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近年、誹謗中傷問題は若い世代や芸能界などを中心に深刻な社会問題化しつつあります。
国内では、芸能人がSNSなどのネットの誹謗中傷が原因で自殺してしまうなどの被害が散見されていますが、お隣の国、韓国では誹謗中傷による被害が日本以上に深刻であるとされています。
元人気アイドルグループKARAで歌手のク・ハラさんが誹謗中傷に苦しみ、自殺に追い込まれてしまった事件は、日本でも大きく報道され波紋を呼びました。
韓国では、ネット上の悪質コメントが芸能人たちを苦しめ、自殺に追い込むことから、インターネット上での誹謗中傷を「テックル・テロ」「悪プル怪物」と表現します。
また、キーボードを叩く指が事実上の殺人につながることから「ソンカラク(指)殺人」という表現が一般化しているほど韓国でのネット上の誹謗中傷は深刻な問題です。
今回は、誹謗中傷関連の問題として、国内で最も利用されているSNSであるLINEに焦点を絞り、LINEと誹謗中傷問題の関連性や、費用について徹底的に解説します。
なお、誹謗中傷に関する総合的な解説や対策方法については、以下の記事を参照してしてください。
目次
① LINEの概要
LINEは、日本国内において最も利用者数が多いSNSであり、老若男女非常に幅広い世代に渡って利用されています。
また、利用者数の多さとビジネスとの親和性の高さから、非常に多くの企業のマーケティング支援ツールとしての役割も担っている点が特徴です。
全世代で利用されている点が大きな特徴であり、総務省の調査によると60代までの全年代で約8割以上が利用しているメディアとなっており、SNSという枠組みを超えてインフラの一部となっています。
以下は、コムニコ社というマーケティング業務を運営する企業が発表している国内におけるLINE利用者の年齢別推移です。
ラインは国内におけるSNSの利用者ランキングでは、2位のTwitterを大きく離し、月間利用者数が約8,600万人のSNSとなっています。
また、台湾、タイ、インドネシアを中心とした海外でも利用されており、国外を含めた月間アクティブユーザー数は約1億6,700万人です。
以下は、2020年11月にコムニコ社が発表した国内SNSの月間アクティブユーザー数(月1回以上LINEを訪問した人数)です。
このようなデータから、日本におけるLINEの存在は、単なるSNSを超えてメール・電話・広告などの機能を併せ持つ生活インフラであるといえます。
② LINEの特徴
次に、LINEの特徴について解説していきます。
LINEは日本国内における浸透率が圧倒的であり、単なるメッセージングアプリの範囲を完全に超えつつあるアプリです。
(1) 国内利用者が圧倒的に多い
前述したデータからも読み取れる通り、LINEは日本国内において圧倒的な利用者数を誇るSNSであり、生活の一部であると共にインフラ化しています。
また、タイムラインなど、Twitterに似たような機能も兼ね備えていますが、多くのユーザーはメールや電話の代用として利用しているのが実態です。
このようにLINEは連絡ツール、コミュニケーションツールとしての特色が強いSNSであるため、TwitterやInstagramに比べると匿名性が低いSNSであるといえます。
(2) マーケティングツールとして利用されている
LINEには、公式アカウントの機能が備わっており、企業や有名人が宣伝告知やマーケティングツールとして利用しています。
LINE公式アカウントは、友だちに登録してくれたユーザーにスマートフォンのプッシュ通知でメッセージを送れることが最大の強みとなっており、友達登録をして個人や企業に興味を持ってくれているユーザーに確実にメッセージを届けることが可能です。
また、公式アカウントではMessaging APIという機能が備わっており、大量の情報の送信や顧客ユーザーへの案内(サービスの登録)などを自動で運用することが可能な仕様となっています。
(3) 多彩な機能
メールや通話機能の代用として多くの人々に利用されるラインですが、現在では、保険・決済・証券などをLINEが自社運営しており、お金の取引や金融機関としての役割を担うアプリに発展しています。
特に、バーコード決済が可能なLINE Payは、キャッシュレス決済の普及という時代の波にも乗り多くのユーザーを獲得しました。
また、LINE Payには、「送金」「出金」「割り勘」の機能も備わっており、アプリ上でポイントを利用した「割り勘」やATMの代替機能も備える次世代金融アプリとしての側面を持つWebアプリとなっています。
