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【新規上場企業分析】日本情報クリエイトのIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

日本情報クリエイトの概要

日本情報クリエイトの基本情報

まずは日本情報クリエイトの基本情報を紹介します。
上場日は2020年7月31日、市場はマザーズ、想定時価総額は72.9億円です。

会社名 日本情報クリエイト株式会社
設立日 1994年8月1日
上場日 2020年7月31日(承認日:2020年6月26日)
市場 マザーズ
証券コード 4054
業種 情報・通信業
決算期 6月
ホームページアドレス https://www.n-create.co.jp/
発行済株式総数 5,883,720 株(2020年6月26日 現在)
上場時発行済株式総数 6,683,720 株
※公募分を含む
公募株数 800,000 株
想定価格 1,090円
想定時価総額 72.9億円
(※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
資本金 74,395,000円(2020 年 6 月 26 日現在)
1単元の株式数 100株
監査人 EY 新日本有限責任監査法人
主幹事証券会社 野村證券
引受幹事証券会社 大和証券
岡三証券
SBI証券
エース証券
楽天証券
岩井コスモ証券
極東証券

日本情報クリエイトの沿革

日本情報クリエイトは、不動産管理業務をサポートするソフトウェア開発を行う企業です。全国に拠点を置き、「賃貸革命」「売買革命」などITを通じて不動産業務をサポートするソフトウェアを開発しています。

1994年4月 「情報技術を活用して社会に貢献すること」を目的として、宮崎県都城市姫路町に日本情報クリエイトを設立(資本金10,000千円)
1995年1月 建築見積もりシステム「見積革命」発売
1997年3月 賃貸物件総合システム「賃貸革命」発売
1997年7月 宮崎県都城市妻ヶ丘に本社を移転
1998年5月 不動産売買仲介営業支援システム「売買革命」を発売
2000年4月 東京営業所を設置(東京都新宿区)
2000年10月 大阪営業所を設置(大阪市淀川区)
2001年4月 宮崎県都城市金田町に本社を移転
2003年6月 福岡営業所を設置(福岡市南区) ※2008年8月に福岡市博多区へ移転
2003年10月 仙台営業所を設置(仙台市青葉区)
2004年7月 広島営業所を設置(広島市中区)
2004年10月 導入社数1,000社突破
2006年6月 札幌営業所を設置(札幌市中央区)
2006年7月 不動産ホームページ制作ツール「Web Manager Pro」発売
2006年10月 株主割当を実施(資本金30,000千円)
第三者割当増資増資を実施(増資金45,000千円)
2006年12月 情報セキュリティマネジメントシステム(ISO27001)を取得
2008年4月 導入社数2,000社突破
2011年3月 宮崎県都城市上町に本社を移転
2011年8月 四国営業所を設置(香川県高松市)
2011年8月 導入社数3,000社突破
2012年1月 「賃貸革命クラウド版」発売
2012年4月 「売買革命クラウド版」発売
2013年1月 業者間物件流通サービス「不動産BB」運営開始
2013年9月 不動産ホームページ作成ツール「Web Manager Lite」発売
2014年6月 導入社数4,000社突破
2015年9月 「Web Manager Pro3(現行版)」発売
「Web Manager Lite3(現行版)」発売
2016年2月 「売買革命10(現行版)」発売
2016年10月 北陸営業所を設置(石川県金沢市)
2016年12月 導入社数5,000社突破
2017年1月 「賃貸革命10(現行版)」発売
2017年10月 埼玉営業所を設置(さいたま市浦和区)
2018年3月 「不動産BB」会員数10,000店突破
2019年1月 入居者コミュニケーションサービス「くらさぼコネクト」発売
2019年6月 第三者割当増資を実施(資本金74,395千円)

日本情報クリエイトの事業内容

日本情報クリエイトは「テクノロジーで不動産領域に革新的プラットホームを創造する」をビジョンとして掲げ、ITを利用して不動産業の業務支援となる製品やサービスを開発し、全国の不動産会社へ提供を行っています。
また、不動産会社の顧客である消費者とのコミュニケーションもサービスの範囲としており、不動産業の幅広い業務範囲への支援をしています。

軸となるサービスは以下2つに区分されており、主要事業のビジネスモデルは図の通りです。

  1. 仲介ソリューション
  2. 管理ソリューション
日本情報クリエイトのビジネスモデル

①仲介ソリューション

「仲介ソリューション」は、不動産仲介業務(不動産情報流通業務、入居者募集業務、契約業務等)の効率化を目指すためのサービスを示します。
また、仲介ソリューションで提供されるサービスはIT技術を導入して、これまで対面であった物件探しや入居申し込み、入居の際に行う重要事項の説明などの手続きをを非対面で行えるようなサービス設計となっています。
仲介ソリューションは、「業務間物件流通サービス」と「仲介業務支援サービス」の2つのサービスに区分されます。

①-1 業務間物件流通サービス

「業務間物件流通サービス」とは、不動産業者間で行う物件情報の共有を支援するサービスです。
物件情報の共有は、紙面や電話、FAXなどで行われるのが主流でしたが、日本情報クリエイトは、そのような手続きをインターネットで行うことができるサービスを開発しました。
日本情報クリエイトでは、業務間物件流通サービスに係る製品として「不動産BB」を提供しています。

