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【新規上場企業分析】Link-U(リンクユー)のIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

Link-U(リンクユー)の概要

Link-U(リンクユー)の基本情報

はじめに株式会社Link-Uの基本情報を紹介します。 上場日は2019年7月18日、市場はマザーズ、想定時価総額は114.9億円、上場時の時価総額は256.6でした。

会社名 株式会社Link-U(りんくゆー)
設立日 2013年8月20日
上場日 2019年7月18日(承認日:2019年6月13日)
市場 マザーズ
証券コード 4446
業種 マザーズ
決算期 7月
ホームページアドレス https://www.link-u.co.jp/
発行済株式総数 4,204,000 株(2019 年 6 月 13 日現在)
上場時発行済株式総数


4,455,000 株
※公募分を含む。

公募株数 251,000 株
想定価格 2,580円
想定時価総額 114.9億円 (※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
初値 5,760円
上場時時価総額 256.6億円 (※上場時発行済株式総数×初値で計算)
時価総額 269.4億円 (2020年10月21日現在)
資本金 43,450 千円(2019 年 6 月 13 日現在)
1単元の株式数 100 株
監査人 太陽有限責任監査法人
主幹事証券会社 SMBC日興証券
引受幹事証券会社 SBI証券
野村證券
極東証券

いちよし証券
エース証券
岡三証券

Link-Uの沿革

株式会社Link-Uは、2013年に東京都において設立されました。
マンガアプリの配信を主なビジネスとして展開し、2019年7月に東証マザーズに上場しています。

2013年8月 東京都千代田区飯田橋に、インターネットサービス事業を主目的として株式会社Link-U(資本金1,000千円)を設立
2014年10月 本社を千代田区飯田橋から港区六本木に移転
2014年12月 株式会社小学館との協業により、スマートフォンアプリ「マンガワン」をリリース
2015年7月 資本金を8,500千円に増資
2015年12月 資本金を13,000千円に増資
2016年6月 本社を港区六本木から港区虎ノ門に移転
2017年1月 株式会社スクウェア・エニックス提供のスマートフォンアプリ「マンガUP!」をリリース
2017年8月 株式会社白泉社提供のスマートフォンアプリ「マンガPark」をリリース
2018年1月 資本金を28,225千円に増資
2018年7月 資本金を43,450千円に増資
2018年10月 本社を港区虎ノ門から千代田区神田駿河台に移転
2019年7月
東京証券取引所マザーズ市場に株式を上場

 

Link-Uの事業内容

Link-Uは、「世の中の課題を技術で解決する」という経営理念を掲げ、自社で設計したオリジナルサーバーを運用する事業を展開しています。
以下は、Link-Uのビジネス構造を表した図です。

Link-Uのビジネスモデルのイメージ

Link-Uの提供するサービスは、上記のオリジナルサーバーを活用したサービスです。
また、サービス領域は「リカーリングサービス」、「初期開発・保守開発サービス」の2つが主要なサービスとなります。

① リカーリングサービス     

「リカーリングサービス」は、Link-Uの持続的な収益基盤として計上される月額固定費用(サブスクリプション)による収益とパートナー企業と売上を分配することで計上されるレベニューシェアによって構成される事業です。

Link-Uでは、リカーリングサービスとして、電子書籍配信サービスに注力されており、このサービスはパートナー企業と共同で運用され、自社サーバーから配信される漫画アプリの提供を行う事業となります。

リカーリングサービスが運用に関わる代表的な漫画アプリは、小学館が提供する「マンガワン」やスクエア・エニックスが提供する「マンガUP!」、白泉社によって提供される「マンガPark」が該当します。
また、他社との差別化を図るためオリジナルサーバーを活用する技術を利用することで、アプリ上で動画コンテンツや小説コンテンツなども併せて配信されている点が特徴です。

マンガアプリの主な収益構造は、ユーザーからの課金と広告収入によって構成されており、ユーザー課金と広告料に基づく収益から分配されたレベニューシェアと、サーバー利用料をはじめとした月額固定費用がパートナー企業から支払われます。

以下の図は、リカーリングサービスの収益構造を表した図です。
上の図がレベニューシェア収益構造、下の図は月額固定費用の収益構造を表しています。

リカーリングサービスの収益構造 リカーリングサービス、月額固定費用の図

 

