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【弁護士が徹底比較!】判例検索サービスのおすすめランキング

「事務所を開設するから、判例データベースを導入したい」
「すでに利用しているけど、料金などに不満がある」

このようにお悩みの方はいませんか?

現在、様々な判例検索サービスが乱立しており、それぞれ料金体系や強みが異なることもあって、どれを選んだら良いか迷ってしまいますよね。

そこで今回は、主流な判例検索サービスを網羅的に紹介し、おすすめのポイントなどについても紹介しました。

この記事を読めば、事務所や自分に合ったサービスを見つけることができますよ!

1.判例検索サービスとは?

判例検索サービスとは、過去の裁判例情報を検索し、その判決文などをオンラインで表示できるデータベースのことをいいます。

もっとも、「判例」検索サービスとはいっても、裁判所による「裁判例情報」を除いて、民間有償サービスでは法律雑誌や書籍データベースも併設されていることがほとんどです。

そして、どのようなデータベースを構築しているかは各社様々であるため、事務所や自分の職務範囲に合ったサービスを見つけることが大切です。

現在、主に利用されている判例検索サービスは、無償提供されている「裁判例情報」、及び有償提供されている「LEX/DCインターネット(TKC)」、「D-1LAW(第一法規)」、「判例秘書(LIC)」、「Westlaw(ウェストロージャパン)」の5種類です。

これらのサービスが互いに競合しており、まさに判例データベース戦国時代ともいえる様相を呈しています。

2.各種サービスを徹底比較!

以下からは、無償・有償問わず、国内で利用されている主な判例検索サービスの概要を紹介していきます。

なお、本記事は特定の判例情報サービス及びその提供会社から委託を受けて書かれたものではなく、紹介は順不同です。

料金その他の情報は、本稿執筆時点(令和2年9月25日)のものであり、具体的な料金やサービス内容、割引などの詳細については、各提供会社へお問い合わせください。

(1)裁判例情報

法律問題について調べたことのある方は一度は利用されたことがあるかと思いますが、裁判所が「裁判例情報」を公開しています。

裁判所が提供しているものなので、無償で利用できることに大きなメリットがあります。

ただし、「裁判例情報」は、判例解説や判例評釈との紐付けがなされていないため、より深くその判例について調べたい場合には向いていません。

また、掲載裁判例数も有償検索サービスに比べると劣るため、実務上のニーズに耐えるものであるかは疑問が残ります。

したがって、弁護士など、日常的に法律業務を行う場合には、のちほど紹介するような民間企業が提供する有償検索サービスを利用する方がおすすめです。

大抵の大学は有償検索サービスと提携しているため、学生ID等があれば無料で使えることがほとんどであり、大学生や大学院生でも「裁判例情報」を利用する機会はあまりないかもしれません。

もっとも、日常的に法律問題に関わるわけではないが、特定の判例について調べたい!という方にはおすすめできるサービスです。

(2)LEX/DCインターネット(TKCローライブラリー)

TKCローライブラリーは、会計事務所や税理士事務所等に情報サービスを提供している株式会社TKC(テイケイシイ)が提供する判例検索サービスです。

法律事務所のほか、主に大学や大学院でもよく用いられているため、主に法学部やロースクール出身の方には馴染み深いかもしれません。

収録対象誌は公的・私的含め140誌とされており、幅広い判例等が収録されています。

基本料金は月額9900円からとなっており、ジュリストや法律時報へのアクセス権を含めた「法律コンテンツ連携パックA」は月額2万9700円からとなっています(いずれも1IDでのアクセス権)。

その他にも、『最高裁判所判例解説Web(いわゆる調査官解説)』へのアクセス権が月々3300円など、各種文献を参照できるオプションを細かく設定することができます。

料金表はこちらからご覧いただけます。

(3)D1-LAW(第一法規)

