目次
室町ケミカルの概要
室町ケミカルの基本情報
はじめに、室町ケミカル株式会社の基本情報を紹介します。 上場予定日は2021年2月26日、市場はJASDAQスタンダード、想定時価総額は29.8億円です。
会社名 | 室町ケミカル株式会社 |
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設立日 | 1947 年 7 月 7 日 |
上場日 | 2021 年 2 月 26 日(承認日:2021年1月21日) |
市場 | JASDAQスタンダード |
証券コード | 4885 |
業種 | 医薬品 |
決算期 | 5月 |
ホームページアドレス | https://www.muro-chem.co.jp/ |
発行済株式総数 | 3,875,000 株(2021 年 1 月 21 日現在) |
上場時発行済株式総数 | 3,875,000 株 ※公募分を含む。 ※新株予約権の権利行使により増加する可能性がある。 |
公募株数 | 970,000 株 |
想定価格 | 770円 |
想定時価総額 | 29.8億円 (※上場時発行済株式総数×想定価格で計算) |
資本金 | 60,000千円(2021 年 1 月 21 日現在) |
1単元の株式数 | 100株 |
監査人 | 有限責任監査法人トーマツ |
主幹事証券会社 | 野村證券 |
引受幹事証券会社 | FFG証券 みずほ証券 SBI証券 大和証券 楽天証券 岡三証券 |
室町ケミカルの沿革
室町ケミカルは、1917年に福岡県において、大洋製薬合資会社として設立されました。創業期から医薬品関連の事業を展開しており、現在では事業を拡大し、首都圏にも拠点を構えています。
1917年1月 | 売薬の製造販売を目的として、福岡県直方町(現 直方市)に「大洋製薬合資会社」を設立する。 |
1924年11月 | 福岡県福岡市東区馬出に移転し、商号を「天洋社」に改称する |
1938年11月 | 福岡県福岡市南区塩原に本社・工場を新設し、移転する。 |
1944年6月 | 戦時企業整備(県内の製薬会社を1社にする制度)により会社を解散し、一時廃業する。 |
1947年7月 | 戦後、「鉄ペプトン製薬有限会社」として再設立する。 |
1948年1月 | 販売会社として、「株式会社天洋社」を再設立する |
1950年7月 | 「株式会社天洋社」を「鉄ペプトン製薬有限会社」に合併し、社名を「天洋社薬品有限会社」とする。 |
1952年7月 | 社名を「天洋社薬品工業株式会社」と改称する。 |
1971年1月 | ムロマチテクノス株式会社(旧室町化学工業株式会社)の資本参加により、「ムロマチグループ」の一員となる。 |
1996年11月 | 福岡市都市計画により、本社・工場に立退要求があり、福岡県大牟田市に本社・工場を新設移転する。 |
1998年8月 | ムロマチグループとの関係を明確にするため、「室町ケミカル株式会社」に社名を変更する。 |
1999年9月 | 医薬品事業拡大のため、本社に医薬品第二工場を新設する。 |
1999年10月 | 化成品部門でISO9001の認証を取得する。 |
2003年4月 | 本社に流通倉庫を新設する。 |
2005年5月 | 健康食品の企画販売会社として「天洋社薬品株式会社」を設立する |
2005年9月 | 東京都中央区日本橋室町に室町ケミカル株式会社東京支店及び天洋社薬品株式会社東京営業所を開設する。 |
2006年6月 | 本社に健康食品ゼリー製造用のクリーン工場を新設し、健康食品ゼリー事業を開始する。 |
2006年11月 | 自動車部品用のプラスチックめっき工場を新設し、表面処理事業を開始する |
2009年7月 | 本社に事務所棟を新設する。 |
2010年3月 | 機能性樹脂コンパウンド工場を新設する。 |
2010年8月 | 表面処理事業より撤退する。 |
2010年12月 | 中華人民共和国上海市に独自資本で「室町(上海)商貿有限公司」を設立する。 |
2011年2月 | 医薬品原料増産のため、医薬品第三工場を新設する。 |
2011年3月 | ディーゼル排ガス処理用尿素水工場を新設し、尿素水事業を開始する |
2011年10月 | ムロマチテクノス株式会社よりつくば工場を事業譲渡で取得する。 |
2012年12月 | ムロマチテクノス株式会社所有の室町ケミカル株式会社株式6,300株を買受け、自己株式とする。 |
2013年10月 | 本社近郊の土地を購入し、自動移動ラック導入の新勝立倉庫を新設する。 |
2013年10月 | 東京支店を東京都千代田区神田駿河台へ移転する。 |
2014年10月 | 医薬品原薬合成事業への本格的な参入を目的として、東進ケミカル株式会社の全株式を取得し100%子会社化する。 |
2014年12月 | ムロマチテクノス株式会社を吸収合併する。 |
2016年6月 | つくば工場にインキ接着剤工場を新設する。 |
2016年10月 | 機能性樹脂コンパウンド事業より撤退する。 |
