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【新規上場企業分析】サイバー・バズのIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

サイバー・バズの概要

サイバー・バズの基本情報

はじめに株式会社サイバー・バズの基本情報を紹介します。
上場日は2019年9月19日、市場はマザーズ、想定時価総額は68.4億円、上場時の時価総額は136.8でした。

会社名 株式会社サイバー・バズ
設立日 2006年4月3日
上場日 2019年9月19日(上場日:2019年8月16日)
市場 マザーズ
証券コード 7069
業種 サービス業
決算期 9月
ホームページアドレス https://www.cyberbuzz.co.jp/
発行済株式総数 3,051,500 株(2019 年 8 月 16 日現在)
上場時発行済株式総数 3,421,500 株
※公募分を含む。
※新株予約権の権利行使により増加する可能性がある。
公募株数 370,000 株
想定価格 2,000円
想定時価総額 68.4億円 (※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
初値 4,000円
上場時時価総額 136.8億円(※上場時発行済株式総数×初値で計算)
時価総額 138.7億(2020年10月9日現在)
資本金 20,150 千円(2019 年 8 月 16 日現在)
1単元の株式数 100 株
監査人 有限責任監査法人トーマツ
主幹事証券会社 大和証券
引受幹事証券会社


SBI証券
エース証券
マネックス証券
いちよし証券
岩井コスモ証券

サイバー・バズの沿革

株式会社サイバー・バズは、2006年に株式会社サイバーエージェントの100%子会社として東京都において設立しました。
ソーシャルメディアを利用して企業のマーケティングを支援する事業を中心に運営し、2019年9月にマザーズに上場しました。

2006年4月 東京都渋谷区道玄坂に株式会社サイバー・バズ設立(資本金15,000千円)
2006年6月 人気ブロガーが企業商品を紹介するサービス「CyberBuzz」を開始
2010年7月 ブログサービス以外のソーシャルメディア会員募集に伴い、「CyberBuzz」から「Ripre」へサービス名変更
2010年11月 Ameba会員のためのモニターサービス「アメモニ」を株式会社サイバーエージェントと開始
2012年11月 メディアキャンペーンサービス「ポチカム」を開始
2013年2月 株式会社サイバーエージェントより「アメモニ」の事業譲受、サービス名を「モニコレ」に変更
2013年8月 ヘルスケアメディア「Doctors Me」を開始
2014年4月 本社を東京都渋谷区桜丘町へ移転
「モニコレ」を「ポチカム」へサービス統合
2015年10月 Instagramのインフルエンサーによるマーケティング施策(現:NINARY)を開始
2016年11月 Instagram広告戦略子会社  株式会社glamfirstを100%子会社として設立
2017年8月 Instagramのインフルエンサーマーケティング施策を「NINARY」としてサービス化
SNSアカウント運用サービスを開始
2017年10月 「Doctors Me」を会社分割により事業譲渡
2017年12月 人気インフルエンサーが商品を紹介するメディア「to buy(トゥーバイ)」を開始
2018年1月 東京大学大学院情報理工学系研究科の山崎俊彦准教授と人工知能の研究において産学連携を開始
2018年4月 株式会社サイバーエージェントがユナイテッド株式会社及び株式会社DGインキュベーションに当社株式を譲渡したため、同社の連結子会社でなくなり、持分法適用会社となる
2018年12月 株式会社サイバーエージェントが株式会社デジタルガレージ等に当社株式を譲渡したため、同社の持分法適用会社でなくなる
株式会社デジタルガレージが、株式会社サイバーエージェント等が保有する当社株式の25.2% を取得したことにより、同社の持分法適用会社となる

2019年9月 東京証券取引所マザーズに株式を上場

サイバー・バズの事業内容

サイバー・バズは「コミュニケーションを価値に変え、世の中を変える。」をビジョンとし、インターネット市場における、ブログやTwitter、Facebook、Instagram等のソーシャルメディアを通した広告・マーケティングを主要な業務として運営する企業です。

