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【新規上場企業分析】スペースマーケットのIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

スペースマーケットの概要

スペースマーケットの基本情報

はじめに株式会社スペースマーケットの基本情報を紹介します。上場日は2019年12月20日、市場はマザーズ、想定時価総額は58.3億円、上場時の時価総額は146.5億円でした。

会社名 株式会社スペースマーケット
設立日 2014年1月8日
上場日 2019年12月20日(承認日:2019年11月15日)
市場 マザーズ
証券コード 4487
業種 情報・通信業
決算期 12月
ホームページアドレス https://spacemarket.co.jp/
発行済株式総数 10,693,800 株(2019年11月15日現在)
上場時発行済株式総数 11,213,800 株 
※公募分を含む。
公募株数 520,000 株
想定価格 520円
想定時価総額 58.3億円 (※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
初値 1,306円
上場時時価総額 146.5億円(※上場時発行済株式総数×初値で計算)
時価総額 99.8億円 (2020年9月9日現在)
資本金 100,000 千円(2019年11月15日現在)
1単元の株式数 100株
監査人 EY新日本有限責任監査法人
主幹事証券会社 大和証券
引受幹事証券会社

みずほ証券
SBI証券
SMBC日興証券
松井証券
マネックス証券
いちよし証券
エース証券
岩井コスモ証券

スペースマーケットの沿革

株式会社スペースマーケットは、2014年に東京都で創業しました。
遊休不動産を有効活用するためのサービスである「スペースマーケット」を事業の中心として運営し、2017年には、日本初となるシェアリングエコノミー認証を取得しています。
また、スペースマーケットは、2019年12月に東証マザーズへ上場しました。

2014年1月 東京都中野区で設立
2014年4月 遊休不動産等のスペースを貸し借りできるマーケットプレイス「スペースマーケット」の運営を開始
2015年6月 「スペースマーケット」iOS版アプリをリリース
2015年9月 「スペースマーケット」のiOS版アプリが2015粘土グッドデザイン賞を受賞
2016年1月 6社共同で、シェアリングエコノミーの普及活動を目的とした「一般社団法人シェアリングエコノミー協会」を設立し、代表取締役社長重松大輔が共同代表理事に就任
2016年2月 本社を東京都新宿区に移転
2016年7月 「スペースマーケット」にて宿泊用スペースの取り扱いを開始
2017年1月 「スペースマーケット」Android版アプリをリリース
2017年7月 シェアリングエコノミー協会による第1号シェアリングエコノミー認証取得
2018年7月 ゲストが利用するスペースでのイベント運用を行える機能「スペースマーケットEVENT」をリリース
2019年11月 協働して事業やソリューションを開発・推進するパートナーシップ「スペースマーケット・パートナーズ」を立ち上げ
2019年12月 東京証券取引所マザーズに株式を上場

スペースマーケットの事業内容

スペースマーケットは、「チャレンジを生み出し、世の中を面白くする」をビジョンに掲げ、空き家や廃校などの遊休不動産を貸し借りするプラットフォーム「スペースマーケット」の運営を行う企業です。

「スペースマーケット」は、インターネット上で運営されているプラットフォームであり、遊休不動産を保有する提供者(ホスト)と、遊休不動産を使用することを希望する利用者(ゲスト)は、スマートフォンを利用して簡単にスペースの取引ができるサービスです。

以下は、スペースマーケットが運営する主要なサービスと事業系統を図式化したものです。

  1. プラットフォームサービス
  2. 法人向けソリューション
スペースマーケット 事業系統

 

① プラットフォームサービス

スペースマーケットの「プラットフォームサービス」は個人がネットを利用して簡単・手軽にスペースの貸し借りをできるような仕組みを運営するサービスです。
プラットフォームサービスは大きく「スペースマーケット」と「スペースマーケット EVENT」に2分されて運営が行われています。

  • スペースマーケット
    「スペースマーケット」は、遊休不動産の有効かつ柔軟な利用を促進するために提供されているサービスであり、ウェブ上のプラットフォームとしての機能を担っています。法人による利用が多く見込まれる、会議室・セミナー会場を中心に、レストラン、カフェ、お寺、廃校など全国で12,200件以上の遊休不動産が「スペースマーケット」上に掲載されており、スペースの利用を希望するゲストは、それらの場所を貸しスペースとして利用できます。

    サービスのフロートしては、はじめに、ゲストがホストに対してスペース利用についての依頼をウェブのスペースマーケット上で行います。
    その後、ホストによる簡単な審査に通過すると、ゲストはスペースを利用することができるようになります。
    スペースの利用後、ゲストは、使用時間単位で計算されたスペース使用料金をスペースマーケット宛に支払い、スペースマーケットによって手数料などを精算した料金がホストに対して支払われるフローとなっています。

