目次
ランサーズの概要
ランサーズの基本情報
はじめにランサーズ株式会社の基本情報を紹介します。上場日は2019年12月16日、市場はマザーズ、想定時価総額は139.5億円、上場時の時価総額は130.6億円でした。
会社名 | ランサーズ株式会社 |
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設立日 | 2008年4月1日 |
上場日 | 2019年12月16日(承認日:2019年11月13日) |
市場 | マザーズ |
証券コード | 4484 |
業種 | 情報・通信業 |
決算期 | 3月 |
ホームページアドレス | https://www.lancers.co.jp/ |
発行済株式総数 | 13,905,100 株(2019 年 11 月 13 日現在) |
上場時発行済株式総数 | 15,505,100 株 ※公募分を含む。 ※新株予約権の権利行使により増加する可能性がある。 |
公募株数 | 1,600,000 株 |
想定価格 | 900円 |
想定時価総額 | 139.5億円 (※上場時発行済株式総数×想定価格で計算) |
初値 | 842円 |
上場時時価総額 | 130.6億円(※上場時発行済株式総数×初値で計算) |
時価総額 | 201.7億円 (2020年9月14日現在) |
資本金 | 1,138,125 千円(2019 年 11 月 13 日現在) |
1単元の株式数 | 100株 |
監査人 | 有限責任監査法人トーマツ |
主幹事証券会社 | 大和証券 |
引受幹事証券会社 |
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ランサーズの沿革
ランサーズ株式会社は、2008年に神奈川県川崎市で株式会社リートとして創業し、クラウドソーシングサービス「Lancers」をメイン事業として運営してきました。
また、ランサーズは、2019年12月に東証マザーズへ上場しました。
2008年4月 | 個のエンパワーメントを実現することを目的として株式会社リートを神奈川県川崎市に設立 |
2008年12月 | クラウドソーシングサービス「Lancers」リリース |
2009年8月 | 業務拡張のため本社を神奈川県鎌倉市に移転 |
2010年12月 | 簡単な作業を依頼できるサービス「Lancers タスク」リリース |
2012年5月 | 商号をランサーズ株式会社に変更 |
2013年2月 | 東京大学と自動検知に関する共同研究を実施 |
2013年6月 | 業務拡張のため本社を東京都渋谷区に移転 |
2014年1月 | 法人向けの一括業務委託サービス「Lancers for Business」(現「Lancers Outsourcing」)リリース 株式会社インテリジェンス(現 パーソルキャリア株式会社)との業務提携を実施 |
2014年2月 | KDDI株式会社との業務提携を実施 |
2015年3月 | フリーランス実態調査を開始 |
2015年9月 | 地方自治体向けサービス「エリアパートナープログラム」(現「Lancers AREA PARTNER」)開始 |
2015年12月 | 初の海外現地法人「Lancers Philippine Crowdsourcing Inc.」の営業を開始 |
2016年4月 | セミナーやフリーランス交流のためのコワーキングスペース「新しい働き方LAB(ラボ)」を渋谷に新設 スキルやサービスのECマーケット「ランサーズストア」リリース |
2016年6月 | コンテンツマーティングとクリエイターマネジメントシステム「Quant」リリース |
2016年8月 | 株式会社セガゲームス セガネットワークス カンパニーと、デジタルマーケティング支援の合弁会社「クロシードデジタル株式会社」を設立 |
2016年12月 | 弊社サービスに関する品質向上委員会を設置 |
2017年4月 | 子会社「クオント株式会社」を新設分割により設立 京都大学とAIに関する共同研究を開始 |
2017年5月 | 副業・兼業に関する「働き方新時代の実態調査」を開始 |
2017年7月 | 一般社団法人シェアリングエコノミー協会の認証を取得 |
2017年10月 | プロフェッショナルフリーランス向けサービス「Lancers Top」(現「Lancers Agent」)リリース 一般社団法人クラウドソーシング協会の優良事業者認定を取得 |
2017年11月 | パラフト株式会社(現 ランサーズエージェンシー株式会社)を完全子会社化 |
2018年4月 | クロシードデジタル株式会社に係る合弁を解消 |
2018年5月 | 新生銀行株式会社と連携し、フリーランス向けクレジットカード「FreCa」を開発・発行 |
2018年6月 | クオント株式会社をグリー株式会社に譲渡 確定申告や請求書作成等の会社機能をフリーランスに提供するサービス「Freelance Basics」リリース |
