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【上場企業決算分析】Sansanの最新決算・事業内容・業績・歴史を徹底解説

Sansan株式会社は、名刺管理を軸とした名刺交換サービスである「Sansan」「Eight」を運営する企業です。

2007年に三三名刺交換サービスを中心として事業を開始し、2019年6月にマザーズへ上場しています。

①Sansanの決算データ

①-1 最新期の売上/売上総利益/営業利益/経常利益/当期純利益

決算年月(百万円) 20年5月(実績) 19年5月(実績) 前年比 20年5月(計画) 計画比
売上高 13,362 10,206 +30.9% 13,816 △3.4%
売上総利益 11,541 8,608 +34.1%
営業利益 757 △849 724 +4.6%
経常利益 435 △891 670 +54.0%
当期純利益 339 △945

 

①-2 売上・営業利益・営業利益率の推移

以下の図は、4期にわたるSansanの売上高、営業利益及び営業利益率をグラフ化したものです。2020年5月期の通期の売上高は133.4億円、営業利益は4.4億円であり、営業利益率は5.7%です。

Sansan 営業利益推移

①-3 連結の経営指標

  • 売上高:133.4億円(前年比+30.9%)
  • 経常利益:4.4億円
  • 当期純利益:3.4億円
決算年月 2019年5月期
2020年5月期
売上高(百万円) 10,206 13,362
経常利益(百万円) △891 435
当期純利益(百万円) △945 339
純資産額(百万円) 3,372 10,552
総資産額(百万円) 9,079 22,819
自己資本比率 37.0% 46.2%
営業キャッシュフロー(百万円) 1,072 2,822
投資キャッシュフロー(百万円) △2,282 △7,189
財務キャッシュフロー(百万円) 3,132 11,563
現金・現金同等物の期末残高(百万円) 5,468 12,663

 

4Q業績ハイライト (2020年5月期)

以下は、2020年5月期の業績を4Qに分けた指標です。売上は期首から期末にかけて微増しており、利益に関しては、2Q,3Q目での利益が赤字になっていますが、4Q目には黒字回復を達成しています。
また、セグメント別の売上を見ると、「Sansan」の売上が「Eight」の売上の10倍以上の規模であり、会社としての収益のメインは、Sansan事業であることがわかります。

期間 2020年5月期
1Q
2020年5月期
2Q
2020年5月期
3Q
2020年5月期
4Q
売上高(百万円) 3,100 3,194 3,377 3,691
営業利益(百万円) 248 △139 84 564
経常利益(百万円) 192 △175 64 354
当期純利益(百万円) 106 △197 △3 433
純資産額(百万円) 10,316 10,127 10,125 10,552
総資産額(百万円) 16,578 21,208 21,253 22,819
自己資本比率 62.2% 47.7% 47.6% 46.2%

 

セグメント別売上高

期間 2020年5月期
1Q
2020年5月期
2Q
2020年5月期
3Q
2020年5月期
4Q
Sansan売上高(百万円) 2,848 2,941 3,141 3,354
Eight売上高(百万円) 251 253 236 337
調整額(百万円)
合計(百万円) 3,100 3,194 3,377 3,691

 

経営指標(過去5年分)

売上の推移を見ると、5年間で4倍以上の売上の増加を示しています。
一方、利益に関しては、2020年5月期までは赤字経営が続いていました。

決算年月 2016年5月 2017年5月 2018年5月 2019年5月 2020年5月
売上高(百万円) 3,150 4,839 7,324 10,206 13,362
経常利益(百万円) △1,362 △780 △3,077 △891 435
当期純利益(百万円) △1,368 △790 △3,077 △945 339
純資産額(百万円) 172 1,312 3,372 10,552
総資産額(百万円) 3,489 5,299 9,079 22,819
自己資本比率 4.93% 24.76% 37.03% 46.20%

②Sansanの事業内容

②-1 Sansanとは?

