「会社設立に必要な開業資金も集まり、必要な書類等の準備も済んだ!」
「しかし、今後の事業計画を考えると資金が足りないのでは…?」
そのような悩みがあったとしても、実は国から返済不要の援助が受けられるんです。
しかし、条件に該当するごく一部の限られた会社だけしか貰えないのではないかと思うかもしれません。
それも実は間違いです。
各省庁のみならず地方公共団体、有名企業も補助金・助成金を応募をしています。
今回は、ややこしい補助金と助成金の違いについて解説します!
さらに、2020年度最新版の起業の際に有効な補助金・助成金の募集を紹介していきます。
この記事を読めば、先送りにする必要があった起業も会社設立に動き出すことができるようになりますよ!
目次
1.補助金・助成金とは?
まず、補助金・助成金が国の行政作用としてどのようなものであるか確認していきましょう。
国家の行政作用として、規制行政と給付行政というものがあります。
規制行政とは、国民の権利や自由を制約する行政活動であり、警察や税務等がこれにあたります。
一方、給付行政とは、社会保障や補助金給付、文化・スポーツ施設等の国民へのサービスがこれにあたります。
この給付行政の中で、国家が国民の経済的利益の促進及び援助を目的として、行政から補助金や助成金といった形での援助を行っています。
従来、国家は国民の権利利益を制限することを第一次的な目的とし、それによって国家運営をしてきました。
しかし、資本主義経済の活発化及び自由主義の理念や市場原理から強い影響を受け、現在では、国家が国民に金銭的インセンティブを与える傾向にあります。
このような状況の下で、起業するために国家からの援助を活用しない手はありません。
国が主体となるものについては、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(補助金適正化法)に規定が設けられています。
また、国のみならず、地方公共団体においても地方財政法に規定がされています。
では、次に基本的な補助金と助成金の違いを理解していきましょう。
(1)補助金とは?
補助金とは、行政上の目的達成のために企業や民間団体、個人事業主に交付される金銭のことをいいます。
たとえば、クリーンエネルギーの普及を図るため、ソーラーパネルを設置する国民に補助金を支給することがあります。
起業時に焦点を当ててみると、起業を促進することによって国内の経済活動及び市場の活性化につながり、ひいては国家の発展になるため、起業時の補助金制度が設けられています。
補助金の多くは、経済産業省が管轄し、商工会議所や地方自治体など経済産業省以外の機関が実施している場合もあります。
(2)助成金とは?
助成金とは、補助金と同様に国から交付される金銭のことをいいます。
助成金は、補助金と異なり、主に厚生労働省が管轄し、地方自治体・公的団体が独自に実施している場合もあります。
(3)補助金・助成金の違い
以上のように補助金・助成金は国から金銭による援助という点において共通のものですが、注意しなければならない5つの点があります。
#1:管轄
まず、管轄が異なることに注意が必要です。
補助金は、主に経済産業省の管轄です。
しかし、助成金は、厚生労働省の管轄であることが主です。
管轄が異なれば問い合わせ先や書類の申請先等が異なるため、募集時期に制限がある補助金を申請する場合には、注意が必要です。
#2:目的
次に、補助金と助成金が存在する目的が異なります。
補助金は、経済活動の活性化を主要な目的とする場合が多く、新技術・新製品の開発、省エネ対策、地域活性化等の経費を援助することが多い傾向にあります。
一方、助成金は、主に雇用に関することを目的とします。
そのため、雇用人数の増加や質の改善、安定した雇用関係の構築等を行った場合、その経費の全部又は一部が支給されます。
#3:難易度
注意しなければならない一番の点として難易度の違いがあります。
まず、補助金は、申請の要件を満たしていることは前提として、募集された申請の中から選ばれる必要があります。
そのため、数多くの書類を準備し、申請条件を満たしていることはもちろんのこと、さらに他の企業に負けないような事業計画書を作成し、受給を勝ち取らなければなりません。
他方、助成金は、受給条件さえ満たして申請を行えば誰でも給付が受けられます。
そのため、どちらを申請するか決める際には特に注意が必要です。
#4:募集時期
募集時期についても注意しなければなりません。
補助金は、募集に期間制限があります。
そのため、募集開始に合わせて少なくとも数週間程度の間に申請を行わなければ募集が終了し、次の募集を待たなければならないことになります。
一度でも募集を逃してしまうと次の募集は来年度である場合やそもそも補助金それ自体が廃止になる場合もあります。
一方、助成金の多くは、年度ごとに内容の変化はありますが、基本的に通年を通して募集が行われており、いつでも申請することが可能です。
