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【新規上場企業分析】アディッシュのIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

アディッシュの概要

アディッシュの基本情報

はじめにアディッシュ株式会社の基本情報を紹介します。

上場日は2020年3月26日、市場はマザーズ、想定時価総額は18.3億円、上場時の時価総額は35.2億円でした。

会社名 アディッシュ株式会社
設立日 2014年10月1日
上場日 2020年3月26日(承認日:2020年2月19日)
市場 マザーズ
証券コード 7093
業種 サービス業
決算期 12月
ホームページアドレス https://www.adish.co.jp/
発行済株式総数 1,439,500 株(2020 年 2 月 19 日現在)
上場時発行済株式総数 1,676,500 株 

※公募分を含む。
※新株予約権の権利行使により増加する可能性がある。

公募株数 237,000 株
想定価格 1,090円
想定時価総額 18.3億(※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
初値 2,101円
上場時時価総額 35.2億(※上場時発行済株式総数×初値で計算)
時価総額 60.9億(2020年8月27日現在)
資本金 80,108 千円(2020 年 2 月 19 日現在)
1単元の株式数 100 株
監査人 EY 新日本有限責任監査法人
主幹事証券会社 SBI証券
引受幹事証券会社

みずほ証券
岩井コスモ証券
SMBC日興証券
東海東京証券
エース証券
マネックス証券
藍澤證券
エイチ・エス証券
むさし証券

アディッシュの沿革

アディッシュは、2014年に東京都で設立されました。
企業のカスタマーサポート代行業務や、Webメディアの監視サービスなどを事業として運営しています。
また、アディッシュは、2020年3月に東証マザーズへ上場しました。

2014年10月 東京都品川区にアディッシュ株式会社を設立
2015年1月 アディッシュ仙台株式会社(現 アディッシュ株式会社仙台センター)、アディッシュ福岡株式会社 (現 アディッシュ株式会社福岡センター)、株式会社GaiaX Interactive Solutions(現 アディッ シュプラス株式会社)を子会社化
2016年4月 Web集客・Web接客サービス「フロントサポート」の提供開始
2016年10月 チャットボットサービス「hitobo」の提供開始
2017年1月 アディッシュ仙台株式会社、アディッシュ福岡株式会社を吸収合併
2017年8月 adish International Corporationを子会社化
2018年1月 MSIVC2016V投資事業有限責任組合、フリービットインベストメント株式会社、みずほ成長支援第2号 投資事業有限責任組合、株式会社ペイフォワードを引受先とした第三者割当増資により総額1.55億円 の資金調達
株式会社ガイアックスの属性が親会社から主要株主に変更
2020年3月 東証マザーズへ上場

アディッシュの事業内容

アディッシュは、「つながりを常によろこびに」をミッションに掲げ、ソーシャルメディアやコミュニケーションサービスを利用者にとって健全で心地よい“居場所”とすることを目的とした「カスタマーリレーション事業」を提供する企業です。

現在、インターネット上でコミュニケーションを図ることが容易になっている一方で、それに伴ういじめや嫌がらせなどの書き込みによる被害が急増しています。

アディッシュでは、このような課題を解決する事業を「カスタマーリレーション事業」として4つのサービスを運営しています。
以下は、アディッシュの主なサービスと事業系統を表した図です。

アディッシュの事業系統図

① ソーシャルアプリサポート 

ソーシャルアプリサポートは、顧客企業のユーザーからの問い合わせを、顧客企業の代行として対応するサービスです。

主な顧客企業は、IT系の企業であり、ユーザーからの電話、メール、チャットによるカスタマーサポートを行います。
IT業界の特徴は、非常に早い速度で開発がなされ、毎週のようにサービスがアップデートされることです。

また、IT関連のサービスは、ユーザー間でコミュニケーションが取れたり、サービスを提供し合ったりすることが可能であり、従来のあらかじめ定めた回答を行うという方法では、利用者の不明点や不満を即時解決することが難しいという課題が起きるなどの業界特有の課題もあるため、このような課題に応えていくため、システムを独自に開発し、顧客企業に提供を行っています。

ソーシャルアプリサポートの売上は、第5期において47.9%と全体の半数程度の売上です。

② インターネットモニタリング 

インターネットモニタリングは、 メディア上の投稿を24時間365日体制でモニタリングし、不適切なものが発見された場合には、注意、報告、警告、非表 示化等の対応を行うサービスです。
このサービスは、企業が自社のメディアとして展開する「オウンドメディア向け」と、「ソーシャルメディア向け」の2軸で展開されています。

「オウンドメディア向け」サービスは、オウンドメディア内での誹謗中傷や犯罪行為に該当する投稿をモニタリングし、必要に応じて注意、報告、警告などを行うことで、企業の名誉やメディアの質を保護することを目的としたサービスです。

一方、「ソーシャルメディア向け」サービスは、ソーシャルメディア内で顧客企業に関する投稿をモニタリングするサービスです。
このサービスの顧客企業は、主に、ソーシャルメディア内での情報を製品開発やマーケティングに生かすことを目的にサービスを利用します。