2018年7月 | オンラインアシスタントサービス「Lancers Assistant」をリリース |
2018年11月 | パーソルホールディングス株式会社と合弁会社を設立し、オンデマンドマッチングプラットフォーム「シェアフル」をリリース |
2019年5月 | 大企業向けサービス「Lancers Enterprise」をリリース シクロマーケティング株式会社を完全子会社化 |
2019年8月 | KDDI株式会社との業務提携を解消 |
2019年12月 | 東京証券取引所マザーズに株式を上場 |
ランサーズの事業内容
ランサーズは、「テクノロジーで誰もが自分らしく働ける社会をつくる」をビジョンに定め、インターネットを利用して、雇用形態に依存しない「働き方の変革」を実現することを目的とした事業を運営しています。
ランサーズの事業は、仕事を発注する企業と仕事を受注する個人(ランサー)を繋ぐプラットフォーム事業です。
受発注される仕事の種類は多岐に渡りますが、システム開発・運用、デザイン・クリエイティブ制作及び記事作成などランサーの専門スキルを活かすことのできる仕事がメインとなっています。
以下は、ランサーズのビジネスモデルを図式化した事業系統図です。
① オンラインスタッフィングプラットフォーム領域
オンラインスタッフィングプラットフォーム領域は、企業側が特定のランサーに仕事を依頼する形態のサービスです。
この領域で依頼(発注)される仕事は、ランサーが担う業務の専門性が高く、クライアントによる依頼単価が高いことが特徴の仕事が多くなっていることが特徴であり、依頼内容としては、システム開発・運用、デザイン・クリエイティブ制作及び記事作成などがメインの業務となります。
また、オンラインスタッフィングプラットフォーム領域では、以下の2つの方法で業務依頼が行われます。
フリーランスに直接発注がなされるサービス (プロジェクト方式)
プロジェクト方式のサービスは、オンライン上で、クライアントと個人が直接マッチングするサービスです。
クライアントの依頼(発注)に対して、ランサーから見積り(納期や予算等)が提案され、クライアントは見積りや評価・実績から1名(1社)を決定して、案件を開始します。また、進捗確認・納品・支払いは、「Lancers」の「プロジェクト管理」から行うことができます。
プロジェクト方式では報酬を「固定報酬」と「時間報酬」から選択することが可能です。
「固定報酬」とは依頼(発注)された仕事が最終的に完了した時点で、予め決めた額の報酬が支払われる形の契約あり、「時間報酬」は、ランサーが実際に仕事に対して時給で対価を支払う方法となります。
ランサーズはプラットフォームサービスの提供にあたり、クライアントの依頼金額に伴う取扱手数料を売上高として計上します。
人が介在し、厳選フリーランスを紹介するサービス
(Lancers Agent)
「Lancers Agent」は、ランサーズがクライアントに対してフリーランス人材を紹介するサービスです。
企業とランサーとの間にランサーズのエージェントが介在し、企業のニーズやランサーのスキルを加味してマッチングを図ります。
また、「Lancers Outsourcing」などのサービスもランサーズのエージェントが介在するサービスとして運営されています。
このサービスは、依頼内容の要件定義ができない、適切なランサーの見つけ方が分からない等といった理由で「Lancers」での直接依頼が困難な企業や大量・複雑な案件を一括で依頼(発注)したいクライアントの依頼を引き受ける法人向けのサービスです。
単純なルーティン作業から専門的なスキルを必要とするサービスまで様々な領域の業務をランサーズが一括して請け負い、「Lancers」上でフリーランスに再委託する形で業務が行われています。
② クラウドソーシング領域
クラウドソーシングは、不特定多数のランサーに仕事を依頼(発注)する形態のサービスです。
この領域では、データ入力や記事作成、デザイン(ロゴ)制作など、比較的依頼単価が低い案件が主流となります。
クラウドソーシング領域では1人のランサーが異なるタスクを同時に進めたり、1つの業務を複数のランサーによって進められる方式が採用されており、業務のハードルはプロジェクト方式よりも相対的に低い作業がメインです。
また、ランサーズはプラットフォーム領域と同様に、クライアントの依頼金額に伴う取扱手数料を売上高として計上します。
有価証券報告書情報
連結の経営指標(過去3期分)
第12期の業績は以下の通りです。
- 売上高:34.7億円(前年比+37.7%)
- 経常利益:△3.3億円
- 当期純利益:△3.5億円
期 | 第10期 | 第11期 | 第12期 |
決算年月 | 2018年3月 | 2019年3月 | 2020年3月 |
売上高(千円) | 1,910,656 | 2,522,476 | 3,474,652 |
経常利益(千円) | △351,693 | △93,681 | △328,706 |
当期純利益(千円) | △354,393 | △17,629 | △353,269 |
