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【新規上場企業分析】QD レーザのIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

QDレーザの概要

QDレーザの基本情報

はじめに、株式会社QDレーザの基本情報を紹介します。 上場予定日は2021年2月5日、市場はマザーズ、想定時価総額は95.1億円です。

会社名 株式会社 QD レーザ
設立日 2006年4月24日
上場日 2021年2月5日(承認日:2020年12月28日)
市場 マザーズ
証券コード 6613
業種 電気機器
決算期 3月
ホームページアドレス https://www.qdlaser.com/
発行済株式総数 25,132,380 株(2020 年 12 月 28 日現在)
上場時発行済株式総数 34,584,180 株
※公募分を含む。
※新株予約権の権利行使により増加する可能性がある。
公募株数 9,451,800 株
想定価格 275円
想定時価総額 95.1億円 (※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
資本金 763,310 千円(2020 年 12 月 28 日現在)
1単元の株式数 100 株
監査人 EY 新日本有限責任監査法人
主幹事証券会社 SMBC日興証券
引受幹事証券会社 SBI証券
岩井コスモ証券
水戸証券
極東証券

QDレーザの沿革

QDレーザは、2006年に富士通株式会社のベンチャー企業として東京都で設立されました。
その後、大学や他社との業務提携を進め、現在に至ります。

2006年4月 富士通株式会社と三井物産株式会社のベンチャーキャピタル資金を活用して、富士通株式会社の量子ドットレーザ技術に基づく光デバイスのベンチャー企業として、東京都千代田区に株式会社QDレーザ(資本金10,020千円)を設立
2006年6月 国立大学法人東京大学と「量子ドットの結晶成長技術に関する研究」で共同研究契約締結
2010年4月 業務拡大に伴い、本社を神奈川県川崎市川崎区に移転
2010年9月 光通信用1240-1310nm 量子ドットレーザを世界で初めて実用量産化し、QLF1339シリーズとして商品化
2011年4月 単一モード発振特性に優れた1030-1180nm 材料加工・センサ用DFBレーザをQLD106xシリー ズとして商品化
640-785nm 高出力レーザ(モニタPD付き)をQLF063xシリーズとして商品化
2012年1月 ISO9001認証取得
2013年3月 532, 561, 594nm 小型可視レーザモジュールをQLD0593シリーズとして商品化
2014年2月 1064nm 400mWのDFBレーザモジュール開発
2014年4月 波長1μm帯DFBレーザモジュール搭載ピコ秒パルスドライバーボードを商品化
2015年9月 臨床試験実施の目的で、ドイツエッセン市に非連結子会社QD Laser Deutschland GmbH(資本金 25,000EUR)を設立
2018年4月 レーザアイウェア事業の開発拠点拡張に伴い、神奈川県川崎市幸区に新川崎オフィスを設置
2018年7月 網膜走査型レーザアイウェア「RETISSA® Display」販売開始
2019年10月 網膜走査型レーザアイウェア「RETISSA® DisplayⅡ」発表・受注開始
EN ISO13485認証取得
2019年12月 網膜走査型レーザアイウェア「RETISSA® DisplayⅡ」販売開始
2020年1月 網膜走査型レーザアイウェア「RETISSA® メディカル」が新医療機器として製造販売承認を取得
2020年9月 RETISSA® Displayシリーズ累計450台出荷達成
2020年10月 富士通エレクトロニクス株式会社とRETISSA®シリーズに関する販売代理店契約を締結
メガネブランド「Zoff(ゾフ)」を運営する株式会社インターメスティックと業務提携
参天製薬株式会社とRETISSA® メディカルの販売支援契約を締結

QDレーザの事業内容

QDレーザは「人の可能性を照らせ。」という経営理念を掲げ、半導体を利用したレーザ技術を応用し、高度な情報処理や特殊加工、視力改善などを目的とした事業を運営する企業です。

QDレーザの事業セグメントは、半導体技術を利用した高度な情報処理を行う「レーザデバイス事業」と視力改善を目的としたメガネ型ディスプレイ開発・製造を行う「レーザアイウェア事業」の2つの事業に分割されています。

なお、QDレーザの主要事業と、事業系統図とは以下の通りです。

  1. レーザデバイス事業
  2. レーザアイウェア事業

 

QDレーザの事業系統図

① レーザデバイス事業 

レーザデバイス事業は、会社全体の売上の大半を占めるQDレーダの基幹となる事業セグメントです。


この事業では、半導体を加工することで情報通信機器やセンサー、検査装置に関わる製品の開発が行われており、特に事業の中核となる情報通信の部門では、精密機器などに利用される高温耐性を持つ特殊なレーザ加工品が製造が行われており、加工技術に関して、他社にはないノウハウを持つ点が強みとなります。


また、その他の製品として開発されているものは、光源を利用した距離計、細菌やホコリ・ダストなどを観測する機器などです。

レーザデバイス事業で取り扱われる製品は、自社で開発する分野と外部企業に製造委託する分野に分割することで、得意分野への集中や経営の効率化に取り組まれています。

なお、以下の図はレーザデバイス事業の事業系統を表した図です。



レーザデバイス事業の事業領域

② レーザアイウェア事業 

レーザアイウェア事業では、レーザ網膜投影技術を使ったメガネ型ディスプレイ(網膜走査型レーザアイウェア)を製品開発・製造を行う事業セグメントです。


網膜走査型レーザアイウェアとは、メガネ型フレームに内蔵された超小型レーザプロジェクタから、網膜に直接画像を投影することで、カメラの撮像画像や外部入力されたデジタル情報を見せることができる製品であり、視覚に障がいのある方に対する視覚支援機器となります。