    このように「スペースマーケット」を利用した遊休不動産の取引は、ネット上で完結する利便性の高いシステムであり、流動性の高いサービスであるといえます。

  • スペースマーケット EVENT
    「スペースマーケットEVENT」は、イベント運営のサポート業務を行うウェブ上のサービスです。

    イベントの主催者や幹事が行う、参加者の募集管理や会場手配、集金などをスペースマーケット側が代行する形でイベント運営のサポートをウェブ上で行います。
    このようなイベント運営における裏方の業務を「スペースマーケットEVENT」が代行することで、イベントの主催者や幹事は、イベントの企画や表側の運営に集中して取り組むことができます。

② 法人向けソリューション

スペースマーケットが運営する「法人向けソリューション」は、法人によるイベント企画や運営までをワンストップで支援するサービスです。


前述した、プラットフォームサービスは、「スペースの貸し借り」や「イベントの裏方作業のサポート」をスポットで提供するサービスでした。
一方、法人向けソリューションは、会場の選定、イベントの企画・プロデュース、当日の運営までイベント運営における全てのフローに関わるサービスとなっています。

スペースマーケットは、法人向けソリューションで「映画館で開催するベンチャー企業のコンセプト」、「お寺で開催する大企業とスタートアップの合同祈願祭」など様々な法人向けイベントの企画・運営を行ってきました。

有価証券報告書情報

経営指標(過去3期分)

第6期の業績は以下の通りです。

  • 売上高:8.7億円(前年比+51.1%)
  • 経常利益:0.3億円
  • 当期純利益:0.5億円
第4期 第5期 第6期
決算年月 2017年12月 2018年12月 2019年12月 
売上高(千円) 392,638 578,247 873,897
経常利益(千円) △148,188 △271,923 32,023
当期純利益(千円) △148,598 △274,213 45,823
純資産額(千円) 83,156 551,835 879,914
総資産額(千円) 282,272 1,083,453 1,418,947
自己資本比率 29.4% 50.9% 62.0%
営業キャッシュフロー(千円) △153,698 △278,964 △75,042
投資キャッシュフロー(千円) △1,502 △7,295 △2,472
財務キャッシュフロー(千円) △6,412 896,644 132,144
現金・現金同等物の期末残高(千円) 150,933 761,318 815,947
従業員数 39人 51人 54人

 

経営指標(過去5期分)

過去5期の業績を見ると、売上高は4年間で12倍近い増加を見せています。
また、利益に関しては、第5期まで赤字を計上していましたが、第6期には黒字に転換しました。

また、スペースマーケットは、2019年10月1日付で普通株式1株につき300株の株式分割を実施しています。

第2期 第3期 第4期 第5期 第6期
決算年月 2015年12月 2016年12月 2017年12月 2018年12月 2019年12月 
売上高(千円) 75,633 224,948 392,638 578,247 873,897
経常利益(千円) △70,511 △159,672 △148,188 △271,923 32,023
当期純利益(千円) △70,805 △160,011 △148,598 △274,213 45,823
資本金(千円) 63,826 253,747 253,747 625,192 241,128
発行済株式総数 24,920 31,413 31,413 35,646 11,213,800
純資産額(千円) 15,737 235,566 83,156 551,835 879,914
総資産額(千円) 52,911 395,342 282,272 1,083,453 1,418,947
自己資本比率 29.7% 59.6% 29.4% 50.9% 62.0%
従業員数 19人 29人 39人 51人 54人

スペースマーケットは、2016年8月にはオプトベンチャーズ、リクルートストラテジックパートナーズなどから4億円の資金調達を実施しており、2019年1月には東京建物やJTBなどから8.5億円の資金調達を実施しました。
これらの資金調達は、開発強化やサービス拡大を目的としたものであると発表されています。
なお、以下は、2016年と2019年の資金調達の詳細について執筆された記事のURLです。

2016年8月の資金調達に関する記事

2019年1月の資金調達に関する記事

上場時の株主構成

上位10位までの株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
重松 大輔 4,086,000 34.84% 180日間
株式会社ダブルパインズ 1,500,000 12.79% 180日間
オプトベンチャーズ1号投資事業有限責任組合 1,247,700 10.64% 90日間
CA Startups Internet Fund2号投資事業有限責任組合 771,000 6.57% 90日間
鈴木 真一郎 752,700 6.42% 180日間
壺内 靖二郎 734,700 6.27% 180日間
株式会社マイナビ 335,700 2.86% 180日間
オリックス株式会社 256,200 2.18% 90日間
みずほ成長支援投資事業有限責任組合 205,200 1.75% 90日間
東京建物株式会社 171,000 1.46%

上場時(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

公募価格は590円、吸収金額(調達額)は12.2億円とされています。 また初値は、1,306となりました。

仮条件 520円 ~ 590円
公募・売出価格 590円
想定価格 520円
初値 1,306円 (公募価格比+121.4%)
公募株数 520,000 株
売出株数 1,274,700 株
オーバーアロットメントによる売出し株数 269,200 株
吸収金額(調達額) 12.2億円(※オーバーアロットメントを含む株数×公募価格で計算)

この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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