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【新規上場企業分析】ヘッドウォータースのIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

概要

基本情報

はじめに、株式会社ヘッドウォータースの基本情報を紹介します。 上場予定日は2020年9月29日、市場はマザーズ、想定時価総額は20.7億円です。

会社名 株式会社ヘッドウォータース
設立日 2005年11月1日
上場日 2020年9月29日(承認日:2020年8月24日)
市場 マザーズ
証券コード 4011
業種 情報・通信業
決算期 12月
ホームページアドレス https://www.headwaters.co.jp/
発行済株式総数 822,800 株(2020年8月24日現在)
上場時発行済株式総数 922,800 株
※公募分を含む。
※新株予約権の権利行使により増加する可能性がある。
公募株数 100,000 株
想定価格 2,240円
想定時価総額 20.7億円 (※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
資本金 243,866 千円(2020 年 8 月 24 日現在)
1単元の株式数 100株
監査人 有限責任 あずさ監査法人
主幹事証券会社 みずほ証券
引受幹事証券会社


SBI証券
大和証券
楽天証券
松井証券 
東海東京証券
極東証券
あかつき証券

沿革

株式会社ヘッドウォータースは、2005年に東京都で株式会社スマートビジョンテクノロージーというソフトウェア企業としてスタートしました。
2014年からは、ロボット領域に参入し、AIを利用したシステムの開発・提供を中核としたビジネスモデルで事業を行っています。

2005年11月 東京都新宿区西新宿にソフトウェア開発を目的とした、株式会社スマートビジョンテクノロジー(資本金10百万円)を設立
2007年8月 株式移動によりバリストライド株式会社の子会社となる
2007年10月 本社を東京都新宿区新宿一丁目に移転
商号を「株式会社ヘッドウォータース」に変更
2008年3月 当社代表取締役である篠田庸介への第三者割当増資に伴いバリストライド株式会社から独立
2008年11月 東京都新宿区新宿に合弁企業として株式会社東忠ヘッドウォータースを設立(持株比率50%)
2009年11月 ISMS情報セキュリティマネジメントシステム ISO/IEC27001の認証を取得
2010年1月 本社を東京都新宿区新宿二丁目に移転
2010年3月 Life Time Technologies Co.,Ltd. (ベトナム)の株式を一部取得(持株比率16.1%)
2011年10月 カンボジアに合弁企業としてJCIT Co.,Ltd.を設立(持株比率60.0%)
2014年6月 ロボットアプリ制作サービスを開始
2014年10月 ベトナムに合弁企業としてIELOVE Vietnam Co.,Ltd.を設立(持株比率49.0%)
2014年12月 ベトナムに合弁企業としてSPORTSONE VIETNAM COMPANY LIMITEDを設立(持株比率34.0%)
2015年1月 「Pepperサービス」「Pocket Work Mateサービス」を開始
2015年4月 株式会社東忠ヘッドウォータースを閉鎖
2015年7月 JCIT Co.,Ltd.の全株式を譲渡
2016年3月 クラウドロボティクスサービス「SynApps」をリリース
2016年5月 SPORTSONE VIETNAM COMPANY LIMITEDの全株式を譲渡
2016年8月 IELOVE Vietnam Co., Ltd.を譲渡
2016年9月 Life Time Technologies Co.,Ltd.の全株式を譲渡
2018年1月 マルチAIプラットフォーム「SyncLect」をリリース

事業内容

ヘッドウォータースは、「エンジニアからビジネスパーソンへ」をビジョン掲げ、AIを活することで経営課題を解決することを目的とした、「AIソリューション事業」を運営する企業です。

創業時は、エンジニアの派遣やシステムの受託開発を行うソフトウェア開発事業を行っていましたが、2014年からは、Pepperをはじめとする人型ロボット向けのAIアプリケーション開発をスタートさせました。

現在は、システム開発とAIソリューション開発の経験を組み合わせ、AI技術を利用した総合コンサルティング企業としての立ち位置で業務運営を行っています。

以下の図は、ヘッドウォータースの主軸となる2つのサービスと、事業系統を表した図です。

  1. インテグレーションサービス
  2. OPSサービス
ヘッドウォータース 事業系統

 

① インテグレーションサービス

ヘッドウォータースで提供されているインテグレーションサービスは、企業の経営課題をITやAIのシステム開発を通して解決することを目的とした事業です。
インテグレーションサービスは、

  • 顧客の業務を分析し、AIが活用される部分を把握したうえで既存業務にAIを組込む「AIインテグレーションサービス」
  • 顧客企業のIT化を支援し、企業のデジタル化を推進するために、アナログからデジタルへの業務・サービス変換を行う「DX(デジタルトランスフォーメーション)サービス」

