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【新規上場企業分析】Retty(レッティ)のIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

Rettyの概要

Rettyの基本情報

はじめに、Retty株式会社の基本情報を紹介します。
上場予定日は2020年10月30日、市場はマザーズ、想定時価総額は124.3です。

会社名 Retty(れってぃ) 株式会社
設立日 2010年11月15日
上場日 2020年10月30日(承認日:2020年9月28日)
市場 マザーズ
証券コード 7356
業種 サービス業
決算期 9月
ホームページアドレス https://corp.retty.me/
発行済株式総数 10,612,504 株(2020 年 9 月 28 日現在)
上場時発行済株式総数 10,812,504 株 
※公募分を含む。 
※新株予約権の権利行使により増加する可能性がある。
公募株数 200,000 株
想定価格 1,150 円
想定時価総額 124.3億円 (※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
資本金 95,000 千円(2020 年 9 月 28 日現在)
1単元の株式数 100株
監査人 EY 新日本有限責任監査法人
主幹事証券会社 大和証券
引受幹事証券会社


SMBC日興証券
SBI証券
野村證券
みずほ証券
岩井コスモ証券
いちよし証券
エース証券

Rettyの沿革

Rettyは、201o年に株式会社TopNotchとして創業しました。
創業初期から、実名型グルメプラットフォーム「Retty」を中核に運営し、海外への進出も果たしています。

2010年11月 東京都港区において株式会社TopNotch(現 Retty)設立
2011年6月 実名型グルメプラットフォーム「Retty」をWebサイト上にリリース
2011年8月 Retty株式会社に商号変更
2011年10月 「Retty」iPhone版リリース
2011年11月 「Retty」Android版リリース
2013年10月 「Retty」月間利用者数が100万人を突破
2013年11月 本社を東京都渋谷区に移転
2014年4月 飲食店向けのFRM有料サービス「Rettyお店会員」の販売を開始
2014年9月 企業のスマートフォンでの広告コンテンツサービス「タイアップ」の販売を開始
2015年4月 本社を東京都品川区に移転
2015年5月 「Retty」月間利用者数が1,000万人を突破
2016年5月 「Retty」月間利用者数が2,000万人を突破
2016年6月 「Rettyお店会員」が1,000店舗を突破
2016年12月 「Retty TOP USER」制度をスタート
2017年5月 「Retty」月間利用者数が3,000万人を突破
2017年6月 本社を東京都港区に移転
2017年8月 タイ王国において「Retty」iPhone版リリース
2017年9月 タイ王国において「Retty」Android版リリース
2018年4月 ヤフー株式会社と、グルメ情報サービス領域における戦略的パートナーシップ構築を合意
2018年9月 「Rettyお店会員」が5,000店舗を突破
2018年11月 「Retty」月間利用者数が4,000万人を突破
2019年4月 PayPay株式会社と飲食店における決済サービス拡充のための業務提携を開始
2019年10月 食領域のビックデータ連携基盤「Food Data Platform」の提供を開始
2020年2月 「Rettyお店会員」が10,000店舗を突破

Rettyの事業内容

当社は、「食を通じて世界中の人々をHappyに。」をビジョンに掲げ、ユーザーの実名に基づく飲食店オススメ口コミ情報や全国の飲食店情報等を蓄積した実名型グルメプラットフォーム「Retty」を運営する企業です。

「Retty」は2020年8月時点で、4,393万人もの月間利用者数と79万店の店舗情報を保有するプラットフォームサービスとなっています。

また、以下は、Rettyの事業モデルを表した図です。

rettyのビジネスモデル

 

① サービス概要 

 「Retty」の特徴は、ユーザーの実名に基づく口コミ情報や全国の飲食店情報等を蓄積した実名型グルメプラットフォームであることです。

これは、インターネット上において「誰が」書いたのかという視点が重要になってきている背景を反映した設計であり、飲食店探しにおいて「友人・知人からの口コミ」が最も参考にされる情報源であるという考えを基礎としています。

「Retty」を利用するユーザーは全国の飲食店情報を閲覧できるだけでなく、実際に飲食店を訪れたことがあるユーザーをフォローしオススメ口コミ情報を閲覧することができる設計となっています。
また、趣味嗜好が合うユーザー同士で情報提供ができるSNS機能を組み込んでいるため、ユーザーは、Rettyを通じて人同士の繋がりを形成することも可能です。

また飲食店側も、点数評価ではない口コミ情報が掲載されることから「Retty」 を受け入れやすい仕様となっており、自店のオススメ情報を投稿するユーザーやフォローするユーザー数を確認できたり、SNS機能を通じてユーザーとの接点を持つことができるため、一次集客のみならず、二次、三次集客へとつなげることが可能となります。

以下は、Rettyのプラットフォームとしてのサービスの特徴についてまとめた図です。

retty サービス概要

 

② 収益モデル 

「Retty」のプラットフォームサービスは、「FRM」「広告」の2軸で収益化されており、いずれも飲食店の集客を支援するサービス設計となります。

FRM

FRMは、Fun Relationship Managementの略称であり、Rettyの有料店舗として契約し、毎月定額のサービス料金を支払うことで、Retty上での販促活動を有利に運用することができるサービスです。

