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【新規上場企業分析】インフォネットのIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

インフォネットの概要

インフォネットの基本情報

はじめに株式会社インフォネットの基本情報を紹介します。
上場日は2019年6月25日、市場はマザーズ、想定時価総額は26.0億円、上場時の時価総額は66.1億円でした。

会社名 株式会社インフォネット
設立日 2002年10月15日
上場日 2019年6月25日(承認日:2019年5月22日)
市場 マザーズ
証券コード 4444
業種 情報・通信業
決算期 3月
ホームページアドレス https://www.e-infonet.jp/
発行済株式総数 1,627,500 株(2019 年 5 月 22 日現在)
上場時発行済株式総数 1,927,500 株
※公募分を含む。
公募株数 300,000 株
想定価格 1,350円
想定時価総額 26.0億円 (※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
初値 3,430円
上場時時価総額 66.1億円(※上場時発行済株式総数×初値で計算)
時価総額 29.5億円 (2020年10月29日現在)
資本金 53,000 千円(2019 年 5 月 22 日現在)
1単元の株式数 100 株
監査人 太陽有限責任監査法人
主幹事証券会社 SBI証券
引受幹事証券会社 SMBC日興証券
藍澤證券
極東証券
岩井コスモ証券
東洋証券
むさし証券
エイチ・エス証券
岡三証券
丸三証券
東海東京証券
エース証券

 

インフォネットの沿革

インフォネットは、2000年5月に福井県福井市においてWEBサイト及びシステムの受託開発を行う個人事業を起源として、その後、2002年10月に、「有限会社インフォネット」として設立しました。
その後、2004年の増資に伴い現在の「株式会社インフォネット」に商号を変更いたしましし、事業を拡大しつつ2019年6月に東証マザーズに上場しました。

2002年10月 WEBサイト及びシステムの受託開発を目的とする会社として、福井県坂井市に、現在の株式会社 インフォネットの前身である「有限会社インフォネット」を設立
2004年6月 増資に伴い「株式会社インフォネット」に組織変更
2006年4月 東京都品川区に営業拠点として東京オフィスを開設
2006年12月 本社社屋を建設し、ソフトパークふくい(福井県坂井市)へ本社移転
2007年5月 東京都中央区へ東京オフィスを移転
2007年8月 ISO9001・ISO27001の認定を本社及び東京の2拠点で取得
2007年12月 WEBサイトコンテンツ管理システム「infoDNN」を開発
2008年1月 マイクロソフトITベンチャー支援プログラム準認定企業に採択
2011年1月 infoDNNをメジャーバージョンアップし「infoCMS」として販売開始
2011年10月 本社登記を東京オフィス(東京都中央区)へ変更
2013年1月 社員数増加により本社を移転(東京都中央区)
2016年2月 社員数増加により本社を移転(東京都千代田区)
2016年5月 infoCMSをメジャーバージョンアップし「infoCMS9」として販売開始
2017年6月 株主の変更に伴い、株式会社インフォネット・ホールディングスが設立され100%子会社となる
2017年10月 株主の変更に伴い、株式会社フォーカスの子会社となる
2018年2月 人工知能(AI)を活用した進化するAIチャットボット「Q&Ai」を開発
2018年5月 佐賀県佐賀市と事業所設置及び事業実施に係る進出協定を締結
2018年7月 佐賀支社開設
2019年6月 東京証券取引所マザーズに株式を上場
公募増資による新株式発行により、株式会社フォーカスが「その他関係会社」となる。
2019年12月 音声入力AIレポーティングシステム「Repotti」を開発
2020年4月 スプレッドシステムズ株式会社の株式を取得し完全子会社化
2020年6月 経済産業省「IT導入補助金2020」における「IT導入支援事業者採択」
2020年6月 大阪支社を開設

 

インフォネットの事業内容

インフォネットは、『すぐれたWEB・IT技術やプロダクトをお客様の成果に寄り添い提供することで、 人々の生活を豊かにする』ことを企業理念とし、顧客企業のWEBサイトの構築やWEBサイトの運用メンテナンスの代行業務を請け負う事業を運営する企業です。

インフォネットの中核となるサービスは、WEBサイトを構成する文書や画像などの素材を統合し体系的な管理を可能とするプログラム(CMS)である「infoCMS」となります。

また、WEBサイト運用を補助ための周辺商品である、顧客管理システム「info CRM」、人工知能搭載型チャットボットシステム(文章や音声で自動的に返答や会話を行うプログラム)「Q&Ai」、人工知能搭 載型データ解析システム(音声や文章で入力されたデータを自動的に分類・変換・登録を行うプログラム)「Repotti」なども開発・提供が行われています。

以下は、インフォネットの主要なサービスと事業系統を表した図です。

事業系統図

① info CMS     

info CMSは、Webサイトを構成する文書や画像などの素材を統合し体系的な管理を可能とするプログラム(CMS)として提供されるインフォネットの主軸となるシステムです。

従来、Webサイトの更新にはエンジニアリングなどの専門的な知識が必要とされていたため、更新作業は、金銭的、時間的コストが多く発生する業務となっていました。
しかし、CMSを導入することで、専門知識が必要となる処理は全てシステム側で行われるようプログラムが組み込まれており、専門知識がなくとも一般的なPCの操作のみで、誰もが容易に更新作業を行うことが可能となります。 
info CMSは、このように企業が抵コストでWebサイトの運用が可能となるようなシステムとなっており、企業が保有する多種多様なWebサイトに導入可能な設計がなされています。