の2軸で事業運営がなされています。

①-1 AIインテグレーションサービス

AIインテグレーションサービスは、顧客の業務を分析し、AIが活用される部分を把握したうえで既存業務にAIを組込む業務を行うサービスです。
ヘッドウォータースでは、スマートスピーカーやドローンにAIを組み込む事で高度な作業を人の代わりに行わせるなど、顧客が事業でAIを適切に活用できるように、スマートスピーカーやドローンにAIを組込む業務や、アプリケーションなどのその周辺機器の開発を行っています。
また、AIインテグレーションサービスでは、AI開発における基盤となる、AIのアルゴリズム自体はMicrosoftやGoogleの様なAIプラットフォーマーが既に提供しているサービスを活用することで開発期間やコストを抑え、AIの組込み業務に特化する形での業務が行われています。

①-2 DX(デジタルトランスフォーメーション)サービス 

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、企業がデータとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルの変革を目指すことを意味します。

AI技術は高度な先端技術ですが、AI導入を導入する場合、導入企業の前提条件として、企業はデジタル化をある程度進めておく必要があります。アナログの体制から、そのままAI導入に踏み切ることはできないからです。

DXサービスは、このようにIT化が進んでいない企業のIT化を支援し、企業のデジタル化を推進するサービスであり、主な業務は、アナログからデジタルへの業務やサービスの変換作業やシステムのクラウド化などです。

また、企業のデジタル化をサポートするDXサービスの最終的な狙いは、企業に対して将来的にAIを導入できる土壌を形成することであるといえます。

② OPSサービス 

OPSサービスでは、主にインテグレーションサービスで開発したシステムの改善、保守業務が行われています。

インテグレーションサービスは、顧客へのAIシステムの組込み作業や、アナログからデジタルへの移行を支援する導入型のサービスであった一方、OPSサービスは、システムのカスタマイズやメンテナンスなどシステム導入後に行われるサービスです。

AIシステムの障害予測、障害時に必要とされる自動対応機能の提供や、システムのメンテナンスなどがOPSサービスの主な業務となります。

有価証券報告書情報

経営指標(過去2期分)

15期の業績は以下の通りです。

  • 売上高:10.7億円(前年比+14.3%)
  • 経常利益:1.2億円(前年比+136.3%)
  • 当期純利益:1.0億円(前年比+130.4%)
第14期 第15期
決算年月 2018年12月 2019年12月
売上高(千円) 933,880 1,067,746
経常利益(千円) 51,377 121,381
当期純利益(千円) 43,472 100,153
純資産額(千円) 282,442 382,595
総資産額(千円) 479,433 560,512
自己資本比率 58.9% 68.3%
営業キャッシュフロー(千円) 12,993 212,145
投資キャッシュフロー(千円) △4,631 △10,878
財務キャッシュフロー(千円) △21,031 △10,008
現金・現金同等物の期末残高(千円) 211,574 402,838
従業員数 71人 70人

経営指標(過去5期分)

5期の業績を見ると、売上高は概ね横ばいではありますが、第15期の売上高は過去5期で最高額となっています。
利益に関しては、第12期までは赤字の状態が続いていましたが、第13期以降は黒字転換しており、その後は経常利益、純利益ともに右肩上がりで増加を続けています。

第11期 第12期 第13期 第14期 第15期
決算年月 2015年12月 2016年12月 2017年12月 2018年12月 2019年12月
売上高(千円) 1,005,433 830,628 922,377 933,880 1,067,746
経常利益(千円) △91,011 △129,175 19,542 51,377 121,381
当期純利益(千円) △106,423 △129,917 17,204 43,472 100,153
資本金(千円) 48,741 143,741 243,866 243,866 243,866
発行済株式総数 2,820 3,580 4,114 4,114 4,114
純資産額(千円) △38,566 21,515 238,970 282,442 382,595
総資産額(千円) 242,531 274,443 426,311 479,433 560,512
自己資本比率 △15.9% 7.8% 56.1% 58.9% 68.3%
従業員数 100人 79人 74人 71人 70人

ヘッドウォータースは、2016年9月と2018年1月に資金調達を行っています。
調達金額は、2016年が1.9億円、2018年が2億円とされており、資金調達の目的はエンジニアの採用強化やサービスラインナップの拡大であると発表されています。
以下は、2度の資金調達についての詳細について説明した記事URLです。

2016年9月の資金調達に関する記事

2018年1月の資金調達に関する記事

株主構成

上位10位までの株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
篠田 庸介 568,800 59.98 180日間
プライムロック2号投資事業有限責任組合 91,000 9.60 90日間
プライムロック1号投資事業有限責任組合 80,000 8.44 90日間
株式会社ベクトル 64,000 6.75 90日間
トリプルワン投資事業組合 21,600 2.28 90日間
株式会社チェンジ 16,400 1.73 180日間
疋田 正人 15,000 1.58
萱沼 武広 15,000 1.58
株式会社IBJ 10,600 1.12 90日間
畠山 奨二 9,000 0.95

新規上場(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

想定価格は2,240円、吸収金額(調達額)は2.6億円と予想されています。

仮条件 未発表
公募・売出価格 未発表
想定価格 2,240円
初値
公募株数 100,000 株
売出株数 15,000 株
オーバーアロットメントによる売出し株数
吸収金額(調達額) 2.6億円 (※オーバーアロットメントを含む株数×想定価格で計算)

この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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