ファイナンス

【新規上場企業分析】メドレーのIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

メドレーの概要

メドレーの基本情報

はじめに株式会社メドレーの基本情報を紹介します。上場日は2019年12月12日、市場はマザーズ、想定時価総額は353.6億円、上場時の時価総額は350.8億円でした。

会社名 株式会社メドレー
設立日 2009年6月5日
上場日 2019年12月12日(承認日:2019年11月8日)
市場 マザーズ
証券コード 4480
業種 情報・通信業
決算期 12月
ホームページアドレス https://www.medley.jp/
発行済株式総数 26,094,400 株(2019 年 11 月 8 日現在)
上場時発行済株式総数


27,624,400 株
※公募分(新株式発行)を含む。
※新株予約権の権利行使により増加する可能性がある。

公募株数 2,530,000 株
想定価格 1,280円
想定時価総額 353.6億円 (※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
初値 1,270円
上場時時価総額 350.8億円(※上場時発行済株式総数×初値で計算)
時価総額 1302.3億(2020年9月15日現在)
資本金 50,000 千円(2019 年 11 月 8 日現在)
1単元の株式数 100株
監査人 EY 新日本有限責任監査法人
主幹事証券会社 大和証券
引受幹事証券会社

みずほ証券
三菱UFJモルガン・スタンレー証券
クレディ・スイス証券

メドレーの沿革

株式会社メドレーは、2009年に東京都で設立されました。
主に医療現場の人員不足を解決するための事業を中心に運営を行ってきました。
その後、メドレーは、2019年12月に東証マザーズへ上場しています。

2009年6月 東京都港区に株式会社メドレー(資本金17百万円)を設立
2009年11月 人材採用システム「ジョブメドレー」提供開始(人材プラットフォーム事業)
2012年11月 本社を東京都渋谷区に移転
2015年2月 医療情報提供サービス「MEDLEY」提供開始(医療プラットフォーム事業)
2015年3月 本社を東京都港区に移転
2015年4月 介護施設検索サイト「介護のほんね」を運営するプラチナファクトリー株式会社を完全子会社化
介護施設検索サイト「介護のほんね」運営開始(新規開発サービス)
2015年7月 完全子会社のプラチナファクトリー株式会社を吸収合併
2016年2月 オンライン診療システム「CLINICSオンライン診療」提供開始(医療プラットフォーム事業)
2016年6月 「日経メディカル ワークス」開始(日経BP社と共同運営、人材プラットフォーム事業)
2018年3月 個人情報保護認証「TRUSTeマーク」を取得
2018年4月 クラウド型電子カルテ「CLINICSカルテ」提供開始(医療プラットフォーム事業)
2018年11月 医療ヘルスケア分野における技術のオープン化及び情報活用を推進するために、他の企業に対して資金支援や業務支援をする「MEDLEY DRIVE」プロジェクトを開始
2018年12月 オンライン診療システム「CLINICSオンライン診療」及びクラウド型電子カルテ「CLINICSカルテ」において国際規格に基づくISMSクラウドセキュリティ認証を取得
2019年3月 日本医師会標準レセプトソフト「ORCA」の開発を担う株式会社NaClメディカル(島根県)を完全子会社化(医療プラットフォーム事業
2019年4月 医療情報標準規格であるFHIRを活用し、厚生労働省からの受託事業である「電子処方箋の本格運用に向けた実証事業」を完了
2019年6月 創業10周年の節目に合わせ当社グループのミッションを「医療ヘルスケア分野の課題を解決する」から「医療ヘルスケアの未来をつくる」に変更
2019年12月 東京証券取引所マザーズに株式を上場

メドレーの事業内容

メドレーは、医療ヘルスケアの未来をつくるというミッションを掲げ、医療機関の人材不足解消や現場の生産性向上を目的としたサービスを中核に運営する企業です。

複数のサービスを運営しており、主に「人材」と「情報」の2軸で医療機関を支援するサービスが運営されており、事業セグメントは、3つに分割されています。

以下は、メドレーの運営する主要な事業セグメントと事業系統を表した図です。

  1. 人材プラットフォーム
  2. 医療プラットフォーム
  3. 新規開発サービス

メドレー 事業系統図

 

① 人材プラットフォーム  

人材プラットフォーム事業は、メドレーの主軸となる事業であり、医療現場の人材不足解消や、採用にリソースを割くことが難しい現場の課題を解決することを目的とした事業セグメントです。
このセグメントでは、医療ヘルスケア領域の事業所向けに成果報酬型の人材採用システム「ジョブメドレー」の運営が行われています。

ジョブメドレーは、求人事業所に求職者が実際に入職した時点で費用が発生する成果報酬型のビジネスモデルで運営されています。ジョブメドレーの特徴は、求職者側が自ら絞り込んだ条件のもと求人情報を閲覧し、興味のある求人事業所に直接応募した後に面接に向けたコミュニケーションを取ることができるような設計がなされている点です。
これにより、募集職種の説明や、求職者に対するヒアリングを「ジョブメドレー 」上で完結できる仕組みとなっており、通常の人材紹介サービスと比較して大幅な金銭的コストや時間的コストの削減が期待できるサービスであるといえます。

なお、「ジョブメドレー」は、182,220箇所の事業所で利用されているサービスとなっています。(2019年12月時点)

