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【新規上場企業分析】クリーマのIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

クリーマの概要

クリーマの基本情報

はじめに、株式会社クリーマの基本情報を紹介します。
上場予定日は2020年11月27日、市場はマザーズ、想定時価総額は197.9です。

会社名 株式会社クリーマ
設立日 2009年3月3日
上場日 2020年11月27日(承認日:2020年10月23日)
市場 マザーズ
証券コード 4017
業種 情報・通信業
決算期 2月
ホームページアドレス https://www.creema.co.jp/
発行済株式総数 5,976,000 株(2020 年 10 月 23 日現在)
上場時発行済株式総数 6,089,000 株 
※公募分を含む。
※新株予約権の権利行使により増加する可能性がある。
公募株数 113,000 株
想定価格 3,250円
想定時価総額 197.9億円 (※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
資本金 100,000 千円(2020 年 10 月 23 日現在)
1単元の株式数 100 株
監査人 有限責任監査法人トーマツ
主幹事証券会社 SBI証券
引受幹事証券会社 大和証券
みずほ証券
SMBC日興証券
エース証券
岩井コスモ証券
岡三証券
丸三証券
水戸証券

クリーマの沿革

株式会社クリーマは、2009年に赤丸ホールディングス株式会社として東京都で設立されました。
ハンドメイド商品の取引をオンライン上のプラットフォームで運営する事業を中心として展開し、事業を拡大してきました。

2009年3月 東京都渋谷区渋谷にて多世代型コミュニティマンション事業を行う赤丸ホールディングス株式会社 〔資本金9,000千円〕を設立
2010年5月 ハンドメイドマーケットプレイス「Creema」をリリースし販売を開始
2010年12月 初のリアルイベントとなる「HandMade In Japan AWARD by Creema」をドイツのベルリンにて開催
2013年7月 日本最大級のクリエイターの祭典「HandMade In Japan Fes’」をスタート
2014年3月 ルミネ新宿2に常設エディトリアルショップである「Creema Store 新宿」をオープン
2014年6月 株式会社クリーマに商号変更
2014年12月 西日本最大級のハンドメイドイベント「Creema Craft Party」をスタート
2016年5月 台湾台北市に子会社、可利瑪股份有限公司を設立
2016年7月 「Creema」中国語版の提供開始により香港・台湾事業をスタート
2016年10月 「全国いいもの発見プロジェクト」を皮切りに、外部広告サービスの提供を開始
2017年8月 新潟県糸魚川市「匠の里創生事業」とクリエイター支援における連携を皮切りに、地方創生領域にも進出
2017年9月 地方創生を目的として全国各地で市を開く「Creema Craft Caravan」をスタート
2017年11月 クリエイター向けに「スピード振込サービス」の提供を開始し、会員サービスをスタート
2018年9月 クリエイター向けに「作品プロモーション」機能をリリースし、内部広告サービスの提供を開始
2019年5月 東京都港区に本社移転
2020年6月 クリエイターの創造的な活動を支援する「Creema SPRINGS」をリリースし、クラウドファンディン グサービスの提供を開始
2020年8月 タレントの千秋さんが創業したハンドメイド関連サービス「ハローサーカス」をM&Aにより事業譲受

クリーマの事業内容

クリーマは、「本当にいいものが埋もれてしまうことのない、フェアで新しい巨大経済圏を確立する」をコンセプトに、創作活動を行う全国のクリエイターと生活者(ユーザー)が、オンライン上で直接オリジナル作品を売買できるオンライン上のCtoCのハンドメイドマーケットプレイス「Creema」の運営を事業の中核として行う企業です。
また、オンライン上だけでなく、クリエイターの祭典や常設ショップなどリアルな領域でのプラットフォーム事業もクリーマでは展開されています。

クリーマの運営するサービスの領域は、以下の4つの領域に分割されており、その収益は「Creema」 上での販売手数料収入や広告収入、イベント・ストアサービスにおける出店料・入場料や販売手数料収入、そして、クラウドファンディングサービスの成約手数料などから構成されています。 

  1. マーケットプレイスサービス
  2. プラットフォームサービス
  3. イベント・ストアサービス
  4. クラウドファンディングサービス
クリーマの収益モデル

① マーケットプレイスサービス 

クリーマのマーケットプレイスサービスでは、オンライン上で個人が直接、オリジナルのハンドメイド作品を売買できるCtoCマーケットプレイス「Creema」が運営されており、このサービスはクリーマの中心的な事業となります。

 「Creema」は、クリエイターが自身の作品を「Creema」に出品し、ユーザーがその作品を購入する際、決済業務をクリーマが行うことで、購入代金から一定の販売手数料を差し引いた額を売上金としてクリエイターに入金するというビジネスモデルにより運営されています。

また、「Creema」では、各クリエイターのページに掲示板を設けられており、掲示板を使ってユーザーがクリエイターに直接連絡を取ることで、ユーザーが作品についての質問をしたり、オーダーメイドや発注数の相談をしたりといったコミュニケーションも可能です。

なお、「Creema」は、中国語版「Creema」のリリースなど海外展開も行われており、2020年2月時点で、974万ダウンロード数のサービスとなりました。


creemaの画像


② プラットフォームサービス 

クリーマのプラットフォームサービスは、「Creema」のプラットフォームを活用し、出店クリエイター・企業・地方公共団体のマーケティング活動を支援することを目的としたサービスです。