2016年11月 | 本社に医薬品ゼリー工場を新設する。 |
2017年5月 | 東進ケミカル株式会社を吸収合併し、埼玉工場とする。 |
2017年8月 | 本社に医薬品合成工場を新設する。 |
2018年6月 | 天洋社薬品株式会社を吸収合併する。 |
2019年5月 | 室町(上海)商貿有限公司の営業活動を停止する。 (2019年11月清算手続完了) |
2019年12月 | 埼玉工場を閉鎖する。 |
2020年1月 | 埼玉県和光市に埼玉開発センターを開設する。 |
室町ケミカルの事業内容
室町ケミカルは、1917年(大正6年)に売薬の製造販売を目的として設立されて以降、医薬品をはじめとしたさまざまな事業に取り組んで来ました。現在は、医薬品・健康食品・化学品の3つの事業を軸に、長年培ってきた化学技術を核とした技術を活かし、製品・サービスを提供しています。
以下は、室町ケミカルの主要な事業セグメントと事業系統図を表した図です。
- 医薬品事業
- 健康食品事業
- 化学品事業
① 医薬品事業
「医薬品事業」は、医薬品の有効成分である原薬関連の業務が行われており、原薬の輸入・製造・加工など、原薬に関連するトータルサービスを提供する事業セグメントです。
具体的には、国内の医薬品商社や製薬会社が使用する原薬の輸入、自社内での原薬合成や異物除去などの加工・精製を行っています。
輸入原薬の主要な製品は、てんかん、躁病及び躁うつ病の躁状態の有効成分であるバルプロ酸Na、単純ヘルペスウイルスや水痘・帯状疱疹ウイルスに効果的なバラシクロビル塩酸塩などです。
また、自社内では、腎不全に伴う高カリウム血症の有効成分であるポリスチレンスルホン酸Ca、抗凝固薬の主成分となるワルファリンカリウム、診断用薬に用いられるヒスタミン二塩酸塩などを合成・精製しています。
原薬商社としての機能と原薬メーカーとしての機能をあわせ持つ点がこの事業セグメントの強みです。
さらに、輸入商社としての経験を持つことから、原薬を製造するための原料や中間体を海外メーカーから直接調達できるため、時間短縮・コスト削減、開拓した調達先の品質向上指導を実現し、サービスの付加価値を高めています。
② 健康食品事業
「健康食品事業」は、事業開始当初から、主にスティックゼリータイプの健康食品の企画・製造を行う事業セグメントです。
企業からの受託製造が主な業務内容で、委託元企業のブランド名で販売される製品の生産のみに携わるOEM(Original Equipment Manufacturing)が大多数を占めています。
OEMとは、製品の製造オペレーションを外部企業に委託する手法です。
このように製造部門と開発・販売部門を分割することで、委託元企業は営業マーケティング、販売に注力し、経営効率の向上を見込むことができます。
室町ケミカルは、長年の経験から味や匂いを包み隠すマスキング技術に長けている点に特徴があります。健康食品の分野では、製品に含まれる健康・美容成分特有の苦みや匂いが製品を販売する上での課題となりがちですが、室町ケミカルは上記技術を駆使することで、食べやすく美味しい食品の提供を可能としています。
③ 化学品事業
「化学品事業」は、液体処理関連製品の販売・加工を主に行う事業セグメントです。この事業セグメントでの室町ケミカルの主力製品は、イオン交換樹脂と分離膜です。
イオン交換樹脂は純水の製造や排水中の重金属除去など、幅広い分野で使用される化学品です。室町ケミカルでは、海外メーカーの代理店販売業務の他、自社で独自に加工を施したイオン交換樹脂の販売業務を運営しています。
自社内に加工設備を保有することで、顧客のニーズに最適化された製品を提供できることが室町ケミカルの強みといえるでしょう。
分離膜とは、用途に合わせた孔径の膜を使用し濾過や濃縮などを行うことができる製品です。
室町ケミカルでは、各種メーカーの分離膜を販売するだけでなく、分離膜の再生・洗浄も行っています。
これらの製品分野の中で、室町ケミカルは、自社内分析・開発部門で行い分析・試験ができるため、化学製品に関する知識やノウハウを豊富に備えている点が特徴です。
また、様々なメーカーからの商品を調達するだけでなく、製品の加工にまで携わることで、顧客の求める処理に最適な製品の選定や使用方法の提案を行います。
連結の経営指標(過去2期分)
第74期の業績は以下の通りです。
- 売上高:52.8億円(前年比 △2.6%)
- 経常利益:2.7億円(前年比 +198.7%)
- 当期純利益:0.3億円(前年比 +9.2%)
期 | 第73期 | 第74期 |
決算年月 | 2019年5月 | 2020年5月 |
売上高(千円) | 5,420,018 | 5,280,306 |
経常利益(千円) | 90,996 | 271,851 |
当期純利益(千円) | 28,913 | 31,570 |
純資産額(千円) | 182,392 | – |
総資産額(千円) | 4,619,342 | – |
自己資本比率 | 3.9% | – |
営業キャッシュフロー(千円) | 342,095 | 88,920 |
