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ネットで誹謗中傷や名誉棄損をされた!対応策や犯人を特定する方法は?

2020/05更新

自粛生活でSNSやインターネットを閲覧する時間が増えている状況において、波紋を呼ぶ事件がおきました。

「誹謗中傷」がネット沸騰 芸能人たちが多数反応

https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202005230000788.html

面白半分で投稿している人もいればそれを間に受けてしまう人もいる、SNSやインターネット上のコミュニケーションだと相手の顔が見えないからこそ言いたいことが言えてしまいます。いい面もあれば悪い面もあるのは明らかです。

「何をすればいいのか」がわかるだけでも次の行動へのステップになると思いますので、ぜひ本記事を読んでみてください。

Twitterで誹謗中傷された!」
「ネットの掲示板にプライバシーが暴露されている」

このようにお困りの方はいらっしゃいませんか?

Twitterやネット掲示板は匿名性が高い一方、伝播性が非常に高いため、一度誹謗中傷的な書き込みがなされると一方的な被害を受けてしまいます。

ところが、運営会社やプロパイダ―に削除の依頼や書き込みをした人に関する情報の開示請求をしようとしても、書き込んだ側の個人情報を保護するために、簡単に情報を教えてくれるわけではありません。

しかし実は、ネットでの誹謗中傷も犯罪行為であるため、適切な手続きを踏めば情報の開示と責任の追及をすることができます。

そこで今回は、Twitterなどで名誉棄損をされた場合に相手方に対して責任追及をする手続きについて簡単に紹介します。

この記事を読めば、書き込んだ人を特定し、投稿の削除や責任追及をするための流れが分かるようになります!

1.どのような投稿が名誉棄損的表現なのか?

個人や法人の名誉を毀損するような事実を公然と適示した場合、名誉棄損が成立する可能性があります。

例えば、「AはBと不倫している」といった個人を対象とした表現や、「C社は多額の脱税をしている」といった表現がこれにあたります。

名誉棄損における「事実」は、必ずしも真実である必要はなく、名誉を侵害する表現である以上は噂や風評であってもかまいません。

近年特に問題となっているのが、なりすまし行為による名誉棄損です。

Twitterではメールアドレスさえあればアカウントを作成することができるため、あたかも本人が操作しているかのように装ったアカウントを作成することも容易です。

なりすましによる名誉棄損の場合、投稿した内容自体はもちろんのこと、「なりすまし行為」自体にも名誉棄損が成立する可能性があります。

インターネット上での書き込みが問題となるケースは、こうした刑事上の罪が成立する場合に限りません。

例えば、住所や電話番号などの個人情報がインターネット上に書き込まれた場合、プライバシーが侵害されたとして民事上の責任を追及することも可能です。

また、「捨て垢」と呼ばれる匿名性が高いアカウントを多数作って誹謗中傷をする行為も問題になります。

(1)名誉棄損表現であっても違法性がない場合もある

ただの悪口や嫌がらせ目的の言動は名誉毀損になるのが原則です。

もっとも、受け取り側が名誉毀損だと思っても全てが法的にも名誉毀損として違法となるわけではありません。

名誉棄損表現であっても、例外的に、違法性がないと判断される場合があります。

刑法230条の2第1項は、次のように規定しています。

刑法230条の2第1項

本文(名誉棄損の)行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。

同条は個人の名誉と正当な言論の保証との調和を図るために創設された規定です。

なお、内容が真実ではなかったとしても、投稿者がその事実を真実であると誤信し、その誤信したことについて確実な資料・根拠に照らし相当の理由がある場合にも犯罪が成立しないとされています。

(2)リツイートであっても名誉棄損になる可能性もある

Twitterで自らのアカウントで名誉棄損表現をした場合はもちろんのこと、他人のツイートをリツイートした場合であっても、名誉棄損について法律上の責任を負う場合があります。

リツイートによる名誉棄損に対する損害賠償請求の可否が争われた事件において、大阪地裁(令和元年9月12日判決)は以下のように判示しています。

大阪地裁令和元年9月12日判決

他者の元ツイートの内容を批判する目的や元ツイートを他に紹介(拡散)して議論を喚起する目的で当該元ツイートを引用する場合、何らのコメントも付加しないで元ツイートをそのまま引用することは考え難く、投稿者の立場が元ツイートの投稿者とは異なることなどを明らかにするべく、当該元ツイートに対する批判的ないし中立的なコメントを付すことが通常であると考えられる。
したがって、…前後のツイートの内容から投稿者が当該リツイートをした意図が読み取れる場合など、一般の閲読者をして投稿者が当該リツイートをした意図が理解できるような特段の事情が認められない限り、リツイートの投稿者が、自身のフォロワーに対し、当該元ツイートの内容に賛同する意思を示して行う行う表現行為と解するのが相当である。

ただし、この判決に対しては「Twitterの実態に即していない」などの批判も多く、今後の訴訟展開次第では裁判所による判断が覆る可能性もあります。

2.発信者情報開示請求の流れ

民事上の責任追及として慰謝料を請求する場合、通常はまず内容証明郵便を相手方に送付しますが、相手方の氏名や住所が分からなければ送付の仕様がありません。

そのため、民事上の責任追及をする場合には、まずは発信者(投稿者)の氏名や住所などを特定する必要があります。

ここが対策として一番重要です。

twitterなど氏名を明記していないSNSの場合、この特定が難しいのです。

そこで、まずはじめにサイトの運営者等に対し、任意に発信者情報の開示に応じるようメール等で問い合わせを行います。

ところが、発信者が明らかに不法行為の加害者であったとしても、表現の自由やプライバシー権による保護の対象となるため、運営会社等に開示請求をしても直ちに応じてくれるわけではありません。

