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リクルートの内定辞退率という情報販売は本当に違法なのか

「リクナビDMPフォロー」という企業向けサービスにおいて、採用会社に対して、就活生の内定辞退率を予測し、提供していたというニュースがありました。

優秀な社員を採用したい企業にとって、内定を出したとしても、実際に入社するまでに期間があるので、就活生の本心を知りたい、という需要があるのは明らかです。

内定辞退率を予測し、企業側の役に立てるように設計されたものであるが、その対面にいる就活学生にとっては、知らないところで自分の内定辞退率、つまり本心に近い情報が企業側に開示されていた可能性があるといえます。

参考ニュース
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1908/01/news154.html

就活生にとっては、自分の本心が企業側に知られることで、内定を得られる機会を損失していた、かもしれない、という不安に陥る可能性があります。実際にどのように使用されたのか、使用されていないかもしれないし、内定を得られなかったのはこのサービスによるものではないかもしれない、ですが、抽象的な不安感は残ります。

これに対し、2019年8月1日にリクルートがHP上でコメントを発表しています。

リクルートのコメント
https://www.recruitcareer.co.jp/news/pressrelease/2019/190801-02/

学生の応募意思を尊重し、合否の判定には当該データを活用しないことを企業に参画同意書として確約いただいています。

という確約を得ている、ということではありますが、学生側に事前に明示されていたわけでないとすれば、後付けの理由として邪推されてもやむを得ないと思われます。

そのため、このような同意の取得方法は、ただちに有効であるとは言いにくいかもしれません。

「具体的な利用法が示されず有効な同意ではない」(板倉陽一郎弁護士)

個人情報に関する専門家もこのようにコメントしています。

一般的に、企業はプライバシーポリシーやサービスの利用規約において、企業が取得する情報の内容、利用方法などについて明示することが多いです。

がしかし、利用者であるユーザーはそれらのプライバシーポリシーや利用規約を隅々まで読んで理解しているとは限りません。書けば良い、というスタンスではなく、書いてあってもなお、ユーザーに不信感を与えないようにサービスを設計していくことまで求められていくでしょう。


この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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