ソーシャルメディア上で影響力を持つインフルエンサーを自社会員として組織化し、会員にクライアント企業の商品やサービスを体験してもらい、その感想などをSNS上で発信することでクライアント企業のマーケティングを支援するインフルエンサーサービスが事業の中心となります。

また、他社のSNSの運用や広告商品の販売代理業務を付帯的な事業として行っており、これらのサービスは、インフルエンサーサービスのノウハウの利用や親和性が加味されたサービスです。

  1. インフルエンサーサービス
  2. その他サービス
サイバーバズの事業系統図

① インフルエンサーサービス   

インフルエンサーサービスは、サイバー・バズの中核となるサービスであり、ソーシャルメディア上で影響力を持つインフルエンサーを自社会員として組織化しクライアント企業の宣伝を支援する趣旨のサービスです
以下、4つのサービスがインフルエンサーを利用したサービスであり、主に会員の特性によってサービスが区分されています。

  • NINARY
    NINARYは、Instagramを利用して、フォロワー数3万人以上を有する読者モデルなどのインフルエンサーによる広告・マーケティングを行うサービスです。
    クライアント企業の要望に基づきサイバー・バズが選定したNINARY会員が、クライアント企業の商品、サービス体験やイベント招待などの機会を受け、その感想をソーシャルメディア上で発信することで、フォロワーを中心とした一般消費者への情報の拡散や宣伝の支援を行うことでマーケティングのサポートを運営する事業です。
    また、NINARY会員は20代から30代の世代を中心に構成されており、マーケティングのターゲット層も同世代となります。

  • Ripre
    Ripreは、ブログ、Twitter、Instagramなどのソーシャルメディアを利用して、一定数の読者やフォロワーを有するインフルエンサーによる広告・マーケティングを行うサービスであり、NINARYに比べ会員のハードルが低い傾向にある点が特徴です。
    クライアント企業がRipre会員に対し、クライアント企業の商品、サービス体験やイベント招待などの機会を提供し、それに応募・参加したRipre会員が感想等をソーシャルメディア上で発信することで、フォロワーを中心とした一般消費者への情報の拡散や宣伝の支援を行っております。Ripre会員は30代から40代の世代を中心に構成されており、マーケティングのターゲット層も同世代となります。
  • ポチカム
    ポチカムは、「日常をワクワクにかえる」をテーマに、ブログやTwitter、Facebook、Instagramなどのソーシャルメディアを利用していれば誰もが参加できるモニターサイトを運営するサービスです。NINARYやRipreとは異なり、誰もが会員となれる点が特徴です。
    クライアント企業は、ポチカムを通して自身の商品・サービス体験やイベント招待などの機会を提供し、それに応募・参加したポチカム会員が感想等をソーシャルメディア上で発信することで、多数のクチコミを創出し、一般消費者への情報の拡散や宣伝の支援を行っております。
  • 「to buy」
    「to buy」は、インフルエンサーが独自の記事として、自身の愛用品やサービスを紹介するwebメディアを運営するサービスです。
    「to buy」を経由して、主要なECメディアやクライアント企業サイトへ送客が行われ購入が発生した場合、購入額の一部が手数料として支払われる収益モデルでビジネスが運営されています。

② その他のサービス

その他のサービスは、インフルエンサーサービスで得たノウハウや親和性を加味したサービスとして運営されており、サイバー・バズの付帯的な業務です

  • SNSアカウント運用
    SNSアカウント運用は、クライアント企業が公式に運用するTwitter、Facebook、Instagramなどのソーシャルメディアのアカウントの運用代行を行うサービスです。
    原則半年間以上の契約で、サービス内容に応じた月額課金モデルを採用しており、インフルエンサーやカメラマンが撮影した写真などのコンテンツの投稿をSNSへ投稿する代行サービスを展開しています。
  • インターネット広告代理販売
    「インターネット広告代理販売」は、YouTube、Instagram、Facebook、Twitter、LINEなどのソーシャルメディア関連広告を中心とした他社の広告商品の代理販売を行うサービスです。

