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【新規上場企業分析】まぐまぐのIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

まぐまぐの概要

まぐまぐの基本情報

はじめに株式会社まぐまぐの基本情報を紹介します。 上場予定日は2020年9月24日、市場はJASDAQ、想定時価総額は21.6億円です。

会社名 株式会社まぐまぐ
設立日 1999 年1月7日
上場予定日 2020年9月24日(承認日:2020年8月20日)
市場 JASDAQスタンダード
証券コード 4059
業種 情報・通信業
決算期 9月
ホームページアドレス https://www.mag2.co.jp/
発行済株式総数 2,200,000 株(2020 年 8 月 20 日現在)
上場時発行済株式総数 2,730,000 株 
※公募分を含む。 
※新株予約権の権利行使により増加する可能性がある。
公募株数 530,000 株
想定価格 790円
想定時価総額 21.6億円 (※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
資本金 100,000 千円(2020年8月20日現在)
1単元の株式数 100株
監査人 三優監査法人
主幹事証券会社 SBI証券
引受幹事証券会社

みずほ証券
SMBC日興証券
東海東京証券 
エース証券
岩井コスモ証券
水戸証券
岡三証券
マネッ クス証券
エイチ・エス証券
極東証券

まぐまぐの沿革

まぐまぐが運営するメールマガジン配信サービス「まぐまぐ!」は、1997年1月に京都市にある株式会社ユナイテッドデジタルの1事業としてスタートしました。
その後、本拠地を東京都に移しメールマガジンサービスと複数のWebメディアを運営しています。

1999年1月 メールマガジン配信サービス「まぐまぐ」(現「まぐまぐ!」)運営を事業目的として京都府京都市 下京区にて資本金1,000万円で当社を設立
1999年12月 「まぐまぐ」(現「まぐまぐ!」)の広告販売開始
2000年5月 経営基盤の強化を目的として第三者割当増資を実施(資本金3億1,000万円)
2000年7月 東京オフィス開設
2004年7月 経営基盤の強化を目的として第三者割当増資を実施(資本金3億3,312万5千円)
2004年9月 経営基盤の強化を目的として第三者割当増資を実施(資本金4億250万円)
2004年11月 東京オフィスを東京都渋谷区桜丘へ移転
2006年9月 プライバシーマークの付与認定
2008年2月 本社を京都府京都市下京区から東京都渋谷区へ移転
2014年3月 ニューホライズン キャピタル株式会社が運営するニューホライズン2号投資事業有限責任組合への 第三者割当増資を実施
2014年12月 総合ニュースWebメディア「MAG2 NEWS」サービス開始
2015年3月 金融Webメディア「MONEY VOICE」サービス開始
2015年6月 地域情報Webメディア「ジモトのココロ」サービス開始
2016年9月 記事販売プラットフォーム「mine」サービス開始
2017年9月 本社を東京都渋谷区から東京都品川区へ移転
ニューホライズン2号投資事業有限責任組合からの株式譲渡により、筆頭株主が株式会社エボラブル アジア(現 株式会社エアトリ)に異動
2018年3月 「ジモトのココロ」をリニューアルし、旅行Webメディア「TRiP EDiTOR(トリップエディター)」サー ビス開始
2019年8月 恋愛Webメディア「by them」サービス開始
2020年4月 ライブ配信機能「まぐまぐ! Live」サービス開始

まぐまぐの事業内容

まぐまぐは、「伝えたいことを、知りたい人に。」というビジョンのもと、ユーザーひとりひとりにとって価値のある最適なコンテンツを継続的に届けることを目的に事業運営を行っっています。

軸となる事業は、メールマガジンを購読者へ配信し、クリエイター(メルマガの記事執筆者やライブ配信者)と記事を購読するユーザー(会員)をつなぐ「プラットフォーム事業」と、Webメディアの運営を行い広告収入を獲得する「メディア広告事業」です。

以下は、まぐまぐで運営されている事業セグメントと事業系統を表した図になります。

  1. 「プラットフォーム事業」
  2. 「メディア広告事業」
  3. 「その他」
事業系統図

① プラットフォーム事業

「プラットフォーム事業」は、まぐまぐの創業以来の中核事業であり、メールマガジンを中心としたコンテンツ配信サービス「まぐまぐ!」や、記事販売プラットフォーム「mine」がこのセグメントで運営されています。
特に「まぐまぐ!」は1999年から20年以上に渡りメールマガジンを配信続けてきたサービスであり、2020年7月末現在でメルマガ発行総数は約6,500誌、メルマガ会員約750万人となっています。

