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【新規上場企業分析】雪国まいたけのIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

雪国まいたけの概要

雪国まいたけの基本情報

はじめに、雪国まいたけの基本情報を紹介します。
上場予定日は2020年9月17日、市場は未定、想定時価総額は928.5億円です。

会社名 株式会社雪国まいたけ
設立日 2017 年 7 月 14 日(実質上 1983 年 7 月 21 日)
上場予定日 2020 年 9 月 17 日
市場 東証1部又は東証2部(売出し条件決定後に決定する予定)
証券コード 1375
業種  水産・農林業
決算期 3月
ホームページアドレス https://www.maitake.co.jp/
発行済株式総数 39,850,000 株(2020 年 8 月 14 日現在)
上場時発行済株式総数 39,850,000 株
※新株予約権の権利行使により増加する可能性あり。
公募株数 0株
想定価格 2,330円
想定時価総額 928.5億円
(※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
資本金 100,000 千円(2020 年 8 月 14 日現在)
1単元の株式数 100株
監査人 PwCあらた有限責任監査法人
主幹事証券会社 SMBC日興証券
引受幹事証券会社 大和証券㈱

雪国まいたけの沿革

雪国まいたけは、きのこ類(まいたけ、エリンギ、ぶなしめじ、本しめじ、はたけしめじ、マッシュルーム等)の栽培と、その他きのこ加工食品の生産及び販売を事業として運営する企業です。
2000年3月に東証2部へ上場し、2015年6月に上場廃止されましたが、2020年9月に再び上場することが決定しました。

