一般法務/契約書

電子署名とは?仕組みやメリットをわかりやすく徹底解説!

「電子署名を使ってみたいけど仕組みがよくわからない」
「どうやって使うの?費用は?」

昨今、リモートワークの増加やペーパレス化に伴い、PDFなどの電子文書に電子署名が使用されることが増加しています。

しかし、電子署名の仕組みや役割をしっかりと理解できている方は少ないのではないでしょうか。

そこで今回は、電子署名の仕組みや、導入するメリットや費用などをわかりやすく解説しています。

この記事を読めば、電子署名に関する基礎的な知識がすべて身につきますよ!

1.電子署名とは?

電子署名とは、PDFなどの電子文書が正式に作成されたものであることを証明するために付される、電子的な署名です。

従来は、紙媒体の書面が正式に作成されたものであることを証明するために、印鑑やサインが用いられてきました。

ところが、PDFなどの電子文書の場合、直接に押印したりサインしたりすることは物理的に不可能であり、たとえ紙媒体の書面に押印・サインしたものをスキャンして電子文書にしたとしても、簡単にコピーペーストすることができるため、その文書が本当に正式なものであることを証明することが困難です。

そこで、電子認証局というところが発行する「電子証明書」を用い、その電子文書が正式に作成されたものであるかを証明するための技術が開発されました。

昨今の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、自宅で勤務するリモートワーカーや、企業間での書面のやり取りをペーパレス化する風潮が加速しています。

また、河野太郎行政改革・規制改革相が就任して以降、官公庁においても脱印鑑・ペーパレス化移行がどんどん進んでいます。

河野太郎行政改革・規制改革相は27日、行政手続きでの印鑑廃止に続き、ファクスの使用もやめてペーパーレス化に取り組む意向を明らかにした。北海道根室市で記者団に「電子メールやオンラインで情報を集めることができれば、より民間企業や各自治体の利便性も高まる」と強調した。

同時に「はんこを無くせば書類をプリントアウトする必要がなくなる」と述べ、印鑑廃止を行政のデジタル化加速につなげたい考えを改めて示した。

河野氏は24日、印鑑使用の原則廃止を全府省に要請している。

出典:日本経済新聞(2020年10月16日閲覧)

したがって、電子署名に関する知識や技術は、今後のビジネス展開を考える上で不可欠のものといっても過言ではないでしょう。

2.電子署名の役割

電子署名の具体的な仕組みについて解説する前に、まず、電子署名がどのような役割を果たすのかについて説明します。

電子署名がもつ役割については、①作成者と作成日時の証明、および②文書改ざんの防止、の2つが挙げられます。

それでは、以下から具体的にその内容を確認していきましょう。

(1)作成者と作成日時の証明

電子署名を用いることにより、その文書が誰よって、いつ作成されたのかを証明することができます。

誰が作成したのかを証明する、という点においては、従来紙媒体において用いられてきた印鑑やサインと同様の効果をもちます。

また、後述する「タイムスタンプ」によって、その電子文書がいつ作成されたのか(=タイムスタンプが押された時点で当該文書が存在していたこと)を証明することもできます。

この点については、紙媒体の場合には証明することが難しいため、電子署名の場合に特有のメリットであるといえます。

(2)文書改ざんの防止

電子署名を用いることにより、その文書が改ざんされた文書ではないことを証明することができます。

電子文書は、その性質上、紙媒体の文書に比べて偽造や改ざんが容易であり、サーバー等へ侵入することによってデータを盗み出すことも可能です。

そこで、電子署名をすることにより、当該電子文書が改ざんのなされていない正式な文書(いわば原本)であることを証明することができます。

また、こちらも「タイムスタンプ」によって、当該文書がタイムスタンプが押された時点以降の改ざんがなされていないことが証明されます。

3.電子署名の仕組み

ここまでは、電子署名の概要や役割について紹介しました。

以下からは、電子署名がそのような仕組みによって運用されているのかについて、わかりやすく説明していきます。

電子署名が機能するためには、「電子証明書」と「タイムスタンプ」の2つが必要です。

電子証明書とは、信頼できる第三者(認証局)が間違いなく本人であることを電子的に証明するものであって、電子署名が電子上の署名または押印であるとするならば、電子証明書とは電子上の印鑑証明ということができます。

電子文書が作成者の意思に基づいて作成されたことを証明するために、電子証明書が必要となります。

タイムスタンプとは、電子文書に打刻をするもので、その電子文書がいつ作成されたのか、いつ以降改ざんされていないのかを証明することができます。

通常の紙媒体文書の場合に置き換えると、ある文書の上に押印された印影が本物であることを証明するために印鑑証明が必要であり、また、その文書がいつ作成されたのかを明らかにするために公証人によって日付が記入される、という感じでしょうか。

それでは以下からは、それぞれのプロセスについて少し具体的にみていきましょう。

(1)電子証明書発行

電子証明書の発行プロセスは、概ね以下の通りです。

  1. まず、Aさんは認証局に対し、電子証明書の利用を申請します。
  2. 認証局はこれを受けて、Aさんの本人確認などを行い、電子証明書を発行します。
  3. Aさんはこれを受理し、電子証明書によって暗号化されたハッシュ値と電子署名を契約書に付与し、電子証明書とともにBさんに送信します。

