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【新規上場企業分析】アールプランナーのIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

アールプランナーの概要

アールプランナーの基本情報

はじめに、株式会社アールプランナーの基本情報を紹介します。
上場予定日は2021年2月10日、市場はマザーズ、想定時価総額は26.5億円です。

会社名 株式会社アールプランナー
設立日 2003 年 10 月 3 日
上場日 2021 年 2 月 10 日(承認日:2021年1月6日)
市場 マザーズ
証券コード 2983
業種 不動産業
決算期 1月
ホームページアドレス https://www.arrplanner.co.jp/
発行済株式総数 1,000,000 株(2021 年 1 月 6 日現在)
上場時発行済株式総数 1,270,000 株
※公募分を含む。 
※新株予約権の権利行使により増加する可能性がある。
公募株数 270,000 株
想定価格 2,090円
想定時価総額 26.5億円 (※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
資本金 50,000 千円(2021 年 1 月 6 日現在)
1単元の株式数 100株
監査人 太陽有限責任監査法人
主幹事証券会社 野村證券
引受幹事証券会社 三菱UFJモルガン・スタンレー証券
みずほ証券
SBI証券

アールプランナーの沿革

アールプランナーは、2003年に名古屋市において、有限会社アールプランナーとして設立されました。創業期から住宅関連の事業を展開しており、現在では事業を拡大し、首都圏へも拠点を構えています。

2003年10月 エクステリア事業・リフォーム事業を目的として、㈲アールプランナー(現 ㈱アー ルプランナー)〔資本金1千円〕を名古屋市天白区元植田一丁目2303番地に設立
2004年10月 本社を名古屋市天白区池場二丁目2503番地に移転
2005年9月 本社を名古屋市天白区池場二丁目3216番地に移転
2007年1月 有限会社から株式会社へ改組し、㈱アールプランナーに商号変更
2008年8月 注文住宅事業を開始
2010年10月 注文住宅ブランド「アイムギャラリー」(現 アールギャラリー)の受注を開始
2012年1月 本社を名古屋市天白区原二丁目507番地に移転し、ショールームを併設
2014年1月 注文住宅ブランド「アイムギャラリー」を自社ブランド名として「アールギャラリー」へ名称変更
高級住宅ブランドショールーム「A GALLERY」を名古屋市千種区に開設(2018年9月 に名古屋市東区に移転)(現 栄ショールーム)
2014年5月 リフォームブランド「カラーズリフォーム」(現 アールギャラリーリフォーム)を立ち上げ、 天白原店を開設(名古屋市天白区)
「アールギャラリー」ブランドにて分譲住宅事業を開始
2015年1月 「アールギャラリー」として初めての住宅展示場となる、アールギャラリー日進赤池展示場 を開設(愛知県日進市)
2016年1月 リフォームブランド「カラーズリフォーム」を「アールギャラリーリフォーム」へ名称変更。天白原店を閉鎖し、アールギャラリーリフォーム天白展示場を開設(名古屋市天白区)
2016年5月 注文住宅ブランド「Fの家」の受注を開始
2017年1月 ㈱アールプランナー不動産(名古屋市千種区)を100%子会社化(現 連結子会社)
2017年2月 ㈱アールプランナー不動産 本社を名古屋市東区に移転
2017年5月 「Fの家」ショールームを開設(名古屋市東区)
2017年11月 本社を名古屋市東区東桜一丁目13番3号に移転
2019年10月 首都圏(1都3県)への進出となる東京支店を開設(東京都武蔵野市)
2020年6月 首都圏(1都3県)で初めての住宅展示場となる立川展示場を開設(東京都立川市)
2020年8月 東京都武蔵野市の拠点を吉祥寺オフィスとし、東京支店を東京都新宿区に移転
2020年9月 新宿ショールームを開設(東京都新宿区)

アールプランナーの事業内容

アールプランナーは、「All Satisfaction~すべての人に満足を~」を経営理念として、不動産の仕入れ販売や仲介、保険代理店業務など不動産取引に関わる事業を網羅的に展開する企業です。
「戸建住宅事業」・「その他不動産事業」・「その他」の3つのセグメントで事業が構成されており、各セグメントと事業系統を表した図は以下の通りです。

  1. 戸建住宅事業
  2. その他不動産事業
  3. その他
アールプランナーの事業系統図

① 事業内容 

アールプランナーでは、「戸建住宅事業」、「その他不動産事業」、「その他」の3つのセグメントによって事業が展開されていますが、注文住宅やリフォームの請負、分譲住宅の販売、不動産の仕入・販売、不動産仲介などを行う「戸建住宅事業」が事業の中心的な役割を担っており、売上の大半は「戸建住宅事業」による収益です。
他方、残りの2つの事業セグメントは、中古不動産の再生・販売や保険代理店業務などを運営する事業であり、戸建住宅事業の補完的位置付けとなります。

「戸建住宅事業」では、注文住宅と分譲住宅が提供されており、注文住宅の特徴は、自由な住宅設計や顧客の予算に合わせた住宅を提供している点です。
また、分譲住宅の特徴は、注文住宅のノウハウを生かし、1棟ごとに外観や間取りが異なる分譲住宅が提供されています。
2020年1月期は、注文住宅が255件、分譲住宅が219件と計474件の住宅が販売されました。

