資格や仕事が制限されて、制限されてしまった仕事ができなくなるって聞いたんだけど…。
復権っていうのは、かんたんにいえば自己破産前の状態に戻る手続きのことだよ!
今回は、復権という制度について解説するよ。
今回は、復権の意味や手続き、そして復権するまでの期間についても解説します!
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破産者から解放される?復権とは?
あとで詳しく説明するけど、この「破産者」になってしまうと、法律上一定の制限を受けることになる。
でも、自己破産しても一定の条件をクリアできれば、その破産者じゃなくなるよ。その破産者じゃなくなることを「復権」というんだ。
破産中の制限が解除される|復権の意味とは
たとえば、引っ越しすることができなくなったり、郵便物がすべて自己破産手続き中の財産を管理する破産管財人という弁護士に転送されたり、仕事・資格の制限などがあるよ。
このうち、引っ越しの制限と郵便物の転送が制限されることについては、破産手続きが終われば、なにも手続きしないで解除されるんだ。
そこで、その仕事と資格の制限を解除するための制度として、「復権」という制度があるんだ。
つまり復権とは、破産手続きで制限された権利を解除する制度ってことだよ!
復権の種類
①当然復権 | なにも手続きすることなく復権できる場合 |
②申し立てによる復権 | 裁判所で手続きしないと復権できない |
当然復権
- 免責許可決定の確定
- 破産手続き同意廃止決定の確定
- 再生計画認可決定の確定
- 破産手続き開始決定後、詐欺破産罪の有罪確定判決を受けることなく10年が経過した場合
(復権)
第二百五十五条 破産者は、次に掲げる事由のいずれかに該当する場合には、復権する。次条第一項の復権の決定が確定したときも、同様とする。
一 免責許可の決定が確定したとき。
二 第二百十八条第一項の規定による破産手続廃止の決定が確定したとき。
三 再生計画認可の決定が確定したとき。
四 破産者が、破産手続開始の決定後、第二百六十五条の罪について有罪の確定判決を受けることなく十年を経過したとき。
【引用:e-Gov法令検索 – 破産法】
当然復権は、一定の条件をクリアすれば、特別な手続きをしなくても”当然”に復権できるんだ。
たとえば、あとで詳しく説明するけど以下のケースだと当然復権ができるよ。
- 自己破産が認められたとき
- 債権者全員の同意で借金の返済義務が免除されたとき
- 個人再生が認められたとき
- 詐欺破産罪で有罪になることなく、10年が経過したとき
申し立てによる復権
申し立てによる復権は、当然復権ができない場合に、破産者の復権の申し立てによって復権するものだよ。
でも、自己破産すれば、借金の返済義務が免責されるのに、債務の全額を返済ってどういうことだろう?
(復権の決定)
第二百五十六条 破産者が弁済その他の方法により破産債権者に対する債務の全部についてその責任を免れたときは、破産裁判所は、破産者の申立てにより、復権の決定をしなければならない。
【引用:e-Gov法令検索 – 破産法】
自己破産が認められたときには、当然復権で資格や仕事の制限が解除されるけど、自己破産が認められなかったときにはいつまでも資格や職業を制限されたままになってしまう。
そこで、現実的ではないけど自分で借金を完済した人には、もう自己破産する必要も資格や職業を制限する必要もないから復権することができるようになっている。
あとでくわしく説明するけど、ほかにも時効で借金の返済義務がなくなったときや債権者と直接交渉で借金を免除してもらったときにもこの申立てによる復権ができるよ。
復権の効果
法律では、復権の効果を「人の資格に関する法令の定めるところによる」と書かれている。(破産法255条2項)。
つまり、いろいろな法律で個別に破産手続きをした場合の制限が書かれているよ。
たとえば、弁護士法、警備業法、貸金業法、保険業法、民法といったたくさんの法律の中にあるんだ。
(復権)
第二百五十五条
2 前項の規定による復権の効果は、人の資格に関する法令の定めるところによる。
【引用:e-Gov法令検索|破産法】
主にお金に関係する仕事や公務員などの公的な立場に関係する仕事について制限される。
自分の仕事や資格に制限があるのか知りたい場合には、以下の記事で制限される仕事や資格について紹介しているからチェックしてみよう!
