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【新規上場企業分析】rakumo(ラクモ)のIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

rakumo(ラクモ)の概要

rakumoの基本情報

まずはrakumoの基本情報を紹介します。 上場予定日は2020年9月28日、市場はマザーズ、想定時価総額は58.2億円です。

会社名 rakumo(らくも)株式会社
設立日 2004年12月17日
上場日 2020年9月28日(承認日:2020年8月21日)
市場 マザーズ
証券コード 4060
業種 情報・通信業
決算期 12月
ホームページアドレス https://corporate.rakumo.com/
発行済株式総数 5,026,500 株(2020年8月21日現在)
上場時発行済株式総数 5,292,900 株
※公募分を含む。
※新株予約権の権利行使により増加する可能性がある。
公募株数 266,400 株
想定価格 1,100円
想定時価総額 58.2億円 (※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
資本金 99,000 千円(2020 年8月21日現在)
1単元の株式数 100株
監査人 有限責任監査法人トーマツ
主幹事証券会社 みずほ証券
引受幹事証券会社

東海東京証券
野村證券
SBI証券
いちよし証券
岩井コスモ証券
丸三証券
岡三証券
東洋証券
水戸証券
楽天証券
松井証券

rakumoの沿革

rakumo株式会社は、2004年に東京都で株式会社日本技芸としてスタートしました。
企業向けにクラウドサービス「rakumo」を開発し販売する業務を運営しており、2019年には導入実績が70万ライセンスを突破しています。

2004年12月 東京都渋谷区において株式会社日本技芸を設立
Web関連システム・サービスの受託開発ビジネスを開始
2007年5月 東京都新宿区に本社移転
2010年4月 グループウェア『rakumo』シリーズ第1号、Googleカレンダーをリデザインした『rakumoカレンダ ー』のサービス提供を開始
2010年8月 社内外の連絡先を一元管理できる共有アドレス帳『rakumoコンタクト』をリリース
2011年5月 申請・承認・回覧などの機能を有した電子稟議システム『rakumoワークフロー』をリリース
東京都渋谷区に本社移転
2012年7月 出退勤打刻機能を有した『rakumoタイムレコーダー』をリリース
2012年8月 Salesforceカレンダーと連携した『rakumoソーシャルスケジューラー』をリリース
2013年7月 掲示板型情報共有ツール『rakumoボード』をリリース
10万ライセンスを達成
2013年8月 ネットイヤーグループ株式会社による当社連結子会社化
2014年2月 東京都中央区に本社移転
2014年11月 クラウド型経費精算ソリューション『rakumoケイヒ』をリリース
2015年1月 20万ライセンスを達成
2015年11月 rakumo株式会社に商号変更
2015年12月 30万ライセンスを達成
2016年5月 SalesforceカレンダーとGoogleカレンダーの双方向同期を可能とする『rakumo Sync』をリリース
2017年5月 40万ライセンスを達成
2017年8月 ネットイヤーグループ株式会社との資本関係解消
2017年9月 50万ライセンスを達成
2017年11月 東京都千代田区に本社移転
2018年4月 AOI Systems Vietnam Co., Ltd.の全持分を取得し連結子会社化、rakumo Company Limited(ベトナム)に商号変更
60万ライセンスを達成
2019年5月 70万ライセンスを達成
2019年7月 多様な勤務形態に対応した勤怠管理システム『rakumoキンタイ』をリリース

rakumoの事業内容

rakumoは、「仕事をラクに。オモシロく。」というビジョンのもと、企業の業務の生産性向上に貢献することを目的としたクラウドサービスの提供を行っている企業です。
rakumoによって提供されているクラウドサービス「rakumo」は、GoogleやSalesforceと連携しており、それらのサービスをより利便性の高いツールに進化させることを目的として設計されてます。
また、他社ハードウェアの販売代行業務や、海外でのシステム開発サービスをクラウド関連のサービスと並行して運営しています。

rakumoは、ITソリューションサービスの単一セグメントで運営されていますが、サービスカテゴリーは3つの領域に分類されており、rakumoで運営されている主なサービスカテゴリーと、事業系統図を表した図は以下の通りです。

  1. SaaSサービス
  2. ソリューションサービス
  3. ITオフショア開発サービス
rakumoの事業系統図

 

