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【新規上場企業分析】BASE(ベイス)のIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

BASEの概要

BASEの基本情報

はじめにBASE株式会社の基本情報を紹介します。 上場日は2019年10月25日、市場はマザーズ、想定時価総額は313.4、上場時の時価総額は234.1億円でした。

会社名 BASE (ベイス)株式会社
設立日 2012年12月11日
上場日 2019年10月25日(承認日:2019年9月20日)
市場 マザーズ
証券コード 4477
業種 情報・通信業
決算期 12月
ホームページアドレス https://binc.jp/
発行済株式総数 18,822,000 株(2019 年 9 月 20 日現在)
上場時発行済株式総数 19,344,600 株
※公募分を含む。
公募株数 522,600 株
想定価格 1,630円
想定時価総額 313.4億円(※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
初値 1,210円
上場時時価総額 234.1億円(※上場時発行済株式総数×初値で計算)
時価総額 2251.2億(2020年9月29日現在)
資本金 1,325,682 千円(2019 年 9 月 20 日現在)
1単元の株式数 100 株
監査人 有限責任 あずさ監査法人
主幹事証券会社 大和証券
引受幹事証券会社 SBI証券
みずほ証券
野村證券
SMBC日興証券
三菱UFJモルガン・スタンレー証券
いちよし証券
極東証券

BASEの沿革

BASE株式会社は、2012年に誰でも簡単にデザイン性の高いネットショップが作成できる仕組みを提供することを目的として設立されました。
Eコマースプラットフォーム「BASE(ベイス)」の運営に事業展開を行い、2019年10月に東証マザーズへ上場しました。

2012年12月 東京都港区六本木において、BASE株式会社を設立      
Eコマースプラットフォーム「BASE(ベイス)」の提供開始
2014年3月 Eコマースプラットフォーム「BASE」にて、独自の決済システム「BASEかんたん決済」の提供開始及び「BASEかんたん決済」にて「クレジットカード決済」の提供開始 本社を東京都渋谷区道玄坂二丁目10番12号に移転
2014年6月 Eコマースプラットフォーム「BASE」の「BASEかんたん決済」にて、「コンビニ決済・Pay-easy(ペイジー)決済」の提供開始
2014年12月 オンライン決済サービス「Pureca(ピュレカ)」を開発するピュレカ株式会社株式を取得し、子会社化(2018年5月に清算)
2015年3月 Eコマースプラットフォーム「BASE」の「BASEかんたん決済」にて、「銀行振込決済」の提供開始
2015年6月 本社を東京都渋谷区道玄坂二丁目11番1号に移転
2015年9月 オンライン決済サービス「PAY.JP」の提供開始
2015年12月 Eコマースプラットフォーム「BASE」の「BASEかんたん決済」にて、「後払い決済」の提供開始
2016年6月 ID決済サービス「PAY ID」の提供開始
2017年6月 お支払アプリ「PAY ID」の提供開始
2017年9月 Eコマースプラットフォーム「BASE」の「BASEかんたん決済」にて、「キャリア決済」の提供開始
2018年1月 オンライン決済サービス「PAY.JP」、ID決済サービス「PAY ID」の事業部門を分社化し、PAY株式会社(現、連結子会社)を設立 新規事業として金融サービスを行うことを目的に、BASE BANK株式会社(現、連結子会社)を設立
2018年9月 本社を東京都港区六本木三丁目2番1号に移転
2018年12月 資金調達サービス「YELL BANK」の提供開始
2019年10月 東京証券取引所マザーズに株式を上場
2019年11月 Eコマースプラットフォーム「BASE」の「BASEかんたん決済」にて、「PayPal決済」の提供開始

BASEの事業内容

BASEは、「Payment to the People, Power to the People.」をミッションとして掲げ、Eコマースプラットフォーム事業を主軸に事業運営を行う企業です。

BASEでは、3つのセグメントに事業領域が分割されて事業運営が行われており、Eコマースプラットフォーム「BASE」を提供するBASE事業を、オンライン決済サービス「PAY.JP」、「PAY ID」を展開するPAY事業、「BASE」を利用するショップオーナーに向けた資金調達サービス「YELL BANK」がその他事業として運営されています。

