ファイナンス

【新規上場企業分析】 かっこのIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

かっこの概要

かっこの基本情報

はじめに、かっこ株式会社の基本情報を紹介します。
上場予定日は2020年12月17日、市場はマザーズ、想定時価総額は48.8億円です。

会社名 かっこ株式会社
設立日 2011年1月28日
上場日 2020年12月17日 (承認日:2020年11月13日)
市場 マザーズ
証券コード 4166
業種 情報・通信業
決算期 12月
ホームページアドレス https://cacco.co.jp/
発行済株式総数 2,337,081 株(2020 年 11 月 13 日現在)
上場時発行済株式総数 2,582,081 株 ※公募分を含む。 ※新株予約権の権利行使により増加する可能性がある。
公募株数 245,000 株
想定価格 1,890円
想定時価総額 48.8億円 (※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
資本金 100,000 千円(2020 年 11 月 13 日現在)
1単元の株式数 100 株
監査人 仰星監査法人
主幹事証券会社 SBI証券
引受幹事証券会社 SMBC日興証券 みずほ証券 あかつき証券 岩井コスモ証券 岡三証券 極東証券 静銀ティーエム証券 東洋証券 松井証券 マネックス証券 水戸証券 楽天証券

かっこの沿革

かっこは、2011年に東京都で創業し、決済コンサルティングやセキュリティサービスを運営してきました。 その後、サービスの幅を広げながらしながら収益を拡大し、現在に至ります。

2011年1月 東京都千代田区神田において資本金2,400千円でかっこ株式会社を設立
2011年11月 決済コンサルティングサービスを開始
2012年6月 不正注文検知サービス「O-PLUX」をリリース
2012年8月 情報セキュリティマネジメントシステム(ISO27001)認証取得
2012年12月 事業拡大に伴い、本社を東京都新宿区新宿に移転
2014年3月 事業拡大に伴い、本社を東京都港区元赤坂に移転
2015年1月 データサイエンスサービスを開始 プライバシーマーク認定取得
2016年7月 不正アクセス検知サービス「O-motion」をリリース
2016年11月 「O-PLUX」の普及版サービス「Fraud Finder」リリース
2018年5月 「O-PLUX あんしんパック」をリリース
2019年11月 「第14回ニッポン新事業創出大賞 経済産業大臣賞」受賞
2020年1月 「O-motion」が株式会社オスティアリーズの提供する着信認証サービスと連携開始
2020年6月 「O-PLUX」の無形商材対応サービス「O-PLUX for トラベル」など3サービスをリリース
2020年10月 「O-PLUX」が「Salesforce Commerce Cloud」と連携

かっこの事業内容

かっこは、「未来のゲームチェンジャーの『まずやってみよう』をカタチに」というビジョンを掲げ、データサイエンスの技術とノウハウをもとに、顧客企業の課題解決やチャレンジを支援する「SaaS型アルゴリズム提供事業」を展開する企業です。 かっこでは、近年急増するオンライン決済での不正対策として、代金未払いとなり得る注文をリアルタイムに検知するSaaS型サービス「O-PLUX(オープラックス)」を主力製品とした「不正検知サービス」がメイン事業として展開されています。 また、「不正検知サービス」の技術やノウハウを生かしたサービスとして「決済コンサルティングサービス」や「データサイエンスサービス」の開発・提供が行われており、各サービスと事業系統を表した図は以下の通りです。

  1. 不正検知サービス
  2. 決済コンサルティングサービス
  3. データサイエンスサービス かっこの事業系統図

 

① 不正検知サービス 

不正検知サービスは、主にEC業者を顧客対象として代金未回収やクレジットカードの不正利用、なりすまし注文など、ECを運営する上で発生する様々な不正を対策するためのSaaS型でEC事業者へ向けて提供するサービスです。


また、このサービスは、かっこのメイン事業となります。 SaaSとは、Software as a Service(サービスとしてのソフトウェア)の略称であり、利用者がソフトウェアを直接インストールして利用するのではなく、 インターネット経由で利用するサービスを意味します。 このサービスによって、ユーザーはサーバーなどの設備を導入しなくても、インターネット環境さえあれば、データにアクセスしたりサイトの運用などを行うことが可能です。 現在、SaaSは、EC運用だけでなく営業マネジメントや会計管理など様々なシーンで導入されています。


このサービスでは、「O-PLUX」と「O-motion」 という2種類のSaaS型ツールが主要なサービスとして提供されており、各ツールの詳細は以下の通りです。

不正注文検知サービス「O-PLUX」

「O-PLUX」は、ECにおける注文データを分析することで、代金未回収となり得る注文をリアルタイムに検知する SaaS型の不正注文検知サービスであり、かっこの収益の主軸となるサービスです。 この機能ではのAI・統計学・数理最適化といったデータサイエンスの技術で独自の検知モデルを構築し、従来のブラックリスト照合や担当者の目視による審査ではな対策しきれなかった不正検知を可能とする点をコアバリューとしています。 このツールは、日本国内のECサイトにおける有償の不正検知サービスの導入件数№1のサービスとされています。(2020年5月末日時点)

