目次
ENECHANGEの概要
ENECHANGEの基本情報
はじめに、ENECHANGE株式会社の基本情報を紹介します。
上場予定日は2020年12月23日、市場はマザーズ、想定時価総額は29.9億円です。
会社名 | ENECHANGE(エネチェンジ) 株式会社 |
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設立日 | 2015年4月27日 |
上場日 | 2020年12月23日(承認日:2020年11月18日) |
市場 | マザーズ |
証券コード | 4169 |
業種 | 情報・通信業 |
決算期 | 12月 |
ホームページアドレス | https://enechange.co.jp/ |
発行済株式総数 | 5,700,000 株(2020 年 11 月 18 日現在) |
上場時発行済株式総数 | 5,750,000 株 ※公募分を含む。 ※新株予約権の権利行使により増加する可能性がある。 |
公募株数 | 50,000 株 |
想定価格 | 520 円 |
想定時価総額 | 29.9億円(※上場時発行済株式総数×想定価格で計算) |
資本金 | 890,255 千円(2020 年 11 月 18 日現在) |
1単元の株式数 | 100 株 |
監査人 | 有限責任 あずさ監査法人 |
主幹事証券会社 | みずほ証券 |
引受幹事証券会社 | 大和証券 野村證券 三菱UFJモルガン・スタ ンレー証券 SMBC日興証券 いちよし証券 SBI証券、 マネックス証券 楽天証券 松井証券 |
ENECHANGEの沿革
ENECHANGEは、2013年に英国ケンブリッジ市においてCambridge Energy Data Lab Limitedとして設立しました。
その後、本格的に事業を拡大し、2018年には現在の社名へ商号を変更しました。
2013年6月 | 英国ケンブリッジ市においてCambridge Energy Data Lab Limited 設立 |
2014年4月 | 家庭向け電力・ガス特化型メディア「エネチェンジ」開始 |
2015年1月 | 家庭向け格安SIM・スマホ比較サイト「SIMチェンジ」開始 |
2015年4月 | 東京都墨田区においてエネチェンジ株式会社を設立 |
2015年6月 | Cambridge Energy Data Lab Limitedからエネチェンジ株式会社への事業譲渡を実施 |
2016年1月 | 電力自由化に対応した電力切替プラットフォーム開始 電力会社向け電気料金シミュレーションASPサービスの提供開始 |
2016年2月 | 英国ケンブリッジ市においてSMAP ENERGY LIMITED設立 |
2016年6月 | 法人向け電力・ガス切替プラットフォーム「エネチェンジ Biz」開始 |
2017年6月 | SMAP ENERGY LIMITED(現連結子会社)を子会社化 |
2017年8月 | 本社オフィスを東京都千代田区に移転 |
2018年5月 | 「ENECHANGE株式会社」へと商号変更 |
2018年8月 | 電力会社向け電気料金シミュレーションASPサービスに機能追加し、「EMAP」サービスと してリニューアル |
2019年7月 | 家庭向け格安SIM・スマホ比較診断サービス「SIMチェンジ」事業の譲渡を実施 |
2019年12月 | 電力データ解析技術を用いた再生可能エネルギー発電所の運営効率化・ファンド運営事務 サービス「JEF」開始 |
ENECHANGEの事業内容
ENECHANGEは、「Changing Energy for a Better World ~エネルギーの未来をつくる~」をミッションとして掲げ、エネルギー革命の軸となる「エネルギーの4D」に貢献するための事業を展開しています。
「エネルギーの4D」とは、自由化(Deregulation)、デジタル化 (Digitalization)、脱炭素化(Decarbonization)、分散化(Decentralization)に貢献するための事業を展開しています。
事業としては、消費者向けに電力・ガス等の最適な選択をサポートするBtoC型ビジネスである「エネルギープラットフォーム事業」と、電力・ガス会社向けにクラウド型サービスを提供するBtoB型ビジネスである「エネルギーデータ事業」が展開されており、主要な事業セグメントと事業系統を表した図は以下の通りです。
- エネルギープラットフォーム事業
- エネルギーデータ事業
① エネルギープラットフォーム事業
「エネルギープラットフォーム事業」は、消費者向けの電力・ガス切替サービスを通じて、「エネルギーを選ぶを常識に」することをビジョンとして掲げ、主に「エネチェンジ」(家庭向け電力・ガス切替プラットフォーム)、「エネチェンジBiz」(法人向け電力・ガス切替プラットフォーム)の2つのサービスを展開する事業セグメントです。
この2つのサービスを利用した累計切替件数は、家庭ユーザーで約17万件、法人ユーザーで約 4,400件となります。(2020年9月末時点)
エネチェンジ
「エネチェンジ」は、低圧と呼ばれる個人向けの電力に関して、ユーザーが最適な電力会社を選択するためのサポートを目的とした家庭向け電力・ガス特化型メディア兼電力・ガス会社切替プラットフォームです。
エネチェンジは、電力自由化が全面的に解禁された2016年1月から本格的にこのサービスを開始しており、2020年1月から10月までの平均で月間ユニークユーザー数が220万人を超える規模にまで成長しました。
