キャリア

スタートアップでのインハウスローヤー(社内弁護士) 仕事はきつい?就職方法や年収は?

「弁護士として働き方には限界を感じるし、そろそろ転職かなぁ。」
「スタートアップでインハウスになる弁護士が増えてるって聞いたけど、実際どうなんだろう。」

このようにお悩みの弁護士の方はいませんか?

その悩み、あなただけではありません。

弁護士業界全体が変動期を迎えている今、インハウスローヤーとして働く弁護士が増加しています。

2010年428人→2019年2418人

(参照データ)

https://jila.jp/wp/wp-content/themes/jila/pdf/transition.pdf

インハウスといえば大手企業の法務部などに所属するイメージがありますが、実はスタートアップに就職する弁護士が増加していることをご存じですか?

今回は、スタートアップ企業でインハウスになることのメリットやデメリット、待遇などを紹介します。

この記事を読んで、弁護士としてのキャリアプランに一石を投じてみましょう!

1.そもそもインハウスローヤーとは?

インハウスローヤーとは、法律事務所で弁護士として勤務(または経営)する弁護士ではなく、企業や行政庁などの組織に所属する組織内の弁護士のことです。

会社などに所属するインハウスローヤーは企業内弁護士と呼ばれ、行政庁に所属しているインハウスローヤーは行政庁内弁護士と呼ばれていますが、日本では行政庁内弁護士は多くないと言われています。

一方、企業内弁護士型のインハウスローヤーは年々増えており、日本組織内弁護士協会によると、2001年の企業内弁護士は66人であったのに対し、2019年には2418人と、約36倍も増加しています。

また採用する企業も増加しており、2000年は39企業であったのに対し、2018年に1022企業に増えています。

これは弁護士人口の増加、および、企業の臨床法務やコンプライアンス意識が向上してきたことに起因すると考えられます。

以上のように、企業内弁護士型のインハウスローヤーは弁護士にとっても人気が出てきているうえ、企業側にとっても需要が高まっていることがわかります。

なお、スタートアップ以外のインハウスローヤーの働き方については、こちらの記事で詳しく説明しています!

インハウスローヤーとは?就職方法や業務内容、必須スキルを紹介!

2.スタートアップでのインハウスローヤーがおすすめな理由3つ

現在のところ、インハウスローヤーを募集しているのは一部上場企業などの大会社がほとんどですが、少数ながらスタートアップやベンチャーも募集をかけています。

そして、スタートアップで働くインハウスローヤーこそが、令和の新しい弁護士像として断然おすすめです。

スタートアップでのインハウスローヤーは、大企業で働く場合と比較しても、多大なメリットがあるからです。

そのいくつかを紹介しましょう。

(1)専門性をもつことができる

スタートアップは、アイデアやスピード感などを他社に対する優位性として勝負をしています。

また、その性格上、既存のビジネスモデルに則った商品ではなく、時代の最先端を切り拓く商品を開発していることがほとんどです。

そのため、スタートアップにインハウスローヤーとして参画することにより、必然的にその業種での専門性が身に付きます。

昨今、法曹人口の増加によって供給過多状況にありますが、インハウスローヤーとして培った専門性をもつことができれば、さらに転職する場合でもエッジの効いた武器をもつことになります。

大企業に就職したインハウスローヤーのなかには、実質的に他の従業員とほとんど同じ業務を行うにとどまり、弁護士としての専門性を活かすことができない場合も多いようです。

スタートアップに就職する場合には、次に述べる裁量権の大きさとも相まって、先進的な実務を包括的に触れることができる点が大きなメリットです。

(2)裁量権が大きい

スタートアップは、一般的に、構成員も少なく法律に精通したスタッフはほとんどいません。

シード期にある企業の場合、法務部門さえきちんと整備されていないことが通常です。

ゼロベースから企業の法務体系を構築するのは非常に困難が伴いますが、企業の基盤作りは法律事務所では得難い経験となります。

また、スタートアップでは法規制が行われていない領域へ挑戦することもあります。

そのような場合、経営者としては不測の損害を防止するべくインハウスローヤーに相談するほかなく、そうすると、経営陣に対して強い発言力をもてるようになります。

経営者からの信頼を得ることができれば、その企業のCLO(Chief Legal Officer・最高法務責任者)として、役員の一員となることも可能です。

スタートアップは役員等の年齢層が低いことが多いため、歳若く勤務年数が短くとも役員などに昇進し、経営者の右腕として活躍するのも夢ではありません。

(3)やりがいがある

スタートアップには、夢があります。

それぞれの企業には熱い企業理念があり、自分たちこそが世界を変えるんだ、という大きなビジョンがあります。

こうしたスタートアップに所属し、自分の強みである法律面でバックアップしながら、共に目標を達成するという喜びは、大企業や法律事務所では得難いものがあります。

また、スタートアップではストックオプションが報酬として発行されることが一般的であるため、上場等のイグジットによる莫大な利益を得る可能性があることも、モチベーションにつながります。

ときにスタートアップ企業はリスクに果敢に挑戦しなければなりませんが、リスクを回避しつつ利益を最大化するというプロセスは、スタートアップで働くからこそ経験できることといえるでしょう。

3.スタートアップでインハウスローヤーになるデメリットは?