不正アクセス検知サービス「O-motion」

「O-motion」は、会員サイト等において、本人になりすました不正なアクセスをリアルタイムに検知するSaaS型 の不正アクセス検知サービスです。 このツールも独自のデバイス情報・操作情報を駆使した不正判定によって、User AgentやCookieなどの従来型の検知では判別しきれなかった不正を判定・検知が可能となっており、インターネットバンキングにおける不正送金や、チケット買い占めによる高値転売の対策として、金融機関、大手チケットサイトなどが利用するサービスとなっています。

② 決済コンサルティングサービス  

決済コンサルティングサービスは、主に後払い決済を提供する後払い決済事業者に向けて、決済システムの提供や後払い決済事業の立上げ・運用のコンサルティングを行うサービスです。

後払い決済は、購入者にとって利便性が高い一方、それを提供する後払い決済事業者にとっては、代金未払いなどの回収リスクが高く、高精度な審査が不可欠であるとされています。

このような背景から、決済コンサルティングサービスでは、社内で保有するノウハウをもとに、後払い決済事業者に向けて事業運営のポイントに関するアドバイスやサービス運用の支援を行っています。
また、このサービスではコンサルティングサービスの一環として、後払い決済の審査エンジン「O-PLUX」の導入を推進しており、両サービスがシナジー効果を発揮できるサービス設計がなされています。

③ データサイエンスサービス

データサイエンスサービスは、マーケティングや業務生産性などの課題に対し、企業が保有するビッグデータを、AI、統計学、数理最適化などのデータサイエンス技術を用いて分析し、アルゴリズムを開発・提供するサービスです。


具体的には、アパレルメーカーの実店舗やECの売上データをもとに、顧客情報を集計して、事業運営に有用なデータを提供したり、コールセンターの日別や時間帯別での繁忙を予測することで、より適切な人員配置に貢献するためのデータ提供などが行われています。

有価証券報告書情報

経営指標(過去2期分)

第9期の業績は以下の通りです。

  • 売上高:7.5億円(前年比+3.6%)
  • 経常利益:0.9億円(前年比+12.6%)
  • 当期純利益:1.1億円 (前年比+42.1%)
第8期 第9期
決算年月 2018年12月 2019年12月
売上高(千円) 720,064 745,680
経常利益(千円) 81,260 91,499
当期純利益(千円) 80,569 114,488
純資産額(千円) 378,987 494,266
総資産額(千円) 629,619 894,691
自己資本比率 59.7% 54.9%
営業キャッシュフロー(千円) 50,401 73,548
投資キャッシュフロー(千円) 43,611 △112,221
財務キャッシュフロー(千円) △585 110,824
現金・現金同等物の期末残高(千円) 517,860 590,011
従業員数 19人 20人

 

経営指標(過去5期分)

過去5期の業績を見ると、売上高は、第5期と比較して約1.8倍に増加しており、成長曲線は終始右肩上がりとなっています。 また、利益に関しては、第5期、第6期は赤字で計上されていますが、第7期以降は黒字化し、第9期は売上・利益ともに過去最高益を達成しました。

第5期 第6期 第7期 第8期 第9期
決算年月 2015年12月 2016年12月 2017年12月 2018年12月 2019年12月
売上高(千円) 421,974 489,516 700,406 720,064 745,680
経常利益(千円) △228,616 △92,731 42,858 81,260 91,499
当期純利益(千円) △233,230 △204,170 50,023 80,569 114,488
資本金(千円) 182,651 372,651 372,651 372,651 100,000
発行済株式総数 679,027 779,027 779,027 779,027 779,027
純資産額(千円) 69,657 245,634 295,675 378,987 494,266
総資産額(千円) 276,082 597,109 592,837 629,619 894,691
自己資本比率 25.2% 41.1% 49.9% 59.7% 54.9%
従業員数 37人 29人 30人 19人 20人

 

株主構成

上位10位までの主要な株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
岩井 裕之 523,176 19.66% 180日間
Symbolキャピタル合同会社 465,000 17.48% 180日間
中沢 雄太 247,803 9.31% 180日間
SMBCベンチャーキャピタル1号投資事業有限責任組合 229,200 8.61% 90日間
亀山 誠 225,588 8.48% 180日間
みずほ成長支援投資事業有限責任組合 173,685 6.53% 90日間
関根 健太郎 137,928 5.18% 180日間
Fin Techビジネスイノベーション投資事業有限責任組合 118,422 4.45% 90日間
中山 勝史 95,511 3.59% 180日間
MSIVC2012V投資事業有限責任組合 79,200 2.98% 90日間

新規上場(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

想定価格は1,890、吸収金額(調達額)は5.4億円と予想されています。

仮条件 未発表
公募・売出価格 未発表
想定価格 1,890 円
初値
公募株数 245,000 株
売出株数 5,000 株
オーバーアロットメントによる売出し株数 37,500 株
吸収金額(調達額) 5.4 億円 (※オーバーアロットメントを含む株数×想定価格で計算)

この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
ブロックを追加