ファイナンス

【新規上場企業分析】東名のIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

東名の概要

東名の基本情報

はじめに、株式会社東名の基本情報を紹介します。 上場日は2019年4月3日、市場はマザーズ、想定時価総額は79.0億円、上場時の時価総額は100.9億円でした。

会社名 株式会社東名
設立日 1997年12月12日
上場日 2019年4月3日(承認日:2019年2月28日)
市場 マザーズ (のちに東証一部へ市場変更)
証券コード 4439
業種 情報・通信業
決算期 8月
ホームページアドレス https://www.toumei.co.jp/
発行済株式総数 2,100,000 株(2019 年 2 月 28 日現在)
上場時発行済株式総数 2,400,000 株 ※公募分を含む。
公募株数 300,000 株
想定価格 3,290円
想定時価総額 79.0億円(※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
初値 4,205円
上場時時価総額 100.9億円 (※上場時発行済株式総数×初値で計算)
時価総額 86.7億円 (2020年12月16日 現在)
資本金 65,972 千円(2019年2月28日 現在)
1単元の株式数 100 株
監査人 仰星監査法人
主幹事証券会社 東海東京証券
引受幹事証券会社 みずほ証券 SBI証券 楽天証券 岡三証券 極東証券 いちよし証券 エース証券

東名の沿革

株式会社東名は、1997年に三重県において、株式会社東名三重として設立されました。 販売代理店業務を創業初期から展開し、2019年には東証マザーズ及び名証セントリックスへ上場、2020年には東証及び名証一部へ市場変更を実施しています。

1997年12月 通信回線サービスの取次などの業務を目的として株式会社東名三重(現 株式会社東名)を設立 (三重県四日市市八田二丁目1170番地、資本金1,000万円)
1998年3月 ビジネスホン、通信端末機器などの販売を開始し、情報通信機器販売を事業化
1999年3月 本社を四日市市羽津町16番18号に移転
2001年9月 商号を株式会社東名に変更
2004年2月 本社を四日市市八田二丁目1番39号に移転
2004年12月 札幌第一コールセンタを札幌市中央区北五条西に開設(その後、札幌第二コールセンタに統合)
2005年4月 株式会社岐阜レカム(連結子会社)を設立
2005年8月 名古屋支店を名古屋市中村区名駅南一丁目に開設
2006年2月 札幌第二コールセンタ(現 札幌コールセンタ)を札幌市中央区南一条西に開設
2006年12月 名古屋支店を名古屋市中村区名駅三丁目に移転
2007年12月 広島営業所を広島市中区立町に開設
2008年5月 福岡営業所を福岡市博多区博多駅中央街に開設
2008年8月 レカム株式会社の子会社である株式会社コムズ(連結子会社)の発行済株式の80%を取得し子会社化
2009年10月 来店型ショップによる保険取次業務を開始
2009年11月 株式会社コムズの発行済株式の20%を取得し完全子会社化
2011年5月 プライバシーマーク認証取得
2012年12月 LED照明器具の販売開始
2013年2月 新宿支店を東京都新宿区西新宿に開設
2015年2月 西日本電信電話株式会社と光コラボレーションモデルに関する契約を締結
2015年3月 東日本電信電話株式会社と光コラボレーションモデルに関する契約を締結
2015年4月 光回線の販売を開始
2016年1月 東燃ゼネラル石油株式会社(現 ENEOS株式会社)と電力販売代理店契約を締結し、電力販売取次サービスを開始
2018年4月 名古屋支店を名古屋市西区名駅二丁目に移転
2019年4月 東京証券取引所マザーズ及び名古屋証券取引所セントレックスに株式を上場
2020年4月 電力の小売を開始
2020年7月 東京証券取引所市場第一部及び名古屋証券取引所市場第一部に市場変更

 

東名の事業内容

東名は、「お客様に感動と満足を提供し続けます。」を経営理念に掲げ、中小企業・個人事業主をメイン顧客として、回線の販売やネットワーク機器などの販売、保険商品の取次業務を運営する企業です。 東名では、「オフィス光119事業」、「オフィスソリューション事業」、「ファイナンシャル・プランニング事業」の3つのセグメント運営が行われており、以下は東名の主要事業と事業系統を表した図になります。

  1. オフィス光119事業
  2. オフィスソリューション事業
  3. ファイナンシャル・プランニング事業

  東名の事業系統図  

(1) オフィス光119事業     

「オフィス光119事業」は、全国の中小企業・個人事業主を対象に、光回線やプロバイダを中心としたオリジナルブランド「オフィス光119」を販売する事業セグメントです。 この事業のサービスは、NTT東日本やNTT西日本が提供している光回線をベースに自社サービスを付加することでより機能性を高めたサービスとなります。 東名の強みは、創業以来蓄積した100万社を超える膨大な顧客データベースから、固定電話、インターネット回線の開設、Wi-Fiスポットの設置、通信環境の見直しなどの通信インフラに関する知識やノウハウであり、このような強みを生かし、中小企業・個人事業主が本業に集中する環境を構築するためのサポートをすることが業務の主要な目的です。