② 初期開発・保守運用サービス

「初期開発・保守開発サービス」は、リカーリングサービスの案件獲得を目的として、顧客企業の開発を請け負うサービスです。
このサービスでは、取引先の新規サービス立ち上げ時や既存サーバーからの乗り換え時に、サーバーやアプリケーションの開発、システム導入後の保守運用などを実施します。

また、このサービスの主な目的は、リカーリングサービスの拡大による持続的な成長につなげることであるとされています。
顧客ニーズを把握した開発を行い、保守運用で安定的なサービス運用を提供することで、取引先からの信頼を獲得し、リカーリングサービス案件を獲得することがこの事業のミッションです。

有価証券報告書情報

経営指標(過去3期分)

2019年7月期の経営指標の数値は以下の通りです。

  • 売上高:10.9億円(前年比+77.9%)
  • 経常利益:3.9億円(前年比+84.8%)
  • 当期純利益:2.7億円(前年比+82.4%)
第4期 第5期 第6期
決算年月 2017年7月 2018年7月 2019年7月 
売上高(千円) 628,803 610,247 1,085,759
経常利益(千円) 279,424 211,082 389,982
当期純利益(千円) 166,267 149,168 272,131
純資産額(千円) 341,647 551,715 1,475,041
総資産額(千円) 577,399 729,002 1,781,181
自己資本比率 59.2% 75.7% 82.8%
営業キャッシュフロー(千円) 151,512 74,143 443,085
投資キャッシュフロー(千円) △21,476 △42,734 △108,804
財務キャッシュフロー(千円) 58,434 24,536 609,890
現金・現金同等物の期末残高(千円) 397,182 453,127 1,397,299
従業員数 18人 26人 45人

 

経営指標(過去5期分)

過去5期の業績を見ると、売上高は、第2期と比較して約12倍に増加しており、概ね右肩上がりに推移しています。
また、利益に関しても5期で10倍以上に成長しており、5期の間に赤字のタームは一度もありません。
なお、Link-Uは、2015年7月23日付で普通株式1株につき18株、2016年7月30日付で普通株式1株につき10株、2017年7月28日付で普通株式1株につき10株、2019年2月20日付で普通株式1株につき20株の株式分割実施しています。

第2期 第3期 第4期 第5期 第6期
決算年月 2015年7月 2016年7月 2017年7月 2018年7月 2019年7月 
売上高(千円) 89,117 390,725 628,803 610,247 1,085,759
経常利益(千円) 34,266 187,148 279,424 211,082 389,982
当期純利益(千円) 23,085 127,145 166,267 149,168 272,131
資本金(千円) 8,500 13,000 13,000 43,450 369,047
発行済株式総数 2,000 20,600 206,000 210,200 4,455,000
純資産額(千円) 39,233 175,379 341,647 551,715 1,475,041
総資産額(千円) 70,885 354,007 577,399 729,002 1,781,181
自己資本比率 55.4% 49.5% 59.2% 75.7% 82.8%
従業員数 5人 15人 18人 26人 45人

 

上場時の株主構成

上位10位までの株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
松原 裕樹 1,800,000 40.72% 180日間
山田 剛 1,800,000 40.72% 180日間
株式会社メディアシーク 400,000 9.05% 90日間
前田 有幾 120,000 2.71% 180日間
株式会社セレス 42,000 0.95% 継続保有
株式会社ACCESS 42,000 0.95% 継続保有
井上 裕貴 26,000 0.59% 90日間
広畑 壮一郎 26,000 0.59% 90日間
村上 航規 26,000 0.59% 90日間
友野 拓也 26,000 0.59% 90日間

上場時(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

公募価格は2,820円、吸収金額(調達額)は15.2とされています。 また初値は、5,760となりました。

仮条件 2,580円 ~ 2,820円
公募・売出価格 2,820円
想定価格 2,580円
初値 5,760円 (公募価格比+104.3%)
公募株数 251,000 株
売出株数 262,000 株
オーバーアロットメントによる売出し株数 76,900 株
吸収金額(調達額) 15.2億円(※オーバーアロットメントを含む株数×公募価格で計算)

 


この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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