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スタートアップ・起業家必見!税理士の正しい選び方のポイントと付き合い方

はじめに

起業した直後のスタートアップ企業やベンチャー企業であっても、決められた決算期には決算申告が必要になってきます。起業経験があれば当たり前かもしれませんが、初めての起業などの場合は、何が必要か、何をすればいいのかも分からないと思います。

税理士、会計事務所を探す際には、どのようなポイントで選ぶとよいのでしょうか。また、そもそも税理士は絶対に必要なのか疑問に思っている方も多いでしょう。一方、会計・税務のことが全く分からず、起業にあたって、不安になることも多いでしょう。

以下では、税理士の選び方や、どんなことを依頼できるのかなどについて、詳しくみていきましょう。

何を税理士に依頼すべきか?(顧問契約とスポット契約)

そもそも、起業したてのスタートアップ企業やベンチャー企業は、税理士に依頼すべきなのでしょうか。現在は、会計ソフトウェアの種類も多く、マネーフォワードやfreeeといったクラウド会計サービスなど充実しています。そのため、税理士に依頼をしなくても、自社で毎月の記帳を行うことは難しくありません。したがって、自社で記帳し、税務申告も自社で行うというのも、選択肢の一つとなるでしょう。

しかし、法人税・消費税などの税務申告は専門知識が必要とされますし、事業だけに集中したいという考え方もあります。この場合、決算書作成・税務申告などの「決算業務」だけを税理士に依頼するという方法もあります。これを「スポット契約」、スポットでの依頼などと呼んでいます。

一般的に、税理士と「顧問契約」を結び、毎月の記帳を依頼する場合でも、決算業務は別途、費用がかかる場合が多いです。そうであれば、毎月の記帳は自社で行い、決算業務である決算書作成・税務申告などだけを税理士に依頼するという方法も考えられます。この場合、税理士に毎月の資料やデータを渡して、月次のチェックを行い、どれだけの作業が必要なのかの見積もりをしてもらうことができます。場合によっては、数ヶ月分の記帳料金を請求されることもあります。期末から2ヶ月以内に納税が必要なため、決算業務のみを依頼する場合であっても、早めに税理士に相談することが必要になります。

一方、毎月の記帳を自社で行う場合であっても、「何が経費で落とせるかよくわからない」、「会計ソフトウェアの使い方がよくわからない」というようなことも考えられます。そのような場合には、税理士でなくても、毎月の記帳を「記帳代行会社」に依頼するという方法も考えられます。記帳代行会社に、領収書や請求書、売掛帳や通帳のコピーを送ると、毎月の記帳を行ってくれます。行う業務や仕分け数などによっても料金が異なるので、何をどこまで対応してくれるかも含め、依頼する記帳代行会社を検討しましょう。

スタートアップ企業やベンチャー企業などにおいては、成長スピードや環境変化のスピードが速く、1年目と2年目では、営業状況や財務状況などが全く異なってくることも考えらえれます。税理士や記帳代行会社に依頼をするかどうか、依頼する相手を切り替えるかどうかなどの検討は、毎期、行うようにしましょう。

会社設立を税理士に依頼することもできる

会社設立の手続きは、経営者自身で行うことも可能です。しかし、初めて会社設立を行う場合、税理士にアドバイスをもらいたいという方もいらっしゃるでしょう。

税理士は税務や税金の専門家であり、会社設立における登記関連業務は司法書士が専門としています。そのため、会社設立を税理士に頼む場合は、登記や許認可の手続き自体は提携している司法書士が行うなど、間接的に他の専門家が関わっていることがほとんどです。規模の大きい事務所であれば、事務所内に司法書士や行政書士がいたり、また、税理士がこれらの資格も持っていることもあります。

そのため、手続きの専門家ではない税理士にも、会社設立を依頼することが可能となります。ただし、すべての税理士が会社設立のサポートができるわけではないので注意しましょう。必ずしも全員が司法書士と提携しているわけではないので、依頼しても書類作成の手伝いまでしか行ってもらえない場合もあります。 一般的に、「顧問契約」が前提であれば、会社設立を格安で受けてくれる税理士が多くいます。いずれ、税理士と「顧問契約」をしようと考えている場合であれば、会社設立時から税理士と顧問契約を結んでおくことで、資金調達や税務申告、節税、税務調査など、税理士を必要とする場合にすぐに対応してもらえるというメリットがあります。

税理士選びのポイント

それでは、どういう税理士に依頼するのがいいのでしょうか。

以下では、税理士選びのポイントについて、まとめています。

・サービス業として「顧客目線の認識」を持っている。

・フットワークのよさ、レスポンスの速さ。

残念ながら、税理士業界は古くから規制に守られてきたため、顧客満足を追求する姿勢やサービス業としての認識が薄い税理士がいることも事実です。しかし、より良いサービスを追求している税理士が多いのも確かです。また、会社の数字を把握し、環境の変化にも対応できるスピード感があることは、今の時代には必須となるでしょう。フットワークのよさやレスポンスの速さを考慮することも重要です。

電子メールだけではなく、FBメッセンジャーなどのチャットツールでコミュニケーションが取れることもスタートアップフレンドリーだと思います。

・節税についてしっかり教えてくれる。

・資金調達に強く、経営についてのアドバイスもできる。

節税に積極的な税理士とそうでない税理士がいます。サービス業としての認識を持つ税理士は節税は顧客サービスとして当たり前だと考えています。また、依頼内容や料金によっても異なりますが、経営支援として、経営相談にのってくれる場合や、独自の資金調達のネットワークを持っているなど、税務以外のことにも取り組んでいる税理士もいますので、検討してみましょう。

特にスタートアップの場合、VCとのコネクションや公庫や保証協会を活用した資金調達の支援をしてくれることは非常に頼りになると思います。具体的な担当者名を知っているか、FBでVCとの繋がりが多いかなど調べてみるのもいいと思います。

・相性

最後に、依頼する税理士との相性がよいかどうかも大事なポイントになるでしょう。一度はきちんと面談し、確認することをおすすめします。また、親交を深めるために、一緒に食事に行くというのもいいのでしょう。

まとめ

以上、スタートアップにおける税理士の選び方についてみてきました。会社の状況に応じて、それに相応しい税理士に依頼することができるよう、検討してきましょう。

ABOUT ME
石原一樹
2013年社内弁護士としてヤフー株式会社に入社。その後、外資系法律事務所東京オフィスにて勤務し、2017年にスタートアップ・ITベンチャー企業に特化したリーガルサービスを提供するSeven Rich法律事務所(現 FAST法律事務所)を設立する。2022年6月には渥美坂井法律事務所パートナー弁護士に就任。

この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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