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【新規上場企業分析】KIYOラーニングのIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

KIYOラーニングの概要

KIYOラーニングの基本情報

まずはKIYOラーニングの基本情報を紹介します。
上場日は2020年7月15日、市場はマザーズ、想定時価総額は42.5億円です。

会社名 KIYO(きよ)ラーニング株式会社
設立日 2010年1月4日
上場日 2020年7月15日(承認日:2020年6月12日)
市場 マザーズ
証券コード 7353
業種 サービス業
決算期 6月
ホームページアドレス https://www.kiyo-learning.com/
発行済株式総数 1,845,000 株(2020 年 6 月 12 日現在)
上場時発行済株式総数 2,145,000 株
※公募分を含む
公募株数 300,000 株
想定価格 1,980円
想定時価総額 42.5億円
(※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
資本金 388,050,000円(2020 年 6 月 12 日現在)
1単元の株式数 100株
監査人 EY 新日本有限責任監査法人
主幹事証券会社 SMBC日興証券
引受幹事証券会社 大和証券
三菱UFJモルガン・スタンレー証券
SBI証券
楽天証券

KIYOラーニングの沿革

KIYOラーニングは、2008年に主に社会人を対象とした個人向け資格取得支援サービスとして「通勤講座」の名称で事業をスタートさせました。
動画講座を主軸としたeラーニング資格講座として、講座ラインナップの拡充、学習システムの機能拡張、サービス内容の拡充を進め受講者の拡大しています。

2008年10月 代表取締役社長の綾部貴淑が個人事業として「通勤講座(現「スタディング」)」を東京都港 区六本木で運営開始、中小企業診断士講座を開講
2010年1月 「KIYOラーニング株式会社」として法人化
2010年8月 本社を東京都渋谷区猿楽町に移転
2010年11月 宅建士講座開講
2012年9月 マルチデバイスでの学習に最適化した「新ラーニングシステム」リリース
2014年6月 事業拡張のため本社を東京都港区北青山に移転、動画収録スタジオを新設
2014年12月 司法試験講座開講(初めての本格的な動画対応講座)
2015年12月 税理士・行政書士・簿記講座開講
2016年4月 司法試験講座開講
2017年5月 社員教育クラウドサービス「エアコース」リリース
2017年8月 事業拡張のため東京都渋谷区千駄ヶ谷に動画収録スタジオを増設
2018年7月 法人事業部を発足
2018年10月 事業拡張及び業務効率化のため本社及び動画収録スタジオを東京都千代田区紀尾井町に移転
2018年12月 個人向け資格取得支援事業のブランド名を「通勤講座」から「スタディング」に変更
2019年5月 エアコースに研修管理機能を追加
2019年8月 法人向けの社員研修動画を制作するサービス「動画制作おまかせパック」を開始
2020年3月 TOEIC®講座開講

KIYOラーニングの事業内容

KIYOラーニングは、ITを用いて、個人や企業での学習を効率化するクラウドサービスを展開しています。主に個人向けのオンライン資格講座である「スタディング」事業、法人向けの社員教育クラウドサービスである「エアコース」事業を提供しています。

事業は以下2つに区分されており、主要事業のビジネスモデルは図の通りです。

  1. 「スタディング」事業(個人向け)
  2. 「エアコース」事業(法人向け)
KIYOラーニングのビジネスモデル

①「スタディング」事業 (個人向け)

主要サービスである「スタディング」は、「学びやすく、わかりやすく、続けやすい」をコンセプトとしたオンライン資格講座です。スマートフォンやタブレット、PC等で受講でき、分かりやすい動画講座や問題練習によって、忙しい人でも「すきま時間」を使って資格取得のための学習ができます。
また、「スタディング」では、ビジネスパーソンに人気がある資格を中心とした講座ラインナップを展開しています。

①-1「スタディング」のカテゴリ

「スタンディング」では,「ビジネス・経営」「法律」「会計・金融」「不動産」「IT」「ビジネススキル」「公務員」 「語学」に分類される全26講座を提供しています(2020年5月現在)。また、カテゴリごとに、難関資格~中難度資格~簡単な資格のラインナップを揃えることで、簡単な資格から獲得したユーザーを、より難度の高い資格にアップグレードすることを推進してます。

①-2「スタディング」のコンセプト

「スタンディング」のコンセプトは以下の通りです。

① 忙しい人の資格取得支援

② 効率的に学べる学習システム

③ わかりやすいコンテンツ

④ 低価格

「スタディング」では、従来、主に社会人向けの国家資格・公的資格を中心にラインナップを展開してきましたが、近年はTOEIC®講座による語学分野や、公務員対策講座による学生向け就職対策講座にも対応を拡大しています。

②「エアコース」事業(法人向け)