- 士業(弁護士・司法書士・税理士・公認会計士 など)
- 金融関係(貸金業者・生命保険の営業 など)
- 公職関係(公務員・公証人・国家公安委員会の委員 など)
- 会社の取締役・役員
- その他の資格(貸金業者の登録者・旅行業務取扱の登録者、管理者 など)
復権する2つの方法とその期間
自動的に復権する|当然復権の方法
- 免責許可の決定
- 破産手続き同意廃止決定
- 再生計画認可決定の確定
- 破産手続き開始決定後、詐欺破産罪の有罪確定判決を受けることなく10年が経過した場合
免責許可の決定
つまり、自己破産が裁判所で正式に認められて、借金の返済義務が免除された場合だね。
借金の返済義務がなくなるとともに当然復権として法律上破産者という立場じゃなくなるよ。
たとえば、警備員、建設業、宅地建物取引主任者(宅建)、生命保険の営業などが制限されてしまう。
復権という手続きで破産者の立場を解除することが必要なんだ。
だから、法律で決まっている免責が認められない条件である「免責不許可事由(めんせきふきょかじゆう)」があるかどうかが重要になってくるよ。
たとえば、財産隠しやギャンブル、浪費などが免責不許可事由にあたるよ。
- 貸主に損をさせる目的で、自分の財産を隠す・処分する・壊す
- 破産するのが目に見えているのに、破産するのを遅らせるために不適切な借り入れなどを行った
- 特定の貸主者だけを優遇するような行動をとった
- 浪費やギャンブルなどで借金を作った
- 破産申し立て日の直前1年で借り入れをした
- 支払能力がないのにクレジットカードを使って買い物をした
- 自身の財産や借金に関する書類に隠ぺいや偽造があった
- 裁判所関係者の職務を妨害した
- 直近7年ですでに自己破産をしていた
だから、免責不許可事由があるからといってあきらめず、弁護士に相談してみよう!
破産手続き同意廃止決定
つまり、借入業者など債権者の全員から破産手続きの廃止の同意をもらうことができれば、その時点で破産者じゃなくなるよ。
債権者が自己破産による配当をもらわなくていいと同意しているのだから、債権者の利益を害さないとして認められている制度だよ。
(破産債権者の同意による破産手続廃止の決定)
第二百十八条 裁判所は、次の各号に掲げる要件のいずれかに該当する破産者の申立てがあったときは、破産手続廃止の決定をしなければならない。
一 破産手続を廃止することについて、債権届出期間内に届出をした破産債権者の全員の同意を得ているとき。
【引用:e-Gov法令検索|破産法】
廃止とは、債権者に財産を配当しない場合をいいます。たとえば、破産者に所有する財産がなく、債権者に財産を配当できない場合になされる手続きです。
廃止がなされると、配当する財産がないため、財産の清算をすることなく破産手続きが終了します。この廃止は、自己破産の申請がなくなるのではなく、破産手続きの中の財産の配当の手続きがなくなることを意味します。
そのため、廃止されたら自己破産が認められないのではなく、むしろ自己破産が認められることが多いです。
この財産をお金に変えること・債権者にお金を配ること(配当)が自己破産の手続きの中でとても重要なものなんだ。
この重要な配当という手続きをお金を貸した側がしなくていい、といっているなら資格や仕事の制限もする必要ないよね?ってことで当然復権のひとつにされている。
だから、この方法で当然復権するってことは考えにくいね。
再生計画認可決定
自己破産が認められなかった場合は、大幅な借金の減額を期待できる個人再生ということになる。
それに「やっぱり財産を没収されちゃうのがイヤだ!」ってなったときに個人再生の手続きに切り替えることもあるからこんな条件も法律が用意しているんだ。
再生計画が裁判所に認められれば、その時点で当然復権し、破産者じゃなくなるよ。
個人再生では、この再生計画をどれだけしっかり作れるかで、裁判所に借金の減額を認めてもらえるかが決まるとても重要な書類なんだ。
詐欺破産罪の有罪確定判決を受けることなく10年が経過
詐欺破産罪(破産法265条1項)とは、法律に定められている一定の行為を行ったときに捕まってしまう刑事罰のことをいうよ。
- 財産隠し
- 財産の破壊
- 財産の無償譲渡
- 相場より明らかに安い価格での売買
(詐欺破産罪)