(2) オフィスソリューション事業     

「オフィスソリューション事業」は、情報通信機器やオフィス向け電化製品の販売、web関連のサービスを提供する事業セグメントであり、3つのサービスが運営されています。 「情報通信機器販売」では、ビジネスホンやウイルス対策機器、ネットワーク対応型複合機の販売が手がけられており、岐阜地区の中小企業や首都圏の事業者向けに販売が行われています。 エコソリューション」は、LED照明器具・業務用エアコンなどのオフィス向け家電製品を愛知・岐阜・三重の東海三県と関東地方などの中小企業を中心に販売するサービスです。 また、「Webサービス」は、企業のPR用ホームページを全国の中小企業にレンタルするサービス「レン太君」の営業事業を運営する部門です。

(3) ファイナンシャル・プランニング事業     

「フィナンシャル・プランニング事業」は、来店型ショップによる保険の取次業務を行う事業セグメントです。 東名は、当初、フランチャイズ加盟店として「みつばち保険ファーム」・「みつばちほけん」として営業していましたが、フランチャイズ本部の組織変更に伴い、2020年8月に「保険見直し本舗」へブランドを変更を行い、愛知・静岡に8店舗を展開しています。 なお、東名では、「その他の事業」として、自社保有の賃貸住宅用マンションから賃料収入を得る不動産賃貸業を運営しています。

有価証券報告書情報

連結の経営指標(過去3期分)

第23期の連結指標の数値は以下の通りです。

  • 売上高:115.2億円 (前年比+6.1%)
  • 経常利益:9.2億円 (前年比+41.1%)
  • 当期純利益:6.1億円 (前年比+19.8%)
第21期 第22期 第23期
決算年月 2018年8月 2019年8月 2020年8月
売上高(千円) 9,894,542 10,855,064 11,517,190
経常利益(千円) 416,819 654,615 923,581
当期純利益(千円) 578,183 510,577 611,926
純資産額(千円) 2,480,489 3,896,007 4,669,256
総資産額(千円) 5,487,942 7,118,709 7,647,615
自己資本比率 45.2% 54.7% 61.1%
営業キャッシュフロー(千円) 302,135 741,162 396,281
投資キャッシュフロー(千円) △146,519 △7,024 8,052
財務キャッシュフロー(千円) 784,402 42,204
現金・現金同等物の期末残高(千円) 1,551,731 3,070,271 3,516,810
従業員数 315人 339人 329人

 

単体の経営指標(過去5期分)

過去5期の業績を見ると、売上高は、第19期と比較して約2.6倍に増加しており、右肩上がりの成長を続けています。 また、利益に関しては、第19のみ赤字でしたが、その後は概ね増益を続けている傾向です。 また、東名は、2018年12月14日付で普通株式1株につき200株の割合で、また、2020年1月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を実施しており、2020年7月には、マザーズから東証及び名証一部への市場変更を行っています。

第19期 第20期 第21期 第22期 第23期
決算年月 2016年8月 2017年8月 2018年8月 2019年8月 2020年8月
売上高(千円) 4,287,989 7,335,181 9,302,979 10,327,647 11,030,905
経常利益(千円) △850,586 76,021 319,329 568,729 864,709
当期純利益(千円) △857,790 67,101 506,199 456,709 577,132
資本金(千円) 65,972 65,972 65,972 519,992 605,155
発行済株式総数 10,500 10,500 10,500 2,400,000 7,327,500
純資産額(千円) 1,433,751 1,508,722 2,027,111 3,388,762 4,127,217
総資産額(千円) 3,638,853 4,220,341 4,977,685 6,558,578 7,059,882
自己資本比率 39.4% 35.7% 40.7% 51.7% 58.5%
従業員数 179人 202人 288人 310人 308人

 

主要なセグメント別の業績

以下は、東名のセグメント別の指標です。 「オフィス119番事業」が全体売上の8割を占めるメイン事業となっています。 また、売上高の身長率に比べ、セグメント利益が大きく増加している点が特徴です。 なお、「その他事業」に関しては、数値が過小であるためセグメント別の業績からは除いて記載しています。

  • オフィス光119事業:83.0%
  • オフィスソリューション事業:14.6%
  • フィナンシャル・プランニング事業:2.3%
指標 全体 オフィス光119 事業 オフィス ソリューション 事業 フィナンシャル・ プランニング事業
売上高(千円) 11,517,190 9,563,568 1,678,050  264,682
前年同期比 106.1% 106.9% 101.6%  107.5%
セグメント利益(千円) 1,071,190 251,433  53,855
前年同期比 149.1% 123.5%  138.1%

 

上場時の株主構成

上位10位までの株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
山本 文彦 1,729,600 78.69% 180日間
株式会社エフティグループ 200,000 9.10% 90日間
日比野 直人 81,000 3.69% 180日間
株式会社三重銀行 40,000 1.82% 90日間
東名従業員持株会 28,200 1.28%
直井 慎一 28,000 1.27% 180日間
関山 誠 22,000 1.00% 180日間
ジャパンベストレスキューシステム株式会社 20,000 0.91% 90日間
水口 博信 7,000 0.32% 継続保有
水嶋 淳 7,000 0.32% 継続保有

上場時(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

公募価格は3,290円、吸収金額(調達額)は13.2億円とされています。 また初値は、4,205となりました。

仮条件 3,130円 ~ 3,290円
公募・売出価格 3,290円
想定価格 3,290円
初値 4,205円(公募価格比+27.8%)
公募株数 300,000 株
売出株数 50,000 株
オーバーアロットメントによる売出し株数 52,500 株
吸収金額(調達額) 13.2 億円(※オーバーアロットメントを含む株数×公募価格で計算)

 


この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
ブロックを追加