D1-LAWは、法律専門出版社として著名な第一法規出版社によって提供されている判例検索サービスです。

憲法から告示まで31000件以上、22万件以上の裁判例、645000件以上の文献情報等が登載されており、情報量で他社サービスを圧倒しています。

こちらも大学や大学院でよく提携されているサービスであり、ご利用になられたことがある方も多いかもしれません。

判例体系検索(全法編)は年額32万4000円からとなっており、法律判例文献情報などへのアクセス権を含めたセット(年額62万6400円)などもあります。

料金表はこちらからご覧いただけます。

(4)判例秘書(LIC)

判例秘書は、法律雑誌や文献などの電子事業を営む株式会社LICによって運営される判例検索サービスです。

運営会社のもつ強みから、雑誌等の電子復刻版のコンテンツがとても充実しており、PC一台で膨大な情報にアクセスできることが魅力です。

また、日本で唯一、実務家必読四誌と呼ばれる『判例タイムス』、『金融法務事情』、『労働判例』、『金融・商事判例』の創刊号から最新号までを網羅しており、これらの法務に携わる人にとっては必須のサービスとなっています。

5万名以上のユーザーが利用するなど、法曹界におけるシェアは圧倒的であり、実務上よく使われるサービスであるといえます。

残念ながら判例秘書は利用料金を公開していませんが、各種サービスの中を比べると定額な料金体系であるといわれています。

なお、過去に最高裁は判例秘書(ソフト版)を購入しており、運営会社のLICと最高裁判所図書館が提携関係にあることから、「裁判官が参照するのは判例秘書」との噂もあります。

(5)Westlaw(ウェストロージャパン)

Westlaw(ウェストロー)は、アメリカ合衆国の法曹や法務担当向けの法律調査サービスとして開発されたものであり、現在では日本語版を含む世界68ヵ国に対応しています。

近年、導入するロースクールが増加していることもあり、若手法曹や法律事務所でのユーザーシェアを伸ばしている印象があります。

のちほど紹介するLexisNexisと並んで欧米二大判例検索サービスと呼ばれています。

もっとも安価なベーシックパッケージで月額1万1600円から提供されており、その他有料オプションやID数に応じた割引などの柔軟な料金体系となっています。

また、運営会社がトムソン・ロイターであることから、関連するニュースやセミナーなどの情報をいち早くキャッチすることができる点も魅力です。

料金表はこちらからご覧いただけます。

なお、Westlawと並んで欧米二大判例検索サービスと呼ばれるLexisNexis(レクシスネクシス)も近年シェアを伸ばしています。

3.どのサービスを選べば良いのか?

ここまでは、現在主流の判例検索サービス5つと、それぞれの特徴について紹介してきました。

ご覧になっていただいたように、各種サービスは料金体系やデータベースの内容が様々であり、どのサービスを選んだら良いのか迷ってしまうかもしれません。

そこで以下からは、サービスを選ぶ際の基準となる項目を紹介していきます。

(1)利用料金で選ぶ

まず基準とすべきなのは、各種サービスの利用料金です。

この記事では最安料金を紹介してきましたが、実際には複数IDでのアクセス権が必要となる場合が多いでしょうし、また、各種文献データベースへのアクセス権をオプションとして付ける必要があるかと思います。

そうすると、中小規模の事務所では月額4~15万円程度、大規模な事務所では月額30万円以上が固定費として計上されることとなり、決して安い金額ではなくなってしまいます。

もっとも、この記事では複数IDアクセスによる割引や、オプション割引、長期間契約による割引などは考慮していないため、気になるサービスがあれば一度見積もりを出すことをお勧めします。

正直なところ、この記事でお伝えしている「最安価格」では実務の利用に耐えられないと思いますので、ご利用になられるサービス内容を踏まえで提供会社に相談することをおすすめします。

