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【新規上場企業分析】ヴィスのIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

ヴィスの概要

ヴィスの基本情報

はじめに株式会社ヴィスの基本情報を紹介します。 上場日は2020年3月25日、市場はマザーズ、想定時価総額は66.8億円、上場時の時価総額は61.5億円でした。

会社名 株式会社ヴィス
設立日 1998年4月13日
上場日 2020年3月25日(承認日:2020年2月19日)
市場 マザーズ
証券コード 5071
業種 建設業
決算期 3月
ホームページアドレス https://vis-produce.com/
発行済株株式総数 6,852,300 株(2020年2月19日現在)
上場時発行済株式総数 8,152,300 株 
※公募分を含む
公募株数 1,300,000 株
想定価格 820円
想定時価総額 66.8億円(※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
初値 754円
上場時時価総額 61.5億円(※上場時発行済株式総数×初値で計算)
時価総額 56.6億円(2020年8月31日時点)
資本金 25,000 千円(2020年2月19日現在)
1単元の株式数 100 株
監査人 有限責任 あずさ監査法人
主幹事証券会社 大和証券
引受幹事証券会社 みずほ証券
三菱UFJモルガン・スタンレー証券
SBI証券
エース証券
SMBC日興証券
マネックス証券
岩井コスモ証券

ヴィスの沿革

株式会社ヴィスは、1998年4月大阪府において「有限会社ヴィス」として創業しました。
その後、1999年1月に「株式会社ヴィス」に商号を変更しました。
ヴィスは、創業時からデザイン業務・オフィスデザイン業務を軸とした業務を運営し、2020年3月に東証マザーズへ上場しています。

1999年1月 大阪市西区に商業施設を中心とするデザイン業務を主たる事業目的とした、株式会社ヴィス(資本金10,000千円)を設立。
2004年1月 主たる事業目的をデザイナーズオフィス業務に変更。
2004年9月 東京都港区に東京オフィスを新設。
2006年2月 事業拡大のため、同区内で東京オフィスを移転。
2007年2月 事業拡大のため、同区内で東京オフィスを移転。
2007年12月 事業拡大のため、大阪市西区内で本社を移転。
2008年2月 二級建築士事務所として登録。(本社)
一級建築士事務所として登録。(東京)
2008年3月 一般建設業許可を取得。
2008年4月 事業拡大のため、東京都港区内で東京オフィスを移転。
2008年8月 名古屋市中村区に名古屋オフィスを新設。
2011年6月 デザイナーズオフィスの累計受注件数1,000件達成。
2011年11月 資本金を22,000千円に増資。
2012年2月 事業拡大のため、東京都港区内で東京オフィスを移転
2012年3月 第一種貨物利用運送事業を登録。
2012年6月 資本金を25,000千円に増資。
2012年12月 事業拡大のため、名古屋市中区に名古屋オフィスを移転。
2013年12月 特定建設業許可(建築工事業)を取得。
2014年2月 事業拡大のため、大阪市北区に本社を移転。
2014年3月 デザイナーズオフィスの累計受注件数2,000件達成。
2015年6月 中国上海市にデザイナーズオフィス業務を事業目的とした、美図室内設計(上海)有限公司を設立。 (2018年6月29日付で清算結了)
2015年11月 一級建築士事務所として登録。(本社)
2016年2月 事業拡大のため、東京都港区内で東京オフィスを移転。
2016年3月 デザイナーズオフィスの累計受注件数3,000件達成。
2016年11月 特定建設業許可(内装仕上工事業)を取得。
2017年6月 デザイナーズオフィスの累計受注件数4,000件達成
2017年12月 大阪市中央区にVISビル事業用の不動産を取得。
2018年7月 事業拡大のため、名古屋市中村区に名古屋オフィスを移転。
2018年12月 デザイナーズオフィスの累計受注件数5,000件達成。
2020年3月 東証マザーズに上場

ヴィスの事業内容

ヴィスは、「はたらく人々を幸せに。」というフィロソフィーのもと、「デザイン」を切り口として、オフィスコンサルティングと企業のWebサイトやロゴの作成をトータルで行うデザイナーズオフィス事業を中軸として運営する企業です。
また、新規事業として新たな事業セグメントである、VISビル事業の立ち上げを行いました。この事業は、デザイナーズオフィス事業で培ったノウハウを利用した事業です。

以下は、ヴィスの事業セグメントと事業系統について表した図です。

  1. デザイナーズオフィス事業
  2. VISビル事業
ヴィスの事業系統図

① デザイナーズオフィス事業

デザイナーズオフィス事業は、オフィス空間のデザインの提供を柱として行い、それに並行して、企業ロゴや会社案内といった印刷物等のグラフィックデザイン、企業のコーポレートサイトやリクルーティングサイトといったWEBサイトのデザイン業務を提供する事業セグメントです。
ヴィスの特徴は、オフィスデザインだけでなく、「デザイン」を提供価値として、企業のブランディングやイメージ向上のため、印刷物やWebに関連したデザインも併せて提供している点です。

