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【新規上場企業分析】HENNGE(ヘンゲ)のIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

HENNGE(ヘンゲ)の概要

HENNGE(ヘンゲ)の基本情報

はじめにHENNGE株式会社の基本情報を紹介します。上場日は2019年10月29日、市場はマザーズ、想定時価総額は160.6億円、上場時の時価総額は216.1でした。

会社名 HENNGE(へんげ)株式会社
設立日 1996年11月5日
上場日 2019年10月8日(承認日:2019年9月2日)
市場 マザーズ
証券コード 4475
業種 情報・通信業
決算期 9月
ホームページアドレス https://hennge.com/jp
発行済株式総数 15,388,000 株(2019 年 9 月 2 日現在)
上場時発行済株式総数 15,438,000 株
※公募分を含む
※新株予約権の権利行使により増加する可能性がある  
公募株数 50,000 株
想定価格 1,040円
想定時価総額 160.6億円 (※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
初値 1,400円
上場時時価総額 216.1億円(※上場時発行済株式総数×初値で計算)
時価総額 1066.5億(2020年9月30日現在)
資本金 330,800 千円(2019 年 9 月 2 日現在)
1単元の株式数 100株
監査人 有限責任監査法人トーマツ
主幹事証券会社 野村證券
引受幹事証券会社 クレディ・スイス証券
大和証券
いちよし証券
エース証券
岡三証券
丸三証券
SBI証券 
マネックス証券

HENNGEの沿革

HENNGE株式会社は、1996年に有限会社ホライズン・デジタル・エンタープライズとして設立しました。 
現在は、企業に対してクラウド関連のシステム運用をサポートする事業を中核として運営しています。
HENNGEは、2019年に現在の社名に名称を変更し、同年10月に東証マザーズへ上場しました。

1996年11月 東京都三鷹市において、有限会社ホライズン・デジタル・エンタープライズを設立
1997年11月 株式会社ホライズン・デジタル・エンタープライズに組織変更
2007年5月 商号を株式会社HDEに変更
本店所在地を東京都渋谷区南平台町16番28号へ移転
2007年12月 ISMSの国際規格ISO27001認証取得
2011年3月 HDEメールサービスの販売開始
2014年1月 HDEメールサービスの名称を「HDE One」に変更
2015年6月 大阪市北区に大阪ブランチオフィスを開設
2016年8月 名古屋市中村区に名古屋ブランチオフィスを開設
2016年10月 台湾に台灣惠頂益股份有限公司を設立
2018年8月 福岡市博多区に福岡ブランチオフィスを開設
2019年2月 商号をHENNGE株式会社に変更
「HDE One」の名称を「HENNGE One」に変更
「HENNGE Workstyle」の販売開始
2019年4月 「Chromo Education」の販売開始
2019年6月 「HENNGE One」新ライセンス体系にて販売
2019年10月 東京証券取引所マザーズ市場に株式を上場

HENNGEの事業内容

HENNGE株式会社は、テクノロジーの解放 (Liberation of Technology)で世の中を変えていく。をビジョンに掲げ、法人がクラウドサービスをより安全に効率的に利用するためのサービスの開発・提供を行う企業です。

「クラウド」とは、従来ハードウェアとしてデータの保存などに使用されるサーバーをインターネット上の「クラウド」というサーバーを利用することによって保存することを可能にしたシステムであり、近年、様々なタイプのクラウドサービスが多くの企業によって利用されています。

クラウドによって、ユーザーはサーバーがなくてもインターネット環境さえあればいつでも保存しているデータにアクセスすることが可能となり、クラウドを利用することでサーバーやソフトウェアを導入する必要がなくなるため、データの保存や管理を低コストで運用関ます。

HENNGEは、クラウドサービスに関連した「HENNGE One事業」と「プロフェッショナル・サービス及びその他事業」の2軸で事業運営を行っており、以下は、HENNGEの事業系統を表した図です。

HENNGEの事業系統図

① HENNGE One事業  

HENNGE One事業が運営する「HENNGE One」は、企業が様々なクラウドサービスを利用する際に、アクセス制限や、メールの管理などを行うことで、企業がクラウドサービスを利用する際の利便性や安全性をサポートする企業向けSaaSです。

SaaSとは、Software as a Service(サービスとしてのソフトウェア)の略称であり、利用者がソフトウェアを直接インストールして利用するのではなく、 インターネット上のクラウド経由で利用するサービスを意味します。

また、SaaS型で提供されるサービスは、年間契約や月額課金制によって運用されるため、企業が安定的な収益を獲得する上で効果的なビジネスモデルであるといえます。

以下は、「HENNGE One」で提供される主要な機能です。

  • HENNGE Access Control
    「HENNGE Access Control」とは、クラウドサービスにアクセスする際のアクセス制御を行うことができる機能です。
    この機能を利用することで、ユーザーIDの統合や二要素認証機能などのアクセス制御機能を付加することが可能となり、不正アクセスのリスクから企業が利用するクラウドサービスを守ることができます。

  • HENNGE Secure Browser

    「HENNGE Secure Browser」とは、データを端末に残すことなく、クラウドサービスにアクセスすることができる機能です。
    文書ファイル、メール添付ファイルなどを端末に保存させない事で、デバイスの紛失やウイルス感染などによる情報漏洩を防いだり、ブラウザに表示されているテキストのコピーを禁止し、情報漏洩の可能性を低減させることができます。

  • HENNGE Email DLP

    「HENNGE Email DLP」は、メールの誤送信の抑止を行うことができる機能です。
    クラウド型メールサービスと連携し、メールフィルタリング、メール監査、添付ファイルのZIP暗号化などのメールセキュリティ機能をクラウド上で提供する機能となります。

