M&A

スモールM&Aとは?取引の内容やメリット・件数増加の理由を解説

スモールM&Aをご存じですか?その名の通り「規模の小さいM&A」のことです。

近年、高齢化による後継者不足や時代の変化により注目を集めています。

この記事では、「スモールM&A」の「定義」や「種類」、「増加の背景」や「取引相手の探し方」などを幅広く解説していきます。

単に興味がある方から、実際に検討している方まで、一度是非読んでみてください。

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スモールM&Aの定義

「スモールM&A」は、その名の通り「小規模なM&A」のことを指します。言葉があいまいであり、厳密な定義や法的なルールはありません

ですので、「スモールM&Aとはこういうもの」という一般的なイメージをもとに説明していきます。

1億円以下の取引

一般的には「取引の内容が1億円以下のM&A」を「スモールM&A」と呼びます。

1億円以下となると小規模な企業に限られてくるでしょう。企業よりも個人事業というニュアンスに近いかもしれません。

売上が3億円以下の企業の取引

売上が数百万円~3億円以下程度の企業の取引のことも「スモールM&A」と呼びます。

「個人で飲食店を営んでいたが、事情により経営が続けられなくなってしまった。しかし、他者がその飲食店を買い取って経営を続けた」などはスモールM&Aのわかりやすい例といえます。

従業員の人数が数十人以下程度の企業の取引

従業員の人数が数十人以下の企業がM&Aをすることを「スモールM&A」と呼びます。具体的には30人以下程度である場合を指すことが多いようです。

捕捉:さらに規模の小さい取引は「マイクロM&A」と呼ばれることも

売買価格が1,000万円以下になるような非常に規模の小さい取引は「マイクロM&A」と呼ばれることもあります。

スモールM&Aと同様に、厳密な定義がなく、意味があいまいな言葉です。

スモールM&Aの種類

一言にスモールM&Aといっても、実際には様々な種類があります。内容としては普通のM&Aと変わりませんが、どのようなものがあるのか確認していきましょう。

売買

最もポピュラーであり、イメージしやすいのが会社・事業の売買です。

  • 株を譲渡して経営権を渡す
  • 株を買い取って子会社にする
  • 事業の一部を売買する

事業を終わりにしたい方、事業拡大したい方、双方にメリットがあります。

合併

合併には大きくわけて2種類があります。

  • 吸収合併→A社がB社を吸収してA社として経営継続する
  • 新設合併→A社とB社が合併して、C社として経営継続する

売買や事業の譲渡と比べると件数は少ない傾向にあります。

分割

あまりイメージがわかない方も多いかもしれませんが、会社を分割することで経営を持ち直したりすることも可能です。

  • 新設分割→事業の一部を切り離して新しい会社をたてる
  • 吸収分割→会社の一部を切り離して既存の会社に吸収させる

「自社の事業を他社に渡す」という点で事業譲渡に似ていますが、細かい点で違いがあります。

【関連リンク:スタートアップが知っておくべきM&A【基礎から徹底解説!】

スモールM&Aが増加してきている理由

スモールM&Aの件数は年々増加しています。

【引用:2017年ベンチャー企業へのM&A動向 – MARR online

ご覧の通り、2012年は88件だったのに対し、2017年では880件と10倍にまで増えています。

これには一体どのような背景があるのでしょうか。

後継者問題が深刻化してきているから

スモールM&Aが増加している理由としてまず挙げられるのは「後継者不足の深刻化」です。

経営者が高齢化や健康問題を抱え、事業が継続不可能になってしまった場合、「廃業するか・誰かに譲るか」のどちらかを選ぶことになります。

今まででは廃業してしまうケースでも、ネット上にM&Aの情報が充実したり、仲介業を営む企業や機関が増えたりすることで、スモールM&Aを選択する事業者が増えてきました

経営者の価値観が変わってきているから

経営者の価値観が時代とともに変化し、「企業・事業を立ち上げる」だけでなく「売買・取引」も視野に入れるようになりました。

これは若手の経営者や事業者が増えたことが影響していますが、M&A仲介業者やマッチングサイトが増加していることも関係しています。

起業を目的として行われることが増えてきたから

「起業を目的として企業を買い取る」という手段をとる人も増えてきています。

一から事業を立ち上げるのは手間と時間がかかります。また、失敗のリスクもあります。しかし、誰かがすでに用意している事業を買い取れば簡単に起業・事業拡大出来ます。

また、売却することを目的として、小規模な事業を始めては売却を繰り返している人もいます。

スモールM&Aをすべき企業

次に、「スモールM&A」をすべき企業や事業者とはどのようなものなのか、解説します。

後継者がいなくて困っている企業

単純に、「後継者がいなくて困っている企業・事業者」はスモールM&Aをすべきでしょう。

  • まるごと売却してしまう
  • 複数ある事業のうちの一部を取引する
  • 他の企業の子会社にしてもらう

売却してまとまった資金を手にすることでリタイアが可能になったり、他者に経営を任せたりすることで会社を存続させるなど、様々な選択肢があります。

赤字を抱えている企業

赤字を抱えている企業もスモールM&Aを検討すべきです。

「赤字が続くくらいなら廃業してしまおう」と考えている場合、スモールM&Aでその企業を買い取りたいと考えている人がいるかもしれません。

経営や事業の成長に自信がある人は赤字の企業を買い取って黒字に転換させることも可能です。

また、複数行っている事業のうち、赤字の部分だけを切り離し、経営を立て直すといった選択肢もあります。

手間をかけずに事業を拡大したい企業

手間をかけずに事業を拡大したい方にとって、スモールM&Aは特におすすめです。

「Aの事業を行っていたが、事業成長にともない、関連するBの事業をはじめることにした。」

Bの事業をはじめる手間や時間をかけるより、Bの事業を行っている他社から買い取ってしまう方が早い場合もあるでしょう。

このように、スモールM&Aは事業拡大したい方にとって外せない選択肢になるのです。

【関連リンク:スタートアップ企業が融資を受けるためには?おすすめの期間を紹介

スモールM&Aの相手を探す方法

実際にスモールM&Aをしたい場合には、まず取引相手を探す必要があります。知人の紹介などで良い縁があればいいですが、そうでない方のために、取引相手を探す方法をご紹介します。

