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【新規上場企業分析】 プレイドのIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

プレイドの概要

プレイドの基本情報

はじめに、株式会社プレイドの基本情報を紹介します。
上場予定日は2020年12月17日、市場はマザーズ、想定時価総額は517.0億円です。

会社名 株式会社プレイド
設立日 2011年10月3日
上場日 2020年12月17日(承認日:2020年11月12日)
市場 マザーズ
証券コード 4165
業種 情報・通信業
決算期 100 株
ホームページアドレス https://plaid.co.jp/
発行済株式総数 35,408,900 株(2020 年 11 月 12 日現在)
上場時発行済株式総数 36,930,900 株
※公募分を含む。
※新株予約権の権利行使により増加する可能性がある。
公募株数 1,522,000 株
想定価格 1,400円
想定時価総額 517.0億円 (※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
資本金 961,321 千円(2020 年 11 月 12 日現在)
1単元の株式数 100 株
監査人 有限責任 あずさ監査法人
主幹事証券会社 みずほ証券
引受幹事証券会社 BofA 証券
野村證券
SBI証券
マネックス証券
楽天証券
クレディ・スイス証券
岩井コスモ証券
岡三証券
大和証券
東海東京証券
極東証券
丸三証券

プレイドの沿革

プレイドは、2011年に東京都で創業し、EC関連のコンサルティングやアプリ開発を運営する企業として設立されました。
現在は、ウェブ接客サービス「KARTE」の運営を事業の中核に据え、事業規模を大きく拡大しています。

2011年10月 東京都渋谷区に、ECに関するコンサルティングやアプリ開発を主な事業目的として設立 (資本金10,000千円)
2013年11月 EC特化型メディア「Shopping Tribe(ショッピングトライブ)」のサービスを開始
2014年7月 ウェブ接客サービス「KARTE(カルテ)」のコンセプトを発表
2014年8月 本社を東京都渋谷区に移転
2015年3月 ウェブ接客プラットフォーム「KARTE(for Web)」の提供開始
2015年10月 本社を東京都品川区に移転
2016年3月 メールやチャット等を用いてメッセージを配信する事により、サイト外のお客様への接客を可 能にする「KARTE Talk」の提供開始
2018年3月 スマートフォンアプリに対応した「KARTE for App」の提供開始 CX(顧客体験)に特化したメディア「XD」を開始
2018年4月 「KARTE」において、「ウェブ接客プラットフォーム」から「CXプラットフォーム」へとコンセプトを変更
2018年7月 本社を東京都中央区に移転
2018年12月 分断されているデータベースを統合しワンストップにCX(顧客体験)の向上を実現する「KARTE Datahub」の提供開始
2019年7月 「KARTE」導入支援の戦略パートナーとしてトランスコスモス株式会社との業務提携
2019年11月 Google International LLCを引受先とする第三者割当増資を実施(D種優先株式)
2020年3月 東京都が設立する「スタートアップ ・エコシステム 東京コンソーシアム」に参画
2020年5月 株式会社Emotion Techへの出資及び同社と戦略的パートナーシップを締結

プレイドの事業内容

プレイドは「データによって人の価値を最大化する」をミッションに掲げ、顧客体験(CX)プラットフォーム「KARTE」をウェブサイトやスマートフォンアプリを運営する事業者に向け、SaaS方式で提供するサービスをメイン事業として運営する企業です。

また、プレイドでは、「KARTE」を中核としたSaaS事業に加え、その他周辺事業としてウェブメディア運営が行われています。

以下はプレイドの主要サービスと事業系統を表した図です。

  1. SaaS事業
  2. その他周辺事業  

プレイドの事業系統図  

① SaaS事業 

SaaS事業はCX(顧客体験)プラットフォーム「KARTE」の開発を行い事業者に対して提供する事業です。

SaaSとは、Software as a Service(サービスとしてのソフトウェア)の略称であり、利用者がソフトウェアを直接インストールして利用するのではなく、 インターネット上のクラウド経由で利用するサービスを示します。
また、SaaS型のシステムは、月や年などの期間をベースとした定額課金によって一定の収益を計上するストック型と呼ばれる仕組みによって運営されるため、安定的な収益を獲得する上で有効な手法とされています。