③ LINEによる誹謗中傷事件
多彩な機能備え多くの人々に利用されるLINEですが、LINEが誹謗中傷事件に繋がってしまう事例も多く発生しています。
LINEで発生する誹謗中傷事例の特徴はグループトーク機能による「集団いじめ」です。
特に、職場や学校の関係者との間のグループ内部で発生し、グループ内の特定の個人を攻撃する誹謗中傷事例がLINEでは顕著になっています。
以下は、LINEのグループトーク内でのトラブルが誹謗中傷に繋がった事例です。
(1)職場でのグループが誹謗中傷に発展
1つ目に紹介するのは、LINEのグループトークに投稿されたメッセージの内容が不法行為だとして損害賠償請求された事例です。
このグループは、同じ職場に勤務する夫婦と職場関係者の計5名で構成されており、夫が職場関係者から誹謗中傷の被害を受けたケースとなります。
具体的には、
- 「今年最大の変質者情報がございます!!それは〇〇さん(原告)です。」
- 「こいつはあり得ないほど馬鹿で汚いことを平気でできる人物なので皆さんお気を付けくださいませ!!」
- 「うちの主人はこいつの仕事を手伝ったのですが、汚いことを平気でやります!」
などの悪口がグループトーク上で展開されたため、被害者である夫が名誉毀損であるとして訴えを起こしました。
以下は、この事件での判決文の引用です。
罵詈雑言を並べ立てて侮辱するのみならず、原告が、職場の同僚である被告の夫を姑息な手段で陥れたとか、社歴が長いのに仕事ができずに後輩にも次々と抜かれているとか、被告に対してストーカー行為をしたといった根拠のない事実関係を列挙した上、原告が、現実に起きた猟奇的殺人事件の容疑者に似た異常な犯罪者のような顔や内面であると指摘するなどして執拗に貶め、原告の名誉感情を著しく害するものであるといえる。
東京地方裁判所2019年1月18日判決
最終的に、被告は慰謝料30万円、弁護士費用3万円、合計33万円の損害賠償の支払いを裁判所から命じられました。
以下はこの事件についての詳細が記された記事URLです。
名誉感情の侵害(侮辱罪)とは?LINEグループの事例等を解説
(2) LINE上でのいじめによって高校生が自殺
新潟県立新潟工業高校1年生だった佐々木孝之さん(仮名=享年16)は2016年11月21日早朝、自殺を図り、新潟市内のJR越後線内で電車にひかれて亡くなりました。
その3年後、孝之さんの両親はいじめの問題を把握しながら学校は放置し続けたとして県を提訴しています。
孝之さんの死の直前、遺書が残されており、遺書のなかでは2か月前からLINEを利用するなどのいじめを受けたことが書かれており、先生に相談したが、何の解決にもならなかったことなどが遺書に記されていました。
この事件にはグループラインが利用されており、孝之さんがいないグループライン上で孝之さんに「あだ名」をつけて拡散されたことが発端となり、それがエスカレートしたことで、思い詰めた孝之さんが自殺してしまったとされています。
LINEグループから始まった“いじめ”を苦に高校生が自殺「生き地獄のような毎日」
④ 誹謗中傷被害の対策と相談先
ここまでは、LINEによる誹謗中傷で裁判沙汰になった事例、被害者が思い詰めてしまって自殺してしまった2つの事例を紹介しましたが、ここからは実際にLINE上で被害に遭遇した場合はどのように対処すればよいかについて解説します。
(1) 個人での誹謗中傷対策
初めに、LINE上で誹謗中傷被害を受けてしまった場合の個人での対策について説明します。
個人で行う対策は主に以下の2つです。
1つ目は、SNSでのコミュニケーションそのものと距離を置くことです。
LINEの場合、具体的には通知をオフにしたり、グループから抜けることでが代表的な対策の事例となります。
また、ラインをチェックする頻度を少なくするのも手段のひとつかもしれません。
このような対策は被害の拡大防止や、精神的負担の軽減に有効であると考えられます。
2つ目は、加害者側に謝罪や誹謗中傷コメントの撤回を求めることです。
勇気が要るかもしれませんが、加害者の悪質コメントに「不快な思いをした」「心理的苦痛だ」と自分の気持ちを明確に伝えることが重要です。
この方法は、相手が遊び半分で誹謗中傷していた場合や冗談で悪口を言ってしまったケースなどには相手に「気づかせることができる」という点で有効な対処法であるといえます。
また、これら2つの方法は、特段お金を費やす手続きではないため、低コストで誹謗中傷に立ち向かうことができる点がメリットです。