1983年7月 株式会社雪国まいたけ(旧雪国まいたけ①)を設立し、五十沢工場新設により、まいたけの生産 販売を開始
1986年6月 本社新築により、新潟県南魚沼市余川89番地に移転
1986年10月 第1バイオセンターを南魚沼市水尾新田に新設し、まいたけの生産を開始
1987年3月 東京営業所を開設
1988年1月 納豆工場を本社隣接地に新設し、納豆の製造販売を開始
1988年10月 子会社 株式会社雪国商事を設立し、当社の各センターで使用する重油等の仕入れ及び一般消費 者へガソリン等の販売を開始
1989年9月 第2バイオセンターを南魚沼市浦佐に新設し、まいたけの生産を開始
1990年4月 大平もやし店の営業権を譲受け、もやしの生産販売を開始
1991年4月 株式額面を変更(1株額面50,000円を500円へ)するため、株式会社雪国まいたけ(旧雪国まいたけ②)が旧雪国まいたけ①を吸収合併
1991年8月 子会社 有限会社今町興産を設立し、培地副原料の製造を開始
1992年4月 大阪営業所を開設
1992年8月 新本社及び本社パッケージセンターを新築移転
1994年3月 当社株式を新潟証券取引所の地域産業育成部へ上場
1994年9月 第3バイオセンターを南魚沼市新堀新田に新設し、まいたけの生産を開始
1995年9月 五泉バイオセンターを五泉市中川新字郷屋原に新設し、まいたけの生産を開始
1996年3月 加工品販売事業部(現・加工食品部)を開設
1996年5月 まいたけ水煮の自社生産による販売を開始
1996年11月 子会社 株式会社ゼネラルバイオフーズを設立し、もやしの生産部門を子会社化
1997年2月 名古屋営業所を開設
1997年4月 まいたけエキスを凝縮した健康維持食品「MDフラクション」の製造販売を開始
1998年3月 株式会社トータクを株式取得により子会社とし、加工食品の製造販売に進出
1999年7月 仙台営業所を開設
2000年3月 新潟証券取引所と東京証券取引所の合併に伴い東京証券取引所市場第二部に上場
2000年10月 子会社 ユキグニマイタケコーポレーションオブアメリカを設立し、海外事業に進出
2001年9月 子会社 株式会社平成興業を設立し、生コンクリートの製造販売を開始
2002年3月 五泉バイオセンターでぶなしめじの生産を開始
2002年5月 第4バイオセンターを南魚沼市津久野に新設し、エリンギの生産を開始
2002年6月 1単元の株式数を1,000株から100株へ変更
2003年3月 子会社 ユキグニマイタケマニュファクチャリングコーポレーションオブアメリカを設立
2003年4月 子会社 青島東冷食品有限公司を設立し、水産加工食品の製造を開始
2003年5月 広島営業所を開設
2004年6月 第5バイオセンターを南魚沼市山崎新田に新設し、ぶなしめじの生産を開始
2004年9月 子会社 株式会社平成興業が子会社株式会社ゼネラルバイオフーズを吸収合併し、同時に子会社 株式会社雪国バイオフーズに商号を変更
2005年2月 子会社 上海雪国高榕生物技術有限公司を設立し、えのき茸の生産を開始
2009年11月 「雪国やさい革命」シリーズのカット野菜の製造販売を開始
2010年2月 大和ハウス工業株式会社との資本参加契約書及び業務提携基本合意書を締結(現在は解消)
2010年11月 子会社 上海雪国高榕生物技術有限公司の出資持分全てを譲渡
2010年12月 関連会社 長春雪国高榕生物技術有限公司の出資持分70%を取得
2011年1月 滋賀パッケージセンターを滋賀県蒲生郡竜王町に新設し、もやし・カット野菜の生産及び出荷を開始
2011年12月 子会社 長春雪国高榕生物技術有限公司の出資持分を100%取得
2012年2月 子会社 長春雪国高榕生物技術有限公司の社名を雪国舞茸(長春)生物技術有限公司に変更
2014年11月 子会社 青島東冷食品有限公司の株式を青島大水食品有限公司へ譲渡
2015年2月 北海道営業所を開設
2015年6月 株式会社BCJ-22の完全子会社となり、東京証券取引所第二部における上場を廃止
2015年10月 株式会社BCJ-22を存続会社として同社と合併し、株式会社雪国まいたけに商号変更(旧雪国まいたけ③)
2016年8月 株式会社雪国バイオフーズの株式を株式会社サラダコスモへ譲渡
2017年4月 子会社 雪国舞茸(長春)生物技術有限公司の株式を譲渡
2017年7月 株式会社BCJ-27を設立
2018年1月 株式会社BCJ-28を存続会社として同社と合併し、株式会社雪国まいたけに商号変更(旧雪国まいたけ④) 株式会社BCJ-27が株式会社雪国まいたけホールディングスに商号変更(旧雪国まいたけホールディングス②)
2018年4月 株式会社雪国商事及び株式会社今町興産を吸収合併
株式会社雪国まいたけ西日本より、九州及び沖縄県における当社製品の販売事業を譲り受け、販売を開始
2018年9月 滋賀パッケージセンターにまいたけ包装課を新設し、まいたけの包装を開始
2019年1月 株式会社トータクを吸収合併
2019年3月 タカラバイオ株式会社から同社の保有する瑞穂農林株式会社(本しめじ及びはたけしめじの生産販売)及び株式会社きのこセンター金武(ぶなしめじの生産販売)の全株式を取得し、子会社化
子会社 ユキグニマイタケコーポレーションオブアメリカ及びユキグニマイタケマニュファクチ ャリングコーポレーションオブアメリカの株式を譲渡
2019年10月 有限会社三蔵農林(マッシュルームの生産販売)(2020年3月2日付にて株式会社三蔵農林へ組織変更)の全株式を取得し、子会社化
2020年2月 カット野菜及び納豆の製造出荷を終了
2020年4月 株式会社雪国まいたけホールディングス(旧株式会社BCJ-27、旧雪国まいたけホールディングス ②)を存続会社として同社と合併し、株式会社雪国まいたけに商号変更(現在の会社)

