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【上場企業決算分析】ネットマーケティングの最新決算・事業内容・業績・歴史を徹底解説

ネットマーケティングは2004年に東京都で設立されたインターネット企業です。
広告事業とメディア事業の2軸で事業運営がなされており、特に恋愛マッチングサービス「Omiai」は、国内最大級の恋愛マッチングアプリです。
ネットマーケティングは、2017年3月にジャスダックへの上場を果たし、東証2部を経て、2019年4月に東証1部への市場変更を行っています。

① 決算データ

①-1 最新期の売上/売上総利益/営業利益/経常利益/当期純利益

決算年月(百万円) 20年6月(実績) 19年6月(実績) 前年比 20年6月(計画) 計画比
売上高 14,363 14,050 +2.2% 14,290 +0.5%
売上総利益 4,570 4,331 +5.5%
営業利益 735 424 +73.3% 700 +5.0%
経常利益 747 421 +77.4% 710 +5.2%
当期純利益 509 283 +79.6% 480 +6.0%

 

①-2 売上・営業利益・営業利益率の推移

以下の図は、5期にわたるネットマーケティングの売上高、営業利益及び営業利益率をグラフ化したものです。2020年6月期の通期の売上高は143.6億円、営業利益は7.4億円であり、営業利益率は5.1です。

営業利益率の推移

※2019年6月期以降は単体の業績指標となります。

①-3 経営指標

2020年6月期の通期業績は以下の通りです。

  • 売上高:143.6億円(前年比+2.2%
  • 経常利益:7.5億円(前年比+77.4%
  • 当期純利益:5.1億円(前年比+79.6%
決算年月 2019年6月期
2020年6月期
売上高(百万円) 14,050 14,363
経常利益(百万円) 421 747
当期純利益(百万円) 283 509
純資産額(百万円) 2,290 2,753
総資産額(百万円) 5,281 4,977
自己資本比率 43.4 55.3
営業キャッシュフロー(百万円) 212 367
投資キャッシュフロー(百万円) 42 △70
財務キャッシュフロー(百万円) △158 △126
現金・現金同等物の期末残高(百万円) 3,043 3,214

 

4Q業績ハイライト (2020年6月期)

以下は、2020年6月期の業績を4Qに分けた指標です。
4Q目の売上高が最も低くなっています。
決算説明では、原因として新型コロナウイルスによる業績の低下が影響したと説明がなされています。

期間 2020年6月期
1Q
2020年6月期
2Q
2020年6月期
3Q
2020年6月期
4Q
売上高(百万円) 4,254 3,496 3,561 3,050
粗利益(百万円)
販管費(百万円)
営業利益(百万円) 406 101 94 132

 

経営指標(過去5年分)

5期の間に売上は1.6倍ほどの成長をしています。
一方、利益に関しては、5期で2.7倍ほどの成長を見せており売上よりも鋭い成長曲線を描いた成長をみせていることがわかります。
2020年6月期は、売上・利益とも過去5年で最高となりました。

決算年月(百万円) 2016年6月 2017年6月 2018年6月 2019年6月 2020年6月
売上高 8,823 9,868 11,209 14,050 14,363
経常利益 274 423 566 421 747
当期純利益 176 296 403 283 509
純資産額 850 1,613 2,066 2,290 2,753
総資産額 2,834 3,908 4,892 5,281 4,977
自己資本比率 30.0% 41.3% 42.2% 43.4% 55.3%

※2019年6月期以降は単体の業績指標となります。

② 事業内容

②-1 ネットマーケティングとは?

ネットマーケティングは、「常識を超え、人々に幸せをとどけ、より豊かな社会を創り続ける。」というビジョンを掲げ、「広告事業」「メディア事業」の2軸を中心に運営を行うインターネット企業です。

「広告事業」では、ネット広告の代理業務を行うことで企業のマーケティング支援を行っています。
「広告事業」運営されている事業は、アフィリエイト広告というインターネットを利用するユーザーのアクション(本登録をした、商品を注文した、など)に応じて広告費用が発生するタイプの広告モデルです。
ネットマーケティングでは、アフィリエイト広告の事業領域で戦略立案から広告運用までをトータルで行うことで広告主である顧客企業をサポートしています。

一方、「メディア事業」では日本最大級の恋愛マッチングアプリ「Omiai」の運営が中心に行われています。
「Omiai」は、恋のきっかけを提供する、恋活に特化した恋愛マッチングサービスです。近年では、このようなスマートフォンなどの普及に伴い、インターネットを利用したマッチングサービスを出会いの場として利用するケースが増加傾向にあります。

②-2 セグメント別の事業内容/ビジネスモデル

ネットマーケティングが行う事業のセグメントは、前述した通り、「広告事業」と「メディア事業」に分けられます。

「広告事業」では企業のアフィリエイト広告運用のトータルサポートが行われており、「メディア事業」ではマッチングアプリの運用が行われています。
このように、同じインターネット領域でもセグメントによって事業領域が全く異なるのが大きな特徴の一つです。

