
これってどうにか解除してもらえないかな!?
給料の差し押さえを一度受けちゃうと、借金を完済しない限り解除してもらうのはなかなか難しそうだね。
借金問題に詳しい先生のところに話を聞きに行って、対処法を教えてもらおうか!

借金や税金などの返済を長期にわたって滞納していると、給料の一部を差し押さえられてしまう場合があります。
差し押さえは、度重なる督促にも応じなかった結果の処置なので、一度給料が差し押さえられると解除してもらうのは難しいと言えます。
ただし、何も対処法がないわけではありませんので安心してください。
この記事では、以下の3点を中心に給料の差し押さえについて詳しく解説していきます。
- 給料の差し押さえを解除する方法
- 債務整理をすると給料の差し押さえはいつごろ解除される?
- 税金の滞納が原因で差し押さえを受けた際の対処法
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給料の差し押さえを解除する方法7選

まずは、給料が差し押さえられた際に解除できる可能性がある方法を7つ紹介していくよ!
- 債務整理をする
- 『差押禁止債権の範囲変更』を申し立てる
- 債権者と交渉して取り下げてもらう
- 特定調停を申し立てる
- 転職する
- 生活保護を受ける
- 残っている借金を完済する
①債務整理をする

債務整理とは、法律の力をつかって合法的に借金を減額する手続きだ。
おおまかに分けると以下の3つがあるよ!
任意整理 | 債権者(お金を貸している側)と交渉して利息や遅延損害金をカットしてもらう |
個人再生 | 裁判所に申し立てて借金の総額に応じて最大で10分の1にまで減額する |
自己破産 | 裁判所に申し立ててほぼすべての借金の返済義務を帳消しにしてもらう |
手続きを進める中で、給料の差し押さえが解除されるタイミングは債務整理によって異なる。
具体的にどうやって差し押さえを解除してもらえるかは『債務整理で給与の差し押さえが解除されるのはいつごろ?』で詳しく解説していくよ。
ただし、税金の滞納が原因で差し押さえを受けている場合は債務整理でも解決できないから注意してね。
すでに税金を滞納している人は、『税金の滞納が原因で差し押さえを受けたら役所へ相談する』まで飛ばしちゃっても大丈夫だよ!

②『差押禁止債権の範囲の変更』を申し立てる

手取りが20万円の人だったら15万円しか受け取れなくなるってことだね。
人によっては、4分の1も差し押さえられたら生活がままならなくなってしまう可能性もある。
そんな時には『差押禁止債権の範囲の変更』を申し立てるのがいいよ。
簡単にいうと『そんなに持っていかれると最低限の暮らしもできないから、差し押さえる金額を少なくしてください』と裁判所にお願いするのさ。


いくら借金を滞納し続けていた債務者であっても、差し押さえによって最低限の生活もできない場合には差し押さえ額を少なくしてもらえる可能性は十分にあるのさ。
ただし、税金の場合は申し立てができないから「税務署に相談して滞納処分の停止を相談する」で解説する滞納処分の停止を相談してみよう!
(差押禁止債権の範囲の変更)
第百五十三条 執行裁判所は、申立てにより、債務者及び債権者の生活の状況その他の事情を考慮して、差押命令の全部若しくは一部を取り消し、又は前条の規定により差し押さえてはならない債権の部分について差押命令を発することができる。
【引用:民事執行法第153条 – e-Gov法令検索】
③債権者と交渉して取り下げてもらう

債権者からすれば未払いの借金を回収したいだけだから、毎月給料から引く形でなくてもしっかりと返済してもらえればかまわないってわけさ。
ただし、すでに長期の滞納をした結果差し押さえを受けているわけだから、交渉に応じてもらえる可能性はかなり低いよ。
それに、すでに差し押さえを行っているということは、債権者は放っておいても毎月給料の4分の1を受け取れる状態だ。
未納分を一括で返済できるなど、よっぽど債権者にとって得になる条件じゃないと交渉には応じてもらえないと思っておこう。
④特定調停を申し立てる

