意整理をすべきなのでしょうか?
次に当てはまる人は、任意整理を検討すべきと言えるでしょう。
任意整理をすべき基準
- 借金の総額が年収の3分の1を超えている
- 借金を返すために追加で借り入れをしている
- 月々の支払いが高額で苦しいので減らしたい
- もう何年も返済しているが一向に完済できない など
こうしたケースでは、自力での返済が難しい可能性があります。
上記に当てはまる人は任意整理を含めて、債務整理を検討しましょう。
『任意整理はどんな人におすすめ?』でも任意整理がおすすめな人の特徴を紹介するので、参考にしてみてください。
任意整理のメリット
ここでは、気になる任意整理のメリットを紹介するね!
任意整理のメリット
- 利息がカットされ支払いの負担が減る
- 3~5年の分割払いになる
- 支払督促が止まる
- 裁判所を通さず手続きが手軽
- 他の債務整理より費用が安い
- 家族に知られにくい
- 弁護士が代わりに交渉等をしてくれる
- 財産を手元に残せる
- 交渉する業者を選べる
- 保証人に迷惑をかけない可能性がある
- 支払いが一本化できる
- 過払い金で借金が減額・完済できる
利息がカットされ支払いの負担が減る
任意整理のメリットは、利息がカットされることで、月々の支払いの負担が減る点です。
例えば、次のようなケースだと、月の支払いの負担を減らすことができます。
例)借金100万円で年率15%を5年で完済する場合
任意整理なし | 任意整理あり | |
年率 | 15% | 0% |
月の支払い | 約2万3,000円 | 約1万6,000円 |
総支払い額 | 約142万7,000円 | 100万円 |
うち利息 | 約42万7,000円 | 0円 |
任意整理をすることで、月の支払いは1万6,000円まで減らすことができます。
また、利息がカットされることで上記のケースで言えば、42万円は支払わずに済むのです。
3~5年の分割払いになる
任意整理をすることで、借金は36~60回(3~5年)の分割払いにすることができます。
特に、借金は長期間滞納してしまうと、業者から一括での返済を求められることになります。
そういうケースでも、任意整理で再び分割払いに戻して、返済していくことが可能です。
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支払督促が止まる
借金の返済を求める電話や手紙は、受け取る側にとって大きなストレスとなりますが、弁護士が間に入ることで、これらの直接的な督促が停止し、精神的な安心感を得られます。
裁判所を通さず手続きが手軽
債務整理には、任意整理の他に、『個人再生』と『自己破産』という手続きがあります。
個人再生 | 裁判所の許可のもと借金を最大10分の1まで減額できる |
自己破産 | 裁判所の許可のもと借金の返済義務をなくせる |
任意整理の大きな特徴は、この個人再生や自己破産と違って、裁判所を通さない点です。
個人再生や自己破産の場合、裁判所に申し立てる必要があり、提出する書類を準備する時間がかかります。
また、任意整理よりも厳格な手続きであるため、認められる条件も厳しくなります。
一方、任意整理であれば、必要な書類は少なく、弁護士が交渉をするだけで終わります。
裁判所を通さないため、手続き期間も短くて手軽な点が大きなメリットです。
他の債務整理より費用が安い
個人再生や自己破産の手続きは複雑かつ手間がかかる分、弁護士費用が高くなります。裁判所手続きの費用もかかることになります。
任意整理であれば、裁判所の費用はかからず、弁護士費用も数万円程度と安くて済む場合が多いです。
任意整理にかかる具体的な費用は、『任意整理の費用の相場は1社2~5万円』で紹介しますので、参考にしてみてください。
家族に知られにくい
任意整理の大きなメリットは、債務整理の中では一番、家族に知られにくいという点です。
任意整理が家族に知られにくい理由
- 財産を処分されない
- 裁判所を通さないので、裁判所から家に書類が届くことが無く、書類を提出することもない
自己破産の場合は、高価な財産を持っていると、裁判所に没収されて借金の返済にあてられます。
また、裁判所を通した手続きの場合、世帯収入などの申告が求められるため、家族の協力が必要になるでしょう。
任意整理の場合は、弁護士が業者と交渉をするだけなので、財産を失ったり、家族の協力が必要になったりすることはほとんどありません。
業者からの督促の連絡やハガキなどの郵便物も弁護士に直接いくので、自宅に来ることはありません。
依頼する人と弁護士とのやり取りだけで、手続きは完結する点も安心です。
弁護士が代わりに交渉等をしてくれる
また、任意整理をすることで弁護士が代わりに交渉や手続き、管理を行ってくれる点もメリットと言えます。
個人で業者と交渉をしようと思っても、業者側が応じてくれないケースが多くありますし、『怖い』と感じる人も少なくありません。
一方で法律の知識がある弁護士が間に入ることで、業者と対等に交渉することができます。
