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【新規上場企業分析】コマース One ホールディングスのIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

概要

基本情報

はじめに株式会社コマースoneホールディングスの基本情報を紹介します。上場日は2020年6月26日、市場はマザーズ、想定時価総額は47.8億円、上場時の時価総額は262.2億円でした。

会社名 株式会社コマース One ホールディングス
設立日 2006年8月1日
上場日 2020 年 6 月 26 日(承認日:2020年5月22日)
市場 マザーズ
証券コード 4496
業種 情報・通信業
決算期 3月
ホームページアドレス https://www.cm-one.jp/
発行済株式総数 3,611,700 株(2020年5月22日現在)
上場時発行済株式総数 3,761,700 株 ※公募分を含む。
公募株数 150,000 株
想定価格 1,270円
想定時価総額 47.8億円 (※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
初値 6,970円
上場時時価総額 262.2億円(※上場時発行済株式総数×初値で計算)
時価総額 285.1億円 (2020年8月24日現在)
資本金 100,000 千円(2020年5月22日現在)
1単元の株式数 100株
監査人 EY 新日本有限責任監査法人
主幹事証券会社 大和証券
引受幹事証券会社 みずほ証券
いちよし証券
松井証券
SBI証券

沿革

株式会社コマースoneホールディングスは、2006年に株式会社TradeSafeとしてスタートしました。 企業のEC運営をサポートするECプラットフォーム事業を中核として運営しており、2020年6月にマザーズへ上場しました。

2006年8月 株式会社TradeSafe(現コマースoneホールディングス)設立 ECサイト認証「トラストマーク」事業を開始
2010年3月 株式会社フューチャーショップ(現、連結子会社)を共同設立し子会社として電子商取引(Eコマー ス)支援サービスを開始
2011年9月 株式会社ソフテル(現、連結子会社)の株式を取得し子会社化
2012年2月 事業拡大のため本社を千代田区四番町に移転
2012年12月 株式会社フューチャーショップを完全子会社化
2013年12月 ECサイト受注状況分析ツール「ECnote」をリリース
2014年7月 株式会社ソフテルを完全子会社化
2015年6月 株式会社フューチャーショップ、ショッピングカートASP(注1)サービス「FutureShop2」稼働店舗が2,000店を超える
2017年9月 株式会社TradeSafe(現、連結子会社)の事業を会社分割して完全子会社化 株式会社TSホールディングスに社名変更
2018年9月 株式会社フューチャーショップ、新CMS機能「commerce creator」をリリース ショッピングカートASPサービス「FutureShop2」を「futureshop」にリブランディングを実施
2018年12月 株式会社フューチャーショップ、ショッピングカートASPサービス「futureshop」導入企業の流通総額1,000億円を突破 株式会社ソフテル、ECサイト一元管理システム「通販する蔵」導入企業の流通総額2,000億円を突破
2019年12月 株式会社コマースOneホールディングスに社名変更
2020年6月 東証マザーズに上場

事業内容

コマースoneホールディングスは、「テクノロジーを活用する人の力を最大化できるコマースプラットフォーム」というミッションのもと、国内中堅・中小EC運営をサポートするECプラットフォーム事業を運営する企業です。 コマースoneホールディングスは、ECプラットフォーム事業の単一セグメントで事業運営を行っていますが、提供サービスによって連結子会社3社による分業が行われており、コマースoneホールディングスは持株会社として、3社の事業運営の総括を行っています。 ECプラットフォーム事業によるサービス提供を行う3つの子会社と、主要な事業系統は以下の図の通りです。

  1. 株式会社フューチャーショップ(SaaSサービスの提供)
  2. 株式会社ソフテル(ECシステムのカスタマイズ)
  3. 株式会社TradeSafe(認証サービスとデータ解析)

コマースoneホールディングスの事業系統図  

① 株式会社フューチャーショップ(SaaSサービスの提供)

フューチャーショップは、中小・中堅企業を中心としたECサイト運営事業者向けにSaaS型にてECサイト構築プラットフォーム「futureshop」の提供を行うコマースoneホールディングスの子会社です。

SaaSとは、Software as a Service(サービスとしてのソフトウェア)の略称であり、利用者がソフトウェアを直接インストールして利用するのではなく、 インターネット経由で利用するサービスを意味します。 このサービスによって、ユーザーはサーバーなどの設備を導入しなくても、インターネット環境さえあれば、データにアクセスしたりサイトの運用などを行うことが可能です。 現在、SaaSは、EC運用だけでなく営業マネジメントや会計管理など様々なシーンで導入されています。

フューチャーショップ運営されている事業は、主に「futureshop」の導入サービスとカスタマーサポート事業です。
カスタマーサポート部門では、「futureshop」によって構築されているECサイトを導入した企業のサポートとして、データ解析やサイト運営のコンサルティングなどを行います。