①-2 仲介業務支援サービス

「仲介業務支援サービス」は、前述した「業務間物件流通サービス」において不動産業者間で共有されていた物件情報を、不動産会社が対消費者(顧客)向けに転用できるようにしたサービスです。
このサービスを利用することで、不動産会社は、業者間のみで共有されていた物件情報を自社のホームページに掲載するなどして集客アップを目指すことができます。
また、日本情報クリエイトで提供される「仲介業務支援サービス」で提供されるサービスは「不動産BB」と連携しています。
「Web Manager Pro 3」は、「不動産BB」の情報を元に自社ホームページを作成できるサービスで、「物件データ連動」は「不動産BB」の情報をポータルサイトへ掲載するためのサービスです。
また、「くらさぽ」は不動産検索サイトとして日本情報クリエイトが独自に運営しています。
上記の3つのサービスは、全て不動産会社の集客アップを目的としています。

②管理ソリューション

前述した「仲介ソリューション」は、不動産業者間での物件情報共有の効率化や、不動産会社の集客アップを目的としたサービスでした。
一方、「管理ソリューション」では入居者が物件契約を行った後の不動産に係る業務の効率化を目的としています
管理ソリューションは、「管理業務支援サービス」と「消費者支援サービス」の2つに区分されます。

②-1 管理業務支援サービス

「管理業務支援サービス」は、入居者の家賃の入金や契約更新・解約などを不動産オーナー(家主)に代わって代行するサービスです。
「管理業務支援サービス」では、として代表的なサービスは「賃貸革命」です。
「賃貸革命」は、賃貸業務で多用される書類のペーパーレス化を実現しています。
また、このサービスを利用することで、賃貸に関する情報はデーターベースで保存され、過去のデータ等をすぐに検索することができます。

②-2 消費者支援サービス

「消費者支援サービス」は、不動産会社と入居者のコミュニケーションの効率化を目的としたサービスです。
日本情報クリエイトでは、コミュニケーションアプリとして「くらさぽコネクト」を提供しています。このアプリを利用することで、不動産会社は入居者に対し契約更新や物件メンテナンスのお知らせなどをチャット形式で伝えることができます。同様に、入居者も不動産会社に対し問い合わせなどをチャット上で行えるので、電話や書類を利用せずに効率的にコミュニケーションを行うことが可能です。

日本情報クリエイトシステムの強み

・不動産業務支援サービスをワンストップで提供
・自社一貫体制によるスピーディー、かつ本質をついた製品開発
・複雑な業務パターンに対応できる製品力
・地域に密着したサポート体制
・専門知識を有した自社社員によるサポート体制
・低い解約率とストック型ビジネスによる安定した収入基盤

有価証券報告書情報

経営指標(過去2期分)

25期の業績は以下の通りです。

  • 売上高:21.5億円(前年比+11.8%)
  • 経常利益:37.9億円(前年比+18.8%)
  • 当期純利益:23.4億円(前年比+39.5%)
第26期 第25期
決算年月 2018年6月 2019年6月
売上高(千円) 1,921,076 2.148,160
経常利益(千円) 319,224 379,083
当期純利益(千円) 167,510 233,740
純資産額(千円) 618,022 912,418
総資産額(千円) 1,437,047 1,885,660
自己資本比率 43.01% 48.39%
営業キャッシュフロー(千円) 439,027 426,985
投資キャッシュフロー(千円) △168,214 △54,963
財務キャッシュフロー(千円) △347,201 56,948
現金・現金同等物の期末残高(千円) 254,413 683,384
従業員数 201人 209人

経営指標(過去5期分)

5期の間に売上は1.5倍程度の成長を見せており、利益に関しては2倍以上の成長を見せています。
第21期から25期まで赤字の期間は無く、堅調な経営をしていることがわかります。

第21期 第22期 第23期 第24期 第25期
決算年月 2015年6月 2016年6月 2017年6月 2018年6月 2019年6月
売上高(千円) 1,432,834 1,533,419 1,692,348 1,921,076 2.148,160
経常利益(千円) 155,300 201,710 217,237 319,224 379,083
当期純利益(千円) 89,674 137,558 154,477 167,510 233,740
資本金(千円) 45,000 45,000 45,000 45,000 74,395
発行済株式総数 800 800 570 570 588,372
純資産額(千円) 511,712 639,231 764,740 618,022 912,418
総資産額(千円) 1,114,953 1,212,114 1,382,330 1,437,047 1,885,660
自己資本比率 45.90% 52.74% 55.32% 43.01% 48.39%
従業員数 174人 182人 193人 201人 209人

株主構成

上位10位までの株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
米津健一 2,850,000 45.65% 180日
株式会社NJC 2,850,000 45.65% 180日
日本情報クリエイト従業員持株会 183,720 2.94% 継続保有
丸田英明 15,000 0.24% 継続保有
日高健 15,000 0.24% 継続保有
新井篤史 15,000 0.24% 継続保有
瀬之口直宏 11,000 0.18% 継続保有
尾之上健太 9,000 0.14% 継続保有
古田公四郎  9,000 0.14% 継続保有
高木翼 8,000 0.13% 継続保有

新規上場(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

想定価格は1,090円、吸収金額(調達額)は18.8億円と予想されています。

仮条件 未発表
公募・売出価格 未発表
想定価格 1,090円
初値
公募株数 800,000株
売出株数 690,000株
オーバーアロットメントによる売出し株数 233,500株
吸収金額(調達額) 18.8億円
(※オーバーアロットメントを含む株数×想定価格で計算)

この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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