具体的には、飲食店が有料店舗契約を締結すると「Retty」内で上位に表示されたり、自店に訪れたことがあるユーザーやユーザーの口コミ情報、そのユーザーをフォローしているユーザーなどの情報を管理できる顧客管理システム手に入れることができます。
この顧客管理システムは、ユーザーとコミュニケーションをとることができる仕組みが採用されており、飲食店の常連客作りに役立つ設計で運用されています。

FRMは、毎月定額の料金を有料店舗から獲得するサブスクリプション型のビジネスモデルであり、Rettyの安定的な収益基盤を形成しており、2020年8月末時点で有料店舗数は 9,678店です。

広告コンテンツ 

Rettyのもう一つの収益は「広告コンテンツ」による収益です。
広告コンテンツは、2つの手法によって運用されています。
1つ目は、「Retty」の利用者数を飲食店以外の顧客に送客するサービスである「広告ソリューション」です。
このモデルは、「Retty」を積極的に利用するユーザーを対象にした広告で、広告主が出稿した広告をRetty内に掲載することで収益を得る方法です。
また、「Retty」上において同業他社の飲食店予約サービス機能との連携を行い、他社とアライアンスを組むことで送客手数料収入を得るモデルも「広告ソリューション」に属する収益モデルとなります。


2つ目は、「コンテンツソリューション」による手法です。
この手法は、Rettyのデータベースである「Food Data Platform」としてクライアントに継続的に提供することで、月額の利用料を獲得するかたちで収益を得る手法となります。
飲食業界以外の化粧品業界、アパレル業界、旅行業、不動産業といった幅広い業界のクライアントに向けて価値あるデータを提供することが「コンテンツソリューション」のコアバリューであるといえます。
例えば、自社の旅行サイトにRettyの飲食店情報と口コミ情報を掲載する、口コミ情報から外食トレンドの分析をするなど、マーケティング、データ分析などに活用されています。

有価証券報告書情報

経営指標(過去3期分)

第9期の連結の業績は以下の通りです。

  • 売上高:22.7億円(前年比+34.2%)
  • 経常利益:1.0億円
  • 当期純利益:1.6億円
第7期 第8期 第9期
決算年月 2017年9月 2018年9月 2019年9月
売上高(千円) 1,268,337 1,690,541 2,268,123
経常利益(千円) △392,198 △221,021 99,899
当期純利益(千円) △427,377 △230,421 155,849
純資産額(千円) 758,623 536,905 692,754
総資産額(千円) 996,897 779,789 1,055,457
自己資本比率 76.0% 67.6% 64.7%
営業キャッシュフロー(千円) △378,899 △285,430 46,089
投資キャッシュフロー(千円) △231,494 △6,135 △11,122
財務キャッシュフロー(千円) △9,629 9,530 76,674
現金・現金同等物の期末残高(千円) 561,718 279,682 391,384 
従業員数 103人 109人 119人

 

経営指標(過去5期分)

5期の業績を見ると、売上は17倍以上の増加を見せています。
また、利益に関しては、第8期まで断続的に赤字計上を続けてきましたが、第9期には黒字に転換しています。

なお、Rettyは、2015年4月30日付で株式1株につき1,000株の株式分割を行っておりますが、

第5期 第6期 第7期 第8期 第9期
決算年月 2015年9月 2016年9月 2017年9月 2018年9月 2019年9月
売上高(千円) 132,400 540,254 1,268,337 1,690,541 2,268,123
経常利益(千円) △471,866 △593,734 △392,198 △221,021 99,899
当期純利益(千円) △477,859 △596,481 △427,377 △230,421 155,849
資本金(千円) 730,820 1,271,612 100,000 100,000 100,000
発行済株式総数 1,027,000 1,167,923 1,167,923 1,167,923 1,167,923
純資産額(千円) 700,526 1,185,629 758,623 536,905 692,754
総資産額(千円) 779,282 1,349,977 996,897 779,789 1,055,457
自己資本比率 89.8% 87.8% 76.0% 67.6% 64.7%
従業員数 52人 76人 103人 109人 119人

 

株主構成

上位10位までの株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
武田和也 3,560,000 29.40% 180日間
YJ2号投資事業組合 1,588,376 13.12% 180日間
JAPAN VENTURES I L.P. 1,249,610 10.32%
AT-Ⅰ投資事業有限責任組合 870,596 7.19% 180日間
WiL Fund I, L.P. 753,660 6.22%
CA Startups Internet Fund 1号投資事業有限責任組合 479,336 3.96%
テクノロジーベンチャーズ3号投資事 業有限責任組合 464,952 3.84%
PC投資事業有限責任組合 405,784 3.35% 180日間
NTTインベストメント・パートナーズ ファンド3号投資事業有限責任組合 400,000 3.30%
長束鉄也 384,000 3.17% 180日間

新規上場(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

想定価格は1,150円、吸収金額(調達額)は63.7と予想されています。

仮条件 未発表
公募・売出価格 未発表
想定価格 1,150円
初値
公募株数 200,000 株
売出株数 4,618,600 株
オーバーアロットメントによる売出し株数 722,700 株
吸収金額(調達額) 63.7億円 (※オーバーアロットメントを含む株数×想定価格で計算)

この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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