また、複数の業者から借り入れている場合、それぞれと交渉したり、金額管理したり、返済したりと面倒ですが、それを弁護士が全部やってくれます。
財産を手元に残せる
任意整理は自己破産のように、手続きをすると強制的に財産を没収されるといったデメリットはありません。
自己破産の場合は、持ち家や車などを失う可能性がありますが、任意整理ならこうした財産も失わずに済みます。
交渉する業者を選べる
また、任意整理では、交渉する業者を自由に選ぶことができます。
個人再生や自己破産のように、裁判所に申し立てて行う手続きでは、すべての借金が減額の対象となります。
特定の業者だけ手続きから除外したり、整理したりすることはできないのです。
交渉する業者を選べると、次のようなメリットがあります。
- 連帯保証人に迷惑をかけずに済む
- ローン返済中の業者を除外することでローン返済中の家や車などを失わずに済む
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任意整理をすると保証人に迷惑がかかる?保証人になれない?対処法も解説
保証人に迷惑をかけずに済む
保証人がついているような場合は、任意整理や自己破産などをすると連帯保証人に請求が行くことになります。
保証人がついている業者以外を任意整理すれば、保証人に迷惑をかけなくても済みます。
ローン返済中の家や車を失わなずに済む
ローン返済中の家や車は、支払いを滞納したり、任意整理で減額したり、自己破産で支払えなかったりする場合、家や車を担保として金融機関などに売却されてしまいます。
そのため、ローンがある業者以外を任意整理し、ローンだけは通常通りに返済することで家や車などを残せます。
支払いが一本化できる
複数借り入れがある場合に、支払いが一本化できるというのも、任意整理のメリットです。
任意整理をした場合、返済代行といって弁護士経由で各業者への支払いをお願いすることができます。
複数借り入れがあると返済日の管理も大変になったり、支払いを忘れてしまったりするリスクがあります。
借金を減額した上で支払う先を一本化できれば、管理の手間がかからず、支払い忘れといったリスクも防ぐことができます。
過払い金で借金が減額・完済できる
任意整理をする場合は、過払い金の請求もセットで依頼することができます。
過払い金とは、わかりやすく言えば、払い過ぎてしまった利息を返してもらうことです。
借金を返済中の人は、発生している過払い金を借金の返済にあてることができるので、利息や元本自体が減らせる可能性があります。
また、すでに完済済であれば、過払い金が手元に戻ってくるかもしれません。
気になる人は、任意整理とセットで過払い金の調査もしてもらいましょう。
他にも任意整理をすると取り立てが止まるといったメリットがありますので、『任意整理を弁護士に依頼するメリット』も一緒に参考にしてみてください。
任意整理のデメリット
任意整理はメリットが多いですが、もちろんデメリットもあります。
任意整理を検討している人は、こうしたデメリットも気になりますよね。
ここでは、任意整理のデメリットも包み隠さずに紹介します。
任意整理のデメリット
- 減額できるのは利息のカットのみで元本は減らない
- 月々の返済額が増えるケースがある
- 5年はクレジットカードやローンが利用できない
- 任意整理に応じない業者がいる
- 無職だと任意整理できない
- 差し押さえが止められない
- 銀行口座が一時的に凍結される
- 税金などは任意整理できない
減額できるのは利息のカットのみで元本は減らない
『利息がカットされ支払いの負担が減る』で紹介した通り、任意整理は完済までの利息がカットできます。
裏を返せば、利息のカットしかできないため、他の個人再生や自己破産と比べると減額効果は薄いと言えるでしょう。
個人再生 | 裁判所の許可のもと借金を最大10分の1まで減額できる |
自己破産 | 裁判所の許可のもと借金の返済義務をなくせる |
借金が高額な場合は、利息のカット程度では、月の支払いの負担も大きく減らせない可能性があります。
月々の返済額が増える可能性がある
また、任意整理をすることで、月の返済額が増えてしまうケースもあります。
『利息がカットされ支払いの負担が減る』のシミュレーションを思い出してみましょう。
例)借金100万円で年率15%を5年で完済する場合
任意整理なし | 任意整理あり | |
年率 | 15% | 0% |
月の支払い | 約2万3,000円 | 約1万6,000円 |
総支払い額 | 約142万7,000円 | 100万円 |
うち利息 | 約42万7,000円 | 0円 |
上記のケースでは、月の支払いを3万円以上している人なら、月の支払いの負担を減らせるでしょう。
一方で、リボ払いのように月の支払いが数千円程度の場合、月の支払いが今より高額になる可能性があります。
それなら、月の負担がちょっと増えても、頑張って任意整理したほうがいいのかもしれないね!