① SaaSサービス

rakumoで開発されているクラウドサービス「rakumo」シリーズは、GoogleやSalesforceなどのクラウドツールを提供する世界的なメーカーのクラウドサービスと連携し、企業業務における様々なシーンへの適応を目的としたサービスです。

「クラウド」とは、従来ハードウェアとしてデータの保存などに使用されるサーバーをインターネット上の「クラウド」というサーバーを利用することによって保存することを可能にしたシステムです。

このクラウドが存在することで、クラウドシステムのユーザーはサーバーがなくてもインターネット環境さえあればいつでも保存しているデータにアクセスすることができます。
また、クラウドを利用することでサーバーやソフトウェアを導入する必要がなくなるため、ユーザーはデータの保存や管理を低コストで運用が可能です。

現在では、多くの企業の業務管理に「クラウド」が利用されており、「rakumo」が連携する、Googleの「G Suite」、Salesforceの「Sales Cloud」などは多くの企業で導入されている代表的なクラウドサービスです。

①-1 Googleとの連携

Google版rakumoは、Googleが提供するクラウドサービス「G Suite」と連携したサービスです。
rakumoでは、企業が「G Suite」を利用する際に不足する機能の補完や、より使いやすい画面の設計、より便利に利用できるようにするための機能を提供しています。

Google版rakumoによって提供されている主な機能は以下の通りです。

サービス名 概要:機能等
rakumoカレンダー 共有カレンダー:Googleカレンダーとの連携、会議室・設備予約、ケイヒ・キンタイ連携
rakumoコンタクト 共有アドレス帳:社員名簿、顧客・取引先情報管理、Gmailとの連携
rakumoワークフロー 電子稟議システム:豊富な承認経路設定、柔軟な申請フォーム作成、ケイヒ・キンタイ連携
rakumoボード 電子掲示板:コメント・リアクション機能、回覧板、アクセス設定
rakumoケイヒ 経費精算システム:運賃・乗換情報連携、定期区間設定、カレンダー・ワークフロー連携
rakumoキンタイ 勤怠管理システム:柔軟な勤務形態設定、ICカード・Web打刻対応、カレンダー・ワークフロー連携

 

①-2 salesforceとの連携 

Salesforce版rakumoは、セールスフォース社の営業支援クラウドサービスである「Sales Cloud」などと連携するサービスです。
Salesforce版rakumoで提供される機能は、主に営業担当者の予定調整業務負荷を軽減することを目的としています。

Salesforce版rakumoによって提供されている主な機能は以下の通りです。

サービス名 機能等
rakumoソーシャルスケジューラー 共有カレンダー:Salesforceカレンダーとの連携、取引先・商談データ等との紐付け
rakumo Sync カレンダー同期サービス:GoogleカレンダーとSalesforceカレンダーの双方向同期サービス

 

①-3 rakumoシリーズの特徴 

rakumoシリーズのサービスの特徴は、高い利便性と利用しやすい料金です。
従来のソフトウェアサービスは、導入やカスタマイズをする際にソフトウェア提供元のスタッフが顧客企業を訪問して作業するのが主流でしたが、rakumoサービスは顧客側が必要に応じて自らカスタマイズできる仕組みとなっています。
また、「G Suite」や「Sales Cloud」など、既に低コストでの提供が行われているサービスを基盤として利用することで、顧客のサービス導入コストを低減させることを可能にしている点もrakumoシリーズの特徴です。

また、ビジネスモデルの特徴としては、サブスクリプションモデルを採用している点が挙げられます。
サブスクリプションモデルとは、サービス料金を顧客企業の使用期間及びユーザー数に応じて定期定額契約によって継続的な収益を得ることができるビジネスモデルです。
このように、売り切り型ではなく、継続的な収益を得るためのモデルを前提としているため、既存顧客から安定的な収益を獲得しながら、新規契約数を増加させることで事業の成長を目指すことが可能です。

② ソリューションサービス 

rakumoのソリューションサービスは、顧客の要望に応じたシステムの導入サポートや、顧客が導入したサービスに関連するハードウェアの販売代行などを行うサービスです。

rakumoのサービスは、原則として顧客側で導入や運用ができるように設計されています。一方で、前システムからの移行作業や、導入時の初期設定作業、管理者やユーザーへの操作説明などを顧客から求められる場合があるため、その際はソリューションサービスのスタッフが顧客のサポートを行います。