Sansanは、「出会いからイノベーションを生み出す」というミッションとして掲げ、「クラウドソフトウェア」に「テクノロジーと人力による名刺データ化の仕組み」名刺管理をはじめとした企業やビジネスパーソンが抱える様々な課題の解決に繋がるサービスを展開しています。

Sansanは、松重豊さんが出演した特徴的なテレビCMで一躍有名になったので、CM経由で社名を知っている方も一定数いると思われます。

事業内容は、一言で表現すると、ビジネスパーソンにとって必須アイテムである「名刺」を利用してイノベーションを起こすことを目的とした事業です。

商談などの際、名刺交換は恒例行事のような必ず行われるイベントです。
名刺には、交換相手の所属や、場合によっては個人の携帯電話番号なども記載されていますが、こうした名刺に記載されている情報の潜在価値に気づいている人はあまり多くありませんでした。

Sansanの事業は、これまで見逃されがちであった名刺に情報を記載されている情報に着目し、クラウド技術などを利用して管理・運用することで、ビジネスパーソン同士の繋がりや営業・マーケティング行為の円滑化を推進する事業です。
また、どちらも名刺の価値にスポットライトを当てた事業であることに変わりはありませんが、Sansanは法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」を運営するSansan事業と、SNSの仕組みを取り入れ、名刺をビジネスの繋がりに変える「Eight」を運営するEight事業の主に2つのセグメントで事業が運営されています。

以下の図は、Sansan事業及びEight事業を図式化したものです。

事業系統図

②-2 セグメント別の事業内容/ビジネスモデル

前述の通り、Sansanが行う名刺を利用した事業のセグメントは、「Sansan」事業と「Eight」事業に2分されます。
以下で、それぞれのセグメントについての詳細を説明します。

①Sansan事業

Sansan事業は、「Sansan,where Business Starts 名刺管理からビジネスがはじまる」をコンセプトにクラウド型の名刺管理サービス「Sansan」を法人向けに展開しています。
「Sansan」では企業が抱える「名刺交換情報が社内で共有されていない」、「社内コミュニケーションが円滑にできていない」、「名刺情報が持つ価値に気づけていない」といった課題を解決し、事業活動における資産に変えることで、ビジネスの「出会い」の価値を最大化することを目的としています。

①-1「Sansan」の仕組み

「Sansan」は、社内にある全ての名刺を集約し、ビジネスプラットフォームとして活用できる法人向けクラウド名刺管理サービスです。
ユーザー企業が名刺をスキャンすると、名刺の情報はデータ化され、クラウド型アプリケーションを通じて「AI名刺管理」を利用することができます。

「AI名刺管理」には、全社員の人脈を簡単に共有できる機能が備わっているだけでなく、名刺交換した人の異動情報や、企業の最新ニュースを届けるための機能も備わっています。

さらに、同僚の連絡先を電話帳のように一元管理することができる「同僚コラボレーション」、社内での取引先情報が重複していたり、データが最新化されていない場合の改善をすることができる「顧客データHub」といった機能も付属されています。

Sansanは、ユーザー企業でデータ化された名刺の枚数を基とするライセンス費用や、オプション機能の利用やスキャナレンタル代を含めた料金を月額利用料としてユーザー企業へ請求することで収益を獲得します。

①-2 Sansanの強み

「Sansan」を利用することで、これまでペーパーベースで管理されていた社内の名刺データにパソコンやスマートフォンから素早く、どこでもアクセスすることが可能となります。
また、Sansanには、検索機能やメッセージ機能などを備わっているため、そうした機能を有効活用することで、生産性向上、業務改善などの効果を期待できます。
さらに組織内においての名刺情報の共有や、顧客データを集約させる機能は、顧客管理やマーケティング活動において効果を発揮します。

Sansanは、2020年現在、国内の名刺管理サービスの80%以上のシェアを占めるサービスとなっています。

①Eight事業

前述した「Sansan」が法人向けの名刺管理サービスであった一方、Sansanのもう1つの基幹サービスである「Eight」は、ビジネスパーソン個人を対象としたサービスです。
Eight事業では、「名刺でつながる、ビジネスのためのSNS」をコンセプトに、単なる名刺管理サービスではなく、SNSの仕組みを取り入れたビジネスネットワークとしての運営が行われています。

多くのビジネスパーソンが抱える、「ビジネスの出会いを生かしきれていない」、「名刺情報に容易にアクセスできない」、「ビジネスSNSを活用したいが友人を増やすことが目的ではない」といった課題の解決がEight事業の目的です。

①-1「Eight」の仕組み

「Eight」は、前述した「Sansan」と同様に、名刺をスキャンするだけで自分や自分の名刺交換相手の情報が簡単にデータ化されます。また、データ化された情報にはいつでもどこでもアクセスが可能です。