    サイバー・バズの会員として所属していないインフルエンサーを起用することで、自社で展開するインフルエンサーサービスを補完する意味合いを持つサービスとして運用されています。

有価証券報告書情報

連結の経営指標(過去3期分)

第10期の業績は以下の通りです。

  • 売上高:29.4億円(前年比+20.3%)
  • 経常利益:4.1億円(前年比+75.1%)
  • 当期純利益:2.8億円(前年比+67.7%)
第12期 第13期 第14期
決算年月 2017年9月 2018年9月 2019年9月 
売上高(千円) 1,865,885 2,446,947 2,944,798
経常利益(千円) 147,832 234,953 411,459
当期純利益(千円) 82,660 165,115 276,917
純資産額(千円) 513,507 678,623 1,738,460
総資産額(千円) 815,068 1,160,907 2,212,383
自己資本比率 63.0% 58.5% 78.6%
営業キャッシュフロー(千円) 87,845 197,048 227,302
投資キャッシュフロー(千円) △49,624 △21,354 △20,771
財務キャッシュフロー(千円) 777,874
現金・現金同等物の期末残高(千円) 348,932 524,626 1,509,032
従業員数 68人 89人 104人

 

単体の経営指標(過去5期分)

過去5期の業績を見ると、売上は4年間で約1.7倍の成長しています。
また、利益に関しては期によって数値にばらつきがありますが、概ね右肩上がりで成長しており、過去5年間で赤字のタームは一度もありません。
第14期は売上、利益ともに過去最高の数値となりました。
なお、サイバー・バズは、2019年2月23日付で普通株式1株につき50株の割合で株式分割を実施しました。

第10期 第11期 第12期 第13期 第14期
決算年月 2015年9月 2016年9月 2017年9月 2018年9月 2019年9月 
売上高(千円) 1,483,478 1,832,439 1,776,983 2,126,163 2,472,766
経常利益(千円) 92,513 140,352 134,585 129,872 246,202
当期純利益(千円) 69,874 75,695 73,667 93,105 166,112
資本金(千円) 20,150 20,150 20,150 20,150 411,610
発行済株式総数 61,030 61,030 61,030 61,030 3,421,500
純資産額(千円) 355,151 430,847 504,514 597,620 1,546,653
総資産額(千円) 656,316 751,113 787,209 996,184 1,939,784
自己資本比率 54.1% 57.4% 64.1% 60.0% 79.7%
従業員数 56人 59人 63人 80人 95人

 

上場時の株主構成

上位10位までの株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
髙村 彰典 1,354,000 36.70% 90日間
株式会社デジタルガレージ 770,000 20.87% 90日間
株式会社サイバーエージェント 600,000 16.26% 90日間
株式会社マイナビ 300,000 8.13% 90日間
ユナイテッド株式会社 250,000 6.78% 90日間
近田 哲昌 135,000 3.66% 90日間
和田 瑞樹 105,000 2.85% 90日間
SBI AI&Blockchain投資事業有限責任組合 30,000 0.81% 90日間
松本 浩介 20,000 0.54%
蓮見 麻衣子 17,500 0.47%

上場時(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

公募価格は2,300円、吸収金額(調達額)は13.7とされています。 また初値は、4,000となりました。

仮条件 2,000円 ~ 2,300円
公募・売出価格 2,300円
想定価格 2,000円
初値 4,000円(公募価格比+73.9%)
公募株数 370,000 株
売出株数 224,500 株
オーバーアロットメントによる売出し株数 89,100 株
吸収金額(調達額) 13.7億円(※オーバーアロットメントを含む株数×公募価格で計算)

 


この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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