また、通常、Webサイト構築や運用メンテナンスは、ニーズに合わせて個別に導入する必要がありますが、インフォネットのサービスではこれら全ての業務をインフォネットのみで完結できるように提供することが可能な体制で業務運営が行われており、インフォネットの特徴となります。
以下は、info CMSの業務関係を表した図です。

info CMS

② その他の製品

インフォネットのCMSサービスは、顧客のWebサイト運用に関わる課題に対してあらゆるニーズに応えるため、info CMSを主軸としながら、複数のweb周辺業務に関わるサービスを提供しています
以下は、インフォネットが運営するinfo CMSでカバーできる領域以外をカバーするWebサイト運用するためのサービスです。

info CRM

CRMシステムとは顧客管理システムを示し、一般的に顧客との関係を構築・管理するための管理システムの一つとされています。

info CRMは、顧客管理機能だけでなく、顧客情報と社員情報を結び付け、営業支援や広報・マーケティング業務の支援機能などが組み込まれているシステムとなっています。
また、info CRMは、Webサイトからの問い合わせ、資料請求や、受発注データを顧客情報とともに直接CRMにデータ連携することができるため、Webサイト経由で吸収された情報を一元管理することができます。

info CRMの事業系統図

Q&Ai

Q&Aiは、AIを利用した文章解析とディープラーニングを活用したAIチャットボットです。
Q&Aiの特徴は、Webサイトと連携し、サイト訪問者が求める情報を的確かつ柔軟に提供する仕組みが組み込まれており、進化型のAIチャットボットであるといえます。

このように顧客にとって利便性の高いチャットボットは、サービスの向上、窓口の担当者の負荷軽減を実現、Q&Aiがユーザーの生の声を収集することで、質問のログデータを把握・分析することが可能となり、Webマーケティング分野で活用することが可能となります。

Repotti

Repottiは、ユーザーが音声発信したデータの文章解析や意味理解を行い、吸収した情報を適切な管理システムへの振り分けるシステムです。

労働人口減少や働き方改革が進んでいる中、企業や団体での業務効率化は最大のテーマとなっています。
「Reoptti」のようにユーザーが音声やテキストデータで入力されたコンテンツやデータをAIが解析し、よりタイムリーに、より正確に、より簡単に、顧客管理システムなどのデータベースに振り分けるシステムを利用することで、顧客企業は、業務効率化や生産性向上を目指すことができます。

repottiのモデル

有価証券報告書情報

経営指標(過去3期分)

第18期の経営指標の数値は以下の通りです。

  • 売上高:7.6億円(前年比△10.2%)
  • 経常利益:0.07億円
  • 当期純利益:0.005億円
第16期 第17期 第18期
決算年月 2018年3月 2019年3月 2020年3月
売上高(千円) 752,191 844,611 766,396
経常利益(千円) 163,049 171,105 6,633
当期純利益(千円) 110,618 109,615 479
純資産額(千円) 302,714 412,330 824,049
総資産額(千円) 541,220 699,640 1,044,648
自己資本比率 55.9% 58.9% 78.8%
営業キャッシュフロー(千円) △65,751 151,365 △46,762
投資キャッシュフロー(千円) △1,423 △13,290 △8,055
財務キャッシュフロー(千円) 26,728 △9,268 398,926
現金・現金同等物の期末残高(千円) 133,343 262,149 606,257
従業員数 70人 73人 76人

 

経営指標(過去5期分)

過去5期の業績を見ると、売上高は、売上、利益とも第17期を境に上場後大幅に減収減益となりました。

また、インフォネットは、決算期を12月31日から3月31日に変更した影響で、第14期は2015年1月1日から2016年3月31日の15か月間とされています。

なお、当社は2017年12月1日付けで普通株式1株につき1,000株の株式分割を、2019年3月9日付で普通株式1株につき3.5株の株式分割を実施しました。

第14期 第15期 第16期 第17期 第18期
決算年月 2016年3月 2017年3月 2018年3月 2019年3月 2020年3月
売上高(千円) 762,853 709,636 752,191 844,611 766,396
経常利益(千円) 92,261 145,633 163,049 171,105 6,633
当期純利益(千円) 62,469 43,146 110,618 109,615 479
資本金(千円) 28,000 28,000 53,000 53,000 53,000
発行済株式総数 440 440 465,000 1,627,500 1,927,500
純資産額(千円) 92,536 142,095 302,714 412,330 824,049
総資産額(千円) 364,550 551,188 541,220 699,640 1,044,648
自己資本比率 25.4% 25.8% 55.9% 58.9% 78.8%
従業員数 66人 66人 70人 73人 76人

 

上場時の株主構成

上位10位までの株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
株式会社フォーカス 1,146,250 63.28% 180日間
株式会社アライアンスパートナー 262,500 14.49% 180日間
株式会社ベクトル 87,500 4.83%
株式会社パスファインダー 77,000 4.25% 180日間
岸本 誠 45,500 2.51% 180日間
SEホールディングス・アンド・インキュベーションズ株式会社 35,000 1.93% 180日間
Link Asia Capital株式会社 17,500 0.97% 180日間
日下部 拓也 10,500 0.58%
南嶋 将人 10,500 0.58%
東間 大 10,500 0.58%

上場時(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

公募価格は1,490円、吸収金額(調達額)は7.8億円とされています。 また初値は、3,430となりました。

仮条件 1,350円 ~ 1,490円
公募・売出価格 1,490円
想定価格 1,350円
初値 3,430円 (公募価格比+130.2%)
公募株数 300,000 株
売出株数 200,000 株
オーバーアロットメントによる売出し株数

75,000 株

吸収金額(調達額) 7.8億円(※オーバーアロットメントを含む株数×公募価格で計算)

 


この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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