(2) 弁護士による誹謗中傷対策
LINEから距離を置く、相手に謝罪を求めるなど、個人で誹謗中傷被害に対処することは不可能ではありませんが、場合によっては難しいケースも多くあります。
例えば、LINEの場合、面識のない人間が不特定多数参加するオープンチャットなどでの誹謗中傷、個人での対応が効力を発揮せず、被害がエスカレートした場合などが該当します。
このようなケースでは、インターネット関連の分野に強みを持つ弁護士に相談する方法がベストであるとされます。
匿名の加害者から誹謗中傷を受けた場合、被害が取り返しのつかないほどエスカレートしてしまった場合は、削除要請や手続き書類の作成など誹謗中傷に関わる一連の手続きが必要となります。
このような手続きを個人で行うことは不可能ではありませんが、煩雑かつ専門的な知識やノウハウが必要であるため、通常通りの生活を送りながら誹謗中傷被害の処理を進めることはかなりハードルの高い作業です。
また、弁護士に誹謗中傷被害の対策を代行してもらう場合、着手金・書類作成費用などのコストかかるデメリットがありますが、加害者に賠償金を慰謝料としてを支払わせ、コストの埋め合わせを図ることも可能です。
(3) その他の誹謗中傷対策の相談先
誹謗中傷の被害を受けた場合の対策として、最も一般的な手段は弁護士へ相談・依頼です。
他方で、状況や被害に応じて公的機関へ相談する方法、二次被害防止や長期的な未然防止策を検討する場合は、不評被害対策を行う専門会社へ依頼するケースもあります。
公的機関へ相談する
殺害予告や恐喝など誹謗中傷被害が明らかな場合は、警察へ相談しましょう。
このような場合は、言葉の暴力で精神的なダメージを受けているだけでなく、命が脅かされている可能性があり、迅速な対策が不可欠だからです。
誹謗中傷に明らかな被害や明確な事件性、誹謗中傷の証拠と被害の因果関係が不明瞭な場合、一般的に警察はあまり前向きに対応しません。
SNSでの誹謗中傷事件のように、インターネット上で起こる犯罪は、法律の整備がまだ未熟であったり、明確な証拠を押さえづらいからです。
一方、証拠と被害の因果関係が明らかな場合、各都道府県に設置されている警察庁のサイバー犯罪相談窓口に相談することが可能です。
誹謗中傷と実際に発生している被害が明らかな場合、下記URLからアクセスできる窓口へコンタクトをとってみましょう。
また、総務省もインターネット違法・有害情報の相談を受け付ける窓口を開設しています。
警察と同様、総務省は公的機関であるため、相談は無料で可能です。
誹謗中傷の被害を受けてしまい、自分ではどうすればよいかわからない場合、下記URLからアクセスできる窓口へ相談しアドバイスを求めることは有効な手段のひとつであるといえます。
風評被害対策専門会社へ相談する
法人が誹謗中傷の被害を被ってしまった場合、専門会社へ依頼するケースもあります。
なぜなら、法人の場合、誹謗中傷で広がってしまった悪評が売上に直接的に影響を与えることで死活問題につながる可能性があるからです。
また、法人が被害者である場合、単にサイトや投稿を削除したとしても、根本的な解決であるとはいえず、再発防止策を併せて講じる必要があります。
一方、専門会社による誹謗中傷対策に関するサービスは、コスト面を考えると高額である傾向があります。
さらに、専門会社はあくまで民間企業であるため、訴訟に関わる法的手続きは法的に禁止されており業務範囲外です。
また、「誹謗中傷対策」を語った詐欺のケースも可能性としてはありえるため、専門会社を利用する場合は、細心の注意を払う必要があります。
⑤ まとめ
この記事では、LINEによる誹謗中傷の特徴や実例、万が一誹謗中傷被害を被ってしまった場合の具体的な相談先についての解説を行いました。
この記事では主要な相談先として、「弁護士」「公的機関」「専門会社」の3つを列挙しましたがそれぞれメリットやデメリットがあるため、被害状況や予算に応じて適宜相談先を使い分ける必要があります。
スタートアップドライブでは、誹謗中傷被害を受け、弁護士への相談を検討している方に向けて、弁護士へ依頼する場合のフローや予算などの情報を詳しくまとめた記事を公開しています。
また、当メディアでは、誹謗中傷に関して総合的に詳細を網羅した記事を公開しています。
誹謗中傷被害についてのより詳しい詳細を知りたい方は、下記の記事も是非併せてご覧ください。
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