② 事業の特徴 

アールプランナーの提供する事業の特徴は、顧客に対し不動産を購入する際の検討要素まとめ、ワンストップ型でサービスを提供している点です。

不動産を購入する際には、顧客には「どこに建てるか」、「どういった住宅に住みたいか」など多様なニーズが発生します。
しかし、従来の不動産企業の多くは、住宅の「立地」や「デザイン」など特定の領域のみに特化しているため、顧客が住宅購入の検討を始めてから入居に至るまでに複数の業者との折衝を重ねて多くの課題を解決しなければなりません。

一方、アールプランナーのビジネスモデルは、「デザイン力・商品力×不動産情報力×集客力×販売力」と複数の領域に対して網羅的に強みを持つことで、顧客に対し、より利便性の高いサービスの提供が可能です。
このようなサービスは、注文住宅の提供によって蓄積したデザイン・仕様・性能などのノウハウと、分譲住宅の提供によって蓄積した立地に関するノウハウなどを組み合わせることで実現したビジネスモデルであり、アールプランナーの事業の強みであるといえます。

アールプランナーの事業の特徴

有価証券報告書情報

連結の経営指標(過去2期分)

第17期の業績は以下の通りです。

  • 売上高:191.8億円(前年比 +15.3%)
  • 経常利益:5.9億円(前年比 △12.6%)
  • 当期純利益:4.3億円(前年比 △2.5%)
第16期 第17期
決算年月 2019年1月 2020年1月
売上高(千円) 16,635,122 19,183,073
経常利益(千円) 679,486 593,760
当期純利益(千円) 423,504 434,139
純資産額(千円) 1,512,268 1,946,407
総資産額(千円) 13,175,198 15,113,086
自己資本比率 11.5% 12.9%
営業キャッシュフロー(千円) △950,312 △1,092,383
投資キャッシュフロー(千円) △280,579 △301,154
財務キャッシュフロー(千円) 2,211,177 925,119
現金・現金同等物の期末残高(千円) 2,596,972 2,128,554
従業員数 190人 242人

 

単体の経営指標(過去5期分)

以下は、アールプランナーの過去5期分の業績です。
売上は、第13期と比較して3倍以上に上昇しており、終始右肩上りの上昇曲線を描いています。一方、利益に関しては第13期と比較すると増加していますが、第14、15期を境に低迷が続いている状況です。
なお、アールプランナーは、2018年8月1日付で普通株式1株につき5株、2019年6月15日付で普通株式1株につき10株の株式分割を実施しました。

第13期 第14期 第15期 第16期 第17期
決算年月 2018年1月 2017年1月 2018年1月 2019年1月 2020年1月
売上高(千円) 6,057,458 8,971,715 12,002,292 15,428,990  18,429,922
経常利益(千円) 207,820 475,507 465,840 506,555 464,754
当期純利益(千円) 179,331 267,626 336,671 367,016 346,761
資本金(千円) 50,000 50,000 50,000 50,000 50,000
発行済株式総数 20,000 20,000 20,000 100,000 1,000,000
純資産額(千円) 284,563 552,189 888,861 1,255,878 1,602,639
総資産額(千円) 4,402,881 6,707,993 8,810,196 11,492,936 13,752,453
自己資本比率 6.5% 8.2% 10.1% 10.9% 11.7%
従業員数 88人 102人 113人 145人 200人

 

セグメント別業績

第17期のセグメント別経営成績は表の通りです。
戸建住宅事業がメインの事業であり、売上の大半を占める主力事業となっています。
また、他の2事業の売り上げは軒並み低下していますが、戸建住宅事業の売上の増加に牽引され、全体の売上は増加しました。

  • 戸建住宅事業:96.1%
  • その他不動産事業:3.8%
  • その他:0.2%
指標 全体 戸建住宅事業 その他不動産事業 その他
売上高(千円) 19,183,073 18,435,421 722,012 25,638
前年同期比 115.3% 116.7% 93.0% 45.3%
セグメント利益(千円) 1,432,571 167,051 24,775
前年同期比 127.2% 90.9% 101.1%

 

株主構成

上位10位までの主要な株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
梢 政樹 290,000 28.53% 90日間
古賀 祐介 260,000 25.58% 90日間
Ko.International株式会社 250,000 24.59% 90日間
TreeTop株式会社 200,000 19.68% 90日間
安藤 彰敏 2,000 0.20% 90日間
舟橋 和 2,000 0.20% 90日間
森川 祐次 1,500 0.15% 90日間
山崎 寛征 1,500 0.15% 90日間
楯 純二 1,500 0.15% 90日間
廣角 祐輔 1,500 0.15% 90日間

新規上場(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

想定価格は2,090、吸収金額(調達額)は9.6億円と予想されています。

仮条件 2,090円~2,210円
公募・売出価格 未発表
想定価格 2,090円
初値
公募株数 270,000 株
売出株数 130,000 株
オーバーアロットメントによる売出し株数 60,000 株
吸収金額(調達額) 9.6億円 (※オーバーアロットメントを含む株数×想定価格で計算)

この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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