「futureshop」は、2019年3月末現在、2,400以上のEC店舗で導入されています。 月額利用料22,000円をベースとした料金設定であり、毎月支払われる月額料金がフューチャーショップの収益となります。

② 株式会社ソフテル(ECシステムのカスタマイズ)

ソフテルは、EC運営における販売や受注など管理するシステムを顧客の要望に合わせてカスタマイズするサービスを運営する子会社です。

EC企業は、企業毎に販売管理、受注管理などの業務フローが異なります。 そのため、企業によっては、ECサイト・POS・物流管理などを行うシステムを連携させるためのカスタマイズを行う必要が生じます。 ソフテルの運営する業務は、そのようなカスタマイズを必要とする企業のために随時システムのカスタマイズをSaaS型で行うこと事業です。
また、カスタマイズ業務の際に発生するサービス料などは、ソフテルの収益として計上されます。

② 株式会社TradeSafe(認証サービスとデータ解析)

TradeSafeは、ECサイトの認証サービスとデータ解析による経営補助を行う子会社です。

TradeSafe認証サービスは、ネットショップの顧客であるユーザーが安心してECの利用ができるように店舗を審査し、合格した店舗に対してTradeSafeトラストマークを提供するサービスです。TradeSafeトラストマークが提示されていることで、ユーザーは安心してEC店舗を利用することができます。

TradeSafeは受注データなどを解析するツールの提供も行っており、顧客企業は解析されたデータをもとに受発注管理の適正化や経営効率の改善などに役立てることができます。

また、認証サービスやデータ解析ツールの提供はSaaS型で行われています。

有価証券報告書情報

連結の経営指標(過去3期分)

14期の業績は以下の通りです。

  • 売上高:21.7億円(前年比+11.0%)
  • 経常利益:4.3億円(前年比+20.5%)
  • 当期純利益:2.9億円(前年比+△0.5%)
第13期 第14期 第15期
決算年月 2018年3月 2019年3月 2020年3月 
売上高(百万円) 1,665 1,952 2,167
経常利益(百万円) 280 357 430
当期純利益(百万円) 232 294 292
純資産額(百万円) 900 1,273 1,029
総資産額(百万円) 1,593 2,088 1,825
自己資本比率 56.5% 61.0% 56.4
営業キャッシュフロー(百万円) 245 220 312
投資キャッシュフロー(百万円) 6 △26 △63
財務キャッシュフロー(百万円) △4 △143 △359
現金・現金同等物の期末残高(百万円) 836 881 768
従業員数 102人 110人

単体の経営指標(過去5期分)

コマースoneホールディングスは、2017年9月1日付で会社分割を実施し、純粋持株会社体制へ移行しました。この影響で、第13期の主な経営指標は、第12期以前と比較して変動しています。
また、2020年1月10日付で株式1株につき300株の分割を行ったことで、第15期の発行済株式総数は大幅に増加しています。

第11期 第12期 第13期 第14期 第15期
決算年月 2016年3月 2017年3月 2018年3月 2019年3月 2020年3月
売上高(百万円) 93 213 123 242 298
経常利益(百万円) 3 123 28 161 182
当期純利益(百万円) 23 129 68 225 198
資本金(百万円) 100 100 100 100 100
発行済株式総数 13,439 13,439 13,439 12,439 3,611,700
純資産額(百万円) 354 365 472 776 439
総資産額(百万円) 497 507 663 1,098 642
自己資本比率 71.3% 72.1% 71.2% 70.7% 68.4%
従業員数 3人 4人 4人 5人

 

上場時の株主構成

上位10位までの株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
岡本 高彰 1,221,900 33.83% 90日間
Asian Asset Acquisition Pte., Ltd. 903,000 25.00% 90日間
株式会社フューチャースピリッツ 541,500 14.99% 90日間
株式会社オプトホールディング 429,000 11.88% 90日間
星野 裕子 196,200 5.43% 90日間
越智 哲生 84,000 2.33% 90日間
北川 輝信 75,000 2.08% 90日間
熊谷 儀七 68,100 1.89% 90日間
NIFSMBC-V2006S3投資事業有限責任組合(SMBC VC) 36,000 1.00% 90日間
オリックス株式会社 30,000 0.83% 90日間

上場時(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

公募価格は1,600円、吸収金額(調達額)は9.8億円とされています。
また初値は、6,970円となりました。

仮条件 1,400円 ~ 1,600円
公募・売出価格 1,600円
想定価格 1,270円
初値 6,970円(公募価格比+335.6%)
公募株数 150,000 株
売出株数 384,000 株
オーバーアロットメントによる売出し株数 80,100 株
吸収金額(調達額) 9.8億円 (※オーバーアロットメントを含む株数×公募価格で計算)

この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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