デザイナーズオフィス事業は、「オフィスデザイン」を中心に以下の3つのサービスに分類されます。

  • オフィスデザイン
    オフィスデザインは、デザイナーズオフィス事業の中で事業の中核として展開されているサービスです。
    顧客のオフィスの移転や改装に関する依頼を受け、オフィスのオフィス空間の設計デザインから施工までのコンサルティングを中心に展開しています。
    この事業では、仕事環境の課題を可視化するため、顧客企業の社員に対してヒアリング調査を行い、オフィス空間のデザインやレイアウトの提案、機能性・デザイン性を考慮したオフィス家具の選定、移転・改装に関わる計画・予算・スケジュールのマネジメントが行われます。
    このように、顧客の課題抽出から施工までを一気通貫で提供している点が、この事業の特
    徴となります。
  • グラフィックデザイン
    グラフィックデザインは、印刷物関連のグラフィックデザインをサービス提供する事業です。
    企業のロゴや、ユーザー向けのパンフレット、名刺などをヴィスの所属デザイナーが顧客企業向けに提供しており、顧客の企業価値を高めることを目的としたサービスとなっています。

  • WEBデザイン
    Webデザインは、企業のWebサイトWeb動画などをデザインし、企業のコーポレートサイトやリクルーティングサイトなどのデザイン価値を高めることを目的としたサービスです。
    このサービスもグラフィックデザインと同様にデザイナーズオフィス事業の付帯的なサービスとして位置付けられています。

② VISビル事業

VISビル事業は、ヴィスが展開する新しい事業セグメントであり、スタートアップ企業向けのレンタルオフィスや、テレワーカーやフリーランス向けのコワーキングスペースを提供する事業です。
2020年12月に大阪府に「VISビル」という形でビルを竣工させる予定です。
VISビル事業では、デザイナーズオフィス事業で培ったノウハウを応用し、共用の会議室やコワーキングスペースを設置することで流動性のある働き方ができる空間の提供を目指しています。

VISビル イメージ

有価証券報告書情報

経営指標(過去3期分)

第22期の業績は以下の通りです。

  • 売上高:93.0億円(前年比+7.2 %)
  • 経常利益:9.3億円(前年比+1.4%)
  • 当期純利益:6.1億円(前年比△2.4%)
第20期 第21期 第22期
決算年月 2018年3月 2019年3月 2020年3月 
売上高(百万円) 7,173 8,670 9,298
経常利益(百万円) 654 914 927
当期純利益(百万円) 451 626 610
純資産額(百万円) 1,435 1,970 3,436
総資産額(百万円) 3,435 4,247 5,234
自己資本比率 41.8% 46.4% 65.6%
営業キャッシュフロー(百万円) 674 876 281
投資キャッシュフロー(百万円) △1,030 △121 △275
財務キャッシュフロー(百万円) 487 △211 414
現金・現金同等物の期末残高(百万円) 1,606 2,149 2,569
従業員数 163人 174人 187人

 

経営指標(過去5期分)

5期の業績を見ると、売上が4年で約2倍増加をしています。
また、利益に関しても、経常利益、純利益とも概ね右肩上がりで推移しており、22期のみ利益が若干減少していますが、原因としてVIS事業において発生した損失が関連していることが考えられます。(下記セグメント別業績参照)

また、発行済株式総数の変異についての注釈は以下の通りです。

  • 2016年10月17日付で普通株式1株につき50株の割合で株式分割を実施。
  • 2019年8月29日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を実施。
第18期 第19期 第20期 第21期 第22期
決算年月 2017年3月 2018年3月 2018年3月 2019年3月 2020年3月 
売上高(百万円) 4,603 5,861 7,173 8,670 9,298
経常利益(百万円) 307 525 654 914 927
当期純利益(百万円) 212 359 451 626 610
資本金(百万円) 25 25 25 25 25
発行済株式総数 45,682 2,284,100 2,284,100 2,284,100 6,852,300
純資産額(百万円) 739 1,056 1,435 1,970 3,436
総資産額(百万円) 1,491 2,356 3,435 4,247 5,234
自己資本比率 49.5人 44.8人 41.8人 46.4人 65.6人
従業員数 106人 133人 163人 174人 187人

セグメント別業績

第22期のセグメント別経営成績は表の通りです。
売上を計上しているセグメントは、事実上デザイナーズオフィス事業のみとなります。
また、VIS事業は新事業のため、時期以降に売上が計上される予定です。

指標 全体 デザイナーズオフィス事業 VIS事業
売上高(百万円) 9,298 9,298 0
営業利益(百万円) 940 945 △ 4
経常利益(千円) 927
当期純利益(千円) 610

上場時の株主構成

上位10位までの株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
株式会社クレド 3,630,000 50.92 90日間
中村 勇人 2,900,400 40.68 90日間
大滝 仁実 160,950 2.26 90日間
金谷 智浩 160,950 2.26 90日間
ヴィス従業員持株会 120,000 1.68 90日間
矢原 裕一郎 4,500 0.06
浜本 亜実 4,500 0.06
宇都宮 則夫 4,500 0.06
小川 金郎 4,500 0.06
村岡 由隆 4,500 0.06

 

上場時(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

公募価格は820円、吸収金額(調達額)は18.4億円とされています。 また初値は、754円となりました。

仮条件 820円 ~ 900円
公募・売出価格 820円
想定価格 820円
初値 754円 (公募価格比△8.0%)
公募株数 1,300,000 株
売出株数 650,000 株
オーバーアロットメントによる売出し株数 292,500 株
吸収金額(調達額) 18.4億円(※オーバーアロットメントを含む株数×公募価格で計算)


この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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