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【上場企業決算分析】UUUM(ウーム)の最新決算・事業内容・業績・歴史を徹底解説

UUUM株式会社は、2013年にON SALE株式会社として東京都で設立されました。
YouTuberを中心としたクリエイターをサポートする事業やYouTube上でのチャンネル運営、ゲーム開発などを主な事業として展開しています。

また、2017年には、マザーズへの上場を果たしました。

①UUUMの決算データ

①-1 最新期の売上/売上総利益/営業利益/経常利益/当期純利益

決算年月(百万円) 20年5月(実績) 19年5月(実績) 前年比 20年5月(計画) 計画比
売上高 22,459 19,726 +14% 22,000 +2%
売上総利益 6,204 5,407 +15% 6,100 +2%
営業利益 994 1,247 -20% 950 +5%
経常利益 932 1,247 -25%
当期純利益 359 889 -60% 400 −10%

 

①-2 売上・営業利益・営業利益率の推移

以下の図は、5期にわたるUUUMの売上高、営業利益及び営業利益率をグラフ化したものです。2020年5月期の通期の売上高は224.6億円、営業利益は9.9億円であり、営業利益率は4.4%です。

UUUM業績推移

※2016年5月期のみ単体の業績指標となります。

①-3 連結の経営指標

2020年5月期の通期業績は以下の通りです。

  • 売上高:225.6億円(前年比+13.6%)
  • 経常利益:9.9億円(前年比-25.2%)
  • 当期純利益:3.6億円(前年比-59.6%)
決算年月 2019年5月期
2020年5月期
売上高(百万円) 19,726 22,459
経常利益(百万円) 1,247 993
当期純利益(百万円) 889 358
純資産額(百万円) 2,840 3,363
総資産額(百万円) 6,305 10,486
自己資本比率 45.0% 32.0%
営業キャッシュフロー(百万円) 1,002 520
投資キャッシュフロー(百万円) △1,112 △1,452
財務キャッシュフロー(百万円) 698 3,153
現金・現金同等物の期末残高(百万円) 2,109 4,330

 

4Q業績ハイライト (2020年5月期)

以下は、2020年5月期の業績を4Qに分けた指標です。
営業利益が右肩下りであり、4Q目の指標ではマイナスになっていることがわかります。

期間 2020年5月期
1Q
2020年5月期
2Q
2020年5月期
3Q
2020年5月期
4Q
売上高(百万円) 5,508 5,411 5,848 5,693
粗利益(百万円) 1,626 1,536 1,568 1,473
販管費(百万円) 1,203 1,185 1,318 1,503
営業利益(百万円) 423 351 250 -30
従業員数 448 469 475 502

 

経営指標(過去5年分)

5期の間に売上は7倍近い成長をしていることがわかります。
一方、利益に関しては、2019年をピークに直近は減少傾向にあります。

決算年月(百万円) 2016年5月 2017年5月 2018年5月 2019年5月 2020年5月
売上高 3,299 6,983 11,735 19,726 22,459
経常利益 221 350 703 1,247 932
当期純利益 185 257 406 889 358
純資産額 426 684 1,806 2,840 3,363
総資産額 976 2,184 3,657 6,305 10,486
自己資本比率 43.65% 31.32% 49.38% 44.96% 31.96%

※2016年5月期のみ単体の業績指標となります。

②UUUMの事業内容

②-1 UUUMとは?

UUUMは「セカイにコドモゴコロを」を経営理念として掲げ、YouTuberを中心としたクリエイターをサポートし、動画を中心とした多様なコンテンツを発信しています。

UUUMという企業についてですが、YouTubeについて詳しい方以外にはあまり馴染みのない企業かもしれません。
UUUMという企業は、端的に表現するとYouTuberにとっての芸能事務所であるといえます。
例えば、芸能人やアイドルが所属する事務所としては、ホリプロやジャニーズ事務所などが挙げられますが、それのYouTuberバージョンがこのUUUMという企業です。

近年では、YouTubeで動画を作成し、YouTuberとして活躍する人々も人気俳優や人気アイドル並みに有名人となる方が少なくありません。しかし、YouTuberとして活動するにあたり、動画を頻繁にアップすることや、ファンとのイベントを企画する際などは時間やコストが多くかかるため、第三者によるマネジメントが必要になります。UUUMは、そのようなYouTuberのバックアップを行う企業としてであるといえます。