「KARTE」は、事業者が運営するウェブサイトやスマートフォンアプリに組み込まれるシステムであり、事業者は、「KARTE」を利用し、ユーザーのウェブサイトやスマートフォンアプリ内での行動データを収集・解析し、データを整理・可視化することができます。

また、それらの解析・整理されたデータに基づき、事業者は顧客一人一人により適したアクションをとることができます。 「KARTE」は、ウェブ版・アプリ版でそれぞれ運用されており、以下はそれぞれのバージョンの具体的機能です。

「KARTE(for Web)」

「KARTE(for Web)」は、ウェブサイト向けに提供している「KARTE」です。

このシステムは、「顧客一人ひとりを可視化」「リアルタイム解析基盤」「ワンストップで施策実行」 の3つの特徴を持ちます。

「顧客一人ひとりを可視化」は、ウェブサイトに来訪する顧客の行動データを顧客ごとに蓄積し、一人ひとりのウェブサイト等における顧客行動を把握することで、事業者が顧客の状態やニーズを直感的に理解し、より良い体験を得られるような様々な施策の実行・検証を行うことができる機能です。

「リアルタイム解析基盤」は、「会員登録の途中で迷っている」「特定の商品で長時間悩んでいる」など、ウェブサイトに来訪する顧客の「今」を解析すること機能となります。
事業者は、顧客の購入意向の高まりなどを見逃すことなく、適切なコミュニケーションを図ることができます。

最後の「ワンストップで施策実行」は、「顧客分析」と「施策制作・配信・自動化」を同サービス上でまとめて実行することができる機能であり、ツールやデータを社内で分散・分断させることなく、一元化することが可能です。
このワンストップ機能によって、通常、複数部署に依頼をして、数週間要していたようなサイト上のマーケティング施策を「KARTE」担当者1名で一気通貫して実行することが可能になります。

「KARTE for App」

「KARTE for App」は、「KARTE(for Web)」とほぼ同じ機能をスマートフォンアプリ上で実現するサービスであり、iOS、Androidのスマートフォンアプリ向けのシステムです。

「KARTE for App」を導入することで、事業者はスマートフォンアプリを利用する顧客の行動をリアルタイムに解析し、「アプリインストール直後のユーザー」や「ロイヤルカスタマー」など、個々の顧客を柔軟な条件を元にグループ化してプッシュ通知やアプリ内メッセージを配信できるようになります。

また、現代の消費者行動は、同一サービスのウェブサイトとスマートフォンアプリを行き来することが一般的であるため、「KARTE for App」とあわせて「KARTE(for Web)」を導入している事業者は、共通の「KARTE」管理画面からウェブサイトとスマートフォンアプリ双方を使う顧客の行動を一覧で可視化・解析することも可能です。


以下は、「KARTE」の主要な導入企業と業種別のセグメントをまとめた図です。

カルテの事業系統図

2015年3月に正式リリースして以来、SaaS事業における各サービスは継続的に成長し、2017年9月期から2020年9月期の3年間における売上高の年平均成長率は70.3%となりました。
「KARTE」の導入企業数は、導入ウェブサイト数が710 件、導入企業数は474社となりました。(2020年9月期第4四半期時点)

② その他周辺事業

「その他の周辺事業」では、「XD(クロスディー)」というインターネットメディア運営が展開されており、このメディア事業は、重要視しているCX(顧客体験)という考え方をより広く伝え、世の中の共感を増やしていく目的で運営されています。

「XD」はCXをテーマに、様々なサービスと消費者の間に生まれる「体験(Experience)」にフォーカスしたビジネスメディアであり、企業が消費者に提供する体験をよりよくするためのヒントとなる情報を発信することで、CX(顧客体験)の考え方を広める意味合いを持つサービスです。

有価証券報告書情報

経営指標(過去2期分)

