ファイナンス

【新規上場企業分析】サイバーセキュリティクラウドのIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

サイバーセキュリティクラウドの概要

サイバーセキュリティクラウドの基本情報

はじめに株式会社サイバーセキュリティクラウドの基本情報を紹介します。

上場日は2020年3月26日、市場はマザーズ、想定時価総額は92.4億円、上場時の時価総額は212.3億円でした。

会社名 株式会社サイバーセキュリティクラウド
設立日 2010年8月11日
上場日 2020年3月26日(承認日:2020年2月20日)
市場 マザーズ
証券コード 4493
業種 情報・通信業
決算期 12月
ホームページアドレス https://www.cscloud.co.jp/
発行済株式総数 2,235,000 株(2020年2月20日現在)
上場時発行済株式総数 2,305,000 株

※公募分を含む。
※新株予約権の権利行使により増加する可能性がある。

公募株数 70,000 株
想定価格 4,010円
想定時価総額 92.4億円(※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
初値 9,210円
上場時時価総額 212.3億円(※上場時発行済株式総数×初値で計算)
時価総額 550.2億円(2020年8月27日時点)
資本金 174,250 千円(2020 年 2 月 20 日現在)
1単元の株式数 100 株
監査人 三優監査法人
主幹事証券会社 SBI証券
引受幹事証券会社 大和証券
みずほ証券
SMBC日興証券
あかつき証券
岩井コスモ証券
エース証券
岡三証券
香川証券
楽天証券

サイバーセキュリティクラウドの沿革

株式会社サイバーセキュリティクラウドは、2010年に株式会社アミティエとして東京都で事業をスタートさせました。

サイバーセキュリティサービスの提供を行うこと事業を展開しており、 2014年に株式会社サイバーセキュリティクラウドへと社名を変更しています。

また、サイバーセキュリティクラウドは、2020年3月に東証マザーズへ上場しました。

2010年8月 東京都渋谷区に「株式会社アミティエ」を設立
2013年1月 Webセキュリティ事業開始
2013年12月 クラウド型WAF「攻撃遮断くん サーバセキュリティタイプ」提供開始
2014年10月 商号を「株式会社サイバーセキュリティクラウド」に変更
2014年10月 クラウド型WAF「攻撃遮断くん WEBセキュリティタイプ」提供開始
2016年3月 Web改ざん検知サービス「Web改ざん発見くん」提供開始
2016年8月 DDoS攻撃対策のサービス「攻撃遮断くん DDoSセキュリティタイプ」提供開始
2016年10月 サイバー保険の自動付帯を開始
2017年12月 AWS WAFのルール自動運用サービスの「WafCharm」提供開始
2018年7月 クラウド型WAFにおける外部からの攻撃に対する防御ルールに関連する特許「ファイアウォール装 置」を取得(特許第6375047号)
2018年9月 Cyber Security Cloud Inc.(米国法人)設立
2018年12月 情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)に関する国際規格である「ISO/IEC 27001」の認 証を取得
2019年2月 Webアプリケーションを保護するルールセットであるManaged RulesをAWS Marketplaceにて提供開始
2020年3月 東証マザーズへ上場

サイバーセキュリティクラウドの事業内容

サイバーセキュリティクラウドは、「世界中の人々が安心安全に使えるサイバー空間を創造する」という経営理念を掲げ、Webセキュリティ事業を展開する企業です。

近年、インターネットの急速な普及とともに、サイバー攻撃による被害が急増しています。 それに伴うサイバー攻撃対策の需要増加を背景に、サイバーセキュリティクラウドは、「攻撃遮断くん」、「WafCharm」を主要な製品として企業に向け提供することでサイバー攻撃に対するセキュリティ対策の支援を行う事業を展開しています。

以下は、サイバーセキュリティクラウドの主要な事業系統を表した図です。

サイバーセキュリティクラウドの事業系統図

① 主要なプロダクト

サイバーセキュリティクラウドが提供するプロダクトは、主に「攻撃遮断くん」「WafCharm」の2つの製品です。

そのうち「攻撃遮断くん」は、サイバー攻撃の状況を可視化・遮断するためのツールであり、「WafCharm」は、「AWS WAF」によるサイバーセキュリティ運用を自動化するツールとなります。

各ツールの詳細は、以下の通りです。

クラウド型WAF「攻撃遮断くん」

「攻撃遮断くん」は、Webアプリケーションに対するサイバー攻撃を検知・遮断・可視化する、クラウド型のセキュリティ・サービスです。

「攻撃遮断くん」を利用することで、導入企業は、リアルタイムでサイバー攻撃を可視化し、攻撃元や攻撃種別などを管理画面で把握することができるため、目には見えないサイバー攻撃をヴィジュアル化し、より適切な状況把握と情報共有が可能になります。

「攻撃遮断くん」はクラウド型WAFとして提供されています。

WAFとは、「Web Application Firewall」ウェブアプリケーションの脆弱性を悪用した攻撃からウェブアプリケーションを保護するセキュリティ対策の一つです。

また、クラウドとは、従来、ハードウェアとしてデータの保存などに使用されるサーバーをインターネット上の「クラウド」というサーバーを利用することによって保存することを可能にしたシステムを示します。

クラウドが存在することで、クラウドシステムのユーザーはサーバーがなくてもインターネット環境さえあればいつでも保存しているデータにアクセスすることができ、クラウドを利用することでサーバーやソフトウェアを導入する必要がなくなるため、ユーザーはデータの保存や管理を低コストで運用が可能となります。

