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【新規上場企業分析】 スポーツフィールドのIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

スポーツフィールドの概要

スポーツフィールドの基本情報

はじめに株式会社スポーツフィールドの基本情報を紹介します。
上場日は2019年12月26日、市場はマザーズ、想定時価総額は23.4億円、上場時の時価総額は75.0億円でした。

会社名 株式会社スポーツフィールド
設立日 2010年1月5日
上場日 2019年12月26日(承認日:2020年11月21日)
市場 マザーズ
証券コード 7080
業種 サービス業
決算期 12月
ホームページアドレス https://www.sports-f.co.jp/
発行済株式総数 816,000 株(2019年11月21日現在)
上場時発行済株式総数 881,600 株 
※公募分を含む。
※新株予約券の権利行使により増加する可能性がある。
公募株数 65,600 株
想定価格 2,650 円
想定時価総額 23.4億円 (※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
初値 8,500円
上場時時価総額 75.0億円(※上場時発行済株式総数×初値で計算)
時価総額 23.7億円 (2020年9月7日現在)
資本金 10,300 千円(2019年11月21日現在)
1単元の株式数 100株
監査人 EY 新日本有限責任監査法人
主幹事証券会社 SMBC日興証券
引受幹事証券会社 SBI証券
いちよし証券
岩井コスモ証券
エース証券
東洋証券
極東証券
マネックス証券
松井証券

スポーツフィールドの沿革

株式会社スポーツフィールドは、2010年に東京都で株式会社スポーツリンク埼玉として創業しました。

2013年からは、「スポナビ」の運営を開始し、現在ではスポーツ関連の人材採用支援に特化した事業運営を行っています。

また、スポーツフィールドは、2019年12月に東証マザーズに上場しました。

2010年1月 東京都渋谷区に人材関連商品の企画・販売、人材紹介、労働者派遣業務を事業目的とした、株式会社スポーツリンク埼玉を設立(資本金1,000 千円)
2011年4月 東京都スポーツリンク東日本へ称号変更
2015年5月 本社を東京都渋谷区から東京都中央区に移転
2013年9月 本社を東京都中央区から東京都渋谷区に移転
2013年10月 体育会学生の総合就職支援サービス「スポナビ」を開始
2014年1月 第三者割当にて資本金10,000千円に増資 株式会社スポーツフィールドへ称号変更 関西エリアで初となる大阪オフィスを開設 東海エリアで初となる東海オフィスを開設 九州エリアで初となる九州オフィスを開設
2014年4月 有料職業紹介業についての厚生労働大臣許可を受ける
2014年5月 転職支援サービス「スポナビキャリア」を開始
2015年7月 本社を東京都渋谷区から東京都新宿区に移転
2016年2月 第三者割当にて資本金10,300千円に増資
2016年5月 東京都新宿区に子会社、株式会社エスエフプラス(現 連結子会社)を設立
2016年7月 東北エリアで初となる仙台オフィスを開設 北海道エリアで初となる札幌オフィスを開設
2016年8月 労働者派遣業についての厚生労働大臣許可を受ける
2017年7月 中国エリアで初となる広島オフィスを開設
2018年1月 日本政府が推進するスポーツ国際貢献事業「SPORT FOR TOMORROW」に加盟
2018年9月 株式会社エスエフプラスにて有料職業紹介業についての厚生労働大臣許可を受ける
2018年10月 株式会社エスエフプラスにて「エスナビ」を開始
2019年12月 東証マザーズに上場

リビングプラットフォームの事業内容

スポーツフィールドは、「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時にスポーツが持つ可能性を様々なフィールドで発揮し個人、法人、地域社会そして日本の発展に貢献すること」を経営理念として掲げ、スポーツ人材の採用支援事業の展開を中心とした事業運営を行う企業です。 事業部門は、「新卒事業部門」と「既卒事業部門」に区分されています。 スポーツフィールドが運営する主要な事業と事業系統図は以下の通りです。

  1. 新卒事業部門
  2. 既卒事業部門
スポーツフィールド 事業系統図

① サービス内容

新卒事業

スポーツフィールドが行う「新卒事業」は、現役体育会学生の就職と企業の採用支援を行う事業部門です。

スポーツフィールドでは、大学等で本格的にスポーツに取り組んでいた人材を「スポーツ人財」を企業にとって優れたポテンシャルを持つ投資対象であると位置付けており、新卒事業では、企業と学生をマッチングさせるため「イベント事業」「人財紹介事業」の2軸でサービスが運営されています。

「イベント事業」は、学生と体育会系の人財の採用を検討している企業とのマッチングの場を提供するサービスです。新卒採用時の「合同説明会」のような形式で、学生と企業との直接的な接点を設けることを目的とした企画となっています。 学生と企業を一同に集めた大規模なイベントの企画を行う一方、スポーツフィールドのスタッフである就職アドバイザーが推薦した学生のみを集めたイベントの企画運営も行われています。

「人財紹介事業」は、スポーツフィールドが運営するWebサイト「スポナビ」に登録した学生と企業をマッチングさせる事業です。 具体的には、スポーツフィールドの就職アドバイザーが学生や企業からそれぞれのニーズや求める会社像・人物像をヒアリングし、企業と学生の良好なマッチングを図っています。

