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【新規上場企業分析】 ウィルズのIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

ウィルズの概要

ウィルズの基本情報

はじめに株式会社ウィルズの基本情報を紹介します。上場日は2019年12月17日、市場はマザーズ、想定時価総額は41.8億円、上場時の時価総額は208.5でした。

会社名 株式会社ウィルズ
設立日 2004年10月18日
上場日 2019年12月17日(承認日:2019年11月12 日)
市場 マザーズ
証券コード 4482
業種 情報・通信業
決算期 12月
ホームページアドレス https://www.wills-net.co.jp/
発行済株式総数 4,497,600 株(2019 年 11 月 12 日現在)
上場時発行済株式総数 4,597,600 株
※公募分を含む。
※新株予約権の権利行使により増加する可能性がある。
公募株数 100,000 株
想定価格 910円
想定時価総額 41.8億円 (※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
初値 4,535円
上場時時価総額 208.5億円(※上場時発行済株式総数×初値で計算)
時価総額 154.0億円 (2020年9月14日現在)
資本金 146,485 千円(2019 年 11 月 12 日現在)
1単元の株式数 100株
監査人 EY 新日本有限責任監査法人
主幹事証券会社 みずほ証券
引受幹事証券会社


大和証券
SBI証券
三菱UFJモルガン・スタンレー証券
マネックス証券
楽天証券
松井証券
エース証券
水戸証券4

 

ウィルズの沿革

株式会社ウィルズは、2004年にインベスター・ネットワークス株式会社として東京都で創業しました。
上場企業と機関投資家や個人投資家を繋ぐシステムの提供を業務の中核として運営しています。
また、ウィルズは、2019年12月に東証マザーズへ上場しました。

2004年10月 インベスター・ネットワークス株式会社(資本金4,500万円 東京都千代田区)を設立
2005年11月 IR活動支援ツール「IR-navi」をリリース
2008年3月 本社を東京都渋谷区広尾に移転
2008年9月 JIS Q 15001(プライバシーマーク)認証取得(登録番号 10840370号)
2009年11月 本社を東京都渋谷区渋谷に移転
2011年10月 「株主ポイント倶楽部」をリリース
2013年11月 本社を東京都港区虎ノ門に移転
2015年9月 「プレミアム優待倶楽部」をリリース株式会社ウィルズへ商号変更
2017年1月 議決権行使結果回収システム、SRサイトサーバ、議決権行使結果回収方法、プログラム、及び情報処理システムにおける特許取得(特許第6203932号)
2017年9月 議決権行使結果回収システム、議決権行使結果回収方法における特許取得(特許第6203933号)
2017年11月 「プレミアム優待倶楽部PORTAL」をリリース
2018年4月 個人株主管理システム、及び個人株主管理方法における特許取得(特許第6325152号)
2018年6月 アレックス・ネット株式会社を吸収合併
2018年9月 ISO/IEC 27001:2013認証取得(認証登録番号 12793)
個人投資家向けメディア「上場社長プレミアムトーク」をリリース
2019年3月 「WILLsVote」(電子議決権行使プラットフォーム)の提供開始
2019年4月 「プレミアム優待倶楽部GIFT CARD」の販売開始
2019年12月
東京証券取引所マザーズに株式上場

ウィルズの事業内容

ウィルズは、上場企業と投資家を繋ぐことにより効率的な資本市場の実現と上場企業の企業価値最大化を支援することをミッションに掲げ、上場企業と投資家を繋ぎ、双方の良好な関係構築をサポートする「株主管理プラットフォーム事業」を運営する企業です。

ウィルズは、この事業において、3つの主要なサービスを運営しており、それぞれのサービスと事業系統を表した図は以下の通りです。

  1. プレミアム優待倶楽部
  2. IR-navi
  3. ESGソリューション
ウィルズの事業系統図

① プレミアム優待倶楽部

プレミアム優待倶楽部は、「ポイント付与」のシステムを通じて企業と投資家の結びつきをより強くするためのサービスです。

ウィルズの顧客企業の株主は、「プレミア優待倶楽部」のサイトへ登録することで、保有株式数や保有年数に応じたポイントを獲得します。
また、「プレミア優待倶楽部」のシステムを利用して、企業からの書類受け取りや、電子議決権を公使をすることも可能であり、電子議決権の行使や経営者のメッセージをシステム上で閲覧することで追加ポイントを手に入れることも可能です。
そして、このようにして蓄積されたポイントは、優待商品と交換するために利用することができるため、投資家側は「プレミア優待倶楽部」の利用を通して、優待商品を受け取ることができます。
一方、企業側は、「ポイント」という報酬をきっかけに投資家側との結びつきをより強くする目的のために「プレミア優待倶楽部」を使うだけでなく、株主を管理するためのツールとしても利用しています。

現在、「プレミア優待倶楽部」は、43社の企業によって利用されており(2019年12月時点)、ウィルズは導入企業からシステム利用料を受け取ることで売上を計上します。