実は恐ろしいリボ払い…関連記事ではリボ払いの危険性も紹介しているから、参考にしてみてね!
5年はクレジットカードやローンが利用できない
任意整理を含む債務整理の大きなデメリットは、手続きをすることでいわゆる『ブラックリスト』の状態になってしまう点です。
ブラックリストとは、正確には借金の滞納履歴や債務整理の経験などの信用情報機関に記録されることを指します。
信用情報は、借金などの支払い情報のことで、審査の際にも参照とされる重要な情報です。
債務整理をすることで、その信用情報には、債務整理をした事故情報が残ることになります。
そのため、クレジットカードの新規発行や、ローンやキャッシングなどの審査の際に、任意整理が知られて、審査に通りにくくなってしまうのです。
ブラックリストに載ると言われることがありますが、実際にブラックリストが存在しているわけではありません。
こうした制限を受ける状態がブラックリストに載ったと勘違いされるために、『ブラックリストに載る』などと呼ばれています。
任意整理の完済から5年が経過すれば、またクレジットカードやローンなどが利用できるよ。
それに借金を滞納すると、同じくブラックリストに載ったような状態になってしまう。
それであれば、任意整理をして借金を減額してしまった方がいいね!
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任意整理に応じない業者がいる
また、任意整理のデメリットの1つは、業者が応じてくれないと減額ができない点も挙げられます。
基本的には、裁判の手間をはぶいたり、自己破産をされて損をしないために、交渉に応じてくれますが、中には方針として任意整理に応じないと決めている業者もあるのです。
業者が応じずに任意整理ができない場合は、裁判所の許可で減額や免除ができる個人再生や自己破産を選ぼう。
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無職だと任意整理できない
『任意整理の条件』で解説した通り、無職の人は残念ながら任意整理ができない可能性が高いです。
無職で無収入となると、『生活もできないのにどうやって返済するの?』と思われて、交渉に応じてもらえないことがほとんどです。
任意整理は、減額した借金の返済が続くため、安定した収入や継続的に返済できることが重要になります。
『無職でも任意整理したい』という人は、まずは定職について、生活を立て直してから任意整理を検討しましょう。
詳しくは関連記事を参考にしてみてください。
差し押さえが止められない
任意整理では、差し押さえが止められないという点もデメリットです。
例えば、給料が差し押さえられていて、慌てて任意整理をしようと思っても、応じてもらえず、差し押さえが止まらない可能性があります。
業者からすれば、差し押さえで強制的に借金を回収できるため、わざわざ任意整理の交渉に応じる必要がないからです。
差し押さえを受けた場合は、裁判所で手続きを行う個人再生や自己破産をすることで、差し押さえを止める(民事再生法39条、破産法42条)ことができます。
銀行口座が一時的に凍結される
これは任意整理に限りませんが、債務整理を開始すると口座が凍結されるケースがあるため、注意が必要です。
口座が凍結されるケースは、銀行から借り入れている借金を債務整理した場合です。
口座が凍結されてしまうと、引き落としや振り込み、入金などができなくなってしまいます。
もっとも、任意整理を依頼した弁護士から事前に説明があるはずなので、指示に従って預金を引き出しておけば問題ないことがほとんどです。
任意整理による口座凍結に関しては、関連記事も参考にしてみてください。
税金などは任意整理できない
任意整理は交渉で利息をカットできますが、中には減額できないものや、任意整理するメリットがないものもあります。
任意整理ができるもの | クレジットカードの支払い
ローンやキャッシングの返済 |
減額できないもの | 税金、公共料金、損害賠償など |
