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【新規上場企業分析】ビーイングホールディングスのIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

ビーイングホールディングスの概要

ビーイングホールディングスの基本情報

はじめに、株式会社ビーイングホールディングスの基本情報を紹介します。 上場予定日は2020年12月15日、市場は東証2部、想定時価総額は51.6億円です。

会社名 株式会社ビーイングホールディングス
設立日 1986年9月17日
上場日 2020年12月15日(承認日:2020年11月10日)
市場 東証2部
証券コード 9145
業種 陸運業
決算期 12月
ホームページアドレス https://being-group.jp/
発行済株式総数 4,515,000 株(2020 年 11 月 10 日現在)
上場時発行済株式総数 5,675,000 株
※公募分を含む。
※新株予約権の権利行使により増加する可能性がある。
公募株数 1,160,000 株
想定価格 910円
想定時価総額 51.6億円 (※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
資本金 102,921 千円(2020 年 11 月 10 日現在)
1単元の株式数 100 株
監査人 有限責任 あずさ監査法人
主幹事証券会社 野村證券
引受幹事証券会社 今村証券
みずほ証券
三菱UFJモルガン・スタンレー証券
SMBC日興証券
SBI証券

ビーイングHDの沿革

ビーイングホールディングスは、1986年に石川県で河内物流有限会社として創業しました。

物流を中心とした事業を創業初期から展開し、企業規模を拡大、現在では多数の物流拠点を保有する企業へと成長しました。

1986年9月 鶏肉の卸売配送を目的として、石川県金沢市に河内物流有限会社(資本金1百万円)を設立
1989年4月 北食物流有限会社に商号変更し、福井県坂井郡(現坂井市)に本社を移転
1991年3月 石川県金沢市に本社を移転
1994年10月 石川県金沢市に駅西営業所を開設
1995年3月 福井県坂井郡(現坂井市)に福井営業所を開設
1996年8月 富山県射水郡(現射水市)に富山営業所を開設
1997年3月 食品物流センター運営を目的として、石川県金沢市に有限会社ドライを設立
1997年4月 石川県金沢市専光寺町に本社を移転
1997年6月 物流事業に対する各種保険の付保を目的として、有限会社ベプロを設立
2000年4月 株式会社アクティーに商号及び組織変更
輸送事業の拡大を目的として、有限会社トランスライナーの全株式を取得し、有限会社福井アクティーに商号変更
2000年9月 食品物流センター運営を目的として、石川県松任市(現白山市)に有限会社ブロードラインを設立
2002年2月 日用雑貨物流センター運営を目的として、石川県松任市(現白山市)に有限会社コラビスを設立
2005年1月 日用雑貨物流センター運営を目的として、愛知県春日井市に有限会社コラビス東海(当社グルー プ出資比率100%)を設立
2005年2月 北陸の拠点物流センター設立を目的として、石川県金沢市に本社・SCMセンターを開設
2005年3月 有限会社ブロードラインの商号を有限会社富山アクティーに変更
2005年8月 チルド物流センター運営を目的として、株式会社丸協物流の全株式を取得し子会社化
2007年7月 日用雑貨物流センター運営を目的として、大阪府堺市西区に有限会社コラビス東海堺営業所を開設
2007年10月 酒類・食品物流センター運営を目的として、石川県白山市に白山SCMセンター(現白山第1セ ンター)を開設
2007年12月 有限会社福井アクティーの全事業を株式会社アクティーへ譲渡
2008年5月 日用雑貨・食品・酒類物流センター運営を目的として、愛知県小牧市に有限会社コラビス東海小牧流通センターを開設
2009年4月 グループ会社及び協力会社の車両整備を目的として、石川県金沢市に株式会社プレベンスを設立
有限会社コラビス東海を株式会社コラビス東海に組織変更
有限会社ドライを株式会社ドライに組織変更
有限会社富山アクティーを株式会社富山アクティーに組織変更
有限会社コラビスを株式会社コラビスに組織変更
2009年5月 輸送事業の拡大を目的として、株式会社リオ観光の全株式を取得し、株式会社オリエンタルバスに商号変更
2009年8月 グループ会社及び協力会社の燃料給油を目的として、石陸急配協同組合の全口数をグループが取得し子会社化
2009年12月 株式会社オリエンタルバスを株式会社オリエンタルに商号変更
石陸急配協同組合を北陸物流効率化事業協同組合に商号変更
グループ化を目的として、有限会社白観交通の全株式を取得(グループ出資比率100%)し子会社化
2010年8月 グループ化を目的として、額交通株式会社の全株式を取得(グループ出資比率100%)し子会社化
2011年1月 株式会社丸協物流を株式会社福井アクティーに商号変更
2011年11月 3温度帯(常温・冷蔵・冷凍)食品専用の物流拠点として、石川県白山市に白山第2SCMセンター(現白山第2センター)を開設