特定調停とは、裁判所に間に入ってもらった上で債権者と借金の返済について交渉する手続きだ。
裁判所が間に入るとはいえ、争うってわけじゃない。話し合いだね。
交渉が上手くいきさえすれば、借金の残額の分割払いや、利息のカットなどに応じてもらえる可能性もあるよ。
そして、特定調停の申し立てをした上で、『執行停止』の申し立てをすれば、すでに行われている差し押さえを解除することができるのさ。
ただし、特定調停には他の債務整理とは異なり以下のようなデメリットがあるから、あまり弁護士からはオススメされていないよ。
- 交渉の成功率が低い(すでに差し押さえをされているのなら尚更)
- 借金自体は減額できない可能性が高い
- 交渉が成功したとしても、ふたたび一度でも滞納するとすぐに差し押さえが執行される

⑤転職する

つまり、転職をしてしまえば一時的に差し押さえからは逃れられる可能性があるよ。
ただし、借金自体は残ったままだから、給料以外の財産に対して差し押さえを受ける恐れがあって根本的な解決からは程遠い。
さらには『第三者からの情報取得』という制度のおかげで、転職してもすぐに転職先がバレてしまう可能性もあるんだ。
いくつかのサイトでは転職も解決策として紹介されていたけれど、あまりオススメはできないね…。
【参考:第三者からの情報取得手続き – 裁判所】
⑥生活が苦しいなら生活保護を受ける

生活保護とは、憲法で定められた最低限度の生活を守るための制度。
なんらかの事情で収入が極端に少なくなった場合には、収入が復活するまでのあいだ国からお金を受け取れるのさ。
ただし、生活保護で受給されたお金を借金の返済に充てることはルール違反。
自分の状況が生活保護に適しているか、そもそも生活保護を受給できる基準を満たしているか、一度役所に相談してみるのがオススメだよ。

⑦残っている借金を完済する

差し押さえを行った債権者はお金が受け取れれば文句はないから、借金を完済すれば当然給料の差し押さえは解除されて満額受け取れるようになるよ。
もしも知人や親族などで頼れる人がいる場合には、事情を説明して一時的に返済費用を貸してもらうというのも一つの手だね。
債務整理で給与の差し押さえが解除されるのはいつごろ?

債務整理には任意整理・個人再生・自己破産の3種類があって、それぞれ差し押さえが解除されるまでの流れが異なる。
ここでは、実際に債務整理を依頼したらいつごろ給与の差し押さえが解除されるのかを詳しく解説していくね。
任意整理|給与の差し押さえを解除するのは厳しい

結論からいうと、すでに給与の差し押さえを受けている場合は任意整理によって差し押さえを解除するのは難しいよ。
一応、法律の専門家である弁護士が間に入って交渉することで、借金の減額や差し押さえの解除に応じてもらえる可能性はゼロではない。
だけど、すでに給与を差し押さえているということは、債権者からしたら放っておいても毎月給料の4分の1を受け取れる状態だ。
ここから交渉をして、こちらにとって良い条件で返済ができるように持っていくのはかなり非現実的と言えるね。

個人再生|手続き開始から半年~1年後には解除される

個人再生は裁判所を介した手続きだから、裁判所の命令である差し押さえを停止する効力も持っているんだ。
ただし、実際に給与の差し押さえが解除されて満額を受け取れるようになるのは手続きの開始から半年~1年後になってしまうよ。


厳密には、個人再生を申し立てた段階では差し押さえは中止となる。(民事再生法第39条)
だけど、ここでいう中止とは『一旦差し押さえを止めておくけど、本来差し押さえられるだけの金額は勤務先(給料を支払うところ)が預かっておくね』という意味合いなのさ。
個人再生をしたあとは、減額された借金を今後も決められたように返済していかなくてはいけない。
だからこそ、実際に返済していけるだけの能力があるかどうかを慎重に審査されるのさ。
その審査が終わり、無事に個人再生が認められる(再生計画の認可が下りるともいう)までは、差し押さえ分の給料は受け取れない仕組みになっているんだよ。
とはいえ、差し押さえられたままだと生活が厳しいと認められれば、再生計画の認可が下りるまでの間に差し押さえを解除してもらえる可能性もあるから弁護士に相談するのが1番だよ!
自己破産|同時廃止事件か管財事件かで異なる

差し押さえの原因となった借金についても返済が免除されるから、自己破産をすれば差し押さえも自然と解除されることになるよ。
ただし、自己破産の場合、差し押さえられていた給料が満額受け取れるかどうかは、手続きによって異なる。
自己破産にはおおまかに分けて同時廃止事件と管財事件の2つが含まれるよ。
同時廃止事件 |
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管財事件 |
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自己破産を申し立てて裁判所に判断によってどちらになるか決められるよ。
そして、同時廃止事件と管財事件のどちらになるかによって、給与の差し押さえが解除されるタイミングも異なるよ!