減額のメリットが薄いもの | 奨学金、住宅ローンなど金利が低いもの |
税金の場合は、債務整理の対象外なので減額ができません。
税金が払えない場合は、すぐに役所に相談して、分割払いや猶予をしてもらいましょう。
また、金利が低い場合は利息も高額ではないため、減額の交渉をするメリットがない可能性が高いです。
例えば、奨学金や住宅ローンは金利が低いため、任意整理は不向きと言えます。
奨学金や住宅ローンそのものを減額したい場合は、個人再生や自己破産を検討しよう。
任意整理にかかる費用・流れ・期間
ここでは、実際に任意整理をするにあたって、かかる費用や手続きの流れ、期間などをわかりやすく解説します。
任意整理の費用の相場は1社2~5万円
任意整理にかかる費用の相場は1社2~5万円程度と言われています。
法律事務所によっては、減額できた金額に対して10%程度の減額報酬が加算される所もあります。
この報酬の規定を超える法律事務所は、ルールに違反していることになるから、注意してね。
内訳 | 内容 | 費用 |
着手金 | 依頼を受けた際に支払う頭金のようなもの | 上限なし |
報酬金 | 依頼内容が解決した際に支払う成功報酬。 | 解決報酬金:1社あたり2~5万円
減額報酬金:減額分に対して10%以下 過払い金の報酬金:20~25%(税抜) |
実費 | 手続きの際に発生したコピー代や郵送代など |
【参考:債務整理の弁護士報酬のルールについて – 日本弁護士連合会】
任意整理は、交渉する業者数に応じて費用がかかることになります。
弁護士に相談する際は、いくらくらいかかるのか確認するようにしましょう。
任意整理の流れ
実際に手続きをする場合の任意整理の流れは次の通りです。わかりやすく解説します。
任意整理の流れ
- 弁護士に相談、依頼
- 受任通知の送付、取引履歴の開示請求
- 弁護士費用の積み立て開始
- 和解案の提示と和解交渉
- 和解内容に従い、返済開始
弁護士に相談・依頼
任意整理を検討している場合は、まず弁護士に相談しましょう。
弁護士に相談することで、『本当に任意整理すべきかどうか』や、メリットデメリットなどを説明してもらえます。
説明を聞いた上で、納得できれば依頼しましょう。
まずは相談して、情報収集しつつ、任意整理するかどうか決めればいいんだね。
受任通知の送付と取引履歴の開示請求
もし正式に依頼した場合は、弁護士と契約を結ぶことになります。
契約後は、弁護士が交渉する業者に『受任通知(じゅにんつうち)』を送り、取引履歴の開示請求というものを行います。
受任通知とは、簡単に言えば『これから弁護士が任意整理をしますよ』という通知のことです。
業者から取引履歴が届けば、それを元に借金を計算します。
過払い金が発生していそうなら、過去と今の金利を見直して、請求できる過払い金を計算します(引き直し計算)。
受任通知の効果については、関連記事も参考にしてみてください。
弁護士費用の積み立て開始
前述した受任通知が送られると業者からの取り立ては止まります。
ここからは、毎月借金の返済をしていた分を、弁護士費用の分割払いとして支払っていくことになります。
返済と弁護士費用、どちらも同時に支払う必要はないため、今より負担が大きくなる心配はありません。
和解案の提示と和解交渉
弁護士費用の積み立てが終われば、弁護士が業者と交渉を開始します。
業者に返済計画などの和解案を提示して交渉し、合意すればその内容を和解書にまとめます。
和解内容に従い返済開始
業者との交渉が終われば、和解内容に従って返済が開始されます。ここから3~5年で完済できれば、借金で悩む日々も終わりになります。
任意整理にかかる期間はおおよそ3~6ヶ月
任意整理にかかる期間は、おおよそ3~6ヶ月くらいです。
業者がどのくらい早く取引履歴を送ってくれるのか、弁護士費用の積み立てがどのくらい早く終わるのかによっても左右されます。
個人再生や自己破産の場合は、長いと1年ほどかかるため、債務整理の中では短期間で終わる手続きです。
任意整理はどんな人におすすめ?
