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【新規上場企業分析】パワーソリューションズのIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

パワーソリューションズの概要

パワーソリューションズの基本情報

はじめに株式会社パワーソリューションズの基本情報を紹介します。上場日は2019年10月1日、市場はマザーズ、想定時価総額は24.8億円、上場時の時価総額は67.6でした。

会社名 株式会社パワーソリューションズ
設立日 2002年1月7日
上場日 2019年10月1日(承認日:2019年8月27日)
市場 マザーズ
証券コード 4450
業種 情報・通信業
決算期 12月
ホームページアドレス https://www.powersolutions.co.jp/
発行済株式総数 1,038,000 株(2019年8月27日現在)
上場時発行済株式総数 1,323,700 株
※公募分を含む。
公募株数 285,700 株
想定価格 1,870円
想定時価総額 24.8億円 (※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
初値 5,110円
上場時時価総額 67.6億円(※上場時発行済株式総数×初値で計算)
時価総額 36.9億(2020年10月5日現在)
資本金 74,912 千円(2019年8月27日現在)
1単元の株式数 100 株
監査人 有限責任監査法人トーマツ
主幹事証券会社 大和証券
引受幹事証券会社
みずほ証券
SBI証券
マネックス証券

岩井コスモ証券
いちよし証券
松井証券
極東証券
エース証券

パワーソリューションズの沿革

株式会社パワーソリューションズは、2002年に創業し、創業初期から証券会社や資産運用会社など金融系企業の業務コンサルティングやシステム開発を運営してきた企業です。

その後、事業領域をシステム開発以外にも拡大し、2019年10月に東証マザーズへ上場しました。

2002年1月 会社設立
2002年12月 証券会社向けに業務コンサルティング・システムの受託開発・運用保守サービスの提供を開始
2003年10月 資産運用会社向けに業務コンサルティング・システムの受託開発・運用保守サービスの提供を開始
2006年7月 信託銀行向けに業務コンサルティング・システムの受託開発・運用保守サービスの提供を開始
2007年1月 顧客向けコンサルティングの一環として一般労働者派遣事業許可証を取得
2011年7月 金融事務(投資信託の適時開示レポート)におけるアウトソーシングを開始
2012年1月 旅行業法に基づき旅行業登録し、航空券手配代行サービスを開始
2012年6月 福岡オフィス(航空券手配代行サービス)を開設
2012年7月 銀行向けに業務コンサルティング・システムの受託開発・運用保守サービスの提供を開始
2015年6月 芝大門オフィスを開設
2017年12月 Microsoft Silver Cloud Platformコンピテンシーを取得
2018年2月 UiPath株式会社のゴールドパートナーとしてリセラー契約を締結
2018年8月 一般事業者向けにRPAライセンス販売及びRPA導入サポートサービスを開始
2019年4月 RPAビジネス推進を目的として大手町二丁目オフィスを、関西地区の取引強化を目的として大阪オフィスを開設
2019年10月 東京証券取引所マザーズに株式を上場
2019年12月 UiPath株式会社のダイヤモンドパートナーに認定

パワーソリューションズの事業内容

パワーソリューションズは「俯瞰的な視点で世の中の非効率を解消していくことで、“より満足度の高い未来”を創造する」という企業ビジョンを掲げ、金融機関を中心とした企業向けのソフトウェアの取り扱いを主要な事業として運営する企業です。

金融機関を中心とした顧客企業に向けたシステムを開発する「システムインテグレーション」、人材を派遣する「アウトソーシング」、ソフトウェアの販売と導入サポートを行う「RPA関連サービス」の3つのサービスを軸として事業運営を行っています。

以下は、パワーソリューションズの主な事業と事業系統を表した図です。

  1. システムインテグレーション
  2. アウトソーシング
  3. RPA関連サービス


パワーソリューションズ 事業系統

① システムインテグレーション   

「システムインテグレーション」は、パワーソリューションズの主軸となるサービスであり、主に金融機関を対象に業務コンサルティングとシステムの受託開発(システム設計・開発)、システムの運用サポートを行うサービスです。

金融機関では、企業向けの情報システム開発を請け負う企業である、システムインテグレーターによって提供される汎用サービスを利用していますが、このようなサービスをそのまま運用するだけでは、業務上、適切な運用が難しいケースがあります。
パワーソリューションズでは、このようなケースが発生した場合、各ビジネス部門のニーズを満たすために、システムの連携やカスタマイズ、付加機能の開発を専門に行っています。

パワーソリューションズは、顧客企業が汎用サービス導入した後、ビジネス部門が利用できるようになった最後の部分を「ラストワンマイル」と定義し、これらを最適化することを事業の最大の目的と位置付けています。