仲介してくれる会社を利用する

仲介業者を利用して取引相手を探します。

自力で探すよりもはるかに簡単に取引相手を探せますが、「着手金」や「成功報酬」といった名目で仲介料がかかります。

関連リンク:
Blue Partners
TRANBI
INTERLINK

マッチングサイトを利用する

M&Aマッチングサイトを利用して取引相手を探すこともできます。サイトの中には、利用料や成功報酬が無料なものもありますので、仲介業者より手軽に使うことができます。

ただし、業者のように相手探しやその他のサポートをしてくれるとは限らないので、自身で情報を探す力が必要になります。

関連リンク:
▶ビズリーチ・サクシード
▶フォーバル事業承継
▶MA CONNECT

公共の支援を利用する

公共のサービスを使うことも検討しましょう。「独立行政法人 中小企業基盤整備機構」が運営している「事業引継ぎ支援センター」がおすすめです。

都道府県ごとに「引継ぎ支援センター」のサイトは用意されており、「予約」→「相談」→「紹介」というステップを踏むことになります。

以下のリンクからあなたが探している都道府県のサイトをチェックしてみましょう。

スモールM&Aの成功事例

次に、実際に行われたスモールM&Aの成功事例を確認してみましょう。

1人で運営したIT系情報サイトを売却、新規事業の資金に充てる

宮城県で、一人でIT企業を運営していたAさんですが、新規事業の資金を調達するために既存の事業を売却することに。

買い手として名乗り出たのは大阪府のWEB関連会社。交渉から売却まですべてリモートで行うことができました。

――今回事業譲渡をして良かったことを教えてください。

次の事業を始めるにあたっての準備資金ができたことです。私の性格上、新規事業を始める際に、銀行に行って融資してもらうのは避けたかったんですね。

だから、なかなか新しいことを始められずにいました。それが、M&Aによってメディアを継承できた上に、まとまった資金を得られたのはメリットでしかないと思っています。

売却以降、次の挑戦を具体的に考えられるようになり、現在はノーリスクで新規事業を立ち上げました。気持ち的にもすごく楽でしたよ。

【引用:BIZREACH SUCCEED

廃業も検討していたが同業で出会うことで事業を継続できたケース

千葉県で金属プレスメーカーを経営している中村さんは、事業拡大のために、M&Aを検討していました。

同時期、後継者不足により廃業を考えている金属プレスメーカーが埼玉県にありました。両社は見事にマッチング。

アポロ工業の株式を中村さんが買い取る形で、アポロ工業は存続、従業員の雇用を守ることができました。

――統合後、収益的にはどうですか?

中村 非常によくなっています。もともとアポロ工業は、プレス金型に裏打ちされた高付加価値企業で、いい仕事をしているので。

空気清浄機の部品など、コロナによる需要もあります。コロナで海外に発注できないなか、空気清浄機は日本に型屋さんがいるから製造できるのです。

空気清浄機の部品はチタンでできていて、チタンはプレス加工が難しいため依頼しても好まれないところも多いので、技術力のあるアポロ工業に注文がくるのです。

【引用:BIZREACH SUCCEED

M&Aを行う前に弁護士に相談

M&Aを行う際は事前に弁護士に相談した方がいいでしょう。弁護士に相談した方がいい理由は主に2つ。

  • 契約書に不利な点がないか確認してもらう
  • 企業間のトラブルを解決してもらう

特に①は重要で、契約書をプロがきちんと確認しないと思わぬトラブルが起こる可能性があります。

例えば、「とある会社の経営権を手に入れたが、その会社が借金だらけであることが取引後にわかった」などのケースです。

相手企業が都合の悪い事実を意図的に隠している可能性もありますし、仲介業者もそれに気づかないかもしれません。

取引を確かなものにするためにも、弁護士に相談することをおすすめします。

まとめ

スモールM&Aは、取引金額1億円以下の小規模なM&Aのことを指します。ただし、明確な定義や法律はなく、あいまいな言葉となっています。

後継者不足やM&A仲介業者が増えたことにより注目をあつめ、2012年~2017年で取引件数はほぼ10倍まで増加しました。

「売買・譲渡」「分割」「合併」などスモールM&Aの中にもいくつかの種類がありますが、小規模な企業同士の取引になるので、実際には「売買や譲渡」が多数を占めています。

売り手のメリットは以下の通り。

  • 廃業させずに売却できる
  • 売却することで新規事業の資金を調達できる
  • 経営者を変えることで廃業させず、従業員の雇用を守ることができる

買い手のメリットは以下の通り。

  • 事業を1から始める手間やリスクを避けることができる
  • 効率よく事業拡大できる

この通り、双方にメリットがあるのが特徴です。

取引相手を探す場合には仲介業者やマッチングサイトを利用し、契約書の最終確認は弁護士に依頼しましょう。

トラブルを回避し、スモールM&Aを成功に導いてくれます。

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ABOUT ME
石原一樹
2013年社内弁護士としてヤフー株式会社に入社。その後、外資系法律事務所東京オフィスにて勤務し、2017年にスタートアップ・ITベンチャー企業に特化したリーガルサービスを提供するSeven Rich法律事務所(現 FAST法律事務所)を設立する。2022年6月には渥美坂井法律事務所パートナー弁護士に就任。
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この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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