③ ITオフショア開発サービス 

ITオフショア開発サービスは、システム開発などの業務を海外のスタッフやチームが行うサービスであり、国内におけるITエンジニアの人材不足や、人材不足に起因するコスト増加の対策として運営されているサービスです。
rakumoでは、ベトナムが拠点である「rakumo Company Limited」のおいてITオフショア開発サービスを提供されており、オフショア開発を有効に運用することで、人材の安定的な確保や開発コストの低減を目指しています。

有価証券報告書情報

連結の経営指標(過去2期分)

16期の業績は以下の通りです。

  • 売上高:6.6億円(前年比+24.5%)
  • 経常利益:0.2億円
  • 当期純利益:△0.4億円
第15期 第16期
決算年月 2018年12月 2019年12月
売上高(千円) 534,035 664,845
経常利益(千円) △14,124 20,195
当期純利益(千円) △8,937 △38,394
純資産額(千円) 33,324 54,630
総資産額(千円) 458,833 515,122
自己資本比率 7.3% 10.6%
営業キャッシュフロー(千円) 111,481 115,505
投資キャッシュフロー(千円) △73,049 △66,679
財務キャッシュフロー(千円) △30,060 36,665
現金・現金同等物の期末残高(千円) 196,919 282,324
従業員数 77 86

単体の経営指標(過去5期分)

5期の業績を見ると、売上高は4年で2.7倍程度増加しています。 一方で、利益に関しては赤字の状態が続いています。
利益に関しては、マイナスの状態が続いていた経常利益が第16期にプラスに転じている一方、当期純利益は損失を増やし続け4年で20倍近く損失額を増加させています。

rakumoでは、損失の原因として以下のように理由を説明しています。

  • 第11期から第15期において、事業拡大に向けた全社的な組織拡充のために積極採用を進めたことにより、営業部門、開発部門及び管理部門それぞれの組織において、人件費を始めとして費用が増加した。
  • さらに、製品認知度向上の為の販売促進費や、人員増加によるオフィス拡張等の費用が増加した結果、経常損失及び当期純損失を計上した。
第12期 第13期 第14期 第15期 第16期
決算年月 2016年3月 2017年3月 2017年12月 2018年12月 2019年12月
売上高(千円) 239,480 284,869 261,636 516,570 664,845
経常利益(千円) △1,764 △412 △19,865 △25,987 7,140
当期純利益(千円) △2,531 △2,056 △51,269 △26,168 △49,637
資本金(千円) 135,360 135,360 99,000 99,000 99,000
発行済株式総数 36,070 36,070 47,115 47,115 50,265
純資産額(千円) △102,867 △104,924 42,616 16,447 26,659
総資産額(千円) 145,297 168,266 408,765 444,877 491,317
自己資本比率 △70.8% △62.4% 10.4% 3.7% 5.4%
従業員数 20人 22人 30人 38人 43人

株主構成

上位10位までの株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
MICイノベーション4号投資事業有限責任組合 1,179,000 21.58 90日間
御手洗 大祐 1,057,700 19.36 180日間
アイ・マーキュリーキャピタル株式会社 555,500 10.17 90日間
田近 泰治 544,500 9.97 180日間
BIG1号投資事業有限責任組合 530,600 9.71 90日間
Spiral Capital Japan Fund 1号投資事業有限責任組合 500,000 9.15 90日間
株式会社創世 377,000 6.90 180日間
HENNGE株式会社 176,700 3.23 180日間
高間 徹 111,500 2.04 90日間
株式会社日本政策金融公庫 55,500 1.02

新規上場(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

想定価格は1,100円、吸収金額(調達額)は16.8億円と予想されています。

仮条件 未発表
公募・売出価格 未発表
想定価格 1,100円
初値
公募株数 266,400 株
売出株数 1,059,600 株
オーバーアロットメントによる売出し株数 198,900 株
吸収金額(調達額) 16.8億円 (※オーバーアロットメントを含む株数×想定価格で計算)

この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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