また、この事業の特徴として挙げられるのは、レーザデバイス事業と同様に、ファブレス製造や外部外部委託により、製造・販売するプロセスの多くを他社が担っている点です。 製造や組み立て、販売は提携企業が行い、自社では製品の企画・設計や指示書やデータの提供に経営資源が集約されています。 なお、以下の図では、網膜走査型レーザアイウェアの仕組みを表しています。

レーザアイウェアの仕組み

有価証券報告書情報

経営指標(過去2期分)

第14期の業績は以下の通りです。

  • 売上高:7.6億円(前年比 △21.3%)
  • 経常利益:△12.3億円
  • 当期純利益:△12.4億円
第13期 第14期
決算年月 2019年3月 2020年3月
売上高(千円) 960,986 756,633
経常利益(千円) △996,094 △1,225,739
当期純利益(千円) △1,040,521 △1,240,167
純資産額(千円) 2,130,953 1,729,699
総資産額(千円) 2,999,407 2,919,364
自己資本比率 71.05% 59.25%
営業キャッシュフロー(千円) △1,184,162 △1,208,362
投資キャッシュフロー(千円) △112,880 △204,730
財務キャッシュフロー(千円) 2,897,541 1,161,374
現金・現金同等物の期末残高(千円) 1,722,684 1,464,175
従業員数 50人 55人

 

経営指標(過去5期分)

以下は、QDレーザの5期分の業績です。

指標を見ると、売上に関してはやや横ばいである一方、利益に関しては損失を増やし続けている傾向であり、この指標から、QDレーザの事業は、未だ投資段階であり、収益化まではしばらく時間を要することが推測できます。

なお、QDレーザは、2019年8月20 日付で普通株式1株につき普通株式20株の割合で株式分割を実施しました。

第10期 第11期 第12期 第13期 第14期
決算年月 2018年3月 2017年3月 2018年3月 2019年3月 2020年3月
売上高(千円) 613,864 579,952 664,017 960,986 756,633
経常利益(千円) △358,313 △808,127 △1,075,219 △996,094 △1,225,739
当期純利益(千円) △356,506 △810,967 △1,128,917 △1,040,521 △1,240,167
資本金(千円) 1,803,240 2,553,240 10,000 343,852 763,310
発行済株式総数 601,958 789,458 811,682 1,135,442   25,132,380 
純資産額(千円) 485,805 1,174,837 245,935 2,130,953 1,729,699
総資産額(千円) 1,131,202 1,855,978 1,199,950 2,999,407 2,919,364
自己資本比率 42.95 63.30 20.50 71.05% 59.25%
従業員数 22人 33人 45人 50人 55人



QDレーザの事業が投資段階であることを前述しましたが、それを裏付けるように2019年4月、QDレーザは複数のベンチャーキャピタルから総額36.6億円の資金調達を実施したことを発表しました。

なお、調達した資金は、レーザーアイウェア事業関連の資金に当てられると発表されています。

QDレーザ,第三者割当増資で36.6億円調達

セグメント別業績

第14期のセグメント別経営成績は表の通りです。 売上構成比は以下の通りで、9割近くの売上は、「レーザデバイス事業」の売上によって占められています。

また、第14期は、レーザデバイス事業の一部製品が大幅に受注数が減少したことが原因となり、業績が下落しました。
なお、レーザアイウェア事業は、売上は伸長したものの、利益自体は大きくマイナスとなっており、この指標から、レーザアイウェア事業は、QDレーザでもより投資的領域であることが推測できます。

  • レーザデバイス事業:88.4%
  • レーザアイウェア事業:11.6%
指標 全体 レーザデバイス事業 レーザアイウェア事業
売上高(千円) 756,633 668,894 87,739
前年同期比 78.7% 69.8% 130.0%
セグメント利益(千円) 18,704 △999,766
前年同期比 9.7%

 

株主構成

上位10位までの主要な株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
東京センチュリー株式会社 3,671,360 13.02% 180日間
MGI Global Fund L.P. (常任代理人 Mitsui&Co. Global Investment, Inc.) 3,511,040 12.45% 180日間
グローバル・イノベーショ ン・ファンド 3,187,860 11.30%
グローバル・イノベーショ ン・ファンドⅡ 2,468,000 8.75% 180日間
アクサ生命保険株式会社 1,916,680 6.80%
グローバル・イノベーショ ン・ファンドⅢ 1,857,140 6.59% 180日間
菅原 充 1,458,000 5.17% 180日間
Beyond Next Ventures1号投資事業有限責任組合 754,160 2.67% 90日間
第一生命保険株式会社 (常任代理人 株式会社日本カストディ銀行) 754,160 2.67% 90日間
リアルテックファンド1号 投資事業有限責任組合 750,000 2.66% 90日間

新規上場(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

想定価格は275円、吸収金額(調達額)は42.9億円と予想されています。

仮条件 未発表
公募・売出価格 未発表
想定価格 275円
初値
公募株数 9,451,800 株
売出株数 4,107,600 株
オーバーアロットメントによる売出し株数 2,033,900 株
吸収金額(調達額) 42.9 億円 (※オーバーアロットメントを含む株数×想定価格で計算)

この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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