純資産額(千円) | 1,010,936 | 993,331 | 1,714,605 |
総資産額(千円) | 2,381,346 | 2,348,204 | 3,145,392 |
自己資本比率 | 42.5% | 42.3% | 54.5% |
営業キャッシュフロー(千円) | △100,344 | △156,147 | △353,399 |
投資キャッシュフロー(千円) | △112,815 | 96,310 | △225,051 |
財務キャッシュフロー(千円) | 709,962 | 150,000 | 902,018 |
現金・現金同等物の期末残高(千円) | 1,638,492 | 1,728,774 | 2,052,384 |
従業員数 | 141人 | 129人 | 154人 |
単体の経営指標(過去5期分)
過去5期の業績を見ると、4年間で売上は約1.5倍増加しています。
他方、利益面に関しては、毎期のように赤字を計上しており、第19期の赤字額は5年間で過去最高の水準となっています。
このことから、上場や資金調達、従業員数の増加というファクトなども加味すると、ランサーズのサービスは、現段階では投資フェーズであり、利益を生み出せる体制を構築する前の段階であることが予想されます。
また、ランサーズは、2019年8月27日付で普通株式1株につき100株の株式分割を実施しています。
期 | 第15期 | 第16期 | 第17期 | 第18期 | 第19期 |
決算年月 | 2015年12月 | 2016年12月 | 2017年12月 | 2018年12月 | 2019年12月 |
売上高(千円) | 1,336,262 | 1,859,269 | 1,342,033 | 1,999,796 | 2,034,572 |
経常利益(千円) | △274,314 | △227,292 | △287,442 | △88,264 | △323,883 |
当期純利益(千円) | △276,356 | △230,467 | △296,340 | △90,856 | △336,173 |
資本金(千円) | 638,088 | 638,088 | 1,138,125 | 1,138,125 | 1,675,405 |
発行済株式総数 | 128,354 | 128,354 | 139,051 | 139,051 | 15,505,100 |
純資産額(千円) | 581,545 | 344,871 | 1,084,050 | 993,194 | 1,731,580 |
総資産額(千円) | 1,551,616 | 1,769,595 | 2,381,199 | 2,267,577 | 2,884,374 |
自己資本比率 | 37.5% | 19.5% | 45.5% | 43.8% | 60.0% |
従業員数 | 82人 | 108人 | 106人 | 109人 | 112人 |
ランサーズは、2017年12月にパーソル、新生銀行からサービス拡大を主な目的とした10億円の資金調達を実施し、資本業務提携を締結しています。
以下は、この資金調達に関する記事の詳細URLです。
上場時の株主構成
上位10位までの株主は、以下の通りです。
株主 | 所有株式数 | 比率 | ロックアップ |
秋好 陽介 | 8,686,900 | 56.79% | 180日間 |
グロービス4号ファンド投資事業有限責任組合 | 1,371,300 | 8.97% | – |
KDDI株式会社 | 827,500 | 5.41% | – |
Globis Fund Ⅳ, L.P. | 801,400 | 5.24% | – |
パーソルホールディングス株式会社 | 748,800 | 4.90% | 180日間 |
GMO VenturePartners 3 投資事業有限責任組合 | 424,800 | 2.78% | – |
株式会社新生銀行 | 320,900 | 2.10% | 180日間 |
AT-I投資事業有限責任組合 | 165,400 | 1.08% | – |
山田 勝 | 135,000 | 0.88% | 180日間 |
パーソルキャリア株式会社 | 132,300 | 0.86% | – |
上場時(IPO)の募集・売出し情報
公募・売出し・調達額情報
公募価格は730円、吸収金額(調達額)は21.9億円とされています。 また初値は、842円となりました。
仮条件 | 660円 ~ 730円 |
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公募・売出価格 | 730円 |
想定価格 | 900円 |
初値 | 842円(公募価格比+15.3%) |
公募株数 | 1,600,000 株 |
売出株数 | 1,008,700 株 |
オーバーアロットメントによる売出し株数 | 391,300 株 |
吸収金額(調達額) | 21.9億円(※オーバーアロットメントを含む株数×公募価格で計算) |