このサービスを利用することで、ユーザーは、オンライン上で居住地域の郵便番号や世帯人数、在宅状況や電気の使用量といった情報を簡易的に入力するだけで、地域ごとの気象条件や電力需要が時間毎の電力需要の変動を考慮したデータに基づき、最適な電力・ガス会社の比較情報を、ランキング形式で公表しています。
また、診断と比較だけではなく、オンライン上で電力・ガス会社の切替手続きまでを一括して実施できるサービス設計を採用しているため、ユーザーにとって利便性の高いサービスとなっている点が特徴です。
エネチェンジBiz
「エネチェンジBiz」は、主に高圧と呼ばれる法人の電力・ガスユーザーを対象とした一括見積取得と電力会社切替を目的としたプラットフォームサービスです。
このサービスでは、電力・ガス会社と提携し、法人ユーザーの一括見積と申込手続きを無料で代行するサービスとなっており、2016年からの本格的なサービスを開始から、2020年10月時点で、月間問い合わせ件数が300件を超える規模にまで成長しました。
法人ユーザーは、過去12か月分の電気使用量を記載した明細書をENECHANGEに提出することで、複数の電力・ガス会社からの新しい電気料金単価での見積提案の取得したり、電力会社の切替手続きまでのプロセスを、一括してに委託することができるため、初期費用が不要であり、書類上の手続きのみで固定費の削減が可能となります。
② エネルギーデータ事業
エネルギーデータ事業は、電力・ガス自由化、スマートメーターのデータ解析、再生可能エネルギー発電所の運営効率化など「エネルギーの4D」の進行に伴い必要となる新たなITシステムを、エネルギー事業者向けにクラウド型で提供する事業セグメントです。
この事業セグメントでは、「エネチェンジ」「エネチェンジBiz」によって蓄積される大量のユーザーデータを活用した「EMAP」、スマートメーターデータの解析を軸とした「SMAP」、再生可能エネルギー発電所のデータ活用の「JEF」の3つのサービスが展開されています。
EMAP
「EMAP」は、ENECHANGEが提供するエネルギー事業者向けデジタルマーケティング支援を行うSaaS型サービスです。
SaaSとは、Software as a Service(サービスとしてのソフトウェア)の略称であり、利用者がソフトウェアを直接インストールして利用するのではなく、 インターネット経由で利用するサービスを意味します。 このサービスによって、ユーザーはサーバーなどの設備を導入しなくても、インターネット環境さえあれば、データにアクセスしたりサイトの運用などを行うことが可能です。 現在、SaaSは、EC運用や営業マネジメント、会計管理など様々なシーンで導入されています。
「EMAP」サービスの特徴は、当社が電力・ガス切替プラットフォーム「エネチェンジ」を運営する中で得た知見・情報・技術資産を 基にした、電力・ガス小売の現場へのデジタル化・効率化サービスをSaaS型で提供している点です。「EMAP」を利用して蓄積された電力・ガス切替に関する契約情報は2020年10月末時点において100万件以上に上り、蓄積された大量の情報をソースとしてデータ解析を軸としたサービス展開が行われており、マーケティング機能や顧客・営業管理機能、バックオフィス機能などを搭載したサービスとなっています。
SMAP
「SMAP」は、エネルギー事業者向けのスマートメータデータ解析を行うSaaS型のサービスです。
サービスの特徴としては、スマートメーターを経由して送られてくるユーザーの電力使用量(kWh:キロワットアワー)の30分値データを様々な観点で解析・ 予測するサービスとして設計されており、顧客の収益性を改善することを目的としたサービスとなります。
JEF
「JEF」は、電力データ解析技術を活用した稼働中の再生可能エネルギー発電所の運営効率化やファンドの運営を行うサービスです。
2019年12月に株式会社Looop、大和エナジー・インフラ株式会社と共同で、海外特化型の脱炭素・エネルギーファンド「JAPAN ENERGY ファンド(正式名称:Japan Energy Capital 1 L.P.)」、また、上述したファンド運営を行うJapan Energy Capital合同会社を設立しサービスを開始しました。
現在、世界的に脱炭素化の流れが加速しており、再生可能エネルギーへの投資が加速することが注目されており、その分野への投資を行うファンド運営が「JFE」の主要な事業となります。
有価証券報告書情報
連結の経営指標(過去2期分)
第5期の業績は以下の通りです。
- 売上高:12.7億円(前年比+11.2%)
- 経常利益:△3.0億円
- 当期純利益:△2.4億円
期 | 第4期 | 第5期 |
決算年月 | 2018年12月 | 2019年12月 |
売上高(千円) | 1,140,739 | 1,268,110 |
経常利益(千円) | 104,924 | △304,907 |
当期純利益(千円) | 91,102 | △238,375 |
純資産額(千円) | 586,261 | 342,611 |
総資産額(千円) | 859,504 | 1,073,716 |
自己資本比率 | 65.8% | 30.6% |
営業キャッシュフロー(千円) | 219,577 | △310,049 |
投資キャッシュフロー(千円) | △143,590 | △16,868 |