既卒事業

スポーツフィールドでは、過去にスポーツ・競技経験のある社会人経験者や、引退したプロ・アマチュアアスリートも「スポーツ人財」として位置付け「既卒事業」部門での就職サポートが行われています。

既卒事業では、「人財紹介事業」のみが運営されており、その内容やサービスフローは新卒向けの人財紹介事業と大差はありません。

しかし、新卒者向けのサービスよりも一時期に対応する人数が少なかったり、企業側も新卒のように一括採用するわけではなく求める人財ニーズも個々に異なるため、求職者や人事担当者と面談回数を多くするなどより手厚いフォローが必要とされます。

② 主要な指標

以下の図は、スポーツフィールドの2019年12月期における事業別の売上を示した図です。

約70%の売上は、新卒事業関連の売上であり、特に「イベント事業」は全体の42%に相当する売上構成となっています。

このことから、スポーツフィールドのビジネスは、新卒採用関連に重心が置かれたビジネスモデルであることが推測できます。 スポーツフィールド 売上 また、以下の図は過去5年間のスポナビの登録者数の推移を表した図です。

スポーツフィールドの売上構成のメインとなる部門は新卒を対象とした事業であるため、その人数規模に直結する「スポナビ」の登録者数は大変重要な指標です。 図を見ると、概ね右肩上がりのに登録者が増加している傾向です。
2019年3月卒向けのみ数値が下落していますが、決算説明では、経路厳選化の影響による一過的なものであると説明されています。

また、人材紹介業は、企業へ人材が入社した段階で報酬を獲得するケースが多い収益モデルであるため、効率の良い収益化のためには、登録者の母数を確保するだけでなく内定承諾後のフォローアップが非常に重要であるといえます。  

スポナビ KPI

有価証券報告書情報

連結の経営指標(過去3期分)

第10期の業績は以下の通りです。

  • 売上高:19.2億円(前年比+26.5%)
  • 経常利益:1.9億円(前年比+68.9%)
  • 当期純利益:1.3億円(前年比+68.9%)
第8期 第9期 第10期
決算年月 2017年12月 2018年12月 2019年12月 
売上高(千円) 1,106,727 1,516,370 1,917,813
経常利益(千円) 60,171 113,916 192,045
当期純利益(千円) 41,031 72,806 132,965
純資産額(千円) 59,396 132,205 429,932
総資産額(千円) 418,961 735,377 1,106,275
自己資本比率 14.2% 18.0% 38.9%
営業キャッシュフロー(千円) 108,208 82,994 198,181
投資キャッシュフロー(千円) △32,962 △75,085 △24,984
財務キャッシュフロー(千円) △82,366 191,526 149,891
現金・現金同等物の期末残高(千円) 163,792 363,227 686,315
従業員数 118人 164人 201人

 

単体の経営指標(過去5期分)

5期の業績を見ると、4年間で売上は約4.5倍増加していることがわかります。
一方で、利益に関しては、第7期に一時的に赤字で計上されますが、その後、黒字に回復し第10期は経常利益、純利益とも5期で最高益となっています。

また、スポーツフィールドは、2019年10月4日付で1株につき40株の株式分割を行いました。

第6期 第7期 第8期 第9期 第10期
決算年月 2015年12月 2016年12月 2017年12月 2018年12月 2019年12月
売上高(千円) 415,173 670,054 1,101,380 1,506,875 1,900,480
経常利益(千円) 24,193 △490 59,419 118,234 192,655
当期純利益(千円) 9,291 △1,875 40,419 67,268 133,716
資本金(千円) 10,000 10,300 10,300 10,300 92,680
発行済株式総数 20,000 20,400 20,400 20,400 881,600
純資産額(千円) 23,433 21,450 61,870 129,138 427,616
総資産額(千円) 190,449 363,121 419,538 729,780 1,102,908
自己資本比率 12.3% 5.9% 14.7% 17.7% 38.8%
従業員数 39人 81人 111人 155人 198人

 

上場時の株主構成

上位10位までの株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
篠﨑 克志 312,000 35.40% 180日間
加地 正 160,000 18.16% 180日間
森本 翔太 160,000 18.16% 180日間
伊地知 和義 160,000 18.16% 180日間
永井 淳平 28,000 3.18% 180日間
北川 雅人 11,840 1.34% 180日間
山本 憲司 4,000 0.45% 180日間
佐野 浩太郎 3,680 0.42% 90日間
岡村 芳明 3,360 0.38% 90日間
小西 秀人 1,920 0.22% 90日間

上場時(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

公募価格は2,730、吸収金額(調達額)は9.5とされています。 また初値は、8,500円となりました。

仮条件 2,570円 ~ 2,730円
公募・売出価格 2,730円
想定価格 2,650円
初値 8,500円(公募価格比+211.4%)
公募株数 65,600 株
売出株数 236,200 株
オーバーアロットメントによる売出し株数 45,200 株
吸収金額(調達額) 9.5億円(※オーバーアロットメントを含む株数×公募価格で計算)

この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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