名刺の情報はデータ化されるだけでなく、自分の名刺を登録することで自分自身のプロフィール画面が設定され、プロフィール管理が可能となります。
さらにSNSのように、名刺交換相手の情報に変更があった際には、名刺情報が最新の状態に更新されます。メッセージ機能も利用することができるため、ユーザー個人のビジネスネットワークをよりスムーズに活用することが可能です。

「Eight」の名刺管理機能やプロフィール管理機能は無料で使用できるアプリとして提供されていますが、機能を拡充した「Eight プレミアム」、「Eight 企業向けプレミアム」などは有料での提供が行われています。

①-2 「Eight」の強み

「Eight」の強みは、Sansanと同様、ペーパーベースで管理されていた個人の名刺データに素早くどこでもアクセスできる点や、メッセージ機能等を利用することで、個人のビジネスネットワークをより有効に活用することが可能な点です。

また、Eightでは、「Eight Career Design」という採用サービスを支援する事業も行われています。このサービスは、採用をしたい企業が「Eight」ユーザーに対してスカウトメールなどを送ることができるサービスです。
企業側は、自社に適した人材に効率よくアプローチすることができます。また、個人の「Eight」ユーザーは、気になる企業をEight上でフォローすることで転職情報を受け取ったり、自身のキャリア形成に役立たせることがメリットとして期待できます。

さらにEight事業では、BtoB商材などの広告を「Eight」ユーザーに発信する「Eight Ads」も運営されています。
このサービスは、一般のSNSと異なり、ユーザーのビジネス感度が高まっている就業時間帯に開かれることの多い「Eight」の特性を利用したものです。
ビジネス関連の広告を効果的な時間帯に効率よくユーザーへ発信することを目的としています。

②-3 売上構成比/セグメント別の売上高

売上の構成比に着目して、2020年5月期の売上高を各クォーター別に見ていきます。
2020年5月期は、期末に進むにつれ、売上高は緩やかな右肩上がりで増収、増益の傾向を見せています。
また、Sansan事業の売上は期を通してEight事業の売上の10倍以上であることがわかります。

セグメント別売上高

③Sansanの主要KPIとその数値推移

③-1 セグメント別の顧客数

以下の図は2018年5月期からのSansanの契約者数、Eightのユーザー数の推移をグラフ化した指標です。
最新の数値を見ると、Sansanをこれまで導入した企業は6,754社、Eightのユーザー数は270万人にのぼります。

Sansan契約者数 Eightユーザー数

③-3 市場シェア

Sansanは、国内の名刺管理市場において、82.8%(2018年時点)の圧倒的なシェアを持ちます。
また、右の写真はSansanが多くの人に認知される重要なきっかけとなった、松重豊さんが出演したCMの1コマの様子です。

Sansanの市場シェア

④Sansanのコスト構造

④-1 Sansanの売上と営業利益

以下の図は、2019年5月期と2020年5月期における、Sansanの売上から営業利益までのコスト構造の内訳を示したグラフです。
Sansan コスト構造営業利益そのものは、2019年5月期から一転して、黒字転換に成功しています。
売上が約30%増と大幅に拡大しています。
また、人件費が拡大する一方、広告宣伝費の減少が顕著であるといえます。

④-2 従業員数の推移と最新の人員構成

以下の図は、Sansanの従業員数の推移と、社内の部門別人員構成を表した図です。
毎年、100名前後の従業員が増加していますが、特に2019年5月期から2020年5月期の間では160名以上の従業員が増加しています。
人員構成は、売上の比率が大きいSansan事業に関連する部門へ多くの人材が起用されています。
また、DSOC部門はデータ解析や研究開発を担う部門ですが、この部門にも一定の割合の人員が割かれていることがわかります。

従業員 人員構成

 

⑤Sansanの投資領域

⑤-1 オンライン名刺

Sansanは働き方改革の推進や、新型コロナウイルスによるテレワーク等による働き方の変化を受け、2020年6月にオンライン名刺の提供を開始しました。
このような流れを受けて、オンラインでの商談時や、オンラインでのイベント開催時でも、これまでと同じように名刺交換を行うことが可能です。
オンライン名刺を利用することで、ユーザーは、オンライン上で自分の名刺のリンクを生成し、データを名刺交換相手に送付することができます。

