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商標登録の審査基準って?円滑に商標を登録するために抑えたい審査基準のポイント

1.商標登録とは

(1)商標とは

商標とは、商品やサービスを「だれが作ったものか」を認識するために使用される標識(文字、図形、記号、立体的形状など)を指す言葉です。例えば「コカコーラ」はコカコーラ社が製造する清涼飲料水の商品名を表す商標であり、「宅急便」はヤマト運輸株式会社のサービス名を表す商標として登録されています。

これらの商標は商品の識別だけではなく、品質保証まで示すことができ、ほかの類似商品・サービスとの差別化や広告宣伝効果にも関わってきます。商品名やサービス名を商標として取り扱うためには、特許庁が定める商標権が必要になります。

商標権を得た商品やサービスは「登録商標」となり、商標登録者はその商標を独占的、排他的に使用することができます。

商標権は法律で保護される権利のため、その審査には「すでに使われていないか」「他社と類似していないか」 などの厳しい審査基準があります。

(2)商標登録出願のプロセス

商標登録は以下の手順に沿って行なわれます。

1:調査・検索

まずは商標登録をしたい商品やサービスが商標権を獲得できる可能性を探るため、すでに似たような商標が登録されていないかについてデーターベースなどを検索して調査します。

2:出願

調査により商標権取得の可能性が高いことが分かったら、次は特許庁への出願種類を作成し提出します。商標権の出願区分は商品で34種類、サービスで11種類に分かれており、選択する区分の数によって商標権取得の権利範囲が異なります。

3:審査

特許庁に出願書類が提出されると、数ヶ月から1年ほどで審査が行なわれます。特許庁の審査は30項目にのぼり、商標権の侵害がないか、類似性のある商品やサービスがすでに存在していないかについて精密に審査が行なわれます。もし商標権の出願内容の中に認められない理由があった場合、「拒絶理由通知」が送られてきます。理由に対し的確な反論を行なうことで認められることもあるため、一度拒絶された方と言って必ずしも審査に通らないというわけではありません。

また審査期間中は出願書類を書き換えたり書き足したりができないため、出願書類の作成時に申請漏れ、記入漏れがないかどうか入念なチェックが必要です。

4:登録

特許庁から許可が出たら、正式な登録手続きに進みます。商標登録は特許庁で行なわれ、今後の商標権は特許庁で管理されます。権利発生や失効、更新などの手続きも登録後は特許庁との手続きが必要になります。

商標登録には上記のプロセスが必要であり、また審査には数ヶ月〜1年ほどの期間がかかります。スムーズに無駄なく商標権を得るためには、商標審査についてきちんと知った上で出願書類を作成することが重要です。

2.商標審査基準とは

(1)商標審査基準となるもの

商標を受けることができる登録の要件は、商標法で定められています。しかしながら、こうしたほう分だけでは、実際に起こりえる様々なケースにおいてどのように判断をするべきかが明確にはされていません。そこで、実際に商標の審査に当たる審査官の審査においてブレが商標を受けることができる登録の要件は、商標法で定められています。しかしながら、こうしたほう分だけでは、実際に起こりえる様々なケースにおいてどのように判断をするべきかが明確にはされていません。そこで、実際に商標の審査に当たる審査官の審査においてブレがなく行えるようにしたものが、商標審査基準です。

商標の登録要件は、具体的には商標法の第三条において定められていますが、その内容は以下のものです。

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第三条 自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。

一 その商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからな

る商標

二 その商品又は役務について慣用されている商標

三 その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状(包装の形状を含む。

第二十六条第一項第二号及び第三号において同じ。)、生産若しくは使用の方法若し くは時期その他の特徴、数量若しくは価格又はその役務の提供の場所、質、提供の 用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若 しくは価格を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標

四 ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標 五 極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標

六 前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であるこ

とを認識することができない商標

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まとめると、以下の3点が商標として登録できるか否かのポイントになります。

1:自己と他人の商品・役務(サービス)とを区別することができるか

2:公共の機関の標章と紛らわしい等公益性に反していないか

3:他人の登録商標や周知・著名商標等と紛らわしいものではないか

商標がほかの商標や公共機関の商標などと紛らわしくないか、ということは、

称呼(呼び方)、外観(外形)、観念(意味合い)から総合的に判断されますが、商標審査基準にはこれらの具体的な事例が記載されています。

称呼類似の例 

「アスパ」と「アスペ」、「アトミン/Atomin」と「ATAMIN/アタミン」 

観念類似の例 

「太陽」と「SUN/サン」、「APPLE」と「りんご/林檎」

複数の構成要素を持って構成されていても、呼び方、外形、意味合いのいずれかにおいて【需要層にとって紛らわしい可能性がある】と判断された場合は類似商標となります。

あくまでも需要者にとって紛らわしいか否か、というのが商標の判断となるので、先に出願もしくは登録されている類似商品・サービスがあった場合には独自性をどのように出願書類に表現するのかが重要です。

(2)商標として登録できない事例

・商品、サービス名が一般認識として至っている商標(※標章のみの場合)

(例)指定商品「アルミニウム」に使用する商標として「アルミニウム」または「アルミ」を出願した場合

・元々は区別ができる商品、サービス名が同業者間で多用されるようになり、区別が困難になった商標(※標章のみの場合)

(例)指定商品「清酒」に使用する商標として「正宗」を出願した場合

・商品、サービス名の要素について慣習的に用いられる商標(※標章のみの場合)

(例)商品の産地、販売地…指定商品「菓子」に使用する商標として「東京」を出願した場合

商品の品質…指定商品「シャツ」に使用する商標として「特別仕立」を出願した場合

役務の提供場所…指定役務「飲食物の提供」に使用する商標として「東京銀座」を出願した場合

役務の質…指定役務「医業」に使用する商標として「外科」を出願した場合

・ありふれた氏名、もしくは名称のみの商標(※標章のみの場合)

(例)山田、スズキ、WATANABE、田中屋、佐藤商店

・国旗、勲章、国際機関の紋章など公共機関と同一もしくは類似する商標

(例)

・公の秩序、善良な風俗を害するおそれのある商標

・商品の品質もしくはサービスの質を誤認する可能性のある商標

(例1)指定商品「ビール」に使用する商標として「○○ウイスキー」を出願した場合

(例2)指定商品「菓子」に使用する商標として「パンダアーモンドチョコ」を出願した場合

※なお、この場合、指定商品を「菓子」から「アーモンド入りチョコレート」に補正(修正)することによって、この規定による登録できない理由は解消することになります。

3.まとめ

商標には「称呼」「外観」「観念」の3要素の審査基準があり、他社商品・サービスと類似していないかということが厳しく審査されます。また毎年10万件以上が新たに登録されているため、出願には綿密な事前調査が必要です。

その分商標権を得ることでのメリットもとても多くありますので、前向きに検討することをおすすめします。

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