ここまで任意整理をわかりやすく解説してきました。
『結局、自分は任意整理をした方がいいかどうかわからない』という人もいるでしょう。
ここでは、任意整理がおすすめな人、任意整理以外の手続きがおすすめな人を紹介します。
ただし、一番確実なのは弁護士に相談することです。あくまでも目安として参考にしてみてください。
任意整理がおすすめな人 |
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任意整理以外の手続きがおすすめな人 |
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任意整理がおすすめな人
任意整理がおすすめな人
- 月の返済が負担なので減らしたい
- 今の借金を36~60回払いで完済できる
- 安定した収入がある
- 交渉する業者を選びたい
- 連帯保証人に迷惑をかけたくない
- 家や車を残したい
任意整理は『今の借金なら36~60回の分割払いで完済できる』という人におすすめです。
今後の返済が続くため、安定した収入がある人は任意整理を選択できるでしょう。
また『交渉する業者を選べる』で解説したように、ローン返済中のものや連帯保証人がついているという人にもおすすめです。
一方で『借金が高額だ』『36~60回の分割払いで完済できない』という人は、任意整理以外の手続きを検討しましょう。
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任意整理以外の手続きがおすすめな人
任意整理以外の手続きがおすすめな人は次の通りです。
①収入が不安定で支払いが難しい | 自己破産がおすすめ |
②借金が高額過ぎて36~60回払いでは完済できない | 個人再生か自己破産 |
③借り入れが半年未満で返済実績が少ない | |
④借金の金利が低い | |
⑤業者が交渉に応じない | |
⑥すでに財産が差し押さえられている |
『今の借金を36~60回で払えない』『借金の金利が低く任意整理ではメリットがない』という人は、個人再生や自己破産で大幅に減額するか、免除した方がよいかもしれません。
また、返済実績がない場合や、業者が交渉に応じない、差し押さえを受けているような状況であれば、任意の交渉より裁判所を通す手続きがおすすめです。
『収入が不安定で支払いができない』という人は、返済が続く任意整理や個人再生といった手続きをとるのが難しいため、自己破産を検討しましょう。
確実なのは、弁護士の無料相談を活用して、どの手続きがいいのか聞いてみることだよ。
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400万円の借金を任意整理すると月々の返済額はいくら?
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任意整理を弁護士に依頼した場合
任意整理は交渉をするだけなので、個人でできるのではないかと考える人もいるでしょう。
ここでは、任意整理を弁護士に依頼した場合のメリットや、弁護士の選び方を紹介します。
弁護士に依頼するメリット
任意整理は弁護士に依頼しましょう。任意整理を弁護士に依頼するメリットを紹介します。
弁護士に依頼するメリット
- 取り立てが止まる
- 有利な条件で減額できる
- 手続きはすべて任せられる
- 家族に知られにくい
- 過払い金も一緒に請求できる
『過払い金で借金が減額・完済できる』でも解説した通り、弁護士に依頼する最大のメリットは、取り立てを止められる点です。
また、自分で交渉をすると不利な和解条件を提案されて、わからないまま応じてしまう恐れもあります。
弁護士に依頼すれば、こうしたリスクは回避でき、交渉によっては分割回数を増やしてもらえる場合もあります。
さらに、弁護士が間に入ることで、過払い金の調査や計算、和解書の作成、そして業者とのやり取りまですべて任せられます。
自分で対応することで、自宅に書類が届いて家族に知られてしまうといった事態も避けられるでしょう。
依頼する弁護士の選び方
もし任意整理で弁護士に相談や依頼をする際は、次の点に注意して弁護士を選ぶのがおすすめです。
任意整理を依頼する弁護士の選び方
- 借金問題の解決実績がある
- 費用が適切な金額である
- 弁護士との相性がいい
- 色々な法律事務所で相談をする
ひとえに弁護士といっても、借金問題が得意な弁護士もいれば、離婚や相続が得意という弁護士もいます。
借金問題が得意な弁護士を選ぶことで、『自分に合った手続き』を提案してもらえます。
各業者の和解の傾向も熟知しているので、安心して任せられますね。
また、借金の問題は自分の人生でも大変な問題です。
そんな大事な問題だからこそ『相性がいいか』『話しやすいか』『信頼できるか』といった観点で弁護士を選ぶことが重要です。
どんな弁護士かは実際に話してみないとわからないため、色々な弁護士に相談してみましょう。
『どんな弁護士なのか』『任意整理する必要があるかどうか』『費用はいくらなのか』色々含めて、まずは無料相談を活用してみよう!
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任意整理はしない方がいい?人生終わり?