ソーシャルアプリサポートの売上は、第5期において35.7%であり、ソーシャルアプリサポートに次ぐ売上となっています。

③ スクールガーディアン  

スクールガーディアンは、いじめの可能性がある書き込みや、インターネットでの個人情報流出をモニタリングして学校における生徒指導に活かしていくサービスであり、主な顧客は、教育委員会や公立学校、私立学校法人などです。
学校に関連すると思われる書き込みをモニタリングし、問題となる投稿があった場合は、レポートにまとめて報告を行います。

④ フロントサポート  

フロントサポートは、企業がソーシャルメディアを通して行うコミュニケーションを支援するサービスです。
近年、自社商品やサービスの宣伝のために企業はソーシャルメディアへ公式アカウントの設置などを行っています。
また、広告宣伝だけでなく、企業とユーザーとの関係性の強化をするために、自社のウェブサイト等にチャットを設置し、ユーザーが抱える課題応えようとする企業も増加しています。フロントサポートは、このようにユーザーとのコミュニケーションを図る企業のために、チャットボットサービスである 「hitobo」を提供するサービスです。
このサービスには、インターネットモニタリングやカスタマーサポートで培った技術やノウハウが利用されており、顧客企業は「hitobo」を利用することでユーザーの課題に対して的確かつ効率的に対応することができます。

有価証券報告書情報

連結の経営指標(過去3期分)

第6期の業績は以下の通りです。

  • 売上高:25.0億円(前年比+15.8%)
  • 経常利益:1.4億円(前年比+203.9%)
  • 当期純利益:0.9億円(前年比+156.9%)
第4期 第5期 第6期
決算年月 2017年12月 2018年12月 2019年12月 
売上高(千円) 1,907,461 2,160,050 2,501,927
経常利益(千円) △31,558 44,567 135,428
当期純利益(千円) △21,185 35,928 92,289
純資産額(千円) 3,649 187,722 280,810
総資産額(千円) 552,561 630,173 808,885
自己資本比率 0.7% 29.8% 34.7%
営業キャッシュフロー(千円) 1,746 41,652 93,979
投資キャッシュフロー(千円) △43,307 △14,469 △32,284
財務キャッシュフロー(千円) 116,236 33,000 △8,290
現金・現金同等物の期末残高(千円) 240,517 296,215 349,171
従業員数 259人 264人 291人

 

単体の経営指標(過去5期分)

5期の業績を見ると、売上が4年で1.8倍程度増加をしています。
また、利益に関しても赤字の時期はあったものの、第6期は経常益、純利益ともに最高益となっています。

また、アディッシュは、2019年12月12日付で普通株式1株につき10株の割合で株式分割を行ったため、それに連動して発行済株式総数が増加しています。

第2期 第3期 第4期 第5期 第6期
決算年月 2016年12月 2017年12月 2017年12月 2018年12月 2019年12月 
売上高(千円) 1,341,994 1,530,239 1,886,694 2,087,292 2,402,290
経常利益(千円) △20,508 8,490 △48,253 99,190 120,655
当期純利益(千円) △19,256 6,617 △60,449 81,927 83,849
資本金(千円) 30,000 30,000 35,618 80,000 80,000
発行済株式総数 100,000 100,000 128,090 143,590 1,435,900
純資産額(千円) 40,060 46,677 △3,566 233,361 317,211
総資産額(千円) 285,516 355,633 543,271 666,458 831,495
自己資本比率 13.7% 12.8% 35.0% 38.2%
従業員数 53人 65人 121人 131人 163人

アディッシュは、2018年1月に複数の投資会社などから1.55億円の資金調達を行いました。資金調達の目的は、サービス拡大と事業強化であるとされています。
以下は、2018年の資金調達に関する詳細記事のURLです。

2018年1月の資金調達に関する記事

上場時の株主構成

上位10位までの株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
株式会社ガイアックス 691,300 41.79 180日間
江戸浩樹 205,300 12.41 180日間
MSIVC2016V投資事業有限責任組合 140,000 8.46
コロプラネクスト7号ファンド投資事業組合 125,800 7.60 180日間
株式会社モバイルファクトリー 38,700 2.34 180日間
株式会社ヴァル研究所 38,700 2.34 180日間
株式会社セレス 38,700 2.34 180日間
フリービットインベストメント株式会社 30,000 1.81
みずほ成長支援第2号投資事業有限責任組合 30,000 1.81
杉之原明子 20,400 1.23 180日間

上場時(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

公募価格は1,230円、吸収金額(調達額)は4.1億円とされています。
また初値は、2,101円となりました。

仮条件 1,110円 ~ 1,230円
公募・売出価格 1,230円
想定価格 1,090円
初値 2,101円(公募価格比+70.8%)
公募株数 237,000 株
売出株数 68,000 株
オーバーアロットメントによる売出し株数 30,000 株
吸収金額(調達額) 4.1億円(※オーバーアロットメントを含む株数×公募価格で計算)

この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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