(2)文献等データベースで選ぶ

各種サービスがどのような文献等のデータベースを提供しているのかも、判断基準として大きいものになります。

例えば、金融に関する法律問題を多く取り扱うのであれば『金融・商事判例』へのアクセスが可能な「判例秘書」を選択するなどです。

上述したように、オプションを追加すると月額料金がそれなりに嵩むことから、事務所や自分の業務に最大限活用できるデータベースを構築しているサービスを選ぶことが大切です。

(3)ユーザビリティで選ぶ

意外と見落としがちなのが、各種サービスのユーザーインターフェースなどの使い勝手です。

何か調べ物をする際にどこから情報にアクセスすれば良いのか分からなかったり、横断検索に対応していなかったり、またはサイト構築自体が自分の趣味に合わなかったりすると、不必要なストレスを抱えてしまうことになります。

また、現在では各種サービスがほぼ全てのPC・スマートフォンOSやブラウザに対応していますが、事務所や自分が使用する環境との相性も確かめなければなりません。

特に、日頃タブレット端末を多用する場合には、サービスによっては上手く表示されないこともあるため、十分に注意する必要があります。

(4)まずはトライアル!

今回紹介した各種サービスは、1週間から10日間程度無料でサービスを利用することができる無料トライアル期間を設けています。

どのようなサービスが向いているのかは実際に使用してみないと確かめることが困難かと思いますので、ぜひ最初はトライアルと活用するようにしましょう。

4.弁護士が選ぶおすすめは?

ここまで紹介してきたように、現在はさまざまな判例検索サービスがあり、それぞれのもつ強みも異なります。

そのため、一概に「このサービスが良い!」とおすすめすることは難しいのですが、ここでは現役弁護士が選ぶおすすめのサービスをランキング形式で紹介します。

なお、いずれも個人の感想であることをご承知おきください。

3位:Westlaw

第3位は、Westlawです。

判例等の検索能力はさることながら、法改正情報や関連ニュース、それらに伴うセミナー情報などの提供能力が魅力です。

また、近年はWestlawを導入しているためロースクールも多いため、特に若手法曹にとっては慣れ親しんだシステムをそのまま実務に導入できる点もおすすめできる点です。

運営元が外資系企業であるため米国法など外国法に関する判例検索も行える点で、グローバルに活動している実務家には必須のサービスといえるでしょう。

2位:LEX/DC

第2位は、LEX/DCです。

こちらは、判例検索はもちろんのこと、各種文献へのアクセスの良さが魅力です。

実務では判例の蓄積の少ない問題についても取り組まなければならないことが多々あるため、関連する論文や雑誌をリサーチしなければならないことも少なくありません。

また、さまざまな組合せのオプションがあらかじめ複数準備されているため、自分のニーズに合った商品を選択できる点もメリットといえるでしょう。

1位:判例秘書

第1位は、判例秘書です。

やはり実務家シェアが大きいという点と、他のサービスとは提携していない雑誌や評釈を提供している点が魅力です。

個人的には、コロナ禍によるリモートワークの増加に伴い、文献をPDF形式にてオンラインで閲覧できるという点に大きなメリットを感じました。

ただし、ユーザーインターフェースの面で、判例秘書は「一昔前のサービス」といった感が拭えず、使用感に若干のストレスが残る点は改善を望みたいところです。

5.まとめ

最後に、主流な判例検索サービスの最安基本料金と、各種サービスの強みをまとめた一覧表がこちらです。

名前 最低利用料金 特徴
裁判例情報 無料 裁判所による公的情報
LEX/DC 月額9900円から 調査官解説あり(オプション)
D-1LAW 月額2万7000円から 文献情報等の情報量が圧倒的
判例秘書 月額5000円程度(?)から 業界最大シェア
Westlaw 月額1万1600円から 関連ニュースやセミナー情報も充実

いずれのサービスも魅力的で、それぞれの強みも異なります。

そのため、まずは一度各サービスのトライアルを用いて実際に使用感を試してみることをお勧めします。

これらのサービスの中から、事務所や自分に合ったものを探して、より効率的な業務を行えるようにしましょう!

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この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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