以下は、各セグメント事業ごとの事業系統を表した図です。

  1. BASE事業

    base事業

  2. PAY事業

    PAY事業

  3. その他事業

その他事業  

① BASE事業

BASE株式会社によって運営される「BASE事業」は、ネットショップ作成サービスと、そのサービスによって開設されたショップの商品が購入できるショッピングアプリを提供するEコマースプラットフォーム「BASE」を展開する事業セグメントです。

「BASE」の特徴は、専門的なWebサイト構築やWebデザインの技術を使わずに、デザインテンプレートを選択するだけで、誰でも簡単にデザイン性の高いネットショップを作成することが出来る点です。
さらに、従来のEコマース運営の課題となっていた決済機能の導入に係る時間を短縮する仕組みとして、独自の決済システム「BASEかんたん決済」を提供し、ネットショップの開設から決済機能の導入までをワンストップで提供することで、誰でも手軽にネットショップの開設・運営ができる仕組みが構築されています。

また、この事業では「BASE」をより便利に利用するためのプラグインプラットフォーム(拡張機能)である「BASE Apps」の提供が行われています。 この拡張機能は、目的や必要に応じて使いたい機能だけをインストールして自分のネットショップに追加できるシステムであり、この機能によりショップコンセプトに合わせたカスタマイズが可能となります。

2020年2月には「BASE」のショップ開設数は90万ショップを突破し、ネットショップ開設実績が3年連続国内No.1となっています。

BASEショップ開設実績

② PAY事業

BASEの連結子会社PAY株式会社が運営する「PAY事業」は、Webサービスやネットショップ(「BASE」により作成されたネットショップを除く)にクレジットカード決済を簡単に導入できるオンライン決済サービス「PAY.JP」と商品購入者向けの「PAY.ID」を運営する事業セグメントです。

「PAY事業」では、「支払いのすべてをシンプルに」というコンセプトのもと、個人・法人を問わずあらゆる開発者が導入しやすいシステム設計がなされています。
「申請に時間がかかる」、「高い」、「使いにくい」という従来の複雑なオンライン決済サービスの問題を解決し、導入を圧倒的に簡単にすることで、インターネット上の「モノの売り買い」の可能性を拡げ、インターネットを通じた経済活動を活発化させることがこの「PAY.JP」の目的です。

「PAY.JP」が事業者向けのサービスである一方、「PAY事業」では、購入者向けのID決済サービスとして「PAY ID」のサービス運営が行われています。 「PAY ID」は、購入者が予め情報を登録することで、それ以降は、都度クレジットカード番号や住所を入力する必要がなく、IDとパスワードでログインするだけでスムーズに決済を行うことができるシステムであり、「PAY ID」のアプリを利用することで、QRコード読み取りによるオフライン決済を行うことができます。

「PAY ID」には、2019年12月末現在、300万以上のアカウントが登録されています。

③ その他事業

「その他事業」は、子会社であるBASE BANK株式会社による、資金調達サービス「YELL BANK」を展開する事業セグメントです。

「YELL BANK」では、「BASE」を利用するショップオーナーに事業資金を提供するサービスが運営させています。

「YELL BANK」は「BASE」の利用者であるショップオーナーの成長性を予測し、資金面をサポートするサービスです。
「BASE」のショップデータを活用することで、BASEショップの将来の売上を予測し、その予測に基づいた将来債権を買い取る仕組みの下、ショップオーナーに事業資金を提供しています。

有価証券報告書情報

連結の経営指標(過去3期分)

第7期の業績は以下の通りです。

  • 売上高:38.5億円(前年比+63.7%
  • 経常利益:△4.6億円
  • 当期純利益:△4.6億円
第6期 第7期
決算年月 2018年12月 2019年12月
売上高(千円) 2,352,406 3,849,821
経常利益(千円) △798,930 △455,921
当期純利益(千円) △854,783 △459,675
純資産額(千円) 1,737,463 3,158,313
総資産額(千円) 6,951,406 10,458,801
自己資本比率 25.0% 30.2%
営業キャッシュフロー(千円) △400,529 870,017
投資キャッシュフロー(千円) △338,215 △51,524
財務キャッシュフロー(千円) 1,022,743 1,879,834
現金・現金同等物の期末残高(千円) 4,408,530 7,195,414
従業員数 116人 136人