 

② IR-navi

「IR-navi」は、ウィルズが上場企業向けに提供する「機関投資家のデータベース」としての機能を持つシステムです。

このシステムを利用することで、企業側は、国内全ての上場企業と海外主要企業約32,000社の国内外機関投資家による株式保有状況や投資家自身のプロフィールを確認することができます。
また、「IR-navi」は、国内外の機関投資家のパーソナルデータを保有しているため、決算説明会の案内や資料の自動送付等を可能にするシステムも備わっています。
このような「IR-navi」の機能を利用することで、企業側は、機関投資家のターゲティングに役立てたり、IR業務を効率化させることができます。

「IR-navi」は、現在281社の企業に利用されており(2019年12月時点)、ウィルズは「プレミア優待倶楽部」と同様に、導入企業からシステム利用料を受け取ることで収益を計上しています。

③ ESGソリューション

「ESGソリューション」は、統合報告書やアニュアルレポートなどの投資家とのコミュニケーションツールを企画、制作するサービスです。

また、このサービスでは、各種レポートの企画・制作やウェブサイトでの展開を通じて、投資家に対し、資本政策やCSRなどの企業の取り組みを効果的に伝えるための提案やセミナーを行うコンサルティング業務やレクチャー業務も運営されています。

有価証券報告書情報

経営指標(過去3期分)

第16期の業績は以下の通りです。

  • 売上高:17.9億円(前年比+54.4%)
  • 経常利益:3.1億円(前年比+187.6%)
  • 当期純利益:2.0億円(前年比+65.4%)
第14期 第15期 第16期
決算年月 2017年12月 2018年12月 2019年12月 
売上高(千円) 650,125 1,161,243 1,793,163
経常利益(千円) 55,984 107,710 309,725
当期純利益(千円) 3,532 121,822 201,484
純資産額(千円) 118,480 252,302 698,987
総資産額(千円) 345,266 827,373 1,430,135
自己資本比率 33.5% 30.1% 48.8%
営業キャッシュフロー(千円) 98,156 153,318 358,071
投資キャッシュフロー(千円) △41,582 △264,447 △83,706
財務キャッシュフロー(千円) 10,976 170,296 170,010
現金・現金同等物の期末残高(千円) 189,391 343,676 788,050
従業員数 19人 37人 46人

 

経営指標(過去5期分)

過去5期の業績を見ると、4年間で売上が5倍以上と増加しています。

一方で、利益面に関しては、第13期まで赤字を計上していましたが、第14期からは黒字に転換しました。
第16期は売上、利益とも増収増益を達成し、5年間で最高値となっています。

ウィルズは、2019年8月30日付で普通株式1株につき300株の株式分割を実施しています。

第12期 第13期 第14期 第15期 第16期
決算年月 2015年12月 2016年12月 2017年12月 2018年12月 2019年12月 
売上高(千円) 340,544 386,971 650,125 1,161,243 1,793,163
経常利益(千円) △28,521 △50,088 55,984 107,710 309,725
当期純利益(千円) △34,191 △57,964 3,532 121,822 201,484
資本金(千円) 242,918 273,356 273,356 67,000 190,645
発行済株式総数 9,825 11,695 11,695 11,935 4,597,600
純資産額(千円) 109,187 114,948 118,480 252,302 698,987
総資産額(千円) 293,734 346,155 345,266 827,373 1,430,135
自己資本比率 37.2 32.4 33.5% 30.1% 48.8%
従業員数 15人 13人 19人 37人 46人

 

ウィルズは、2019年4月、株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイドとの資本業務提携を行うことに合意しました。
この業務提携は、ミンカブがウィルズの株式の一部を取得し、少数株主として参画することで合意されたとされています。
また、この資本業務提携に関する詳細記事は以下の通りです。

2019年4月に発表されたミンカブとの資本業務提携に関する記事

 

上場時の株主構成

上位10位までの株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
杉本 光生 1,660,800 31.76% 180日間
蓮本 泰之 708,000 13.54% 180日間
SUGアセット株式会社 330,000 6.31% 180日間
ウィッテン・ダレル 183,300 3.51% 180日間
上川 博史 168,600 3.22% 180日間
青山 洋一 157,200 3.01% 180日間
神保株式会社 120,000 2.29% 180日間
株式会社ケーアイティーシー 120,000 2.29% 180日間
秋元 伸介 108,000 2.07% 180日間
蒲野 宏之 106,500 2.04% 180日間

上場時(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

公募価格は960円、吸収金額(調達額)は3.5とされています。 また初値は、4,535となりました。

仮条件 910円 ~ 960円
公募・売出価格 960円
想定価格 910円
初値 4,535円 (公募価格比+372.4%)
公募株数 100,000 株
売出株数 220,000 株
オーバーアロットメントによる売出し株数 48,000 株
吸収金額(調達額) 3.5億円(※オーバーアロットメントを含む株数×公募価格で計算)

この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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