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【新規上場企業分析】 東和ハイシステムのIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

東和ハイシステムの概要

東和ハイシステムの基本情報

はじめに、東和ハイシステム株式会社の基本情報を紹介します。
上場予定日は2020年12月25日、市場はマザーズ、想定時価総額は47.3億円です。

会社名 東和ハイシステム株式会社
設立日 1978年3月1日
上場日 2020年12月25日(承認日:2020年11月20日)
市場 JASDAQ スタンダード
証券コード 4172
業種 情報・通信業
決算期 9月
ホームページアドレス https://www.towa-hi-sys.co.jp/
発行済株式総数 1,968,000 株(2020 年 11 月 20 日現在)
上場時発行済株式総数 2,168,000 株
※公募分を含む。
公募株数 200,000 株
想定価格 2,180円
想定時価総額 47.3 億円(※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
資本金 68,000 千円(2020 年 11 月 20 日現在)
1単元の株式数 100 株
監査人 EY 新日本有限責任監査法人
主幹事証券会社 野村證券
引受幹事証券会社 SBI証券
みずほ証券
SMBC日興証券
楽天証券

東和ハイシステムの沿革

東和ハイシステムは、1978年に岡山県において設立され、創業初期はレジスターの販売をメインに展開していました。
その後、歯科医院の業務支援を目的とした事業へ進出し、現在ではその関連の事業がメイン事業として運営されています。

1978年3月 岡山県岡山市内山下一丁目に、レジスターの販売を目的とする東和レジスター岡山販売株式会社 (資本金3,500千円)を設立
1980年5月 東和レジスター中国販売株式会社に商号変更
1982年1月 社内にコンピューターシステム部を開設し、外食産業向け販売管理ソフト「OFF LINE POS SYSTEM」 の販売開始
1984年2月 岡山県岡山市今二丁目に本社を新築移転
1984年4月 接骨院向けレセプトシステム「師範代」の販売開始
1986年6月 歯科医院向けレセプトシステム「Hi Dental System」の販売開始
1987年8月 東和ハイシステム株式会社に商号変更
1992年3月 株式会社日立製作所の特約店となる
1996年4月 歯科医院向けレセプトシステムWindows版「Hi Dental for Windows」の販売開始
1999年6月 歯科医院向け電子カルテシステム「Dental Spirit」の販売開始
2001年1月 画像管理システム「画像報告書 歯医者さん」の販売開始
2001年6月 岡山県岡山市今二丁目に本社新社屋を建設
2006年11月 岡山県岡山市野田三丁目に本社を新築移転
2007年1月 歯科電子カルテ統合システム「Hi Dental Spirit」の販売開始
電子レセプト請求ソフトを搭載したパッケージとして歯科電子カルテ統合システム「Hi Dental Spirit XR」の販売開始
2009年10月 歯周・視診検査アプリ「i-DS検査」の販売開始
2010年10月 問診アプリ「i-DS問診」の販売開始
2012年8月 自費の治療提案・見積作成アプリ「i-DS自費プランナー」の販売開始
2015年1月 画像アプリ「i-DSビジュアルPro」の販売開始
2015年8月 画像アプリ「i-DSビジュアルPro」の販売開始
院内情報共有アプリ「i-DSアシスタントPro」の販売開始
2016年8月 歯科電子カルテ統合システム「Hi Dental Spirit XR-10i」の販売開始
2017年2月 予約アプリ「i-DS予約」の販売開始
2017年7月 岡山市北区今二丁目に研修・宿泊施設であるセミナーハウスを開設
2018年1月 岡山市北区野田三丁目に本社別館を取得
2020年2月 歯科医院の受付窓口の利便性を向上させるHi-Payシリーズの販売開始
2020年6月 歯科医院の来患分析を可能とするアプリ「Doctor アシスト Pro」の販売開始

東和ハイシステムの事業内容

東和ハイシステムは、「人生もロマン、経営もロマン、無限の可能性に挑戦」を経営哲学として掲げ、歯科医院向けシステムの研究開発・営業・サポートに取り組むための事業を運営しています。
メインとなる製品は、「歯科電子カルテ統合システム Hi Dental Spirit XR-10i」であり、電子カルテ機能とレセプト機能を備えた基幹システムに、歯科医院の業務効率化を推進する機能を融合させ、これらを一元的に管理・運営できるシステムです。