 

単体の経営指標(過去5期分)

過去5期の業績を見ると、4年間で売上は約20倍以上の増加をしています。
また、利益に関しては、過去5期の全タームにおいて赤字で計上されている一方で、第5期をピークに赤字額は大幅な減少を見せています。
また、第8期は、第2四半期時点で経常益、純利益ともプラスで計上されており、黒字で期末を迎えるとの予測がなされています。
BASEは、2019年8月31日付で普通株式1株につき400株の割合で株式分割を行いました。

第3期 第4期 第5期 第6期 第7期
決算年月 2015年12月 2016年12月 2017年12月 2018年12月 2019年12月
売上高(千円) 146,594 443,559 1,147,394 1,982,733 3,198,687
経常利益(千円) △297,145 △563,906 △1,261,431 △613,611 △272,789
当期純利益(千円) △307,784 △567,038 △1,268,804 △854,783 △276,073
資本金(千円) 287,057 1,187,130 1,187,130 1,325,682 2,275,957
発行済株式総数 26,531 38,936 38,936 47,055 20,413,800
純資産額(千円) 94,816 1,327,923 1,560,774 1,737,463 3,361,939
総資産額(千円) 717,545 2,866,223 5,308,08 5,111,262 7,670,667
自己資本比率 13.2% 46.3% 29.4% 34.0% 43.8%
従業員数 31人 57人 89人 96人 115人

 

セグメント別業績

第7期のセグメント別経営成績は表の通りです。
売上構成比は以下の通りであり、全体の80%以上は「BASE事業」の売上によって占められています。
第7期はどのセグメントの売上も大きくプラスに成長しており、「その他事業」も発足したため、全体の売上は前年比で+63.7%となりました。
なお、「その他事業」の売上構成比率は、全体の1%以下と過少であるため、売上構成比の数値としての計上は行っておりません。

  • BASE事業:83.8%
  • PAY事業:16.2%
  • その他事業:-
指標 全体 BASE事業 PAY事業 その他事業
売上高(千円) 3,849,821 3,198,687 644,055 7,078
売上高前年同期比 +63.7 +61.3 +74.2

「その他事業」は、2018年12月に開始したため、前年の売上を計上していません。

BASEは2020年9月、事業の拡大や加速を背景に海外投資家向けの公募増資で約120億円を調達すると発表しました。
調達資金は、広告宣伝費や人件費、採用費、運転資金などに投資する計画であると発表されています。
以下は、この資金調達に関する詳細について執筆された記事のURLです。

2020年9月に発表された資金調達に関する記事

上場時の株主構成

上位10位までの株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
鶴岡 裕太 4,364,000 21.13% 180日間
グローバル・ブレイン6号投資事業有限責任組合 1,923,200 9.31% 継続保有
株式会社サイバーエージェント 1,804,000 8.74%
SBI Ventures Two株式会社 1,661,200 8.04% 90日間
グローバル・ブレイン5号投資事業有限責任組合 1,592,000 7.71% 90日間
株式会社丸井グループ 1,261,200 6.11% 継続保有
株式会社メルカリ 1,242,400 6.02% 90日間
Fin Techビジネスイノベーション投資事業有限責任組合 1,240,000 6.00% 90日間
イーストベンチャーズ投資事業有限責任組合 1,139,600 5.52% 90日間
株式会社partyfactory 1,050,000 5.08% 90日間

上場時(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

公募価格は1,300円、吸収金額(調達額)は150.2とされています。 また初値は、1,210となりました。

仮条件 1,150円 ~ 1,300円
公募・売出価格 1,300円
想定価格 1,630円
初値 1,210円 (公募価格比△6.9%)
公募株数 522,600 株
売出株数 6,704,800 株
オーバーアロットメントによる売出し株数 1,084,100 株
吸収金額(調達額) 150.2億円
(※オーバーアロットメントを含む株数×公募価格で計算)

この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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