財務キャッシュフロー(千円) | 18,329 | △125 |
現金・現金同等物の期末残高(千円) | 530,932 | 204,693 |
従業員数 | 64人 | 90人 |
単体の経営指標(過去5期分)
過去5期の業績を見ると、売上高は、約200倍以上と急速に成長しています。
一方、利益については、第4期のみ黒字で計上されましたが、それ以外のタームは全て赤字で計上されています。
ENECHANGEは、連結会計年度において、販売費及び一般管理費は1,201,068千円(前連結会計年度は806,749千円)と発表しました。
主な要因としては、事業拡大に伴う人件費等の増加、マーケティング活動による広告宣伝費の増加、各種新規事業のための成長投資等による費用発生によるものであるとされています。
期 | 第1期 | 第2期 | 第3期 | 第4期 | 第5期 |
決算年月 | 2015年12月 | 2016年12月 | 2017年12月 | 2018年12月 | 2019年12月 |
売上高(千円) | 4,697 | 182,632 | 524,758 | 990,581 | 1,058,907 |
経常利益(千円) | △203,166 | △266,039 | △326,630 | 87,892 | △264,745 |
当期純利益(千円) | △203,385 | △266,990 | △327,500 | 85,601 | △244,723 |
資本金(千円) | 319,255 | 602,755 | 627,755 | 642,755 | 642,755 |
発行済株式総数 | 1,450,000 | 1,680,000 | 1,700,000 | 1,750,000 | 1,940,000 |
純資産額(千円) | 435,114 | 735,124 | 462,423 | 587,475 | 342,751 |
総資産額(千円) | 458,749 | 801,170 | 636,892 | 818,703 | 1,044,832 |
自己資本比率 | 94.8% | 91.8% | 71.9% | 70.0% | 31.4% |
従業員数 | 12人 | 24人 | 39人 | 47人 | 75人 |
セグメント別業績
第5期のセグメント別の売上実績は、以下の表の通りです。
販売実績の内訳は以下の通りで、両セグメントともおおよそ50%ずつを占める収益構造です。
また、前年と比較した場合、売上実績は伸長したものの、利益は大幅に落ち込みました。
- エネルギープラットフォーム事業:53.7%
- エネルギーデータ事業:46.3%
指標 | 全体 | エネルギー プラットフォーム事業 |
エネルギー データ事業 |
売上高(千円) | 1,268,110 | 681,456 | 586,654 |
前年同期比 | 111.2% | 103.2% | 122.1% |
セグメント利益(千円) | – | 32,013 | 19,253 |
前年同期比 | – | 17.8% | 10.2% |
ENECHANGEは、2018年10月、昭和シェル石油や住友商事など7社から総額約7億円分の資本提供を受けました。
この資本提供は、第三者割当増資によるものではなく、既存株主(VC)が所有する株式の資本提供先の会社が買い取る形で実施されています。
なお、ENECHANGEは、この資本提供の目的を「様々な事業会社とパートナーシップを結んで事業をさらに成長させることに加え、上場やその先を見据えた資本政策の一環でもある」と発表しています。
“エネルギー革命”を推進するエネチェンジに昭和シェルや住商らが7億円を出資、連携強化でさらなる事業成長へ
株主構成
上位10位までの主要な株主は、以下の通りです。
株主 | 所有株式数 | 比率 | ロックアップ |
城口 洋平 | 1,879,725 | 23.86% | 180日間 |
有田 一平 | 794,379 | 10.08% | 180日間 |
植野 泰幸 | 630,000 | 8.00% | – |
B Dash Fund2号投資事業有限責任組合 | 600,000 | 7.62% | 90日間 |
Energy Station Company Limited | 599,850 | 7.61% | 90日間 |
株式会社大和証券グループ本社 | 450,000 | 5.71% | – |
BIG1号投資事業有限責任組合 | 360,000 | 4.57% | 90日間 |
株式会社エプコ | 300,000 | 3.81% | 90日間 |
大和エナジー・インフラ株式会社 | 270,000 | 3.43% | 90日間 |
Spiral Capital Japan Fund 1号投資事業有限責任組合 | 240,000 | 3.05% | 90日間 |
新規上場(IPO)の募集・売出し情報
公募・売出し・調達額情報
想定価格は520円、吸収金額(調達額)は 2.3億円と予想されています。
仮条件 | 未発表 |
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公募・売出価格 | 未発表 |
想定価格 | 520 円 |
初値 | – |
公募株数 | 50,000 株 |
売出株数 | 330,000 株 |
オーバーアロットメントによる売出し株数 | 57,000 株 |
吸収金額(調達額) | 2.3 億円 (※オーバーアロットメントを含む株数×想定価格で計算) |