任意整理をネットで調べると、中には『任意整理はしない方がいい』『人生が終わる』といった意見もあるようです。
しかし、結論からいえば、任意整理をしても人生が終わってしまうということはありません。
『5年はクレジットカードやローンが利用できない』で紹介したように、ブラックリストの状態になっても、完済から5年もすれば解除されます。
財産を失うなどの大きな影響もありません。
ここでは、実際に任意整理をした人の声を紹介します。
実際に任意整理をした人の声
なんでもっと早く任意整理しなかったんだろう…
せめて200万くらいですれば良かったってずっと後悔してる…— モヤセナイゴミ@借金返済600万→150万 (@moyasenaigomi) April 14, 2021
カード1枚、150万くらいのときに任意整理やっておけばなぁ…
後悔しても遅いけど、なんでかあの頃は返せると思っていたんだよね😞— ゆな@任意整理 (@hakidashi08) September 26, 2022
まあ、あの時任意整理してなかったら
今も自転車操業であの時よりも首を
絞めてたことは確実やし、絶対に
返せてないから、例えローン落とされ
ようが審査落とされようが
ブラックリストであろうが私は後悔
していない。— miya@任意整理中 (@miya_30m) March 24, 2022
任意整理をして後悔した人の声
月の支払額が下がったのは事実だけど、まじで任意整理しなければ良かったと後悔してる‥
実際整理前と後で額は変わらなかったし— せっちゃ (@secha41000) March 17, 2023
僕の場合任意整理してからも返済回数などの関係で1ヶ月の支払額は変わらなかったので継続して支払いに困ってました。
支払い悩んでる時点で支払能力無いんだと自覚したので自己破産に移行しましたよ。個人的には任意整理は時間稼ぎにしかならなく、最初から自己破産してればと後悔してます— S・T・K (@shakkinnakusou) June 8, 2022
任意整理を後悔するケースの1つは、『任意整理をしたのに返済の負担が減らなかった』場合です。
本来は『返済が苦しいなら自己破産を勧める』など、弁護士や司法書士がしっかり判断する必要があります。
しかし、不慣れな弁護士や司法書士を選んでしまうと、適してない手続きを勧められてのちのち後悔するケースも少なくありません。
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任意整理はしない方がいい?後悔する?
任意整理をして後悔するかどうかは、その人によります。
確かに信用情報に任意整理の記録が残り、クレジットカードやローンが利用できないと後悔している人もいます。
自力で返済ができる人や、ブラックリストの状態になりたくないという人は任意整理をしないというのも選択の1つでしょう。
しかし、どこかで『借金をするのが当たり前』という生活を変えないと、借金が増えていくことになってしまいます。
重要なのは『任意整理をすると後悔するかも』と悩んで今の生活を続けてしまうよりも、これをキッカケにしてどう生活を立て直すか考えることです。
そのための手段が任意整理なのです。
任意整理やブラックリストの期間で、今の収入だけで生活をする方法を覚えれば、今後は貯金や趣味や旅行など好きなことにお金を使えるようになるでしょう。
色々話を聞けば、任意整理した方がいいかどうか、自分で判断できるはずだよ。
任意整理でよくある質問
任意整理と債務整理はどう違う?
任意整理は債務整理の一種です。
借金を減額、免除できる手続きの総称が債務整理で、そのうちの1つが任意整理です。
任意整理をするとクレジットカードは使えなくなる?
任意整理で交渉するクレジットカードは、強制解約になり今後使えない可能性があります。
また、任意整理の手続きから除外したクレジットカードも今後利用できなくなる可能性があります。
クレジットカード会社は、定期的に利用者の支払い能力をチェックしているためです(途上与信といいます)。
任意整理をしたと判明すれば、今使っているクレジットカードが更新されない可能性があります。
ただ、クレジットカードが使えなくなってもデビットカードを使うことで対策することが可能です。
詳しくは下記の記事を参考にしてください。
任意整理後も使えるクレカが家族カード!使い方や長所を紹介
任意整理中にクレジットカードは作れる?和解後の申し込みの注意点
任意整理後でもコーポレートカードは使える?利用する方法はある?
任意整理でブラックにならないケース2選|クレカやローンの代わりとは
ブラックリストでもデビットカードは作れる!特徴や使える場面は?
家族に影響はある?