「まぐまぐ!」

「まぐまぐ!」は、クリエイター(メルマガの記事執筆者やライブ配信者)と記事を購読するユーザー(会員)をつなぐプラットフォームサービスです。
1999年から20年以上に渡り運営されており、約750万人が会員として登録しています。
「まぐまぐ!」のプラットフォームでは、3つのタイプのサービスが運営されており、それぞれビジネスモデルが異なります。

  • 有料メルマガサービス
    「有料メルマガサービス」は、有料のメルマガを発行するクリエイターと、「まぐまぐ!」の購読者である会員を繋ぐプラットフォームサービスです。

    クリエイターは定期的にメルマガの執筆・発行を行い「まぐまぐ!」のセールスページ上へ投稿します。
    そして、読者がメルマガを購読すると、メルマガ購読料として収益が計上されます。

    運営サイドである「まぐまぐ」は、クリエイターのサポートや、プラットフォームの運営・管理を行うことで、ユーザーから課金された購読料をクリエイターと分配し収益を獲得します。

    有料メルマガ 画像
  • 無料メルマガサービス
    無料メルマガサービスは、「まぐまぐ!」のプラットフォームを利用して、無料メルマガの発行を行うクリエイターがメルマガを発行するサービスです。

    無料メルマガのクリエイターは、読者に対し無料でメルマガを配信することができますが、その場合、メルマガには広告が挿入されます。
    しかし、クリエイターがオプションである「有料配信メニュー」を利用した場合、広告が挿入されていないメルマガをユーザーへ配信できる一方、サービス使用料をまぐまぐへ支払うこととなり、クリエイターからのサービス使用料がまぐまぐの収益となります。

    そのため、「無料メルマガサービス」は、無料で読者に記事を届け、かつ広告挿入を望まない「非営利団体」や「官公庁」などの配信者に多く利用されます。

  • ライブ配信サービス
    ライブ配信サービス「まぐまぐ! Live」は、テレビの生中継のようにスマートフォンアプリやWebブラウザ上 で映像や音声をリアルタイムに配信できるサービスであり、2020年4月から運営されています。

    クリエイターは「まぐまぐ! Live」を通じて、視聴者へリアルタイムに情報を届けることが可能であり、また視聴者はLive配信中にコメント機能等を活用し、クリエイターとコミュニケーションを取ることができます。

mine

mineは、クリエイターが「記事単位の作品」を届けられるプラットフォームサービスです。

クリエイターが勢いで書いてみたことや書かなければいけなかったことなど、どうしても伝えたいメッセージを最小単位の「作品」に仕上げて、読者にいち早く届けるサービスであります。
有料メルマガと異なり、読者側では定期継続課金ではなく、購読を希望する記事単位で購入する仕様となっており、クリエイター側では、定期的な発行を必要としないという特徴を持つサービスです。

② メディア広告事業

「メディア広告事業」は、複数のWebメディアを運営する事業セグメントであり、2014年から運営が行われています。
このセグメントでは、広告による収益モデルでの運営が行われており、運営メディアの広告枠を広告主である企業に提供することで、掲載料を獲得し、収益化がなされています。
Webメディアに掲載する記事は、まぐまぐが依頼したライターによって執筆が行われ、各メディアへ掲載されます。
また、前述した無料メルマガに挿入される広告運用は、このセグメントの管轄です。

以下は、「メディア広告事業」で運営されている主なメディアの一覧です。

  • MAG2 NEWS(まぐまぐニュース)
    「まぐまぐ!」から発行されるメルマガを編集して、ニュース記事としてWebで紹介する総合ニュースメディアです。
    政治・経済・ビジネス・芸能・科学など多様なジャンルの記事が掲載されています。
  • MONEY VOICE(マネーボイス) 
    「まぐまぐ!」のマネー系メルマガからピックアップした情報のニュース記事などが紹介されている金融系Webサイトです。
    最新の経済・金融ニュースの解説を中心に株式・為替・債券・先物・不動産など投資家に役立つ情報を掲載しています。
  • TRiP EDiTOR(トリップエディター) 
    「旅も人生も、もっと楽しく編集できる」をキャッチフレーズとして、35歳以上のビジネスパーソンをメインターゲットに「旅をすること、いきること」の新たな魅力を再提案する旅行メディアです。
  • by them(バイゼム)
    「恋愛」をテーマとしたメディアとして2019年8月 に運営を開始したメディアです。
    性別・人種・考え方を問わず「恋愛」の悩みに、メルマガ「まぐまぐ!」のクリエイターたちが多角的な視点で答えていく趣旨のメディアです。