#5:金額
最後に、給付金額の違いがあります。
申請にあたって特に気になる点であり、会社設立に多大な影響を与える点でもあります。
まず、補助金は、総額1000万円を超えるものや億単位の支給総額である場合も数多く存在します。
しかし、助成金は数万円から100万円程度が募集金額の限度です。
このように金額の差異は、募集数の倍率にも直結するため、安易に金額の高い募集に飛びついたとしても結果として受給されないことも考えられます。
2.申請時の注意点
以上のように、補助金と助成金には金銭的援助という同じものであったとしても注意しなければならないことばかりです。
補助金は、高額な支給金額である場合が多く、例年申請数が多くなります。
また、募集期間に制限もあり、受給を受けるにはかなりの高倍率な状況であるといえます。
つまり、申請書類を準備し、申請をしたとしても確実に給付を受けることができるとは限りません。
そのため、補助金は、実際に受給されるには難しい募集であり、申請決定を得るのは一部の申請だけであるといえます。
一方、通年募集している助成金は、金額こそ少額であったとしても受給条件さえ満たしてしまえば受給をされます。
つまり申請し、その申請が認められることを待つだけの場合が数多くあります。
そのため、条件に合致し、さほど資金を必要としていないのであれば、補助金に比べ受給が容易である助成金を選ぶことも良い選択であるといえます。
そして、もう一つ注意しておかなければならないことがあります。
それは、補助金・助成金共に先払いの援助ではなく、後払いの援助であるということです。
つまり、一度は自己資産・会社資産内から支払いをしなければなりません。
そして、後ほど受給スケジュールで解説するように申請が認められ、事業が終わり、その報告をした後に無事補助金が受給されることになります。
つまり、事業計画分の資金は必要であり、実際にその事業を行い、そして事業が無事に終わり、その後やっと支払いを受けることができるということになります。
そのため、補助金・助成金頼りの資産運用は危険なものであり、あくまで補助的なものであると認識しておかなければなりません。
3.受給スケジュール
では、補助金と助成金の違いもわかり、申請時の注意点についても理解したところで、簡単に受給までのスケジュールを確認していきましょう。
たとえば、2020年4月現在の事業承継補助金であれば以下の通りとなります。
また、今年度の申請スケジュールは以下の通りです。
そして、実績報告をした後、補助金請求をし、補助金受給という流れになります。
このように、申請し、申請が認められ、交付決定したとしてもその後、実際に事業を行わなければなりません。
そして、その内容を報告し、補助金請求が認められ、やっと受給となります。
それだけではなく、補助金によっては、中間報告等もしなければならないため、スケジュールについて確認しておきましょう。
4.主な補助金
以下が、広く募集されている補助金です。
あくまで、これらは一例であるため、各地域等の募集についても合わせて探してみることをおすすめします。
参考:https://www.shokei-hojo.jp/
参考:https://r1.jizokukahojokin.info/
参考:https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/shokibo/
5.主な助成金
以下が、広く募集されている助成金です。
助成金は雇用関係についてのものが多いため、キャリアアップ助成金等が主なものとなります。
しかし、こちらも補助金と同様に各地域で独自の助成金を募集している場合も数多くあるため、各都道府県や各市町村についても探してみることをおすすめします。
参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html
参考:https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/index.html
6.まとめ
これまで解説してきたように、補助金と助成金は同じものであると誤解されがちですが、全く異なる制度です。
そのため、異なる制度の違いを明確に理解し、自分の会社や事業に合わせてどの募集に応募することがもっともよいのか考えていきましょう。
しかし、応募する募集が決まったとしても油断してはいけません。
募集によっては大量の書類を必要とし、多大な労力を必要とする場合があります。
また、他の申請に負けないような書類作成が必要となり、弁護士や司法書士に相談する必要があるかもしれません。
そのため、補助金・助成金はあくまで補助であって足りない分をそれでも補填する必要がある場合に使う制度と考えていきましょう。
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