ラストワンマイルの構造

 

② アウトソーシング  

「アウトソーシング」は、システムインテグレーションの補完的な位置付けとして、金融機関を中心とした企業に対し人材派遣を行い、企業の業務プロセスの一部を代行するサービスです。

具体的には、投資信託適時開示・法定開示レポーティング、投信レポートデリバリーなど、投資信託関連の業務代行が行われていますが、サービスの一部として航空券の手配代行サービスも運営しています。

③ RPA関連サービス  

「RPA関連サービス」は、「複数のシステムを接続し、業務を最適化すること」を目的としたサービスとして、RPAソフトの販売代行と導入サポートを行う事業です。

RPAとは、Robotic Process Automationの略語であり、AIや機械学習などの認知技術を活用して、これまで人間のみが対応可能と想定されていた操作をソフトウェアロボットによって自動化する取り組みのことを示し、国内でも生産年齢人口の減少や働き方改革による業務効率化のニーズを満たす技術として注目されています。

パワーソリューションズでは、2018年2月に、国内トップクラスのRPAソフトのシェアを持つUiPath株式会社と契約を締結し、一般事業会社向けにRPAソフトウェアであるUiPath RPA Platformのライセンス販売代行と導入サポートの運営を開始しました。

有価証券報告書情報

経営指標(過去3期分)

第18期の業績は以下の通りです。

  • 売上高:28.7億円(前年比+21.5%)
  • 経常利益:3.3億円(前年比+13.0%)
  • 当期純利益:2.2億円(前年比+10.3%)
第16期 第17期 第18期
決算年月 2017年12月 2018年12月 2019年12月 
売上高(千円) 2,131,833 2,364,018 2,872,320
経常利益(千円) 291,543 291,086 328,798
当期純利益(千円) 206,938 202,525 223,286
純資産額(千円) 585,458 787,984 1,615,710
総資産額(千円) 1,167,201 1,249,172 2,164,635
自己資本比率 50.2% 63.1% 74.6%
営業キャッシュフロー(千円) 188,107 101,711 310,768
投資キャッシュフロー(千円) 8,924 △32,630 △11,157
財務キャッシュフロー(千円) △64,684 △81,432 563,282
現金・現金同等物の期末残高(千円) 332,128 319,776 1,182,670
従業員数 113人 134人 155人

 

経営指標(過去5期分)

過去5期の業績を見ると、売上は4年間で約1.5倍の成長しています。
また、利益に関しては第14期の純利益は赤字計上されていますが、その後は概ね右肩上がりでの推移を見せています。
なお、パワーソリューションズは、2018年3月12日付で普通株式1株につき1,000株、2019年6月1日付で普通株式1株につき2株の株式分割を実施しました。

第14期 第15期 第16期 第17期 第18期
決算年月 2015年12月 2016年12月 2017年12月 2018年12月 2019年12月 
売上高(千円) 1,869,917 1,899,263 2,131,833 2,364,018 2,872,320
経常利益(千円) 2,332 146,247 291,543 291,086 328,798
当期純利益(千円) △95,156 84,726 206,938 202,525 223,286
資本金(千円) 74,912 74,912 74,912 74,912 377,132
発行済株式総数 519 519 519 519,000 1,366,500
純資産額(千円) 293,793 378,519 585,458 787,984 1,615,710
総資産額(千円) 925,808 875,243 1,167,201 1,249,172 2,164,635
自己資本比率 31.7% 43.2% 50.2% 63.1% 74.6%
従業員数 98人 110人 113人 134人 155人

上場時の株主構成

上位10位までの株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
合同会社未来企画 298,000 25.59% 180日間
合同会社一誠堂 284,000 24.38% 180日間
佐藤 成信 98,000 8.41% 180日間
みずほ成長支援投資事業有限責任組合 90,000 7.73% 90日間
兼子 浩之 88,000 7.56% 180日間
高橋 忠郎 63,284 5.43% 180日間
老川 信二郎 35,178 3.02% 180日間
加藤 秀和 26,928 2.31% 180日間
鈴木 義晃 17,904 1.54% 180日間
片倉 正人 13,154 1.13% 180日間

上場時(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

公募価格は2,000円、吸収金額(調達額)は6.1とされています。 また初値は、5,110となりました。

仮条件 1,870円 ~ 2,000円
公募・売出価格 2,000円
想定価格 1,870円
初値 5,110円 (公募価格比+155.5%)
公募株数 285,700 株
売出株数
オーバーアロットメントによる売出し株数 42,800 株
吸収金額(調達額) 6.1億円(※オーバーアロットメントを含む株数×公募価格で計算)

 


この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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