また、近年のインターネットを介した動画広告の成長や、人気YouTuberの社会的影響力の大きさから、企業も動画広告やYouTuberを自社製品の広告リソースとして活用しようと考えるようになりました。こうした中で、YouTuberと広告主の間に立ち、提案やマネジメントを行う仕事もUUUMの重要な業務の一つです。

なお、UUUMでは、YouTuberをクリエイターとして定義しており、ヒカキン、はじめしゃちょーなどがUUUMのクリエイターとして特に有名です。

UUUMはこれから「個人経済圏」が拡大する時代に入ることを視野に入れ、YouTuberに代表されるクリエイターサポートのインフラとしてナンバーワンの企業を目指しています。
主要事業のビジネスモデルは、以下の図の通りです。

UUUMのビジネスモデル

②-2 セグメント別の事業内容/ビジネスモデル

UUUMが行う事業のセグメントは、収益別に2分すると、クリエイターサポートサービス自社サービスに分けられます。
広告、アドセンスはクリエイターサポートサービスに分類され、自社チャンネルやゲーム等を扱うセグメントは自社サービスとして分類されます。
以下で、それぞれのセグメントについての詳細を説明します。

クリエイターサポートサービス

クリエイターサポートサービスとは、YouTuberをはじめとしたクリエイターの活動をサポートを目的とするサービスです。クリエイターに必要な動画撮影に使用する機材提供や、グッツ販売、イベント企画などのサポートを行います。
クリエイターサポートサービスをクリエイターに提供することで、UUUMは広告収益の一部をYouTubeから獲得するタイプのアドセンスと呼ばれる収益と、顧客企業の商品やサービスを紹介する動画を制作・公開することで発生するタイアップ動画制作による収益を主にクリエイターサポートサービスの対価として獲得します。

  • アドセンス
    はじめに、クリエイターサポートサービスによる収益のうちアドセンスによる収益のモデルついて解説します。YouTube上の動画には広告が付随されてます。その際、一般的にはYouTube上で発生する広告費用は収益として動画製作者であるクリエイターに還元されます。しかし、UUUMに所属するクリエイターが動画を投稿し広告収益を獲得した際には、この収益は一旦UUUMに一括して入金される仕組みとなっています。UUUMはこの収益をアドセンス収益として計上し、一部をクリエイターに還元し、もう一部をサポート費用として受け取ります。
  • 広告(タイアップ)
    次に、クリエイターサポートサービスによる収益のうち広告(タイアップ動画制作)による収益モデルついて解説します。
    「アドセンス」がクリエイターが動画を投稿した際、受動的に広告主から支払われる収益である一方、「タイアップ動画制作」による収益は、UUUMに所属するクリエイターが、広告主の商品やサービスを紹介する動画を制作し投稿した際に発生する収益です。
    UUUMは、広告主や広告代理店に対して所属クリエイターを活用したプロモーションの提案を行い、受注後、クリエイターの動画制作をサポートします。
    動画制作後、UUUMは所属クリエイターが広告主の商品やサービスを紹介した対価として、広告主から動画制作費を受け取ります。
    そして、この動画制作費は「アドセンス」の広告収益と同様に、一部はクリエイターに、一部はサポート費用としてUUUMの収益となります。

自社サービス

自社サービスは、自社のオリジナルコンテンツや所属クリエイターと親和性の高いサービスに投資を行うことで収益拡大を目的としたサービスです。
主に、チャンネル運営やゲーム実況が自社サービスとして行われています。

  • チャンネル運営
    チャンネル運営の事業において代表的なチャンネルは、株式会社講談社と共同運営する「ボンボンTV」やJukin Media, Inc.との提携により運営する「Video Pizza」です。
    UUUMは、自社チャンネルや提携チャンネルの運営や番組制作を行います。
    チャンネル運営によって、UUUMは、番組制作料、アドセンス収益、また、チャンネル上で企業とのタイアップが行われた場合は、タイアップ動画による収益を主に獲得します。
  • ゲーム実況・開発
    ゲーム実況はYouTube上の人気ジャンルの1つです。
    そのため、多くのゲーム会社はYouTubeをプロモーションの手段として利用しています。
    このような状況を踏まえ、UUUMは、ゲーム実況動画と親和性の高いゲームを開発することで、クリエイターに対してコンテンツのきっかけを提供しつつ、ゲームとしての業績拡大を目指しています。

