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商標登録と言うと、作業が煩雑で期間がかかると思われがちです。早期審査などの制度もありますが、初めて商標登録する人にはよくわからないシステムかと思います。
それでは実際、どのくらいの期間がかかっているのでしょうか。
今回は商標登録にどのくらいの期間がかかるかを、登録の流れを見ながら丁寧に解説します。
目次
1. 商標登録までの平均期間は?
商標登録までの平均時間は一体どのくらいなのでしょうか。
商標登録までの平均時間は、一般的に11~13か月と言われています。基本的に個人の出願でも法人の出願でも変わらずこのぐらいの期間を要します。
もちろん、11~13か月というのは平均時間であり、拒絶理由通知が合った場合などは時間がよりかかりますし、逆に早期審査制度を活用すれば商標登録までの期間を短縮することができます。早期審査は、商標登録までの期間がかなり短縮できるので、便利な制度におもわれがちですが、早期審査だからといって審査に通りやすいわけではなく、また準備できている品目のみが商標登録できる点など注意が必要です。早期審査制度については別の項で詳しく見てみたいと思います。
また、商標登録にもスーパー早期審査があるとあると誤解されている方が多いですが、スーパー早期審査は特許登録にのみ認められている制度なので、注意しておきましょう。
それでは、なぜ商標登録には平均11~13か月も期間を要するのでしょうか。
それには、近年商標出願数が増えているという理由が挙げられます。商標出願数は、ここ10年で約2倍とその数を増やしています。
2013年ごろは審査待ちの期間が3~4か月だったことをことを考えると、商標登録までの期間は非常に長くなっていると言えるでしょう。
また、今後もさらに出願数が増えることが予想されます。審査待ちの期間がさらに伸びる可能性は十分にあるでしょう。
2. 商標登録の流れと所要期間
それでは、商標登録の流れを見ながら、どのステップでどのくらい所要期間がかかるのかを見てみましょう。
(1)弁理士の選定
商標を出願することを決めたら、まずは弁理士を選定します。弁理士に依頼をせずに出願することも可能ですが書類の作成など、専門家である弁理士に依頼した方が円滑に進むでしょう。
また、弁理士を選定する際は、その弁理士の得意分野や料金などをしっかりチェックするようにしましょう。
(2)出願書類の作成
弁理士を選定したら、商標調査と区分の検討を行い、そして出願書類の作成に入ります。
商標調査は、似たような先行商標がないかをチャックする作業で、区分の検討はその商標調査を踏まえたうえで、出願する商標がどのような分類で登録するかを検討する作業の事を言います。
以上の作業が終れば、出願書類の作成を行います。出願書類の作成は弁理士に依頼することがほとんどと言えますが、その場合商標調査や区分の検討なども含めてだいたい1~2週間の期間を要すると言えるでしょう。
(3)商標登録出願
特許庁に申請するには、オンライン、郵送、直接特許庁へ持っていく、などいくつかの方法があります。オンラインの場合は、すぐにでも出願できますが、その前に出願ソフトを用意しないといけません。直接特許庁へ持っていくと、窓口で書類に不備があるかどうかをみてもらえます。
出願形式によって微妙に時間が異なるとは言えますが、そこまで大きい差は無いと言えるでしょう。
(4)方式審査
方式審査とは、主に提出された書類に不備がないかを見る審査のことを言います。
例えば、記載項目に漏れがないか、正しく代理人に受理されているかどうかなどをチェックします。
この方式審査で、不備が見つかると、特許庁から内容をただすよう書面が送付されます。この書類が届くのに、出願日からだいたい1か月ほどかかります。
(5)実体審査
出願した書類に不備が無ければ、もしくは不備が正されれば、しばらく審査待ちの状態となります。そして、出願日から11か月ほど経つとようやく出願書類の審査が行われます。よってこの11か月という期間は、審査の準備待ちの期間と言えるでしょう。
また、実体審査着手状況は特許庁のホームページで公開されているので自分の商標の審査がいつ着手されたかを確認することができます。
(6)拒絶理由通知
拒絶理由通知とは、商標が認められないポイントを指摘した通知書のことを言います。よって、そのポイントを修正しないと商標は登録されないのです。
拒絶理由通知が届いた場合の対処法としては2つの方法が挙げられます。1つは意見書の提出、もう1つは補正書の提出です。
また拒絶理由通知にには、最初の拒絶理由通知と最後の拒絶理由通知が存在します。
最初の拒絶理由通知とは、出願人が最初に受ける拒絶理由通知のことで、最後の拒絶理由通知とは、最初の拒絶理由通知に対する補正によってさらに通知が必要になった場合に通知されるもののことを言います。
(7)意見書・補正書の提出