以下で、それぞれのセグメントについての詳細を説明します。

「広告事業」

「広告事業」で運用されているアフィリエイト広告の特徴は、広告出稿費用が成果報酬型であるため、広告主が広告費用発生地点(=成果地点)や成果単価を自由に設定できる点です。

成果地点とは、「ユーザーが仮登録した地点」「資料を申し込んだ地点」「商品を注文し、代金が支払われた地点」などを示し、アフィリエイト広告のモデルでは、どの地点で広告費用を支払うかを広告主が自分で設定することができます。
また、仮登録<資料申し込み、資料申し込み<商品注文のように成果地点に応じて難易度が上がるため、成果単価は、通常、難易度が高い成果地点を選択するとその分高くなります。
このように、アフィリエイトの広告モデルでは、広告主が自らの要望に応じて成果地点や成果単価を設定で切る仕組みであるため、費用対効果が見えやすい広告モデルであるといえます。

ネットマーケティングの「広告事業」は、アフィリエイトエージェントとして広告主に代わってアフィリエイトにおける戦略立案と運用支援を一手に担う事業を展開しています。

アフィリエイトのビジネスモデル

「メディア事業」

ネットマーケティングの「メディア」事業では、恋愛マッチングアプリ「Omiai」の運営が中心に行われています。
「Omiai」のマッチングサービスは、男性会員に対して月額有料で提供されており、男性が利用する際には有料会員登録が必要です。
利用料金として支払われた月額料金は「メディア事業」の収益となり、サイトの運営や管理に充てられます。
また、「Omiai」は累計会員数400万人以上の日本最大級の恋愛マッチングサービスです

Omiai

②-3 売上構成比/セグメント別経営指標の推移

売上の構成比に着目して、直近3期の売上高を見ていきます。
売上を構成するセグメントについては前述した通りです。
広告事業とメディア事業がおおよそ2:1の割合で推移しています。
また、2020年6月期4Qは、新型コロナウイルスによる企業の広告運用の縮小やマッチングアプリの有料会員数の減少などの影響によって「広告事業」「メディア事業」共に縮小傾向となりました。

 

売上構成比

また、以下の図は2018年6月期から2020年6月期までの各セグメントの売上と営業利益の推移を表したグラフです。

  • 広告事業の売上高/営業利益の推移
広告事業の売上推移

 

  • メディア事業の売上高/営業利益の推移
メディア事業

「広告事業」、「メディア事業」共に2020年6月期の期首は売上/利益ともに高水準で推移していましたが、新型コロナウイルスなどの影響で期末にかけて低下していることがわかります。
「広告事業」の営業利益が売上高の推移に連動して変化している一方、「メディア事業」の営業利益は売上高に連動せず、営業利益額の変化も不安定な傾向を見せています。
決算報告では、その理由として、テレビCMで大規模な広告を使った場合、その影響が営業利益に大きな影響を与えるという説明がなされています。

③ 主要KPIとその数値推移

③-1 広告市場の推移

インターネットを介した広告の市場は、近年目覚ましい成長を遂げています。
「テレビ離れ」などと表現されるように、テレビのような従来は広告市場における中心的な存在であった市場が縮小傾向である一方、ネット広告の市場は年を追うごとに拡大しています。
2019年には国内のインターネット広告費が2兆円を超え、テレビ広告の市場を抜き話題となりました。

広告市場の推移

 

③-2 「Omiai」の有料会員登録者数

以下の図は、過去4年間の「Omiai」の有料会員登録者数の年度ごとの推移を表したグラフです。2019年6月期まで右肩上がりで推移していたものの、新型コロナウイルスの影響によるデート機会の減少がネックとなり、2020年6月期は有料会員総数が減少しました。

会員数の推移

③-3 婚活サービス市場の推移

以下のグラフは、婚活サービスを利用して結婚した人の割合の推移を比較した図です。
婚活パーティー・イベントや結婚相談所などリアル領域でのサービスが停滞する中、インターネットを利用した婚活サービスは、利用割合が右肩上がりで上昇しています。
特に2017年から2018年にかけての利用者割合は急速に増加しており、ネットを利用した婚活サービスは今後メジャーな市場に成長していくことが予想できます。

 

婚活市場の推移

④ コスト構造

④-1 売上、コストと営業利益

以下の図は、ネットマーケティングの2つのセグメントの売上、コスト、営業利益率の関係性を表したグラフです。

  • 広告事業
広告事業のコスト構造
  • メディア事業
メディア事業

セグメントごとにグラフを比較すると、「広告事業」の営業利益率は緩やかに上昇傾向です。このグラフから「広告事業」のセグメントは、原価・販管費などのコストをマネジメントし経営効率が改善していることが推測できます。

一方で、メディア事業は営業利益率が年度ごとに大きな変動を見せています。
この原因は、前述したテレビCMなどに多額の広告費を費やした場合、広告費用に伴ってコストが一気に上昇することが原因であると考えられます。

