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【新規上場企業分析】I-ne(アイエヌイー)のIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

概要

基本情報

はじめに株式会社I-ne(アイエヌイー)の基本情報を紹介します。 上場予定日は2020年9月25日、市場はマザーズ、想定時価総額は205.3億円です。

会社名 株式会社I-ne(アイエヌイー)
設立日 1999年1月7日
上場予定日 2020年9月25日(承認日:2020年8月20日)
市場 マザーズ
証券コード 4933
業種 化学
決算期 12月
ホームページアドレス https://i-ne.co.jp/
発行済株式総数 6,600,000 株(2020年8月20日現在)
上場時発行済株式総数 8,313,600 株
※公募分を含む。
※新株予約権の権利行使により増加する可能性がある。
公募株数 1,713,600 株
想定価格 2,470円
想定時価総額 205.3億円
(※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
資本金 475,000 千円(2020年8月20日現在)
1単元の株式数 100株
監査人 有限責任 あずさ監査法人
主幹事証券会社 SMBC日興証券
引受幹事証券会社 SBI証券
みずほ証券
大和証券
楽天証券
三菱UFJモルガン・スタンレー証券
マネックス証券

沿革

アイエヌイーは、2007年に美容関連商品の企画、販売を目的とした会社として設立されました。
複数の消費財ブランドを展開しており、主要な商品であるボタニカルシャンプー・トリートメントの「BOTANIST」シリーズのシャンプー・トリートメント市場におけるマーケットシェアは、ヘアケアカテゴリー部門で第3位となっています。(民間調査会社であるインテージ社の調査)

2007年3月 美容関連商品の企画、販売を目的として、株式会社I-neを設立
2012年5月 提携会社の株式会社メインラインからヘアアイロン『SALONIA』を発売
2013年5月 提携会社の株式会社Tenderlyから『Natural Healthy Standard』を発売
2015年1月 ボタニカルシャンプー・トリートメントの『BOTANIST』を発売
東京支店を設置(東京都品川区)
2016年7月 提携会社である株式会社メインライン、株式会社Tenderlyを吸収合併
2016年9月 子会社である台灣艾恩伊股份有限公司を設立
2016年11月 株式会社Brighterを吸収合併
次世代飲料リラクゼーションドリンクの『CHILLOUT』を発売
2017年6月 本社移転(大阪市中央区)
2017年10月 連結子会社の株式会社VUENを設立
2019年7月 日本コカ・コーラ株式会社との共同出資により、合同会社Endianを設立
2019年11月 本社移転(大阪市北区)
2019年12月 子会社である台灣艾恩伊股份有限公司を解散
2020年7月 子会社である艾恩伊(上海)化粧品有限公司を設立

事業内容

① 事業内容と事業セグメント

アイエヌイーは、Chain of Happinessという経営理念のもと、ヘアケア製品、美容家電、化粧品、健康食品関連の商品などの開発、販売を行う企業です。
アイエヌイーは、商品の直販、通販、卸売業者を経由した手段などで消費者へ販売し、商品の製造に関しては外部へ製造委託するモデル(OEM製造)でビジネスを展開しています。

アイエヌイーは、親会社と連結子会社4社によって構成されており、事業セグメントは、販売地域を基礎とした「国内事業」「海外事業」の2つの事業に分類されています。
どちらのセグメントも、自社で開発した商品を複数のルートで販売することで事業運営がなされています。

主要事業のビジネスモデルは、以下の図の通りです。

アイエヌイーの事業モデル

 

② 主要な商品

(1) BOTANIST(ボタニスト)

「BOTANIST」は「植物と共に生きるボタニカルライフスタイル」をコンセプトとしたブランドです。
2015年に植物由来の成分と、植物を生活に取り入れた「ボタニカル」をテーマとしたテーマとしたシャンプー・トリートメントブランドとしてスタートしました。
このブランドは、当時シャンプー・トリートメントとしては珍しかった透明パッケージを特徴としたブランドです。
2016年からは、ヘアミルクやヘアオイルなどのインバスアイテム、2017年からはボディーソープを発売するなど商品ラインアップを拡大しています。

なお「BOTANIST」は、シャンプー・トリートメント市場におけるマーケットシェアは、民間調査会社であるインテージ社の調査において、ヘアケアカテゴリー第3位となっています。

ボタニストの商品ラインアップ

(2) SALONIA(サロニア)

「SALONIA」は、2012年ヘアアイロンから始まった美容家電ブランドです。
ブランドコンセプトに「BEAUTY is simple 続けられるキレイを。」を掲げ、商品開発を行っています。

現在、「SALONIA」は、ヘアアイロンだけではなくドライヤーなど周辺商品へも展開しています。
また、取扱い開始当初はインターネットを活用した国内の消費者への直接販売が中心でしたが、家電量販店への販売網を拡大し、多くの大手家電量販店で取り扱われるようになりました。

「SALONIA」のヘアアイロン市場におけるマーケットシェアは、現在、国内第1位となっています。(民間調査会社であるGfK Japan社の調査)

サロニアの商品ラインアップ

 