任意整理をしても、基本的に家族には影響しません。
財産を失うことはありませんし、そもそも家族が知らない間に手続きが終わる可能性もあります。
任意整理で信用情報に記録が残ってしまうのは、任意整理をした本人だけです。
もし家族に影響があるとすれば『任意整理をした借金』の連帯保証人が家族だったケースです。
家族が連帯保証人である借金を任意整理すると、連帯保証人に請求が行くため注意が必要です。
借り入れ先が複数あるなら、連帯保証人がついている借金だけ、任意整理から除外しましょう。
任意整理は弁護士と司法書士どちらに依頼すべき?
任意整理は弁護士と司法書士、どちらにも依頼できますが、対応可能な範囲が異なります。
司法書士 | 弁護士 | |
任意整理 | 1社あたりの借金が140万円以下なら対応可能 | 制限なし |
1社140万円以下の法律相談・交渉・裁判 | ◯ | 〇 |
1社140万円を超える法律相談・交渉・裁判 | × | 〇 |
また、費用に関しては両者とも1社2~5万円程度が相場だから、制限のない弁護士がおすすめだね。
任意整理をするとできなくなることはある?
任意整理で信用情報に記録が残った場合にできなくなること
- クレジットカードの新規発行
- ローンやキャッシングの利用
- 携帯端末の分割購入
- 一部の家賃保証会社の審査に通らない
- 連帯保証人になれない
亡くなった親の借金を相続したが任意整理できるか?
亡くなった親の借金を相続してしまった場合でも、任意整理は可能です。
また、親が亡くなったことを知った時から3ヶ月以内であれば『相続放棄』もできます。
『相続放棄』であれば、借金を返済しなくて済みますが、プラスの財産も相続できなくなります。
亡くなった親の借金で困ったら、弁護士に相談しましょう。
子どもに借金を相続させたくないがどうしたらいいか?
借金を完済しないまま亡くなると、借金までお子さんに相続されることになります。
お子さんに借金を相続させたくないのなら、元気なうちに任意整理や自己破産で借金を減額したり、免除したりするのがおすすめです。
早めに弁護士に相談しましょう。
任意整理できない借金はある?
『税金などは任意整理できない』でも解説した通り、任意整理ができないのは、税金や社会保険料です。
また、奨学金や住宅ローンなど、低金利なものは任意整理をしても大幅に減額はできないません。
そのため、低金利な借り入れは、個人再生や自己破産がおすすめです。
一方で、リボ払いや消費者金融、カードローンやキャッシングなどは任意整理ができます。
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任意整理をした後の返済方法は?
任意整理をした後の返済方法は主に2つあります。
自分で返済する | 各業者ごとに毎月自分で銀行振り込みをする |
弁護士に返済代行を依頼する | 弁護士に依頼して各業者に返済してもらう
代行手数料が発生する 支払い先を弁護士に一本化できるため支払い忘れのリスクが少ない |
任意整理後に一括返済はできる?
任意整理後に一括返済や繰り上げ返済は、業者の同意があれば可能です。
一括返済すれば、その分早くブラックリストが解除される可能性はあります。
ただし、複数社を任意整理して返済をしている場合、他の借り入れ先の返済に影響しないように注意が必要です。
弁護士に相談しましょう。
任意整理中に払えなくなるとどうなる?
任意整理中に払えなくなった場合、次のようなリスクがあります。
- 弁護士費用の積み立てができない場合→弁護士に辞任される可能性がある
- 和解後に返済ができない場合→2回滞納をすると一括返済を求められる可能性がある
もし今後も返済が難しい場合は、①任意整理してない業者を任意整理するか、②自己破産を検討しよう。
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まとめ
- 任意整理とは業者と交渉をして利息をカットし、3~5年で完済を目指す手続き
- 安定した収入や今後返済が継続していけることが条件
- 任意整理のメリットは、月の返済の負担が減らせること
- 任意整理のデメリットは、ブラックリストの状態になること
- 任意整理にかかる費用の相場は1社2~5万円が目安
- 任意整理の手続きにかかる期間はおおよそ3~6ヶ月
- 今の借金が36~60回払いで完済できる人や、安定した収入がある人にはおすすめ
- 任意整理で後悔しないためにも弁護士に相談するのが大事
任意整理の手続きを解説しましたが、任意整理すべきなのかどうか、自分で判断するのは難しいかと思います。
もし少しでも『気になる』『任意整理すべきか知りたい』『減額できる金額や費用が知りたい』と思った人は、無料相談を活用して弁護士に相談してみましょう。
企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。