③ その他

「その他」に分類される事業セグメントでは、有料メルマガのクリエイターの活動の支援と促進を目的としたイベントの開催などが行われています。
このように、有料メルマガのクリエイターによる講演会などを定期的に開催することで、読者とクリエイターのコミュニケーションの機会を創出しています。

有価証券報告書情報

経営指標(過去2期分)

21期の業績は以下の通りです。

  • 売上高:7.1億円(前年比+14.2%)
  • 経常利益:2.1億円(前年比+13.5%)
  • 当期純利益:1.5億円(前年比△31.9%)
第20期 第21期
決算年月 2018年9月 2019年9月
売上高(千円) 624,902 713,772
経常利益(千円) 181,495 206,037
当期純利益(千円) 192,714 146,068
純資産額(千円) 623,673 769,742
総資産額(千円) 819,424 975,499
自己資本比率 76.1% 78.9%
営業キャッシュフロー(千円) 301,979 217,371
投資キャッシュフロー(千円) △18,100 △45,511
財務キャッシュフロー(千円)
現金・現金同等物の期末残高(千円) 580,532 752,392
従業員数 24人 31人

経営指標(過去5期分)

過去5期の業績を見ると、売上高は4年で1.3倍程度増加しています。
一方で、利益に関しては4年前と比較すると大幅な改善を見せており、第17期は赤字であった一方、18期以降は黒字経営を続けており、第21期は、2億円を上回る経常利益を計上しています。

第17期 第18期 第19期 第20期 第21期
決算年月 2015年9月 2016年9月 2017年9月 2018年9月 2019年9月
売上高(千円) 529,997 433,157 572,345 624,902 713,772
経常利益(千円) △11,848 6,457 42,182 181,495 206,037
当期純利益(千円) △193,315 8,653 27,546 192,714 146,068
資本金(千円) 100,000 100,000 100,000 100,000 100,000
発行済株式総数 110,000 110,000 110,000 110,000 110,000
純資産額(千円) 394,759 403,412 430,958 623,673 769,742
総資産額(千円) 566,550 551,014 583,563 819,424 975,499
自己資本比率 69.7% 73.2% 73.9% 76.1% 78.9%
従業員数 18人 24人 21人 24人 31人

セグメント別業績

第21期のセグメント別の販売実績は、以下の表の通りです。
販売実績の内訳は以下の通りで、プラットフォーム事業とメディア広告事業がメインとなっています。
また、メディア広告事業は、前年と比較して36%売上が増加しています。

  • プラットフォーム事業:47.3%
  • メディア広告事業:52.1%
  • その他事業:0.6%
指標 全体 プラットフォーム事業 メディア広告事業 その他事業
売上高(千円) 713,772 337,707 371,694 4,370
売上高前年同期比 114.2% 97.4% 136.4% 77.5%

株主構成

上位10位までの株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
株式会社エアトリ 2,111,200 85.99% 180日間
松田 誉史 70,400 2.87% 180日間
浅尾 直樹 64,800 2.64% 180日間
山川 英治 64,800 2.64% 180日間
小森 良介 60,000 2.44% 90日間
加藤 正躬 14,000 0.57%
株式会社アットウェア 12,000 0.49% 180日間
市東 聡 12,000 0.49% 180日間
堀江 大輔 6,000 0.24%
大森 慎一 4,000 0.16% 180日間

新規上場(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

想定価格は790、吸収金額(調達額)は5.4億円と予想されています。

仮条件 未発表
公募・売出価格 未発表
想定価格 790円
初値
公募株数 530,000 株
売出株数 120,000 株
オーバーアロットメントによる売出し株数 30,000 株
吸収金額(調達額) 5.4億円(※オーバーアロットメントを含む株数×想定価格で計算)

この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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