KIYOラーニングでは、2017年より法人向けサービスとして、社員教育クラウドサービス「エアコース」を提供しています。 「エアコース」では、各種の社員教育コースが受け放題で受講でき、自社独自の教育コースも簡単に作成・配信できます。
また、エアコースはクラウドサービスであり、スマートフォンさえあればどこでもコースを受講することが可能です。
さらに、企業の教育担当者やマネージャーを支援する、集合研修管理機能やレポート機能も充実しており、社員教育の悩みを解決します。

②-1 「エアコース」のカテゴリ

「エアコース」では、利用用途に応じて、受け放題コース付きのプラン(コンテンツ・プラス)と、コース無しのプラン(ベーシック)を選択することが可能です。
「ベーシック」プランでは、企業が自らの集合研修を動画化したり、 業務内容を動画マニュアル化し、eラーニングのコースとして社内に配信できます。
「コンテンツ・プラス」プランでは、これに加えて、KIYOラーニングが独自作成した各種の社員教育動画を受け放題で提供しています。(2020年5月時点で109コース)

②-2「エアコース」のコンセプト

「エアコース」のコンセプトは以下の通りです。

① 各種社員教育コースが受け放題

② 簡単に自社コースを作成・共有

③ 社内教育の一元管理

有価証券報告書情報

経営指標(過去2期分)

10期の業績は以下の通りです。

  • 売上高:8.4億円(前年比+37.1%)
  • 経常利益:-1.5億円(前年比+40.4%)
  • 当期純利益:-1.5億円(前年比+40.3%)
第9期 第10期
決算年月 2018年12月 2019年12月
売上高(千円) 609,137 835,264
経常利益(千円) △211,136 △150,375
当期純利益(千円) △211,402 △150,665
純資産額(千円) 221,177 70,512
総資産額(千円) 611,467 757,351
自己資本比率 36.17% 9.31%
営業キャッシュフロー(千円) △149,837 85,889
投資キャッシュフロー(千円) △64,676 △37,920
財務キャッシュフロー(千円) 533,880 57,233
現金・現金同等物の期末残高(千円) 405,534 510,726
従業員数 22人 26人

経営指標(過去5期分)

5期の業績を見ると、売上高は4年で10倍近く増加しています。
一方で、利益に関しては赤字の状態が続いています。

赤字の理由につきましては、厳密にはわかりませんが、以下のように少なくとも3回資金調達を行っており、 コンテンツの拡充や対応講座のカテゴリ拡大のために先行投資する戦略をとってきたのだと思います。

2016年2月に2,250万円の資金調達

2017年6月に1億8500万円の資金調達

2018年6月に5.4億円の資金調達

特に、最後の5.4億円調達のプレスリリースを見ると、以下の5つの重点分野への投資を表明しています。 ここではコンテンツやシステムだけではなくプロモーションにも積極投資することが書かれています。

・より効率的で効果的な学習システム、教育コンテンツの開発

・蓄積した学習記録・各種データの解析に基づく学習法の開発

・利用者拡大のためのプロモーション

・法人向けクラウドサービスの販売強化

・教育研修プラットフォームの構築による新たな事業軸の確立

 

第6期 第7期 第8期 第9期 第10期
決算年月 2015年12月 2016年12月 2017年12月 2018年12月 2019年12月
売上高(千円) 84,327 200,234 360,766 609,137 835,264
経常利益(千円) △85,163 △67,179 △101,441 △211,136 △150,375
当期純利益(千円) △85,343 △67,359 △101,731 △211,402 △150,665
資本金(千円) 16,250 24,050 116,550 388,050 388,050
発行済株式総数 950 1,006 1,302 1,845 1,845
純資産額(千円) △14,928 △193,688 △110,416 221,177 70,512
総資産額(千円) 44,670 110,654 250,220 611,467 757,351
自己資本比率 △317.73% △175.04% △44.13% 36.17% 9.31%
従業員数 7人 9人 15人 22人 26人

株主構成

上位10位までの株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
綾部 貴淑 953,000 48.95% 180日
株式会社MS-Japan 148,000 7.60% 180日
みらい創造一号投資事業有限責任組合 148,000 7.60% 90日
イノベーション・エンジン産業創出投資事業有限責任組合 100,000 5.14% 90日
GA1号投資組合 80,000 4.11% 90日
かんしん未来投資事業有限責任組合 72,000 3.70% 90日
ウィルグループファンド投資事業有限責任組合 52,000 2.67% 90日
SMBCベンチャーキャピタル4号投資事業有限責任組合 50,000 2.57% 90日
フリービットインベストメント株式会社 48,000 2.47% 180日
株式会社マイナビ 48000 2.47% 180日

新規上場(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

想定価格は1,980円、吸収金額(調達額)は7.7億円と予想されています。

仮条件 2,070円~2,300円
公募・売出価格 未定
想定価格 1,980円
初値
公募株数 300,000株
売出株数 40,200株
オーバーアロットメントによる売出し株数 51,000株
吸収金額(調達額) 7.7億円
(※オーバーアロットメントを含む株数×想定価格で計算)

この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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