  • HENNGE Email Archive
    「HENNGE Email Archive」は、送受信メールの保管や検索などを行うことができる機能の1つです。
    この機能を活用することで、送受信された全てのメールデータを保管や、メールや添付ファイルなどの日本語検索や、必要に応じて全てのアーカイブされたメールの閲覧、転送やダウンロードができるようになります。

  • HENNGE Secure Transfer
    「HENNGE Secure Transfer」とは、大容量のファイルを安全に組織内外に対して送受信することができる機能です。
    この機能によって、ファイル送信者はダウンロード用パスワードを生成、ダウンロード有効期間を指定することで組織の内外の個人へのファイル送信を安全に行うことや、組織内外から大容量ファイルを送信してもらうことが可能となります。

    HENGGE One

② プロフェッショナル・サービス及びその他事業 

「プロフェッショナル・サービス及びその他事業」では、企業がメールを使用する際の生産性向上や効率化に貢献し、メールを安全に大量かつ高速に配信するためのサービスが展開されています。
この事業で運営されているサービスは、主に以下の2つです。

  • 「Customers Mail Cloud」

    「Customers Mail Cloud」は、メールを携帯・PC・スマートフォンに大量かつ高速に配信するクラウド型のメール配信サービスです。
    このサービスは、企業が大量のメールを配信する際の遅延や不達の防止を目的としたシステムとなります。
    「Customers Mail Cloud」をネットワーク経由で利用することで、企業は専用のシステムを構築することなく、大量かつ高速なメール配信を実現することができます。

  • 「HDE Mail Application Server #Delivery」/ 「HDE Mobile MTA」

    「HDE Mail Application Server #Delivery」と「HDE Mobile MTA」はメールを携帯・PC・スマートフォンに安全に大量かつ高速に配信するためのオンプレミスのメール配信パッケージソフトウエアです。

    オンプレミスとは、クラウドとは異なる従来型の実際に設置するタイプのサーバーシステムのことであり、これらのサービスは、独自システムを保有する企業や銀行、自治体などに利用されています。

    「HDE Mail Application Server #Delivery」は、ATMの引き出し通知など、送信を絶対に止める事ができないようなメールの配信を実現するシステム基盤です。

    また「HDE Mobile MTA」は、携帯電話キャリア向けに特化した高速メール配信サーバであり、送信元の身元を明らかにする技術などを利用することで、より確実なメール配信を実現するためのシステムであり、主に防災通知などに利用されます。

有価証券報告書情報

連結の経営指標(過去3期分)

第23期の業績は以下の通りです。

  • 売上高:34.3億円(前年比+20.8%)
  • 経常利益:1.8億円(前年比△23.5%)
  • 当期純利益:1.1億円(前年比△12.2%)
第21期 第22期 第23期
決算年月 2017年9月 2018年9月 2019年9月 
売上高(千円) 2,225,762 2,834,900 3,426,851
経常利益(千円) 155,384 219,258 177,513
当期純利益(千円) 172,421 123,331 109,897
純資産額(千円) 450,604 583,525 691,294
総資産額(千円) 1,761,770 2,315,415 2,603,200
自己資本比率 25.6% 25.2% 26.6%
営業キャッシュフロー(千円) 516,780 536,031 227,025
投資キャッシュフロー(千円) △97,907 △53,291 △156,595
財務キャッシュフロー(千円) 10,000
現金・現金同等物の期末残高(千円) 1,311,008 1,804,065 1,874,179
従業員数 125人 134人 154人

 

単体の経営指標(過去5期分)

過去5期の業績を見ると、売上は4年間で約2.5倍の成長しています。
また、利益に関しては、第19期は赤字で計上されていたものの、第20期以降は黒字に転換し、その後はタームによって変動はあるものの、黒字の状態をキープしています。
なお、2019年8月14日付で普通株式1株につき2,000株の株式分割を実施しています。

第19期 第20期 第21期 第22期 第23期
決算年月 2015年9月 2016年9月 2017年9月 2018年9月 2019年9月 
売上高(千円) 1,337,819 1,723,683 2,225,646 2,833,067 3,422,244
経常利益(千円) △15,936 82,527 175,133 248,661 205,423
当期純利益(千円) △16,328 66,602 192,170 73,713 137,807
資本金(千円) 325,800 325,800 325,800 325,800 325,800
発行済株式総数 7,644 7,644 7,644 7,644 15,388,000
純資産額(千円) 213,676 280,244 472,459 556,196 693,952
総資産額(千円) 1,014,609 1,239,961 1,781,083 2,283,911 2,604,265
自己資本比率 21.1% 22.6% 26.5% 24.4% 26.7%
従業員数 89人 107人 122人 131人 151人

上場時の株主構成

上位10位までの株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
小椋 一宏 4,488,000 27.61% 90日間
宮本 和明 2,394,000 14.73% 90日間
永留 義己 2,230,000 13.72% 90日間
株式会社ブイ・シー・エヌ 960,000 5.91% 90日間
太陽生命保険株式会社 874,000 5.38%
HENNGE従業員持株会 844,000 5.19% 180日間
佐野 力 782,000 4.81%
株式会社サンブリッジコーポレーション 758,000 4.66% 90日間
投資事業組合オリックス11号 496,000 3.05% 90日間
大和企業投資株式会社 374,000 2.30% 90日間

上場時(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

公募価格は1,400円、吸収金額(調達額)は15.6とされています。 また初値は、2,001となりました。

仮条件 1,200円 ~ 1,400円
公募・売出価格 1,400円
想定価格 1,040円
初値 2,001円 (公募価格比+42.9%)
公募株数 50,000 株
売出株数 1,258,000 株
オーバーアロットメントによる売出し株数 196,200 株
吸収金額(調達額) 15.6億円(※オーバーアロットメントを含む株数×公募価格で計算)

この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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