意見書とは一体どのようなものでしょうか。意見書とは、拒絶理由通知に記されている理由に納得できない旨を伝えるものです。例えば、商標が登録できない理由が先行商標との類似にあるとしたら、自分が提出した商標の独自性など説得材料をもって審査官を説得しようとするなど、の方法が取られます。
対して補正書は、審査官が指摘したポイントを言われたとおりに修正したものことを言います。修正できる範囲は拒絶理由通知の中で指摘されている点のみということに注意が必要です。また、その修正によって、商標の形や名前などを大きく変えないといけない場合もあります。
この拒絶理由通知に応答する期間は、拒絶理由通知の発送から40日とされています。また、伊豆諸島や南西諸島に居住の場合は55日、国外に居住している場合は60日とされています。この期間を過ぎてしまうと原則として補正書や意見書は提出できません。
また、この応答期間は延長することも可能です。
応答期間内であれば、印紙代2100円で1か月延長することができます。
また応答期間外であっても印紙代4200円で2か月延長することが可能です。
拒絶理由通知に反論した場合、一般的に1か月前後で最終結果が返ってきます。
ですが、審査官の手持ち材料の込み具合によっては、半年ほどの期間を要することもあるので注意が必要です。
(8)拒絶査定
拒絶査定とは、意見書や補正書によっても拒絶理由が解消されないと判断された場合に、出願人に与えられます。
ですが、この拒絶査定に不服がある場合は、拒絶査定不服審判を請求することができます。この審判は、拒絶査定の謄本の送達があった日から3か月以内に請求することができます。
(9)登録査定・登録料納付
無事審査を突破していれば、登録査定の通知が特許庁から送られてきます。
しかし、登録査定の通知が送られてきただけでは、商標登録は完了していません。
特許庁から指定のあった30日以内に、登録手続きと登録料の納付を期限内にすべて完了させる必要があります。
(10)設定登録
以上の作業がすべて済み、特許庁で設定登録が完了すれば、商標登録完了となります。この時点で商標権が発生しているので、他人は類似している商標を使用することができなくなっています。だいたい登録手続きから、30日以程度で登録証が届きます。
以上、すべての手続きなどを勘案すると大体11~13か月ほど商標申請には期間がかかります。
3.早期審査制度を活用した場合
早期審査制度を活用した場合、通常11~13か月かかる商標登録の期間を約2か月ほどに短縮することができます。
一見とても便利な制度のように思えますが、早期審査制度には条件やデメリット等があります。
そもそも早期審査は、早く審査を終えたいという理由だけでは制度を活用することはできません。早期審査の対象になるにはいくつかの条件があります。
まず、事業準備が相当に進んでいないと早期審査を活用することはできません。相当に進んでいるということが認められるには、例えば出願した商標が掲載されたパンフレットがすでに受発注されていたり、商標が付された商品が掲載された広告について受発注されたりしている資料の提出が必要になります。
また、権利化に緊急性がある出願であるということも条件です。例えば、出願してい商標の使用について第三者から警告を受けている場合、こちらの許可無しに第三者がこちらの商標出願内容に抵触する範囲で使用していることが明らかな場合などが条件として挙げられます。
以上の2つの条件を満たさないと早期審査制度を活用することはできません。
また、早期審査制度を活用する場合には、商標出願の際に早期審査に関する事情説明書を提出する必要があります。
早期審査制度を活用できるかの判断はなかなか素人には難しいと言えるので、弁理士に依頼し、相談しながら作業を進めていくと良いでしょう。
4.商標権の存続期間
商標権の存続期間は登録された日から10年です。しかし、更新登録申請を行い更新料を支払えば、10年ずつ期間を更新することができます。よって、商標権は半永久的に存続させることができると言えるでしょう。
更新料は、10年分まとめて支払う場合38800円×区分数です。分割で支払う方法もあります。決して安い費用とは言えないので、更新を考えている場合は、しっかりと費用の準備をしておきましょう。
5.まとめ
今回は商標登録にどのくらいの期間がかかるのかについて、その流れを追いながら解説しました。
商標登録には一般的に11~13か月ほどの期間がかかると言われていますが、場合によっては長くなることもありますし、短くなる可能性もあります。
どうしても早く審査を受けたい場合は早期審査制度も活用できますが、見てきたようにいくつかの条件があります。
年々商標登録にかかる期間は長くなっていると言えますが、特許庁もできるだけ時間を短くするため改善に勤めています。
また、書類の不備をなくしたり、類似判断がされないような商標を提出することによって登録期間を短くすることは可能なので、専門家である弁理士に依頼をするなどして、丁寧に作業を進めていくことが重要と言えるでしょう。