同時廃止事件の場合|手続き開始からおよそ3ヶ月後

個人再生の場合と同じように、手続きがすべて終わって免責(借金の返済義務を免除すること)が認められるまでは、差し押さえ分の給与は会社や法務局にプールされるよ。
同時廃止事件は手続きにあまり時間がかからないから、手続きを開始してからおよそ3ヶ月ほどで自己破産による免責(借金の返済義務がなくなること)が認められる。
つまり、給与の差し押さえが解除されて満額の給与が受け取れるまでは手続き開始から3ヶ月後くらいってわけさ。
管財事件の場合|手続き開始した時点から満額受け取れる
税金の滞納が原因で差し押さえを受けたら役所へ相談する

だけど、税金の滞納が原因で差し押さえを受けた場合には、住んでいる地域の役所へ相談するべきだよ!
税金は債務整理で減額・免除できない

税金や保険料などの滞納分は『非免責債権(ひめんせきさいけん)』と呼ばれて、自己破産などの債務整理をしても支払い義務がなくならないのさ。
非免責債権一例
- 税金・保険料
- 交通違反などの罰金
- 故意で誰かに危害を加えたことによる賠償金
- 離婚による婚姻費用や養育費

役所に相談して猶予制度を利用する

だけど、役所に相談すれば支払いの猶予などに応じてくれる可能性はあるのさ。
国税庁のホームページに記載がある通り、納税の猶予を受けられた場合、給与などへの差し押さえ(強制執行)の措置は一時的に解除してもらえるよ。
収入が一定以下であるとか、病気や災害の影響で収入が減少してしまったなどの事情があれば、納税の猶予を受けられる可能性は十分にある。
納税は国民みんなの義務である分、支払い猶予や分割払いなどに関しては割と柔軟に対応してくれるのさ。
もしも税金の滞納で差し押さえを受けた場合には、まずは役所に相談してみてね。
【参考:納税の猶予 – 国税庁】
税務署に相談して滞納処分の停止を相談する

滞納処分とは、給与などに対する差し押さえのこと。つまり、税務署に対して差し押さえをやめてくださいとお願いするということさ。
以下の3つの要件のいずれか当てはまった場合は、滞納処分の停止をする必要があると国税庁の徴収事務提要に記載されているよ。
- 差し押さえによって債務者の生活が著しく困難になる時
- 差し押さえのできる財産がほとんどない時
- 差し押さえのできる財産が不明な時
たとえば、東京の23区に住んでいる人であれば、差し押さえによって収入が13万円以下になる場合には滞納処分の停止をお願いできる可能性があるのさ。(2023年5月)
給与の差し押さえによって生活が苦しい時には、役所や税務署に相談すればどうにかなる可能性が高いってわけだね。

給与の差し押さえを解除するにはまずは弁護士に相談するべき

だけど、結論からいうと、まずは差し押さえを受けた場合はすぐに弁護士に相談するのがオススメだよ!
今日の話を聞いてわかったとは思うけど、差し押さえを受けた場合の最適な対処法はその人の借金の原因や収入状況などによってまったく異なるんだ。
多くの場合で債務整理が助けになるはずだけど、債務整理のうちでもどの手続きが自分に適しているか選ぶには法律の深い知識がないと難しい。
その点、弁護士に相談すれば自分にぴったりの解決法を提案してくれるし、複雑な法律手続きも任せられるのさ!
多くの弁護士事務所が借金問題に関する相談は無料で引き受けてくれるから、まずは話だけでも聞いてもらうのがオススメだよ!
まとめ

- 給与の差し押さえを受けた場合は債務整理で解除するのが現実的
- 税金の滞納によって差し押さえを受けた場合はすぐに役所や税務署に相談しよう
- 差し押さえを受けた場合には弁護士に相談すれば自分に最適な解決法を提案してもらえる

LINEで相談できる窓口もあるみたいだし、僕も早速弁護士に話を聞いてもらいます!
2013年弁護士登録後、都内の法律事務所に所属。
企業法務をはじめ、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件、債務整理関連の案件などを多数手がける。
2022年よりスタートアップ法務を専門に手がけるFAST法律事務所の代表弁護士に就任。