任意に情報の開示が行われなかった場合には、以下に述べる法的な手続きへと移行します。

(1)発信者情報開示の仮処分を申請

被害者は、サイトの運営者等に対し、発信者情報開示を行う仮処分命令を裁判所に申立てることができます(民事保全法232項)。

仮処分の申立てをする際には、裁判所が判断を行うための資料となる証拠(疎明資料)を提出しなければなりません(同13条)。

そのため、この段階までに、名誉棄損等の表現がなされた書き込みをプリントアウトしたものなどの証拠を収集しておく必要があります。

また、発信者情報の開示請求が認められるためには、以下の2つの要件を充たす必要があります。

・被保全権利があること
・保全の必要性があること

発信者情報の開示について定めたプロパイダ責任制限法4条1項は、「開示請求者の権利が侵害されたことが明らかなとき」に限り、開示請求ができるとしています。

そのため、開示請求を行う際には名誉権やプライバシー権、営業権などが侵害されていることを裁判所に疎明する必要があります。

また、投稿された内容が一般人の感覚からして明らかに名誉権などを侵害しており、このまま放置するべきではないという「保全の必要性」も、請求者側が疎明しなければなりません。

これらの疎明資料をもとに仮処分命令が下されると、サイト管理者等から発信者のIPアドレスやタイムスタンプなどの情報が開示されます。

(2)発信者情報消去禁止の仮処分を申請

上の手続きによって発信者のプロパイダが明らかになると、次はプロパイダに対して投稿者の情報を削除しないように「発信者情報消去禁止」の仮処分を行います。

これは、プロパイダは投稿情報を定期的に削除するため、発信者の情報まで削除されないようにするための申立てです。

こちらも先ほどと同様、裁判所に対する仮処分の申立てのため、被保全権利の存在と保全の必要性を疎明する必要があります。

(3)発信者情報開示の訴訟を提起

発信者の使用したプロパイダ等が明らかになり、プロパイダ等に対する情報消去禁止の仮処分まで認められたら、最後にプロパイダ等に対する発信者情報開示請求を行います。

この場合に用いられる手段はここまで用いてきた「仮処分の申立て」ではなく、通常の民事訴訟手続きとなります。

3.民事責任と刑事責任の違いは?

インターネット上で名誉棄損や誹謗中傷的な表現がなされた場合、法的には民事上の責任と刑事上の責任のいずれも追及できる可能性があります。

これら両者の関係について誤解されている方も多いので、以下からはそれぞれの内容について説明します。

なお、これら両者の関係は完全に独立しているため、両方または一方のみを追求することも可能です。

(1)民事責任

ネット上に名誉棄損等の表現がなされた場合、民法上の不法行為(民法709条)が成立する可能性があります。

民法上の不法行為制度とは、他人の行為によって権利を侵害された者(被害者)が、その他人または他人とかかわりのある人(事業主など)に対して、侵害からの救済を求めることができる制度のことです。

名誉棄損等の表現がなされた場合、救済の手段としては、主に➀慰謝料請求、➁投稿の削除、➂謝罪広告の掲載、の三種類が考えられます。

(2)刑事責任

ネット上での名誉棄損的表現をした加害者に対しては、名誉棄損罪(刑法2301項)または侮辱罪(同231条)などが成立する場合があります。

したがって、書き込みの内容がこれらの罪に該当する場合、逮捕・起訴といった刑事手続きを経て、罰金や懲役といった刑事罰が科される可能性もあります。

刑事責任を追及したい場合には、警察署で被害届・告訴状を提出します。

この際、証拠や民事責任を追及していることを証明する証拠(判決書など)をともに持参すると、警察による捜査がよりスムーズに行われる傾向があります。

4.情報開示をする際の注意点2つ

ここまでは、インターネット上で名誉棄損等の表現をされた場合の情報開示の方法や、民事・刑事上の責任追及の方法について紹介してきました。

以下からは、これらの手続きを行う上での注意点を2つ紹介します。

法的な手段を用いる場合には、これらの点に注意して行うようにしましょう。

(1)証拠の保全をする

名誉棄損等の表現をされた場合、まず何よりも証拠の保全を行うようにしましょう。

インターネット上の情報はすぐに削除されてしまうおそれがあるため、書き込み等を見つけた場合には直ちに保全を行うようにしましょう。

民事上の手続きにおいて、裁判所を通じた手段を用いる場合には自ら証拠を提出する必要があります。

証拠の保全を行う場合、①画面を印刷する、②画面をスクリーンショットで保存する、の2通りの方法があります。

ただし、いずれの場合であっても、投稿先のURLと記録した時間が印刷ないし保存されるように設定してください。

また、問題となる投稿だけでは責任追及の対象となる書き込みかの判断が難しくなるため、掲示板やTwitter等であれば、前後の投稿も同時に保存するようにしましょう。

(2)専門家に依頼する

名誉棄損等の表現をされ、投稿者の特定や責任追及を考えている場合、なるべく早い段階で弁護士などの専門家へ相談することをおすすめします。

上に述べた法的手続きは弁護士に依頼せずに自力で行うこともできますが、法的な専門知識や経験が必要な場合もあります。

また、インターネット上の情報はすぐに削除されてしまうおそれがあるため、できる限り早めに相談するようにしましょう。

5.誹謗中傷・名誉毀損の相談窓口

今回はインターネット上で名誉棄損等の表現をされた場合の各種手続きについて紹介しましたが、自力で法的手続き行うことはなかなか難しいため、スタートアップドライブでは専門家の相談窓口を用意しています。

以下のフォームより必要な情報を入力し、お問い合わせください。
すぐに誹謗中傷対策のプロより折り返しいたします。







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石原一樹
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Seven Rich法律事務所 代表弁護士弁理士