雪国まいたけの事業内容

雪国まいたけは、「国民生活の充実と食文化の繁栄に貢献すること」を基本理念とし、「安全、安心、高品質」な商品を提供するため、農薬・化学肥料を一切使用せずきのこ類の栽培、加工・販売を行う企業です。

雪国まいたけでは、株式会社雪国まいたけと子会社3社によって、

  1. 茸事業(きのこの栽培・加工・販売等)
  2. その他(健康食品の製造・販売、レストラン運営等)

の2つのセグメントの事業運営が行われています。

以下の図は、茸事業で取り扱いがなされているきのこの主な品種や、その他事業で製造販売されている主な商品を表した図です。

 

雪国まいたけ概要図

① 茸事業

「茸事業」は、雪国まいたけ全体の売上のうち、90%以上の売上に相当する事業セグメントです。
このセグメントでは、複数の種類のきのこの生産・加工・販売を行っており、雪国まいたけと3つの子会社によって運営されています。

①-1 生産の特徴

雪国まいたけでは、独自に開発した工業生産手法によりきのこ(まいたけ、エリンギ、ぶなしめじ、本しめじ、 はたけしめじ、マッシュルーム)を生産しています。
雪国まいたけで生産されるきのこ類は農薬や化学肥料は一切使用せずに栽培されていることが特徴です。
特に「まいたけ」は、茸事業の中でも中核となる商品であり、生産過程の効率化や歩留まり 向上と生産の安定化を目指した環境変化への耐性が強い新菌を導入が行われています。
雪国まいたけでは、生産工程を自動化するための「ファクトリーオートメーション(FA化)」が進められており、「ぶなしめじ」と「エリンギ」に関しては、 収穫・包装を含む殆どの工程において自動化が実現されています。
こうした独自の生産手法により、安定した生産能力、収穫、そして品質を実現している点が、雪国まいたけの「茸事業」の大きな特徴です。

①-2 きのこの市場と雪国まいたけの生産量シェア

雪国まいたけでは、きのこの国内消費量について、国内人口の減少傾向や少子高齢化が進む一方で、アクティブシニアを始めとする健康ニーズの高い消費者層のきのこ消費が増えることによって今後も概ね安定的に推移すると分析がなされています。

また、主力製品である「まいたけ」は、雪国まいたけの生産シェアが国内生産量の52%に及ぶ商品です。

雪国まいたけでは、「まいたけ」の国内消費量の見通しについて、

  1. 消費の地域差、消費の季節差、 ジェネレーションギャップが存在し、今後の成長ポテンシャルは十分に存在している。
  2. 大量生産の困難さに伴う参入障壁の高さを背景に需要過多の状態にあるため、価格が安定的に推移する。

と予測しています。

以下の図は、雪国まいたけで生産されているきのこ類の2019年3月期の生産量と2018年の国内総生産量を比較した表です。

きのこ類、生産、消費

② その他

雪国まいたけの売上の大部分は、「まいたけ」の生産を中心とした茸事業によって占められています。
一方で、雪国まいたけでは、健康食品の製造販売やレストラン運営などが2つ目のセグメントである「その他」事業として運営されています。

まいたけの成分を利用したサプリメント「MDフラクション」などが自社のオンライン商品ホームページで販売されているほか、新潟県南魚沼市において、工場直送の新鮮なきのこと南魚沼産コシヒカリが味わえる「レストラン雪国」の営業が行われています。

有価証券報告書情報

連結の経営指標(過去2期分)

3期の業績は以下の通りです。

  • 売上高:507.6億円(前年比+6.7%)
  • 税引前利益:66.5億円(前年比+5.1%)
  • 当期純利益:43.5億円
第2期 第3期
決算年月 2019年3月 2020年3月
売上高(百万円) 47,592 50,759
税引前利益(百万円) 6,321 6,646
当期純利益(百万円) 4,389 4,346
親会社の所有者に帰属する持分(百万円) 2,308 4,899
総資産額(百万円) 38,181 35,199
親会社所有者帰属持分比率 (%) 6.05 13.92
営業キャッシュフロー(百万円) 7,994 4,891
投資キャッシュフロー(百万円) △2,101 △1,994
財務キャッシュフロー(百万円) △2,946 △5,053
現金・現金同等物の期末残高(百万円) 6,617 4,461
従業員数 1,029 1,166