第二百六十五条 破産手続開始の前後を問わず、債権者を害する目的で、次の各号のいずれかに該当する行為をした者は、債務者(相続財産の破産にあっては相続財産、信託財産の破産にあっては信託財産。次項において同じ。)について破産手続開始の決定が確定したときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。情を知って、第四号に掲げる行為の相手方となった者も、破産手続開始の決定が確定したときは、同様とする。
一 債務者の財産(相続財産の破産にあっては相続財産に属する財産、信託財産の破産にあっては信託財産に属する財産。以下この条において同じ。)を隠匿し、又は損壊する行為
二 債務者の財産の譲渡又は債務の負担を仮装する行為
三 債務者の財産の現状を改変して、その価格を減損する行為
四 債務者の財産を債権者の不利益に処分し、又は債権者に不利益な債務を債務者が負担する行為
【引用:e-Gov法令検索 – 破産法】
だから、債権者を害するような悪質な行為を防止するために、刑事罰として詐欺破産罪があるんだよ。
債権者に対する公平な分配をし、計画的に破産して得しようとする人がでないようにしているんだ。
だから、ちょっと長いけど10年経てば、今まで通りの生活ができるようにしてあげる制度になっているんだね。
手続きが必要|申し立てによる復権の方法
法律上、「破産債権者に対する債務の全部についてその責任を免れたとき」という条件になっている(破産法256条1項)。
たとえば、自己破産が認められず、借金が残ってしまった場合でも完済して、裁判所に申し立てれば、復権することができるんだ。
- 借金を完済する
- 債権者と交渉をして返済義務をなくしてもらう
- 借金の時効が過ぎ、援用で時効の効果を得て、借金が消滅した
この①の債務の全部についてその責任を免れることは、なにも完済するだけじゃなく、もう返済しなくてもいいよって債権者に免除してもらうことも考えられるよ。
あるいは、時効を迎えて借金自体が消滅すれば、借金がなくなったといえる。
それに任意整理をして、借金を減らしてもらって減額後の金額を完済した場合にも債務の全部がなくなることもあるからその場合にも申し立てによる復権ができる。
自己破産してから復権するまでの期間は3~6ヶ月
でも、裁判所で免責不許可決定になってしまい、債権者の同意による破産手続き廃止もできなかった場合には、10年かかってしまうケースもある。
この10年もかかるケースはとても珍しいから、基本的に半年たてば復権できると思って大丈夫だよ。
復権しても信用情報に傷が残る
でも、自己破産すると最低でも5年、長いと7年間、破産したという記録が残ってしまうため、お金を借りたり、クレジットカードを作ったりすることができなくなってしまうんだ。
つまり、貸しても返ってくる信頼がないと判断されてしまうからお金を借りられなくなったり、クレジットカードを作ったりできなくなるんだ。
そのブラックリストって一生残ってしまうの?
どこから借金していたかによるけど早くて5年、長いと7年で事故情報が削除されるんだ。
復権したとしてもこの期間の間は、ブラックリストにのったままになってしまうからお金を借りたり、クレジットカードを作ったりすることができなくなるから注意してね!
情報機関 | 登録期間 | |
株式会社シー・アイ・シー(CIC) | クレジットカード会社が加盟する信用情報機関 | 5年 |
株式会社日本信用情報機構(JICC) | 消費者金融が加盟する信用情報機関 | 5年 |
全国銀行協会(全国銀行個人信用情報センター・KSC) | 銀行や信用金庫、信用保証協会などが加盟する信用情報機関 | 7年 |
まとめ
それじゃあ、今回のまとめをしておこうか!
- 復権とは、破産手続きで制限された権利を復活させるもの
- 復権には2つの種類がある
- 自動的に復権するもの(当然復権)
- 手続きしなければならないもの(申し立てによる復権)
- 復権は通常3~6ヶ月でできる
- 復権しても信用情報に傷が残るから注意
でも、復権ができない場合や自己破産が認められなかった場合には、個人再生やほかの手段を考える必要がある。
だから、自己破産が終わったあとのことも考えて、弁護士に相談してみようね!
企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。