②-3 売上構成比/セグメント別売上の見通し

売上の構成比に着目して、直近4期の売上高を見ていきます。
売上を構成するセグメントについては前述した通りです。
2020年5月期の4Qの売上高は、前年に比べ減少しました。
UUUMは、決算説明において、新型コロナウイルスの影響による減収が原因であると説明しています。

UUUMのセグメント別売上

また、以下の図は2020年5月期におけるセグメント別の売上と2021年5月期のセグメント別売上の見通しを示したグラフです。

セグメント別売上

③UUUMの主要KPIとその数値推移

③-1 再生回数と期末チャンネル数

動画再生回数と毎期末に計上されたチャンネル数の推移は以下の通りです。
動画再生回数、期末チャンネル数、共に右肩上がりで伸長しています。
5期の間に、年間の動画再生回数の合計は3.5倍程度成長しており、
チャンネル数は5倍近く成長していることがわかります。
動画再生回数と期末チャンネル数の増加は、UUUMが毎年自社の所属クリエイターを増やし、そのクリエイターが制作した動画の視聴者が毎年増え続けていることを意味します。

再生回数とチャンネル数

③-2 登録者数総合ランキングTOP10

以下の表は、国内におけるYouTubeのチャンネル登録者数のTOP10(2020年6月時点)を表したランキング表です。
TOP10のうち、オレンジの点線で囲まれた4名はUUUMに所属しているクリエイターになります。
また、1位のはじめしゃちょー、2位のHikakinTVは共にUUUM所属のクリエイターであり、両者とも850万件以上の登録者数を抱えています。

登録者数ランキング

③-3 広告市場の推移

前述した通り、インターネットを介した動画広告の市場は、近年目覚ましい成長を遂げています。
UUUMは動画広告からの収益が相対的に多いビジネスモデルで事業を運営しており、近年の広告業界における市場シフトは非常に顕著です。
新聞やテレビに代表される、以前はマスメディアの中心的な存在であった市場が著しい縮小傾向である一方、YouTubeなどの動画広告市場は今後も拡大傾向であるとの見方がなされています。
以下の図は、それぞれの広告市場の成長率を比較したグラフです。

旧メディア成長率 動画広告市場

④UUUMのコスト構造

④-1 UUUMの販売管理費

以下の図は、UUUMの販売管理費の内訳を示したグラフです。
人件費に着目すると、直近の指標は横ばいに近いですが、4期を通して見るた人件費の値は5倍以上伸びていることがわかります。
また、2020年5月期の指標に着目すると、新規事業関連に費やしたコストが、他の期に比べて大きく伸びています。

 

UUUMの販管費

④-2 UUUMの営業利益の推移

以下の図は、UUUMの営業利益の推移と粗利益、販管費の関係性を表したグラフです。
概ね粗利益の動きに連動して販管費の数値が変化する流れをたどってきましたが、2020年5月期には粗利益の数値が下がった一方、販管費の数値が上昇したことで営業利益は赤字となりました。

 

営業利益

⑤UUUMの投資領域

⑤-1 吉本興業との業務提携

UUUMは、経営戦略として、より大きなクリエイターネットワークを形成することを念頭に置いてきました。
自社に所属しているクリエイターだけでなく、様々な企業との業務提携を締結することで、クリエイターの価値向上や、より多くのタイアップ企画の獲得を目指す方針です。

こうした戦略のなかで、2020年4月に締結した吉本興業との資本業務提携は大きな話題となりました。
この業務提携は、両社の強みを生かすことで、芸人やタレント、クリエイターの価値向上を目指すことを目的とした業務提携です。
以下、吉本興業との業務提携に関する記事の参考URLです。

2020年4月 吉本工業との業務提携に関する記事

 

吉本との提携

⑤-2 その他の業務提携や新規リリース

また、UUUMは2020年2月、様々なジャンルの著名人とテレビ通話を楽しむことができるアプリである「SUGAR(シュガー)」を運営するSUGAR社との業務提携を締結しました。
2020年2月の SUGAR社との業務提携に関する記事

さらに、2020年3月には、音声配信ソーシャルアプリ 「REC.」という音声コンテンツアプリのリリースを行いを行いました。このアプリは、誰もが配信者として簡単な操作で音声を録音・配信できたり、リスナーとして音声コンテンツを楽しむことができるアプリです。
2020年3月の「REC.」リリースに関する記事