② 医療プラットフォーム  

医療プラットフォーム事業は、医療現場の業務効率やスピードを高め、患者の通院体験の向上を目指すことを目的とした事業を運営するセグメントです。

メドレーでは、この事業セグメントにおける取り組みとして、2016年2月からオンライン診療システム「CLINICSオンライン診療」を医療機関向けに開発・提供しています。
その後、クラウド型電子カルテ「CLINICSカルテ」や予約管理システム「CLINICS予約」の機能拡張を行い、医療機関が予約、診療、会計までをオンライン上のシステムで一貫して管理できるサービスとして開発が進められました。
オンライン上の医療システムの発展は、離島や僻地、または在宅患者の利便性向上に非常に効果的であるといえます。

また、医療プラットフォーム事業では、オンライン診断システムの開発・提供だけでなく、患者やその家族に向けて疾患、処方薬及び医療機関等の医療情報を提供するメディアサービスである「MEDLEY」の運営なども行われています。

③ 新規開発サービス  

新規開発サービスは、メドレーが運営する中長期的な成長に向けた新規事業の開発行う投資的事業セグメントです。

このセグメントで運営されている「介護のほんね」は、10万件以上の介護施設情報を掲載するサービスであり、介護施設の基本情報、設備、写真、費用、施設評価等の幅広い情報をサイト上に掲載しています。
このような掲載情報をもとに、介護施設への入居を検討する方や、その家族が入居先の介護施設を検討し、入居可否の問い合わせを行うサポートなどが行われています。

有価証券報告書情報

連結の経営指標

第11期の業績は以下の通りです。
メドレーでは第11期から連結の経営指標が作成されています。

  • 売上高:47.7億円
  • 経常利益:17.8億円
  • 当期純利益:△38.1億円
第11期
決算年月 2019年12月
売上高(千円) 4,765,312
経常利益(千円) 178,347
当期純利益(千円) △381,226
純資産額(千円) 3,359,789
総資産額(千円) 5,400,488
自己資本比率 62.0
営業キャッシュフロー(千円) 513,982
投資キャッシュフロー(千円) △767,964
財務キャッシュフロー(千円) 3,075,285
現金・現金同等物の期末残高(千円) 4,477,395
従業員数 379人

 

単体の経営指標(過去5期分)

過去5期の業績を見ると、売上高は4年間で20倍近く成長していることがわかります。
また、利益に関しては、プラスの期とマイナスの期が混在しており、売上の推移とは連動していないことがわかります。
この要因は不明ですが、システム開発などに多額の投資をした際、その費用が経営指標へ影響を及ぼしていることが原因の一つとして推測されます。

なお、発行済株式総数の変動等についての注釈は以下の通りです。

  • 2015年9月7日付で1株につき50,000株の割合で株式分割を実施。
  • 2017年9月28日付で優先株を廃止。
  • 2017年9月28日付で、当社普通株式2.5株を1株に併合。
第7期 第8期 第9期 第10期 第11期
決算年月 2015年12月 2016年12月 2017年12月 2018年12月 2019年12月 
売上高(千円) 243,140 729,408 1,712,491 2,933,043 4,685,023
経常利益(千円) △341,897 △429,041 38,012 △87,829 186,900
当期純利益(千円) △371,895 △449,080 35,651 △153,562 △381,226
資本金(千円) 397,750 397,750 50,000 50,000 1,011,523
発行済株式総数 57,850,000 57,850,000 26,094,400 26,094,400 28,145,100
純資産額(千円) 501,407 52,327 1,230,099 1,090,468 3,359,789
総資産額(千円) 582,426 355,107 1,762,965 2,310,889 5,382,634
自己資本比率 84.3% 11.8% 69.8% 46.6% 62.2%
従業員数 58人 92人 147人 246人 365人

セグメント別業績

第11期のセグメント別経営成績は表の通りです。
収益構造としては、

  • 人材プラットフォーム事業:86.3%
  • 医療プラットフォーム事業:11.3%
  • 新規開発事業:2.4%

であり、人材プラットフォーム事業が収益のメインを担う事業セグメントであることがわかります。

指標 全体 人材
プラットフォーム事業
医療
プラットフォーム事業
新規開発事業
売上高(千円) 4,765,312 4,111,533 536,814 116,964
経常利益(千円) 178,347
当期純利益(千円) △381,226

 

上場時の株主構成

上位10位までの株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
瀧口 浩平 6,291,200 21.76% 180日間
豊田 剛一郎 4,051,000 14.01% 180日間
グリー株式会社 1,880,000 6.50%
MSIVC2012V 投資事業有限責任組合 1,427,000 4.94%
インキュベイトファンド1号投資事業有限責任組合 1,400,000 4.84% 90日間
山田 進太郎 800,000 2.77% 90日間
白崎 杏輔 800,000 2.77% 90日間
イーストベンチャーズ投資事業有限責任組合 800,000 2.77% 90日間
ニッセイ・キャピタル6号投資事業有限責任組合 800,000 2.77% 90日間
日本生命保険相互会社 760,000 2.63% 90日間

上場時(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

公募価格は1,300円、吸収金額(調達額)は205.7とされています。
また初値は、1,270となりました。

仮条件 1,280円 ~ 1,300円
公募・売出価格 1,300円
想定価格 1,280円
初値 1,270円 (公募価格比△2.3%)
公募株数 2,530,000 株
売出株数 11,230,000 株
オーバーアロットメントによる売出し株数 2,064,000 株
吸収金額(調達額) 205.7億円(※オーバーアロットメントを含む株数×公募価格で計算)

この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
ブロックを追加