具体的には、「Creema」のプラットフォーム上に広告機能を導入することで、クリエイターが自身の作品をプロモーションするための内部広告サービスとして設計されています。
内部広告によって、クリエイターは自身の作品を効果的に多くのユーザーに認知させることが可能となり、「Creema」での売上増に繋げることができます。なお、この広告機能はクリック課金型の収益モデルとなっており、表示された広告作品をユーザーがクリックするごとに、設定されたクリック単価をクリエイターがクリーマに対して支払うモデルで運営されています。


また、クリエイターのための内部広告サービスだけでなく、「Creema」のプラットフォーム上で蓄積された、巨大なユーザー基盤を活用し、企業や地方公共団体をクライアントとする広告サービスである外部広告サービスも提供されています。

③ イベント・ストアサービス

イベント・ストアサービスは、 クリエイターとユーザーをオンラインではなく、リアルな領域で結びつけるためのイベントや常設店舗を展開するサービスです。

このサービスは、クリエイターとユーザーとの関係性強化やハンドメイド市場やハンドメイドカルチャーの拡大に貢献するという意味合いも持つサービスであり、PR活動のひとつとしても認識されています。
クリーマでは「HandMade In Japan Fes’」 と「Creema Craft Party」 が主要なイベントとして定期的に開催されており、「Creema Store」が常設店舗として都内をはじめとした複数の場所で運営されています。

④ クラウドファンディングサービス

クラウドファンディングサービスは、あらゆるジャンルのクリエイターの活動を応援することに特化した、クラウドファンディングサービス「Creema SPRINGS」を開催するサービスであり、2020年6月から運営されている新しいサービスです。

このサービスでは、クリエイターが「新しいブランドをつくりたい」「工房・アトリエを作りたい」「海外で個展を開催したい」など様々なアイディアや夢、想いをかたちにするプロジェクトを発信し、その想いに共感する支援者(ユーザー)からプロジェクト実現のための資金を募ることができる場を提供するサービスとして設計されています。

有価証券報告書情報

経営指標(過去2期分)

第11期の連結の業績は以下の通りです。

  • 売上高:15.2億円(前年比+31.2%)
  • 経常利益:0.5億円
  • 当期純利益:△0.3億円
第10期 第11期
決算年月 2019年2月 2020年2月
売上高(千円) 1,150,296 1,517,668
経常利益(千円) △372,886 45,914
当期純利益(千円) △373,402 △28,035
純資産額(千円) △130,069 39,068
総資産額(千円) 1,650,659 1,943,793
自己資本比率 △8.0% 1.9%
営業キャッシュフロー(千円) △262,904 △164,590
投資キャッシュフロー(千円) △90,124 △29,195
財務キャッシュフロー(千円) 515,267 422,732
現金・現金同等物の期末残高(千円) 1,179,436 1,403,426
従業員数 48人 61人

 

経営指標(過去5期分)

過去5期の業績を見ると、売上は3.4倍ほどの増加を見せています。

利益に関しては、第10期まで断続的に赤字計上を続けていましたが、第11期には黒字転換に成功しました。

第7期 第8期 第9期 第10期 第11期
決算年月 2016年2月 2017年2月 2018年2月 2019年2月 2020年2月
売上高(千円) 442,025 812,886 890,539 1,133,081 1,492,619
経常利益(千円) △410,063 △453,328 △346,390 △433,322 70,557
当期純利益(千円) △410,513 △461,632 △347,750 △433,838 25,389
資本金(千円) 297,462 487,350 662,310 100,000 100,000
発行済株式総数 4,528 5,044 5,476 5,776 5,976
純資産額(千円) 20,319 △61,591 △59,050 △192,730 32,750
総資産額(千円) 880,925 1,344,136 1,365,256 1,570,089 1,879,043
自己資本比率 2.2% △4.7% △4.4% △12.4% 1.6%
従業員数 21人 30人 35人 48人 61人

クリーマは、2019年6月に新サービスや新領域参入などを目的としたとされる11億円規模の資金調達を実施にしました。
出資者は、複数の投資会社などであるとされており、以下URLはこの資金調達に関しての詳細について執筆された記事です。

2019年6月の資金調達に関する記事

株主構成

上位10位までの株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
丸林 耕太郎 2,200,000 31.89% 180日間
アニマリズムグループ株式会社 628,000 9.10%
グロービス4号ファンド投資事業有限責任組合 591,000 8.57% 90日間
グローバル・ブレイン6号投資事業 有限責任組合 490,000 7.10% 90日間
大橋 優輝 477,000 6.92% 180日間
KDDI新規事業育成2号投資事業有限責任組合 421,000 6.10% 90日間
KDDI新規事業育成投資事業有限責任組合 400,000 5.80% 90日間
Globis Fund IV, L.P. 355,000 5.15% 90日間
日本郵政キャピタル株式会社 212,000 3.07% 90日間
SBI AI& Blockchain投資事業有限責任組合 212,000 3.07% 90日間

新規上場(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

想定価格は3,250円、吸収金額(調達額)は59.8と予想されています。

仮条件 未発表
公募・売出価格 未発表
想定価格 3,250円
初値
公募株数 113,000 株
売出株数 1,559,700 株
オーバーアロットメントによる売出し株数 167,200 株
吸収金額(調達額) 59.8億円 (※オーバーアロットメントを含む株数×想定価格で計算)

この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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