グループ会社の車両整備を目的として有限会社田川自動車の全株式を取得し子会社化
株式会社プレベンスの事業を有限会社田川自動車へ譲渡
2012年2月 株式会社プレベンスを吸収合併
2012年3月 物流システムの開発・運用促進を目的として石川県金沢市に株式会社Gappa(出資比率 60%)を設立
2012年5月 物流コンサルティングを目的として石川県金沢市に株式会社A2ロジ(出資比率51%)を設立
2012年8月 グループ経営強化を目的として、株式会社ビーイングホールディングスへ商号変更
会社分割により株式会社アクティーを新設
2013年10月 関東の事業強化を目的として、埼玉県上尾市の株式会社まもる運送(グループ出資比率33%)株式を取得
2013年11月 顧客支援を目的として、千葉県市川市に株式会社アクティー 市川営業所(現市川低温DC、後に株式会社東京アクティーに移管)を開設
2013年12月 食品・酒類・医薬品の拠点物流センター運営を目的として、石川県白山市に株式会社アクティー白山第3SCM センター(現白山第3センター)を開設
2014年4月 顧客支援を目的として、岩手県花巻市に株式会社コラビス 花巻営業所(現花巻センター)を開設
食品・酒類物流センター運営を目的として、富山県射水市に株式会社富山アクティー リョーシ ョクRDC(現株式会社福井アクティー富山RDC)を開設
2014年5月 医薬品物流センター運営を目的として、愛知県江南市に株式会社コラビス東海 江南営業所(現 株式会社コラビス江南センター)を開設
2014年6月 食品・酒類物流センター運営を目的として、東京都八王子市に株式会社アクティー 八王子営業所(後に株式会社東京アクティーに移管、現西東京DDC)を開設
2014年7月 グループ化を目的として、株式会社オリエンタルが金石タクシー株式会社の全株式を取得(グループ出資比率100%)し子会社化
2014年12月 関東地区の事業強化を目的として、東京都八王子市に株式会社東京アクティーを設立
2015年1月 グループ化を目的として、石井運輸株式会社(神奈川県大和市)から事業譲渡により、神奈川県 藤沢市に石井運輸株式会社(藤沢)(出資比率50%)を設立
2015年12月 追加取得により株式会社まもる運送の全株式を取得(グループ出資比率100%)し子会社化
2016年7月 食品・日用雑貨物流センター運営を目的として、千葉県柏市に株式会社まもる運送 ツルハ柏センター、神奈川県厚木市に石井運輸株式会社(藤沢) ツルハ厚木センターを開設
2016年12月 株式会社ベプロの全株式を株式交換により取得し子会社化
株式会社Gappaの株式追加取得により完全子会社化
株式会社福井アクティーが株式会社富山アクティーを吸収合併
旅客事業の集約のため、株式会社オリエンタルの事業を額交通株式会社へ譲渡
株式会社アクティーが株式会社エル・サーバントより事業譲受
2017年1月 額交通株式会社の商号を株式会社オリエンタルに変更
2017年4月 有限会社田川自動車を株式会社田川自動車に組織変更
2017年6月 事業の全国展開を目的として、東京都千代田区に東京本社を開設
2017年8月 酒類物流センター運営を目的として、愛知県名古屋市北区に株式会社コラビス東海 名古屋物流センターを開設
2018年1月 株式会社コラビスが株式会社コラビス東海を吸収合併
株式会社東京アクティーが株式会社まもる運送を吸収合併
株式会社オリエンタルが金石タクシー株式会社を吸収合併
2018年3月 食品・酒類物流センター拠点運営を目的として、群馬県前橋市に株式会社東京アクティー 北関東SCMセンターを開設
2018年5月 食品・酒類・日用雑貨物流センター拠点運営を目的として、愛知県小牧市に株式会社コラビス 東海SCMセンターを開設
2018年11月 食品・酒類物流センター運営を目的として、福井県福井市に株式会社福井アクティー 福井国分センターを開設
食品・酒類物流センター運営を目的として、群馬県前橋市に株式会社東京アクティー群馬DFセンターを開設
2019年4月 食品・酒類・医薬品の輸送センター運営を目的として、滋賀県栗東市に株式会社A2ロジ 関西TCを開設
2019年5月 株式会社アクティーが株式会社ドライを吸収合併
2019年6月 食品の配送センターの運営を目的として、石川県金沢市に株式会社アクティー 北陸DDCを開設
2019年8月 石井運輸株式会社が石井運輸株式会社(藤沢)を吸収合併
100%子会社化を目的として石井運輸株式会社の全株式を取得
2019年10月 食品・酒類物流センター運営を目的として、神奈川県川崎市川崎区に株式会社東京アクティー川崎FDCを開設
2019年11月 食品・酒類物流センター運営を目的として、長野県松本市に株式会社アクティー松本FDCを開設
2020年2月 食品・酒類・医薬品の輸送センター運営を目的として、宮城県白石市に株式会社A2ロジ 南東北TCを開設
2020年4月 食品・酒類物流センター運営を目的として、愛知県東海市に株式会社コラビス 東海DDCを開設
2020年6月 日用雑貨物流センター運営を目的として、あらた千葉雑貨センター(八千代部門:千葉県八千代 市、印西部門:千葉県印西市)を開設