第8期の業績は以下の通りです。

  • 売上高:29.4億円(前年比+84.1%)
  • 経常利益:△6.8億円
  • 当期純利益:△8.4億円 
第7期 第8期
決算年月 2018年9月 2019年9月
売上高(千円) 1,595,434 2,937,299
経常利益(千円) △228,068 △678,663
当期純利益(千円) △230,169 △840,993
純資産額(千円) 1,929,833 1,188,815
総資産額(千円) 2,957,969 2,202,017
自己資本比率 65.2% 54.0%
営業キャッシュフロー(千円) △80,995 △623,276
投資キャッシュフロー(千円) △490,239 19,854
財務キャッシュフロー(千円) 2,498,872 △183,663
現金・現金同等物の期末残高(千円) 2,161,520 1,374,435
従業員数 85人 122人

 

経営指標(過去5期分)

過去5期の業績を見ると、売上高は、第4期と比較して約77倍と大幅に成長しており、成長曲線は終始右肩上がりとなっています。
また、利益に関しては、終始赤字で計上されており、赤字の幅は期を追うごとに大きくなってきています。


この原因の一つとして考えられるのは、プレイドが展開しているサービスがSaaS型であるという点です。
同様のSaaS型のサービスを展開する代表的な企業として、クラウド会計ソフトの「freee」、名刺管理ツールの「Sansan」が挙げられますが、SaaS型サービスは、セールス・マーケティングに多額のコストを費やす傾向があり、この2社も収益化まで比較的長い期間を要しています。

一方、SaaS型のサービスを展開するビジネスモデルは、一度収益化すると、その後、安定的に収益を伸ばすことが見込めるビジネスモデルであるという側面も持ちます。

なお、プレイドは、2019年4月4日付で普通株式1株につき1,000株の割合で株式分割を実施しました。

第4期 第5期 第6期 第7期 第8期
決算年月 2015年9月 2016年9月 2017年9月 2018年9月 2019年9月
売上高(千円) 37,938 298,517 811,382 1,595,434 2,937,299
経常利益(千円) △193,735 △210,059 △48,677 △228,068 △678,663
当期純利益(千円) △195,415 △218,239 △49,207 △230,169 △840,993
資本金(千円) 335,048 335,048 335,048 100,000 149,987
発行済株式総数 29,663 29,663 29,663 32,979 32,979,000
純資産額(千円) 428,170 209,930 160,723 1,929,833 1,188,815
総資産額(千円) 496,525 303,845 428,217 2,957,969 2,202,017
自己資本比率 86.2% 69.1% 37.5% 65.2% 54.0%
従業員数 16人 29人 53人 85人 122人

 

2019年11月、プレイドは、Googleから資金調達を実施したことを発表しました。
調達金額は非公開とされていますが、数億~十数億円と予測されています。

また、プレイドは、Googleと提携を組み、KARTEを通じてGoogle Cloudの機械学習やAI技術の統合の分野でGoogleと協業していく発表しています。

2019年11月のGoogleからの資金調達に関する記事

株主構成

上位10位までの主要な株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
倉橋 健太 11,715,000 29.65% 360日間
柴山 直樹 7,816,000 19.78% 360日間
JAPAN VENTURES I L.P. 6,280,000 15.89% 180日間
フェムトグロースキャピタル投資事業有限責任組合 4,789,900 12.12% 180日間
Google International LLC 1,420,900 3.60% 継続保有
フェムトグロースファンド2.0投資事業有限責任組合 1,098,200 2.78% 180日間
牧野 祐己 600,000 1.52% 180日間
清水 博之 600,000 1.52%
三井物産株式会社 498,000 1.26% 180日間
MSIVC2018V投資事業有限責任組合 498,000 1.26% 180日間

新規上場(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

想定価格は1,400、吸収金額(調達額)は 210.8と予想されています。

仮条件 未発表
公募・売出価格 未発表
想定価格 1,400円
初値
公募株数 1,522,000 株
売出株数 12,817,000 株
オーバーアロットメントによる売出し株数 716,000 株
吸収金額(調達額) 210.8 億円 (※オーバーアロットメントを含む株数×想定価格で計算)

この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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