(3)その他ブランド

「BOTANIST」、「SALONIA」以外で取り扱いが行われているブランドは以下の通りです。

  • skinvill(スキンビル)
    skinvillは、2013年7月に誕生したスキンケアブランドです。
    「汚れなき肌へ、肌 運命を変える。」「全ての女性を汚れなき肌に導く。」をコンセプトに掲げ、「ホットクレンジングジェル」を中心とした数々のスキンケア製品を開発・販売を行っています。
  • NICOLESS(ニコレス)
    「NICOLESS(ニコレス)」は、2018年11月に茶葉から生まれたニコチン0(ゼロ)の次世代型タバコです。
    この商品は、中国福建省産の茶葉を使用した独自製法 により、ニコチン0を実現した商品です。
  • CAROME(カロミー)
    「 CAROME.(カロミー)」は、2019年4月にタレントのダレノガレ明美氏と共同開発した リキッドアイライナーです。
    このアイライナーは、汗・水・涙に強い耐水性フィルムと、こすれ・ヨレに強い密着性フィルムを配合し、「落ちにくさ」を実現したアイライナーです。

    アイライナーの画像

  • CHILLOUT(チルアウト)
    「CHILLOUT(チルアウト)」は、2016年11月に当社にて発売したリラクゼーションドリンク「CHILLOUT(チルアウト)」を2019年10月に日本コカコーラとの合同会社 Endian(エンディアン)にてリニューアルし、再販売した商品です。
    「CHILLOUT」には、AI技術を用いて開発したオリジナルのフレーバーが採用されており、新しいアイデアを考えたいとき、落ち着いてゆったり仕事をしたい時を飲用シーンとしたリラクゼーションドリンクとして販売されています。
チルアウト画像

有価証券報告書情報

連結の経営指標(過去2期分)

13期の業績は以下の通りです。

  • 売上高:212.1億円(前年比+3.1%)
  • 経常利益:6.5億円(前年比+137.7%)
  • 当期純利益:4.6億円(前年比+186.4%)
第12期 第13期
決算年月 2018年12月 2019年12月
売上高(百万円) 20,571 21,206
経常利益(百万円) 273 649
当期純利益(百万円) 162 464
純資産額(百万円) 1,305 1,775
総資産額(百万円) 10,617 9,440
自己資本比率 12.3% 18.3%
営業キャッシュフロー(百万円) △257 △853
投資キャッシュフロー(百万円) △130 △277
財務キャッシュフロー(百万円) △402 △1
現金・現金同等物の期末残高(百万円) 2,954 1,822
従業員数 234人 240人

単体の経営指標(過去5期分)

過去5期の業績を見ると、売上高は4年で約3.2倍増加しています。
一方で、利益に関しては、第11期に一時的に赤字に転じましたが、第13期は経常利益、純利益共に5年間で最高益を達成しています。

第19期 第10期 第11期 第12期 第13期
決算年月 2015年12月 2016年12月 2017年12月 2018年12月 2019年12月
売上高(百万円) 6,607 15,584 20,647 20,557 20,912
経常利益(百万円) 242 198 △24 255 559
当期純利益(百万円) 121 62 △43 133 393
資本金(百万円) 10 200 200 200 100
発行済株式総数 1,000 1,320 1,320 1,320 6,600,000
純資産額(百万円) 171 1,315 1,252 1,305 1,619
総資産額(百万円) 4,314 7,377 10,675 10,578 9,216
自己資本比率 3.9% 17.8% 11.7% 12.3% 17.6%
従業員数 56人 135人 240人 233人 240人

 

アイエヌイーは、2018年12月にビッグデータからヒット商品を生み出す、最先端AI予測システム「インサイトスコープ”KIYOKO(キヨコ)”」を独自開発したことを発表しました。
「KIYOKO」は、世界239カ国のニュースサイトや口コミサイト、SNSといった約2,000万件を超えるあらゆる媒体から消費者の潜在的ニーズを読み取り、消費者インサイトをビックデータから解析するアイエヌイー独自のシステムです。
このニュースからは、アイエヌイーがリサーチ・マーケティング分野への投資を強化していることと、海外への販売網の拡大に非常に意欲的であることが推測できます。

2018年12月の最先端AI予測システム「”KIYOKO(キヨコ)”」の開発に関する記事

株主構成

上位10位までの株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
YBO株式会社 3,715,000 52.82 180日間
大西 洋平 2,885,000 41.02 180日間
SMBC事業開発3号投資事業有限責任組合 89,060 1.27
伊藤 翔哉 70,000 1.00 180日間
今井 新 70,000 1.00 180日間
杉元 将二 70,000 1.00 180日間
藤岡 礼記 70,000 1.00 180日間
橋本 恒平 25,000 0.36 180日間
門河 充 5,000 0.07 継続保有
小松 悠 5,000 0.07 継続保有

新規上場(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

想定価格は2,470円、吸収金額(調達額)は60.8億円と予想されています。

仮条件 未発表
公募・売出価格 未発表
想定価格 2,470円
初値
公募株数 1,713,600 株
売出株数 428,400 株
オーバーアロットメントによる売出し株数 321,300 株
吸収金額(調達額) 60.8億円(※オーバーアロットメントを含む株数×想定価格で計算)

この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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