ビーイングHDの事業内容

ビーイングホールディングスは、「-BEING-存在しつづける」を企業理念に掲げ、主に物流センターの運営 (構内業務・配送業務)とコンサルティング業務を行う「物流事業」と、旅客事業(タクシー、バス)、不動産業、システム開発などを行う「その他事業」の2つの事業セグメントを運営する企業です。

特に、企業運営の主軸となる「物流事業」では、配送、 在庫管理、検品作業などを1つの物流センターに集約し、作業を合理化することで全体最適化する「運ばない物流」の提案・構築・運営が行われています。

以下は、ビーイングホールディングスが運営する、主要な事業と、事業系統を表した図です。

  1. 物流事業
  2. その他事業

 

ビーイングホールディングスの事業系統図

 

① 物流事業 

「物流事業」は、ビーイングホールディングスの主軸となる事業セグメントであり、業務フローを合理化した「運ばない物流」をコアバリューとする事業です。

この事業では、具体的に、拠点間に複数ある物流倉庫を1つにまとめることで、生産者から消費者までの物流の作業行程を合理化し、顧客の管理コスト、保管コスト、移動コスト、配送コストを低減させるモデルによる物流運営が行われています。
また、メーカーや卸売業者からの商品入荷管理及び小売店の発注から納品までの動きを可視化し、流通プロセスを改善することで物流の入り口から出口までの全体最適化が推進されています。

以下は、「物流事業」の合理化された業務フローをイメージした図です。

物流事業のイメージ

 

また、ビーイングホールディングスによって運営されている「物流事業」では、物流センター内の在庫量や入庫・出庫業務の進捗状況及、配送の進捗状況などをⅠTシステムによって「見える化」しており、顧客側もその情報をインターネット経由で同時に確認し共有可能なシステムが組み込まれています。

このような設備を配備した物流拠点は、本格的な全国展開へ向けて物流拠点数の拡大を加速させており、北陸・関東地方を中心に全国で計43拠点が運営されています。(2020年9月時点)