これを受けた、受領者であるBさんの側が、電子署名が本物であるかを確認するプロセスは、概ね以下の通りです。

  1. Bさんは、電子証明書と契約書を受け取ると、電子署名が失効されていないかなどの電子署名の有効性を確認します。
  2. 次に、Bさんは認証局に対し、認証局に対して電子署名が本物であるかどうかを確認し、改ざん等がないことが確認されます。

(2)タイムスタンプ付与

次に、タイムスタンプ発行のプロセスについて説明します。

  1. Aさんは、時刻認証局(TSA)に対し、電子文書のハッシュ値とともに、タイムスタンプの発行を申請します。
  2. 時刻認証局が、ハッシュ値と時刻を記したタイムスタンプを発行し、Aさんに送付します。
  3. 原本のハッシュ値とタイムスタンプのハッシュ値が一致していることが確認されることによって、当該電子文書が改ざんされていないことが確認されます。

4.電子署名法について

2001年(平成13年)4月1日に施行された電子署名法(正式には「電子署名及び認証業務に関する法律」)は、電子署名に法的効力を認め、電子署名に関する業務を行う者に関する規定などが定められています。

電子署名法3条は、電子署名の法的効果について、以下のように規定しています。

電子文書の真正な成立

第二章 電磁的記録の真正な成立の推定
第三条 電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。

ここにいう「(文書の)真正な成立」とは、その文書が作成者の意思に基づいて作成された文書である、という意味です。

電子署名法3条の規定は、従来、紙媒体文書の真正な成立を推定する民事訴訟法の規定と対応するものであり(下記参照)、電子文書における電子署名に対して紙媒体における署名押印と同様の効果が与えられています。

電子文書に電子署名がなされている場合、その電子文書が作成者の意思に基づいて作成されたこと(真正に成立したこと)が法律上推定されます。

参考:紙媒体文書の真正な成立

民事訴訟法228条
1項 文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。
(略)
4項 私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。

したがって、電子署名は、法律によってもその効果が認められている正式な制度であるといえます。

5.電子署名のメリット

ここまでは、電子署名の概要について紹介してきました。

それでは、電子署名を導入することにより、どのようなメリットが得られるのでしょうか。

以下からは、電子署名の主なメリットを3つ紹介していきます。

(1)ペーパレス化の促進

電子署名を活用することにより、契約書等をデータで保存・共有することが可能になるため、リモートワークや遠隔地との取引も迅速に行うことができます。

また、データで管理することにより、物理的な管理スペースを確保する必要もなく、郵送・管理・保管などの業務を削減することができます。

(2)コンプライアンス強化

電子署名を導入することにより、電子文書の改ざん等を防ぐことができます。

また、契約書等をデータで保管することにより、閲覧可能ユーザーを管理したり、バックアップが可能となるなど、情報漏洩・紛失のリスクを 抑えることができるようになります。

(3)コストカット

電子署名を用いることにより、従来紙媒体の書面に必要であった印刷・製本・郵送等の費用が不要となります。

また、これらの業務に従事していた人件費や時間的コストを削減することも可能となるため、多くの契約を抱えている企業にとっては、大きなコストカットに繫がるのではないでしょうか。

さらに、電子契約には印紙税が課税されません。

そのため、従来は取引額に応じて課税対象となっていた収入印紙代が不要となるため、この点も大きなメリットといえるでしょう。

6.電子署名のデメリット

電子署名導入に関するメリットは、上に述べた通りです。

しかし、電子署名もメリットばかりというわけでもなく、残念ながらデメリットも抱えています。

以下からは、電子署名の主なデメリットを3つ紹介します。

(1)導入にコストがかかる

電子署名を導入するためには、自社内部での制度設備のほか、取引企業との調整やランニングコストがかかります。

もっとも、これらの費用は先ほどメリットの項で紹介したように、電子署名導入によるコストカットによって相殺できる可能性もあります。

そのため、電子署名導入についてコスト面で心配のある方は、実際に導入した場合の費用対効果についてしっかり比較検討するようにしましょう。

(2)文書によっては電子契約できない

上述したように、電子署名は法律上も効果が認められた制度ではありますが、現在のところ一部の契約書等では電子契約書による締結が認められていません。

その一例として、定期建物賃貸借契約、定期借地契約などは、書面による契約書の交付が法律上義務づけられているため、電子契約書を用いることができません。

もっとも、これらの要件は法改正や通達などの法運用の変化により、徐々に電子契約が認められる領域が拡大しつつあります。

先ほど述べたように、現在は河野大臣を旗手として官公庁によるペーパレス化が推進されていることもあって、今後の動向が注目されます。

(3)サイバー攻撃リスクがある

電子文書の場合、どうしてもサイバー攻撃による情報漏洩や故意の破壊等のリスクがあります。

そのため、サーバーやクラウドシステムのセキュリティ対策を行う必要があるなどのコストが発生してしまうこともあります。

とはいえ、大量の紙媒体の契約書等を保管することにも破損や紛失のリスク等があることを考えると、いずれにしてもこうしたリスクをゼロに抑えることは難しいと割り切ることもできるかもしれません。

7.まとめ

今回は、電子署名に関する基礎的な知識を徹底的に解説しました。

既に述べたように、昨今はペーパレス化の潮流が加速しており、官公庁においてもこの流れは同様であることから、今後ますます電子文書が活用される機会が増加すると考えられます。

したがって、早い段階から電子署名に関する知識を蓄え、できるだけ早く導入をするなどの対策が必要です。

スタートアップドライブでは、今後も電子署名等の電子契約に関する情報を随時更新して参りますので、ぜひ今後もチェックしてみてください。

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