④-2 営業利益の推移

以下の図は、ネットマーケティングの営業利益の推移と粗利益、販管費の関係性を表したグラフです。
粗利益、販管費ともに右肩上がりで推移していましたが、2020年6月期は粗利益が上昇した一方で、販管費が下がったことをグラフの推移から読み取ることができます。
結果として、2020年6月期は、過去5年間で営業利益が最高となりました。

ネットマーケティングの粗利益、営業利益、販管費

 

 

 

 

 

 

 

⑤ 投資領域

⑤-1 各地方自治体との官民連携

ネットマーケティングの「メディア事業」は、これまで複数回に渡り地方自治体と「Omiai」×「婚活パーティー」というコンセプトで官民連携を行っています。
過去には、青森県や倉敷市などでこのような官民連携プロジェクトが行われました。
このプロジェクトは、「婚活」「移住」の2軸をベースに首都圏在住の地方に関心を持つ独身男女を迎え、ご当地の食事を楽しみながら素敵な出会いを見つけるコンセプトのイベントです。
2020年6月期は、岡山県津山圏域の市町とタッグを組んだプロジェクトが開催されました。

2019年11月の岡山県でのプロジェクトに関する資料

⑤-2 東証1部への市場変更

ネットマーケティングは、2019年4月にそれまで上場していた東証2部から東証1部への市場変更を行いました。
ネットマーケティングは2017年3月にジャスダックへ上場し、その後2018年5月に東証2部へ市場変更を行いました。
東証1部への市場変更は、ネットマーケティングにとって2度目の市場変更となります。

2019年4月の東証1部への市場変更に関する資料

⑥ 株価・時価総額推移

以下の図は、ネットマーケティングの株価の変化を表したグラフです。

ネットマーケティング 株価推移

ネットマーケティングの2020年8月14日時点の株価は535円、時価総額は79.2億円です。
2020年6月期の通期の営業利益7.4億円に対して10.7倍という評価を受けている計算となります。

⑦ 会社情報

まずはネットマーケティングの基本情報を紹介します。
市場は東証1部で、決算月は毎年6月です。

基本情報

会社名 株式会社ネットマーケティング
設立日 2004年7月9日
市場 東証1部
証券コード 6175
業種 サービス業
決算期 6月
ホームページアドレス http://www.net-marketing.co.jp/
発行済株式総数 14,796,800(株)
普通株式数 14,796,800(株)
資本金 408,000,000円  (2020/6現在)
1単元の株式数 100株
従業員数 120 人
平均年齢 31.2 歳
平均年収 5,724,000 円

沿革

ネットマーケティングは2004年に東京都で設立され、2017年3月にジャスダックへの上場を果たしました。
その後、東証2部を経て、2019年4月に東証1部への市場変更を行っています。

2004年7月
東京都台東区上野に広告主へキャンペーン型のアフィリエイト企画を提供するWeb広告の代理店として株式会社ネットマーケティング(資本金1,000万円)を設立。
2004年12月 本社を東京都台東区上野から東京都港区南青山に移転。
2007年2月 キャンペーン型のアフィリエイト企画を提供するWeb広告の代理店からアフィリエイト業界のセールスレップへビジネスモデルの転換を行い、広告主のWebプロモーションにおけるコンサルテ ィングサービスの提供を開始。
2011年9月 本社を東京都渋谷区恵比寿へ移転。
2012年2月 インターネット異性紹介事業として、Facebookを活用した恋愛マッチングサービス「Omiai」の提供を開始。
2012年12月 「Omiai」の米国における市場調査やマーケティング活動の拠点として、カリフォルニア州にNet Marketing International, Inc.(連結子会社)を設立。※2018年7月31日付をもって解散。
2014年3月 広告主のWebプロモーションにおけるコンサルティングサービス強化の一環として、運用型広告の取扱を開始。
2015年1月 Facebookユーザー特化型ソーシャルジョブマッチングサービス「Switch.」のサービスを開始。
※2017年9月1日を効力発生日として会社分割し、株式会社オープンキャリアへ継承。
2017年3月
東京証券取引所JASDAQスタンダード市場へ上場。
2018年3月 本社を現在の東京都港区南青山へ移転。
2018年5月
東京証券取引所市場第二部へ市場変更。
2018年6月 デーティングアプリ「QooN」のサービスを開始。
※2019年3月28日付をもってサービス終了。
2018年8月
中期経営計画「Investment to Growth 2021」を発表。
全国の地方自治体と連携したイベント等の取り組み開始。
「Omiai」が岡山県と「婚活」「移住」分野で官民連携。
2019年2月
「Omiai」が出雲市と「婚活」「移住」分野で官民連携。
2019年3月
「Omiai」が青森県と「婚活」「移住」分野で官民連携。
2019年4月
東京証券取引所市場第一部銘柄に指定。
「Omiai」が倉敷市と「婚活」「移住」分野で官民連携。
2019年11月
「Omiai」岡山県津山圏域の市町と「婚活」「移住」分野で官民連携

 


この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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