2020年3月に発表されたオンライン名刺についての記事

オンライン名刺

⑤-2 その他の業務提携や新規リリース

Sansanは、前述した新型コロナウイルスによるテレワークの浸透や、働き方改革の流れを受け、名刺だけでなく請求書や契約書のオンライン上での管理やデータ化にも取り組んでいます。

2020年4月には請求書の受領、一元管理を行う「Bill One」の発表を行いました。

2020年4月に発表された「Bill One」に関する記事

さらに、2020年5月には、弁護士ドットコムによる契約管理業務をAIによって自動化するサービスである「クラウドサインAI」へ、Sansanが所有する契約書データ化ソリューション「Contract One」の技術提供を発表しました。「Contract One」は、紙やPDFの契約書をデータ化し、管理に必要なデータを整理する機能を持つシステムです。

2020年5月に発表された「Contract One」の技術提供に関する記事

 

Bill One contract one

 

⑤-3 資金調達情報

Sansanは、2019年6月にマザーズへの上場を果たしています。
また、Sansanの寺田社長は、2019年3月のインタビューで、2013年から2018年の間に総額100億円を超える資金調達を行ったことを明らかにしました。
以下、参考記事のURLです。

2019年6月のマザーズ上場に関する記事

2019年3月の資金調達に関するインタビュー記事

⑥Sansanの株価・時価総額推移

以下の図は、Sansanの株価の変化を表したグラフです。

Sansan 株価

Sansanの2020年7月28日時点の株価は5,460、時価総額は1700億円です。
2020年5月期の通期の営業利益7.6億円に対して223.7倍という評価を受けている計算となります。

⑦Sansanの会社情報

Sansanの基本情報

Sansanの基本情報を紹介します。
市場はマザーズで、決算月は毎年5月です。

会社名 Sansan株式会社
設立日 2007年6月11日
市場 マザーズ
証券コード 4443
業種 情報・通信業
決算期 5月
ホームページアドレス https://jp.corp-sansan.com/
発行済株式総数 31,138,853株
普通株式数 31,138,853株
資本金 6,236,000,000円 (2020年5月現在)
1単元の株式数 100株
従業員数 547人
平均年齢 32.2 歳
平均年収 6,013,000 円

Sansanの沿革

Sansanは、2007年、東京都で三三株式会社として設立されました。
名刺交換サービスを中心として事業を行い、2019年6月19日にマザーズへ上場しました。

2007年6月 名刺管理を提供することを目的として、東京都渋谷区市谷田町にて、三三株式会社(現Sansan株式会社)を設立。
2007年9月 法人向けサービス「LinkKnowledge」(現「Sansan」)を提供開始。
2007年10月 一般社団法人日本情報経済社会推進会(JIPDEC)より「プライバシーマーク」付与の認定
2008年10月 本社を東京都千代田区四番町に移転
2010年10月 開発拠点としてSansan神山ラボを徳島県名西郡神山町に新設。
2010年11月 本社を東京都千代田区九段南へ移転
2012年2月 個人向けサービス「Eight」を提供開始
2013年8月 法人向けサービスの名称を「Sansan」へ変更
2013年10月 現地でSansan事業の展開を目的として、米国デラウェア州に子会社Sansan Corporation(現連結子会社)
2014年3月 本社を東京都渋谷区神宮前に移転し、商号をSansan株式会社へ変更。
2014年10月 開発拠点としてSansan京都ラボ(現Sansan Innovation Lab)を京都市中京区に新設。
2015年8月 開発拠点としてSansan長岡ラボを新潟県長岡市に新設。
2015年10月 現地でSansan事業の展開を目的として、シンガポール子会社Sansan Global PTE.LTD.(現連結子会社)を設立。
2015年12月 大阪オフィス(現関西支店)を大阪市北区に新設。
2016年5月 名古屋オフィス(現名古屋支店)を名古屋市中区に新設。
2016年12月 福岡支店を福岡市中央区に新設。
2017年4月 札幌支店(現Sansan札幌ラボ)を札幌市手稲区に新設。
2019年6月 東証マザーズへ上場
2020年4月 請求書のオンライン受領・一元管理を可能にする「Bill One」を発表
2020年5月 弁護士ドットコムの「クラウドサインAI」へ「Contract One」の技術提供を発表