 

RECリリースとSUGAR社との提携

⑤-3 最新の資金調達情報

UUUMは、2020年4月に三井住友銀行とみずほ銀行から合計15億円を借り入れると発表しています。
借り入れの目的としては、コロナウイルスの感染拡大に伴うイベントを中止や、今後の広告や物販事業で売り上げの減少を見込み、手元資金を厚くすることが目的であるとされています。
以下、借り入れに関する記事の参考URLです。

2020年4月 UUUMの借り入れについての記事

⑥UUUMの株価・時価総額推移

以下の図は、UUUMの株価の変化を表したグラフです。

UUUM株価

UUUMの2020年7月27日時点の株価は2,193円、時価総額は429億円です。
2020年5月期の通期の営業利益9.9億円に対して43.3倍という評価を受けている計算となります。

⑦UUUMの会社情報

まずはUUUMの基本情報を紹介します。
市場はマザーズで、決算月は毎年5月です。

UUUMの基本情報

会社名 UUUM(うーむ)株式会社
設立日 2013年6月27日
市場 マザーズ
証券コード 3990
業種 情報・通信業
決算期 5月
ホームページアドレス http://www.uuum.co.jp/
発行済株式総数 19,563,060株(2020年5月現在)
普通株式数 19,563,060株
資本金 787,000,000(2020年5月現在)
1単元の株式数 100株
従業員数 382 人
平均年齢 30 歳
平均年収 5,269,000 円

UUUMの沿革

UUUMは2013年にON SALE株式会社として東京都で設立され、2017年8月にマザーズへの上場を果たしました。

2013年6月 YouTuber(クリエイター)の動画を利用したオンライン販売事業を目的として、東京都渋谷区神宮前一丁目19番8号においてON SALE株式会社を設立。
2013年10月 本社を東京都渋谷区神宮前一丁目21番1号に移転。
2013年11月 uuum株式会社に商号変更。クリエイター専門のマネジメントプロダクション事業を開始。
2014年8月 クリエイターグッツ販売を開始。
2014年9月 本社を東京都港区六本木に移転。
2014年12月 UUUM株式会社に商号変更。
ゲームアプリ「Yの冒険」のリリースを開始。
2015年1月 MCNサービスを開始。
2015年7月 株式会社講談社と合同でYouTubeチャンネル「ボンボンTV」の運用を開始。
2015年11月 ファンイベント「U-FES」を初開催。
2016年10月 株式会社バンダイナムコエンターテイメントがYouTube上で運営する動画メディア「876TV」にて番組提供をスタート。
2016年12月 ゲームアプリ「青鬼2」をリリース。
2017年1月 「ボンボンTV」にて株式会社ディー・エヌ・エーと共同で運営する番組「ビタミンDe!」をスタート。
UUUMコンテンツの総合アカウント「UUUM FANS」提供開始。
2017年2月 米国Jukin Media,Inc.と共同で世界の面白動画メディア「Video Pizza」をスタート。
UUUM PAY株式会社を設立。
2017年3月 松竹芸能株式会社とオンラインタレント育成で業務提携。
2017年4月 ゲームアプリ「Youと恋する90日間」のリリースを開始。
2017年8月 東証マザーズに上場。
2017年12月 所属チャンネル数が5000チャンネルを突破。
ゲームアプリ「青鬼3」をリリース。
2018年7月 コンテンツスタジオを運営する株式会社チョコレイトと業務提携。
2018年9月 インスタグラマーと企業のマッチングを行うレモネード株式会社を吸収合併。
2018年11月 インフルエンサーマーケティングツール「influencer One」の名称を「LMND」に変更
2019年3月 ソーシャルマーケティング支援企業、株式会社ガーブーと業務提携。
2019年7月 「note」などを運営する株式会社ピースオブケイクとの業務提携。
2019年12月 TikTokクリエイターのサポートを強化するため株式会社クラージュとの業務提携。
2020年2月 Live配信アプリ「SUGAR(シュガー)」を運営するSUGAR社と業務提携。
2020年3月 音声配信ソーシャルアプリ「REC.」で「日経電子版NEWS」配信開始。
本社を「東京ミッドタウン」へ移転
2020年4月 芸人・クリエイターの価値向上を目指し吉本興業株式会社と業務提携。

 


この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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