上記指標は、国際会計基準(IFRS)により作成されています。
雪国まいたけは、第3期より IFRSによる連結財務諸表を作成しており、第2期についても2018年4月1日を移行日としたIFRS に基づく連結経営指標等をあわせて記載しています。

参考となる経営指標(過去5期分)

2015年10月1日に旧雪国まいたけ③が旧雪国まいたけ②を吸収合併しており(実質上の 存続会社は旧雪国まいたけ②です。)、2018年1月1日に旧雪国まいたけ④が旧雪国まいたけ③を吸収合併しました。(実質上の存続会社は旧雪国まいたけ③です。)。

また、2020年4月1日に旧雪国まいたけホールディングス②(株式会社BCJ-27から商号変更)が旧雪国まいたけ④を吸収合併し(実質上の存続会社は旧雪国まいたけ④です。)、同日に「株式会社雪国まいたけ」に商号変更して現在の雪国まいたけになっております。
詳しくは、上記「雪国まいたけの沿革」を参照してください。

指標となる会社 旧雪国まいたけ③ 旧雪国まいたけ③ 旧雪国まいたけ④ 旧雪国まいたけ④ 旧雪国まいたけ④
第2期 第3期 第1期 第2期 第3期
決算年月 2017年3月 2017年12月 2018年3月 2019年3月 2020年3月
売上高(百万円) 27,008 19,727 7,717 31,340 32,889
経常利益(百万円) 2,444 2,159 704 3,634 5,031
当期純利益(百万円) 831 725 927 2,357 2,716
資本金(百万円) 100 100 100 100 100
発行済株式総数(株) 192,063 192,063 384,898 384,898 384,898
純資産額(百万円) 6,716 7,446 20,182 20,849 23,563
総資産額(百万円) 32,511 33,562 55,773 56,563 53,806
自己資本比率(%) 20.66 22.19 36.19 36.86 43.79
従業員数(人) 905 921 915 1,005 1,022

 
雪国まいたけは、2019年3月にタカラバイオからキノコ事業を譲渡され、ブナシメジの栽培技術や関係事業会社の株式などを譲られています。
タカラバイオは、世界初のブナシメジの大量栽培法などの技術を所有していましたが、バイオ関連に経営資源を集中させる目的でキノコ事業を雪国まいたけへ譲渡したとされています。
この事業譲渡に関する詳しい情報は、以下の記事URLをご参照ください。

2018年12月に発表されたキノコ事業譲渡に関する記事

さらに、雪国まいたけは、2019 年 10 月にマッシュルーム製造を行う岡山県瀬戸内市の三蔵農林を連結子会社化しました。
雪国まいたけは、自社の持つ生産技術や販売力と、三蔵農林の持つ高い生産能力やノウハウを融合させることが子会社化の目的であると発表しています。

2019年9月に発表された三蔵農林の子会社化に関する資料

株主構成

主な株主の一覧は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
Bain Capital Snow Hong Kong Limited 20,323,500 50.90% 180日
株式会社神明ホールディングス 19,526,500 48.91% 180日
足利 厳 60,700 0.15% 180日
小室 雅裕 15,200 0.04% 180日

新規上場(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

想定価格は2,330円、吸収金額(調達額)は473.5億円と予想されています。

仮条件 未発表
公募・売出価格 未発表
想定価格 2,330円
初値
公募株数 0株
売出株数 17,672,700 株
オーバーアロットメントによる売出し株数 2,650,800 株
吸収金額(調達額) 473.5億円
(※オーバーアロットメントを含む株数×想定価格で計算)

この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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