攻撃遮断くんの画像

「WafCharm」

「WafCharm」は、AWSを利用している顧客に対して提供する「AWS WAF」の自動運用サービスです。

通常、サイバーセキュリティ対策におけるルールを設定する場合、高度な専門知識が必要とされます。 「WafCharm」は、そのようなサイバーセキュリティ対策におけるルール運用を自動化したサービスであり、 サイバーセキュリティに関する専門知識がない顧客であっても、サイバーセキュリティの運用を可能とするシステム設計となっています。

また、AWSとはAmazon Web Serviceという、Amazonが提供するクラウドサービスであり、現在世界シェアNo1のクラウドサービスとなっています。

AWS WAFの画像

②ビジネスモデル

サイバーセキュリティの主要サービス「攻撃遮断くん」は、現在、日本国内のクラウド型WAF市場における累計導入社数・導入サイト数が国内No.1のサービスです。 また、「攻撃遮断くん」売上高全体に占める比率は売上全体の90%以上に及び、会社の売上の中核となるサービスとなっています。

「攻撃遮断くん」はサービスの使用期間に応じて料金請求を行うサブスクリプション(月額課金)型モデルを基本としており、月額課金額、初期導入費用、スポット費用を組み合わせたモデルで構成されています。
月額使用料に該当するような経常的に獲得する収入はストック型収入と呼ばれ、初期導入費用やスポット費用は経常的な収入ではないためフロー型収入と呼ばれます。

現在、クラウドを利用したサブスクリプションサービスやSaaS型のサービスを展開する企業が、上記のようにストック型とフロー型を組み合わせた収益モデルでビジネスを展開しています。

有価証券報告書情報

経営指標(過去3期分)

10期の業績は以下の通りです。

  • 売上高:8.2億円(前年比+67.0%)
  • 経常利益:1.4億円(前年比+415.7%)
  • 当期純利益:1.5億円
第8期 第9期 第10期
決算年月 2017年12月 2018年12月 2019年12月 
売上高(千円) 246,957 488,838 816,497
経常利益(千円) △46,840 27,525 141,950
当期純利益(千円) △52,256 △27,794 153,774
純資産額(千円) 84,133 56,339 210,113
総資産額(千円) 161,453 288,639 498,822
自己資本比率 52.1% 19.5% 42.1%
営業キャッシュフロー(千円) △8,000 6,696 171,359
投資キャッシュフロー(千円) △13,177 △25,507
財務キャッシュフロー(千円) 130,161 98,612 △18,596
現金・現金同等物の期末残高(千円) 124,349 204,151 △356,914
従業員数 19人 27人 30人

 

経営指標(過去5期分)

5期の業績を見ると、売上が4年で12倍の増加をしています。
また、利益に関しても当初は赤字が続いたものの、第10期は経常益、純利益ともに黒字転換しました。

また、サイバーセキュリティクラウドは、、2018年3月12日付で普通株式1株につき10株の割合で、2019年9月9日付で普通株式1株につき100株の割合で株式分割を行ったため、それに連動して発行済株式総数が増加しています。

第6期 第7期 第8期 第9期 第10期
決算年月 2016年12月 2017年12月 2017年12月 2018年12月 2019年12月 
売上高(千円) 69,150 66,720 246,957 488,838 816,497
経常利益(千円) △87124 △40207 △46,840 27,525 141,950
当期純利益(千円) △87414 △40328 △52,256 △27,794 153,774
資本金(千円) 76,750 76,750 174,250 174,250 174,250
発行済株式総数 2,085 2,085 2,235 22,350 2,235,000
純資産額(千円) △19,789 △58,609 84,133 56,339 210,113
総資産額(千円) 52,450 43,291 161,453 288,639 498,822
自己資本比率 △37.7% △135.4% 52.1% 19.5% 42.1%
従業員数 12人 14人 19人 27人 30人

 

上場時の株主構成

上位10位までの株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
Vector Group International Limited 383,000 16.48 90日間
株式会社オークファン 333,000 14.33 90日間
GMCM Venture Capital Partners I Inc 307,000 13.21 90日間
西江 肇司 218,000 9.38 90日間
武永 修一 148,000 6.37 90日間
大野 暉 121,000 5.21 180日間
海老根 智仁 97,000 4.17 90日間
B Dash Fund 3号投資事業有限責任組合 87,000 3.74 90日間
株式会社AMBITION 67,000  2.88 90日間
S173株式会社 59,000 2.54 90日間

 

 

サイバーセキュリティクラウドは、2020年7月に株株式会社Macbee Planetと、サイバーセキュリティとマーケティングを組み合わせた新たなサービスを共同開発することを発表しました。

この共同開発は、Macbee Planetが持つマーケティング分野と、サイバーセキュリティクラウドが持つインターネットセキュリティ分野の強みを活用して開発されるサービスです。

このサービスは、新型コロナウイルスの影響などで急速に拡大するインターネット市場の拡大を背景としたサイバー攻撃対策の需要拡大をバックグラウンドに開発を決定したと発表されています。

以下は、Macbee Planetとサイバーセキュリティクラウドによる新サービスの開発について執筆された記事URLです。

2020年7月のMacbee Planetとの共同開発に関する記事

CSCとの共同開発の画像

上場時(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

公募価格は4,500円、吸収金額(調達額)は3.2億円とされています。
また初値は、9,210円となりました。

仮条件 4,240円 ~ 4,500円
公募・売出価格 4,500円
想定価格 4,010円
初値 9,210円 (公募価格比+104.7%)
公募株数 70,000 株
売出株数
オーバーアロットメントによる売出し株数
吸収金額(調達額) 3.2億円(※オーバーアロットメントを含む株数×公募価格で計算)

この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
ブロックを追加