② その他事業 

ビーイングホールディングスでは、メイン事業である「物流事業」の補完や多角化を目的とした「その他事業」を第2の事業セグメントとして運営しています。

「その他事業」では、旅客事業やシステム開発など複数の業務が運営されていますが、「その他事業」に分類される主要な事業は以下の通りです。

  • タクシーの運行、貸切バス・観光タクシーのサービスと旅行プランの作成を行う「旅客事業」
  • グループ内の情報システムの開発、メンテナンス、カスタマイズや事業所のサポートを行う「システム開発事業」
  • 「物流事業」や「旅客事業」と連携し、一般、法人向けの保険代理店業務と、グループ内の物件や車両の保険を取り扱う「保険代理業」
  • 貨物用の大型自動車から軽自動車まで車検や整備、顧客の新車・中古車の購入についてのアドバイスを行う「自動車整備業」
  • ガゾリンスタンドの運営を行う「燃料販売業」
  • 所有する物流センターの一部を顧客に賃貸スペースとして貸し出す「不動産業」

有価証券報告書情報

連結の経営指標(過去2期分)

第34期の連結の業績は以下の通りです。

  • 売上高:162.2億円(前年比+17.2%)
  • 経常利益:5.5億円(前年比+66.8%)
  • 当期純利益:4.1億円(前年比+255.7%)
第33期 第34期
決算年月 2018年12月 2019年12月
売上高(百万円) 13,769 16,219
経常利益(百万円) 331 552
当期純利益(百万円) 115 409
純資産額(百万円) 1,568 1,967
総資産額(百万円) 11,014 11,392
自己資本比率 13.4 16.3
営業キャッシュフロー(百万円) 703 1,222
投資キャッシュフロー(百万円) △941 △301
財務キャッシュフロー(百万円) △295 △766
現金・現金同等物の期末残高(百万円) 2,383 2,538
従業員数 756人 804人

 

単体の経営指標(過去5期分)

過去5期の業績を見ると、売上は1.8倍ほどの増加を見せています。

また、利益に関しても、第31期まで純利益が赤字で計上されていましたが、その後回復し、第32期以降は3期連続で黒字となりました。

なお、ビーイングホールディングスは、2019年7月12日付で普通株式1株につき2,500株の割合で株式分割を実施しました。

第30期 第31期 第32期 第33期 第34期
決算年月 2015年12月 2016年12月 2017年12月 2018年12月 2019年12月
売上高(百万円) 767 1,118 1,170 1,297 1,402
経常利益(百万円) 148 339 325 283 291
当期純利益(百万円) △142 △125 271 128 240
資本金(百万円) 80 80 80 91 102
発行済株式総数 1,600 1,706 1,706 1,756 4,515,000
純資産額(百万円) 162 67 341 451 672
総資産額(百万円) 4,488 4,547 6,317 6,565 6,747
自己資本比率 3.6% 1.5% 5.4% 6.9% 10.0%
従業員数 24人 24人 26人 32人 34人

 

セグメント別業績

第34期のセグメント別経営成績は表の通りです。
売上構成比は以下の通りで、ほぼ全ての収益はメイン事業である「物流事業」によって計上されています。
また、第34期は、両セグメントとも前年比で業績が伸長し、全体の収益も+17.8%となりました。

  • 物流事業:95.2%
  • その他事業:4.8%
指標 全体 物流事業 その他事業
売上高(百万円) 16,219 15,441 777
売上高前年同期比 117.8% 118.4% 107.0%

 

株主構成

上位10位までの主要な株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
株式会社喜多商店 2,835,000 58.27% 90日間
喜多 甚一 1,145,000 23.54% 90日間
喜多 和行 150,000 3.08% 90日間
喜多 良枝 125,000 2.57% 90日間
高桑 和浩 110,000 2.26% 90日間
松木 正康 77,500 1.59% 90日間
桐原 義浩 52,500 1.08% 90日間
越峯 均 52,500 1.08% 90日間
山本 元也 52,500 1.08% 90日間
森本 浩行 35,000 0.72% 90日間

新規上場(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

想定価格は910円、吸収金額(調達額)は15.8億円と予想されています。

仮条件 未発表
公募・売出価格 未発表
想定価格 910円
初値
公募株数 1,160,000 株
売出株数 346,000 株
オーバーアロットメントによる売出し株数 225,900 株
吸収金額(調達額) 15.8 億円 (※オーバーアロットメントを含む株数×想定価格で計算)

この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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