投資キャッシュフロー(千円) | △311,293 | 136,697 |
財務キャッシュフロー(千円) | △22,590 | 42,227 |
現金・現金同等物の期末残高(千円) | 613,958 | 880,950 |
従業員数 | 199人 | – |
単体の経営指標(過去5期分)
以下は、室町ケミカルの過去5期分の業績です。 売上は、第70期から第74期に至るまでに約1.3倍ほど増収しており、全体的に増加傾向にあります。
一方、第73期から第74期の間では約2%の減収となりました。
また、利益に関しては第72期に一度減益が生じましたが、その後は2期連続の増益となり復調の傾向がみられます。
なお、室町ケミカルは、2020年10月15日付で普通株式1株につき5株の割合で株式分割を実施しました。
期 | 第70期 | 第71期 | 第72期 | 第73期 | 第74期 |
決算年月 | 2016年5月 | 2017年5月 | 2018年5月 | 2019年5月 | 2020年5月 |
売上高(千円) | 4,038,850 | 4,447,013 | 4,536,959 | 5,392,119 | 5,280,306 |
経常利益(千円) | 168,170 | 104,896 | △20,164 | 108,133 | 278,285 |
当期純利益(千円) | 166,889 | △22,340 | △87,833 | 111,979 | 34,391 |
資本金(千円) | 60,000 | 60,000 | 60,000 | 60,000 | 60,000 |
発行済株式総数 | 1,010,000 | 1,010,000 | 1,010,000 | 1,010,000 | 775,000 |
純資産額(千円) | 169,550 | 173,474 | 71,409 | 178,641 | 252,253 |
総資産額(千円) | 3,896,943 | 4,399,118 | 4,683,399 | 4,588,635 | 4,785,967 |
自己資本比率 | 4.4% | 3.9% | 1.5% | 3.9% | 5.3% |
従業員数 | 157人 | 182人 | 199人 | 199人 | 196人 |
セグメント別業績
第74期のセグメント別経営成績は表の通りです。
医薬品事業がメインの事業であり、売上の約半分を占める主力事業となっています。 今期は、健康食品事業の売上が約3割減となり、全体の売上では減収がみられます。
もっとも、メイン事業である医薬品事業が利益面で約5割の増益と、好調に推移したため、最終的には減収増益となりました。
「健康食品関連事業」に関しては、錠剤関連の医薬品や自社ゼリー製品の販売縮小、大型OEM案件の終了の影響によって大幅に減収となりました。
- 医薬品事業:48.4%
- 健康食品事業:20.6%
- 化学品事業:30.8.%
指標 | 全体 | 医薬品事業 | 健康食品事業 | 化学品事業 |
売上高(千円) | 5,280,306 | 2,558,968 | 1,092,322 | 1,629,015 |
前年同期比 | 97.4% | 106.4% | 72.3% | 108.4% |
営業利益(千円) | 299,040 | 445,907 | △102,005 | △44,860 |
前年同期比 | 154.8% | 149.7% | – | – |
株主構成
上位10位までの主要な株主は、以下の通りです。
株主 | 所有株式数 | 比率 | ロックアップ |
村山 哲朗 | 290,000 | 37.85% | 90日間 |
村山 ひとみ | 260,000 | 17.21% | – |
青木 淳一(社長) | 250,000 | 11.18% | 90日間 |
室町ケミカルグループ従業員持株会 | 200,000 | 7.74% | 継続保有 |
服部 英法 | 2,000 | 5.16% | 90日間 |
髙宮 一仁 | 2,000 | 3.70% | 継続保有 |
大辻 正高 | 1,500 | 2.58% | 90日間 |
穗苅 久美 | 1,500 | 2.58% | 90日間 |
井内 聡 | 1,500 | 1.55% | 継続保有 |
井ノ口 浩俊 | 1,500 | 1.20% | 継続保有 |
新規上場(IPO)の募集・売出し情報
公募・売出し・調達額情報
想定価格は770円、吸収金額(調達額)は13.0億円と予想されています。
仮条件 | 770円~820円 |
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公募・売出価格 | 820 |
想定価格 | 770円 |
初値 | – |
公募株数 | 97,0000株 |
売出株数 | 500,000 株 |
オーバーアロットメントによる売出し株数 | 220,500 株 |
吸収金額(調達額) | 13.0億円 (※オーバーアロットメントを含む株数×想定価格で計算) |