以下は、東和システムの事業系統を表した図になります。


東和システムの事業系統図

① 事業の特徴 

東和ハイシステムのメイン商材である「歯科電子カルテ統合システム」は、電子カルテ機能、レセプト機能に加え、インフォームドコンセント機能などを一元的に備えたシステムです。
なお、インフォームドコンセントとは、医師が患者に診療の目的や内容を十分に説明し患者の同意を得る為に、わかりやすく伝えるための説明補助という意味合いを持つ概念であるとされます。

このような機能は、カルテ記載のルールや形式が複雑であること、保険診療報酬の請求計算(レセプト)が複雑であり定期的な改定が求められること、患者に対するインフォームドコンセントの必要性の高まりなど、歯科が抱える主な悩みを反映させた機能です。

また、システムの特徴として、歯科業務の効率化とインフォームドコンセント機能に注力されており、iPadに歯周病検査の結果や口腔内写真を表示し、患者にわかりやすい説明を行うための機能や、電話応対を円滑にする「CTIシステム」、複数の iPadから同時に電子カルテ入力を可能とする「バーチャルカルテ」が付帯的なシステムとして販売されています。

② ビジネスモデル

東和ハイシステムは、仕入先メーカーから機器を仕入れ、開発したシステムを搭載することで商品とし、これを歯科医院に納品・販売するモデルで事業を運営しており、販売先である歯科医院とはリース契約を締結し、毎月のリース料を収益として計上しています。

なお、ハードウェアのメンテナンス業務は、リース料とは別であり、顧客の実費負担です。
東和ハイシステムの製品を導入している顧客数は、九州・中国・関西エリアを中心とした全国3,135の事業者となります。(2020年10月現在)

有価証券報告書情報

経営指標(過去2期分)

第42期の業績は以下の通りです。

  • 売上高:19.1億円(前年比△7.1%)
  • 経常利益:3.9億円(前年比¥△17.7%)
  • 当期純利益:2.4億円(前年比△27.8%)
第41期 第42期
決算年月 2018年9月 2019年9月
売上高(千円) 2,041,405 1,906,425
経常利益(千円) 454,896 386,356
当期純利益(千円) 303,311 237,420
純資産額(千円) 2,245,600 2,442,156
総資産額(千円) 3,004,123 2,800,234
自己資本比率 74.8% 87.2%
営業キャッシュフロー(千円) 290,400 282,152
投資キャッシュフロー(千円) 233,784 297,379
財務キャッシュフロー(千円) 83,601 △384,064
現金・現金同等物の期末残高(千円) 1,174,617 1,370,085
従業員数 136人 132人

 

経営指標(過去5期分)

過去5期の業績を見ると、売上・利益共に横ばいからタームによっては減少傾向であることがわかります。
一方、過去5期では、赤字のタームはなく、全て黒字で計上されています。

なお、第39期は決算期を2月末日から9月30日に変更を行ったため、2016年3月1日から2016年9月30日までの7か月間となっております。

第38期 第39期 第40期 第41期 第42期
決算年月 2016年2月 2016年9月 2017年9月 2018年9月 2019年9月
売上高(千円) 2,022,045 1,246,484 2,024,569 2,041,405 1,906,425
経常利益(千円) 553,356 330,617 410,568 454,896 386,356
当期純利益(千円) 301,748 167,081 330,102 303,311 237,420
資本金(千円) 40,000 68,000 68,000 68,000 68,000
発行済株式総数 80,000 82,000 82,000 82,000 82,000
純資産額(千円) 1,540,373 1,709,942 2,000,822 2,245,600 2,442,156
総資産額(千円) 2,008,509 2,189,470 2,492,173 3,004,123 2,800,234
自己資本比率 76.7% 78.1% 80.3% 74.8% 87.2%
従業員数 109人 124人 129人 136人 132人

 

株主構成

上位10位までの主要な株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
石井 滋久 1,045,200 53.11% 90日間
有限会社エス・イー 704,400 35.79% 90日間
石井 恵美子 76,800 3.90% 90日間
猪子 久美子 45,600 2.32% 90日間
石井 滋雅 31,200 1.59% 90日間
河野 圭哉 19,200 0.98% 90日間
東和ハイシステム社員持株会 15,600 0.79% 180日間
上山 政己 9,600 0.49% 90日間
丹 賢史 7,200 0.37% 90日間
髙橋 睦治 3,600 0.18% 90日間

新規上場(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

想定価格は2,180円、吸収金額(調達額)は 10.0億円と予想されています。

仮条件 未発表
公募・売出価格 未発表
想定価格 2,180 円
初値
公募株数 200,000 株
売出株数 200,000 株
オーバーアロットメントによる売出し株数 60,000 株
吸収金額(調達額) 10.0 億円 (※オーバーアロットメントを含む株数×想定価格で計算)

この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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