ここまでは、スタートアップでインハウスローヤーとなるメリットについて紹介しました。

とはいえ、残念ながらメリットもあればデメリットもあります。

これらを比較し、自分の特性もよく考えたうえ、どちらを重視するのかしっかり考えてみましょう。

(1)ジェネラリストからは遠ざかる

残念ながら、広く民事・刑事事件を取り扱うジェネラリストを志望している方には、スタートアップでのインハウスには向いていません。

先ほど述べた通り、スタートアップでのインハウスローヤーになるメリットとは、エッジの効いた専門性をもてることでした。

しかし反面、取り扱わない分野も出てきます。

たとえば交通事故事件や離婚事件などを取り扱う機会は実質的にないといっても過言ではないでしょう。

したがって、将来的には独立して法律事務所を開業し町の法律家になりたい、という方には向いていないかもしれません。

一方で、いずれ独立開業するにしても、企業法務に特化した弁護士になりたいと思う場合には、むしろスタートアップでのインハウス経験は大きな強みになります。

というのも、大企業に比べて裁量権が大きいゆえに、労使関係トラブルなどの対外関係から取引先に対する損害賠償請求まで、あらゆる企業法務分野に関する経験を積むことができるからです。

(2)安定していない

ご存じのように、起業後10年以内に99%が廃業するといわれているのがスタートアップの世界です。

すなわち、成功する大きなチャンスがある一方で、いつ廃業してもおかしくないという二面性があります。

したがって、収入や待遇、勤務時間など、安定した生活を送りたい、という人には向いていないかもしれません。

とはいえ、ここまで述べてきたように、スタートアップでの勤務経験により専門性を持つことができるため、転職時に有利なスキルを身に付けることも可能です。

(3)会社によっては激務になる

スタートアップやベンチャーの場合、少しでも早く軌道に乗せるため、また、大企業に対して優位性を保つべく、長時間の残業などの激務になる可能性があります。

そのため、スタートアップでのインハウスローヤーにチャレンジする場合には、体力のある若いうちで、かつ、就職前に勤務状況をしっかりと確認することをおすすめします。

4.スタートアップでの業務内容は?

それでは次にスタートアップでのインハウスローヤーの仕事内容を紹介します。

弁護士業界全体でみると、いまだインハウスローヤー自体が少数派であることもあり、いまひとつイメージが湧きづらいかと思います。

通常、企業が法律事務所に勤務する弁護士へ依頼する場合、顧問契約を締結している場合であっても問題となるべき点についてのみ相談するため、実際に企業内部で働いてみると、法律事務所で相談を受けるだけではわからないニーズはたくさんあります。

それではどのようなニーズ、仕事内容があるのでしょうか。

(1)契約や資金調達など対外的法務関係

企業が取引先等と交渉する際、契約書の作成などを行います。

特に資金調達については、契約の内容次第では企業の実質的経営権を脅かす状況をも生じさせかねないため、慎重な交渉と綿密な契約書作成が求められます。

こうした対外的な業務については、リスクを抑えて会社の利益を最大化するという点で、法律に関する知識はもちろんのことビジネス面でのセンスが問われることになります。

(2)就業規則などの対内的法務関係

法務部門が脆弱なスタートアップにおいては、会社内における法的安定性を確保することも重要な仕事です。

例えば就業規則の制定や、労組との対応などについて、会社と従業員の利害関係を調整する立場に立ちます。

また、昨今ではパワハラやセクハラなどに対するコンプライアンス意識の高まりを受け、広く従業員からの苦情を受付けたうえ、これを是正するよう経営者に訴える役割も期待されています。

(3)法律目線からのビジネスチェック

そしてスタートアップでのインハウスローヤーならではの業務として、法律目線からのビジネスチェックが挙げられます。

新規事業の法的リスクの洗い出しや、許認可の取得、ISOやPマークなどの各種認証取得のための書類作成の事前準備などを行い、会社の利益の最大化を図ります。

ときには、すでに会社全体が走り出しているにもかかわわず、あえてブレーキを掛けなければならないときもあります。

こうした業務には、経営者と同じ目線に立つために経営スキルも必要となります。

5.気になる給与などの待遇は?

最後に、、スタートアップでのインハウスローヤーの給与について紹介します。

結論をいうと、給与等はピンキリであって一概にいうことはできません。

この点、日本組織内弁護士協会の調査によると、インハウスローヤーの年収は750万円から1000万円未満で30%、年収1000万円以上が36%となっており、比較的高い水準で推移しているようです。

また、会社を成長させイグジットさせることにより、莫大なストックオプション売却益を手にしたり、大幅な給与アップを目指すことが可能です。

スタートアップから参画することで、若くして会社役員として経営に参加することも可能です。

6.終わりに

いかがでしたか?

インハウスローヤーは専門性を持ち、会社の運営に携わりたい、そんな野心家な弁護士におすすめです。

そしてスタートアップであればなおさら仕事にやりがいがあり、給与の大幅アップも目指すことも可能であり、なにより、大きな夢を追うことができます。

インハウスローヤーに興味がある弁護士の方は、転職を一度考えてみるとよいのではないでしょうか。

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